水態の神器使い   作:ユキシア

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黒猫と白猫

Sⅰdeショウ

 

次の日の夕刻俺たちは制服に身を包んで客間で待機していた。

 

「兵藤と駿河か?」

 

聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると匙がいた。

 

「匙、どうしてここに?」

 

「ああ、会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだ。で、会長は先輩に会いに行っちまったし、仕方ないんで屋敷のなかをうろうろしてたら、ここに出た」

 

迷ってここに着いたのか?

 

匙は俺たちから少し離れた席に座る匙。真剣な面持ちで言う。

 

「もうすぐゲームだな」

 

「ああ」

 

「そうだな」

 

「俺、鍛えたぜ」

 

「俺も鍛えたぞ」

 

「俺もだ。山で毎日ドラゴンとショウに追いかけられていた」

 

「そ、そうか。相変わらずハードな生き方してんな。まあ、俺も相当ハードなメニューこなしたけどな」

 

お互い自分の主の勝敗がかかってるもんな。こいつも修行に励んでいただろう。

 

「駿河、先月の若手悪魔が集まったときありがとな」

 

「ん・・・ああ、気にするな。俺はあのクソお偉いさんがムカついたから言っただけだ。あんないい夢を持つ会長さんをバカにしたんだ。あれぐらいは言わねえと怒りが収まらねぇ」

 

「ありがとな。俺たちは本気なんだ。・・・・お、俺・・・・。せ、先生になるのが夢なんだ!」

 

突然匙が顔を真っ赤にしてそう言う。

 

「先生?何かを教えるのか?」

 

イッセーの問いに匙は紅潮しながらも真摯に答える。

 

「会長は冥界にレーティングゲーム専門の学校を設立しようとしている。ただの学校じゃないんだ。悪魔なら上級下級貴族平民関係なしに受け入れる、誰にも自由な学校なんだ。会長から聞いたんだ。悪魔業界は少しずつ、差別やら伝統やらなんかが緩和されてきたけど、まだまだ根底の部分で受け入れがたい部分もあるって、だから、レーティングゲームの学校もいまだに上級悪魔の貴族しか受け入れてない。ゲームは誰にも平等でなければいけない。これは現魔王さまたちがお決めになられたことだ。平等なのに下級悪魔の平民にはゲームの道が遠いんだよ。おかしいだろう?もしかしたら、貴族以外の悪魔でもやり方しだいでは上級悪魔に昇格できるかもしれないのによ。可能性はゼロじゃないはずなんだ!たとえ1パーセントでも!ゼロに近くても!ゼロじゃなきゃ上級悪魔になれるかもしれないんだ!兵藤!駿河!俺たちだって、その可能性を信じて上級悪魔になろうとしているんだろう?」

 

「ああ、その通りだぜ」

 

「俺は最近まで上級悪魔になろうとは思ってなかったけど、今は俺も上級悪魔になろうと思っているよ」

 

上級悪魔になれば今よりできることが増えると思うし目指して損はないだろう。

 

匙は拳を振り上げて宣言する。

 

「だ、だからこそ、俺はそこで先生をするんだ。そこで『兵士(ポーン)』のことを教える先生になるんだ。お、俺は昔バカばかりやっていてさ。親にも迷惑をかけたし、周りの人間にも嫌われてた。でもよ、会長となら、夢が見れるんだ!俺の生涯会長のお側にいて、会長の手助けをする!会長の夢が俺の夢なんだ!」

 

匙は照れながら言う。

 

「へへへ、お袋にさ、悪魔になったこと内緒だけど、それでも将来の夢を話したら泣いちまってよ。先生になるんだ!ってガラにもないこと言ったからかもしれないな。でもよ、悪くないよな。お袋の安心した顔ってよ」

 

「立派な目標だと思うぜ、匙。いい先生になれよ」

 

「ああ、叶えろよ。その夢」

 

「ああ、そのためにも今度はお前たちを倒して上に俺たちは結果で見せなきゃいけない」

 

「悪いが、匙。勝つのは俺たちグレモリー眷属だ」

 

それからはイッセーが女性の乳をつつくとブザーになるなどわけのわからないことを言っていると

 

「イッセー、お待たせ」

 

ドレス姿の部長さんと皆が来て俺は朱乃のドレス姿に

 

「・・・・・・・・」

 

目を奪われていた。

 

「あらあら、そんなに見つめられると照れてしまいますわ」

 

朱乃は微笑む。俺はそれを見て

 

「・・・・・・・綺麗だ」

 

自然にそう口に出た。

 

「よかったじゃない、朱乃。褒めてもらえて」

 

部長さんが朱乃のそう言うと朱乃は頬が真っ赤になった。そして俺も同じぐらい真っ赤になっていると思う。

 

そのあとタンニーンさまが来て会場まで乗っけてもらった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

Sideイッセー

 

俺たちはタンニーンのおっさんに会場まで乗っけてもらい到着したあと俺と部長は一緒に他の上級悪魔の方々に挨拶をし部長のお母さんのおかげで恥はかかずにすみ今俺とアーシア、ギャスパーはフロアの隅っこに用意された椅子に座っている。

 

「あーちかれた」

 

部長、朱乃さんは遠くで女性悪魔さん方と談話している。

 

木場は女性悪魔の皆さんに囲まれていた。クソ!イケメン死ね!と、ショウは.....あれ、いない。どこ行ったんだ?

 

椅子に座りながら俺はショウを探して見るがどこにもいなかった。トイレか?

 

そんなこと思っているとゼノヴィアが料理を持ってきてくれてゼノヴィアにショウの訊いてみたら

 

「ああ、ショウならさっき会ったぞ。何でも挨拶が必要なのは部長さんとイッセーだけだろうから俺はどこか休むことにするって言ってどこかに行ったぞ」

 

おいおい、ショウ。お前部長の結婚相手だろうがいいのかよ。

 

そんなため息をしていると俺の視界に小さな影が映る。

 

小猫ちゃんだ。

 

何やら急いでパーティ会場を出ようとしている。その表情は何かに夢中なものだ。何があったんだろう?ふいに不安が俺を襲う。何か嫌な予感がする。

 

おれはアーシアたちに嘘をついてその場を離れ小猫ちゃんを追った。

 

小猫ちゃんはエレベーターで降りていく。下か?

 

隣のエレベーターの扉が開いたのを確認して俺はそれに乗り込むと誰かがエレベーターに乗ってきた。振り返れば、部長!

 

「どうしたの?血相かえて」

 

「小猫ちゃんが何か追うように飛びだしていったのを見たんです」

 

「なるほど、気になったのね。わかったわ、私も行く」

 

「はい!けど、よく俺がエレベーター乗り込むのがわかりましたね?」

 

怪訝に思う俺に部長はニッコリしながら最高のことを言ってくれる。

 

「私はあなたのことを見ているんだから」

 

 

 

 

俺と部長は一階まで降りた。近くにいた悪魔の話によると小猫ちゃんは外に出たみたいだ。部長は急いで使い魔のコウモリを呼びだして空へ放った。コウモリが帰ってくるまで、俺と部長はホテルの外にある噴水前で待機していると少しして部長のコウモリは帰ってきた。

 

「見つけたようね。森?ホテル周辺の森にあの子は行ったのね?」

 

俺と部長はコウモリのあとを追って走り出した。

 

森を進むこと数分。部長が俺の腕を引き、木の陰に隠れさせる。少しだけ顔を覗かせると、そこには小猫ちゃんの姿が!

 

「久しぶりじゃない?」

 

聞き覚えのない声。音も立てずに現れたのは黒い着物を身に包んだ女性。どことなく、小猫ちゃんに似ているって頭部に猫耳!?ま、まさか・・・。

 

「ハロー、白音。お姉ちゃんよ」

 

「黒歌姉さま・・・・!」

 

絞り出すような声の小猫ちゃん。そのお姉さんの足下に黒い猫がすり寄る。

 

「会場に紛れ込ませたこの黒猫一匹でここまで来てくれるなんてお姉ちゃん感動しちゃうにゃー」

 

そっか、小猫ちゃんあの黒猫を見かけてここまで来たんだな。

 

「・・・・姉さま。これはどういうことですか?」

 

「怖い顔しないで。ちょっと野暮用なの。悪魔さんたちがここで大きな催ししているっていうじゃない?だから、ちょっと気になっちゃって。にゃん」

 

手を猫みたいにしてかわいくウインクするおねえさん!かわいい!ってててて・・・。頬つねらないでください、部長・・・・・。

「ハハハハ、こいつ、グレモリー眷属かい?」

 

今度は聞いたことのある声。さらに姿を現したのは孫悟空の美猴ッ!ヴァーリの仲間じゃねぇか!

 

ふいに美猴の視線が俺と部長のほうへ向けられる!気づかれたか!?

 

「気配を消しても無駄無駄。俺っちや黒歌みたいに仙術知ってると、気の流れの少しの変化だけでもだいたいわかるんだよねぃ」

 

俺と部長は意を決して、木陰から姿を現した。俺たちを確認して、小猫ちゃんは驚いていた。

 

「・・・・イッセー先輩、部長」

 

「美猴、誰、この子?」

 

小猫ちゃんのお姉さんが俺を指さして美猴に訊く。

 

「赤龍帝」

 

それを聞いて、お姉さんは目を丸くしていた。

 

「本当にゃん?へぇ~。これがヴァーリを退けたおっぱい好きの赤龍帝なのね。確かもう一人いたよね」

 

もう一人?ショウのことか。美猴はあくびをしながら言う。

 

「黒歌~、帰ろうや。どうせ俺っちらあのパーティに参加できないんだし、無駄さね」

 

「そうね。帰ろうかしら。ただ、白音はいただくにゃん。あのとき連れてっていっってあげられなかったからね」

 

「あらら、勝手に連れ帰ったらヴァーリ怒るかもだぜ?」

 

「この子にも私と同じ力が流れていると知れば、オーフィスもヴァーリも納得するでしょ?」

 

「そりゃそうかもしれんけどさ」

 

小猫ちゃんのお姉さんの目が細める。小猫ちゃんはそれを見て小さな体をビクつかせていた!怖がってる!なら!

 

俺は両者の間に入り、真正面から言う。

 

「この子は俺たちグレモリー眷属の大事な仲間だ。連れて行かせるわけにはいかない」

 

俺の行動に美猴もお姉さんも笑う。

 

「いやいや、勇ましいと思うけどねぃ。あの血槍をもっている奴がいれば違うがさすがに俺っちと黒歌相手にできんでしょ?今回はその娘もらえばソッコーで立ち去るんで、それで良しとしようやな?」

 

ふざけたことを言う美猴に部長が憤怒の表情で前に出る。

 

「この子は私の眷属よ。指一本でも触れさせないわ」

 

「あらあらあらあら、何を言っているのかにゃ?それは私の妹。私にはかわいがる権利があるわ。上級悪魔さまにはあげないわよ」

 

この空間の空気が様変わりしたのはわかる。部長とお姉さんが睨み合い一触即発のなか先に睨みをやめたのはお姉さんだった。ニッコリ笑い言う。

 

「めんどいから殺すにゃん」

 

その瞬間言い知れない感覚が俺を襲う。

 

「・・・黒歌、あなた、仙術、妖術、魔力だけじゃなく、空間を操る術まで覚えたのね?」

 

「時間を操る術までは覚えられないけどねん。空間はそこそこ覚えたわ。結界術の要領があれば割かし楽だったり。この森一帯の空間を結界で覆って外界から遮断したにゃん。だから、ここでど派手なことしても外には漏れないし、外から悪魔が入ってくることもない。あなたたちは私たちにここでころころ殺されてグッバイにゃ」

 

「リアス嬢と兵藤一誠がこの森に行ったと報告を受けて急いで来てみれば、結界で封じられるとはな・・・」

 

空中から声が聞こえ見上げると

 

「タンニーンのおっさん!」

 

「おうおうおう!ありゃ、元龍王の『魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)』タンニーンじゃないかぃ!まいったね!こりゃ、もう大問題だぜ、黒歌!やるしかねぇって!」

 

「うれしそうね、お猿さん。いいわ。龍王クラス以上の首をふたつ持っていけば、オーフィスも黙るでしょうね」

 

首ふたつ!俺もカウントされていますか!?されていますよね!嫌だ!死んじゃう!

 

「觔斗雲ッ!」

 

美猴は觔斗雲に乗りタンニーンのおっさんと戦い始めた。まあ、おっさんならあの猿を倒してくれそうだから安心だけど、問題は....。

 

「にゃん」

 

小猫ちゃんのお姉さんだ!俺にもわかるようにドス黒いオーラを全身から滲みだしてくれている!

 

「・・・・姉さま。私はそちらへ行きます。だから、二人は見逃してあげてください」

 

突然小猫ちゃんがそんなことを口走る。

 

「何を言ってるの!?小猫!あなたは私の下僕で眷属なのよ!勝手は許さないわ!」

 

部長は間髪入れずに小猫ちゃんを抱きしめる。しかし、小猫ちゃんは首を横に振る。

 

「・・・ダメです。姉さまの力を私が一番よく知ってます。姉さまの力は最上級悪魔に匹敵するもの。部長とイッセー先輩では・・・・。元龍王のお力があっても幻術と仙術に長けている姉さまを捉えきれるとは思えません・・・」

 

「いえ、それでも絶対にあなたをあちら側に渡すわけにはいかないわ!あんなに泣いていた小猫を目の前の猫又は助けようともしなかった!」

 

「だって、妖怪が他の妖怪を助けるわけないじゃない。ただ、今回は手駒が欲しいから白音が欲しくなっただけ。そんな紅い髪のおねえさんより私のほうが白音の力を理解してあげられるわよ?」

 

お姉さんの言葉に小猫ちゃんは首を横に振る。

 

「・・・・イヤ・・・あんな力いらない・・・黒い力なんていらない・・・・人を不幸にする力なんていらない・・・」

 

ふるふると震え、涙をぽろぽろとこぼし始めた。部長はいっそう強く小猫ちゃんを抱きしめる。

 

「黒歌・・・。力におぼれたあなたはこの子に一生消えない心の傷を残したわ。あなたが主を殺して去ったあと、この子は地獄を見た。私が出会ったとき、この子に感情なんてものはなかったわ。小猫にとって唯一の肉親であったあなたに裏切られ、頼る先を無くし、他の悪魔に蔑まれ、罵られ、処分までされかけて・・・。この子は辛いものをたくさん見てきたわ。だから、私はたくさん楽しいものを見せてあげるの!この子はリアス・グレモリー眷属の『戦車(ルーク)』塔城小猫!私の大切な眷属悪魔よっ!あなたに指一本だって触れさせやしないわっ!」

 

「・・・行きたくない・・・。私は塔城小猫。黒歌お姉さま、あなたと一緒に行きたくない!私はリアス部長と一緒に生きる!生きるの!」

 

「よく言った!小猫!」

 

ドォォォォオオオオオオオンッ!

 

小猫ちゃんの姉との絶縁とも言える叫びと同時空から何か降ってきた。今の声は.....。

 

土煙が収まるとそこには全身蒼白の鎧に包まれた奴が土煙の中心に立っていた。

 

「だ、誰にゃ!?」

 

小猫ちゃんのお姉さんがそう訊くと

 

「俺はリアス・グレモリー眷属『兵士(ポーン)』駿河 彰!仲間を助けるためにここに来た!」

 

全身蒼白の鎧の正体は俺の親友ショウだった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

Sideショウ

 

「ショウ・・・・なのか?」

 

イッセーはいまだに俺かわからないみたいなので顔だけ出して証明した。

 

「ほら、俺だろ?それとも少し見ない間に親友の顔を忘れたのか?」

 

「いやいやいや、忘れてねぇよ。お前その格好・・・」

 

イッセーは俺が身に着けている鎧を指さしてきた。

 

「ああ、これはなお前の禁手を見本として作ったんだ。まあただの鎧じゃねぇぞ」

 

俺はイッセーにそう答えると小猫のところに行き

 

「大丈夫か?小猫ちゃん。助けにきたぞ」

 

「・・・・ショウ先輩・・・どうしてここに」

 

俺は子猫ちゃんの問いを笑顔で答えた。

 

「言ったろ?助けてやるって。この鎧もおまえの為にタンニーンさまと修行して作ったんだぞ。それから」

 

俺は小猫ちゃんの頭を撫でて褒めた。

 

「さっきはよく言った。頑張ったな。小猫ちゃん。あとは任しとけ」

 

俺は小猫ちゃんのお姉さんの方を向く。

 

「さてと、おまえが小猫ちゃんの姉か?」

 

「ええ、そうよ。ところでひとつ訊きたいんだけどどうやって結界の中に入って来たの?」

 

「ああ、それはこの『水魔溶の鎧(オーディソリュウ・スケイルメイル)』のおかげだ。この鎧は魔の力を溶かす力を持つ。この鎧の前じゃお前の結界なんか余裕で通り抜けられる」

 

まあ、この鎧を身に着けている時は槍はこの鎧の一部分として使っているから槍はないし、魔の力を溶かすしかできないからこの鎧のときは肉弾戦じゃないとな。あとタンニーンさまみたいな強力なのは溶かせねぇけどこいつには十分か。

 

「なるほど、あなたがヴァーリが言っていた血槍・・・・あら、槍はどうしたのかにゃ?」

 

「この鎧のときは槍は使えないんだよ。でも、おまえ相手には素手で十分だ」

 

「ふーん」

 

小猫ちゃんの姉から薄い霧らしきものが発生する。それは徐々に広がり

 

「あっ」

 

部長さんがその場で膝をつき次に

 

「・・・・これは」

 

小猫ちゃんまで膝をつく、この霧が原因なのか?

 

「ふーん、そっちは今聞いたからわかるけど赤龍帝だから効かないのかしら?この霧はね。悪魔や妖怪にだけに効く毒霧にゃん。毒を薄くしたから、全身に回るのは少し苦しんでからよ。短時間では殺さないわ。じわじわっと殺してあげるにゃん」

 

小猫ちゃんの姉はいつのまにか高い木に座っていた。俺は毒霧をよく観察してみた。

 

この毒霧、魔力で作ったのか。いくら魔の溶かす鎧でも普通の毒は通じるからな。

 

「イッセー!俺たちでやるぞ!」

 

「おう!ブーステッド・ギア!」

 

イッセーは赤い籠手を出現させるが宝玉が光を灯っておらず薄黒くなっている。

 

「ショウ!ブーステッド・ギアが分岐点に立ったせいで動かねぇ!」

 

「こんな状況でなんつーところに立ってんだよ!俺があいつを倒すからお前はブーステッド・ギアをなんとかしろ!」

 

「あらら、赤龍帝ちゃんは神器も動かずじまい?でも、私は撃っちゃうにゃん」

 

小猫ちゃんの姉は分身を作り出しその内の幻影のひとつが手を突き出して魔力の弾を部長さんと小猫ちゃん目がけて撃ちだした。

 

俺はダッシュで二人の前にたち鎧の力で魔力の弾を溶かして無効化した。

 

「ショウ・・・。」

 

「・・・・ショウ先輩」

 

二人は俺を心配してくれている。

 

「俺は平気ですよ。言ったでしょう?この鎧の前じゃどんな魔力攻撃も溶かしてみせますよ」

 

防ぐことはできる。でも、こんなのも分身が多かったら一体攻撃しているときにまた部長さんたちを狙われたら......んっ、分身ということは実態がないってことだよな。だったら。

 

「次はこっちにゃん」

 

今度はイッセーを狙ってきたが俺はそれも防いだ。

 

「悪い、ショウ」

 

「いいから、神器をなんとかしろ」

 

「もう一回こっちにゃん」

 

小猫ちゃんの姉はまた部長さん達を狙ったが俺はそれも防いだ。

 

「・・・・先輩」

 

「大丈夫だ。小猫ちゃん」

 

今のところは大丈夫だ。でも同時に狙われたらヤバい。

 

「なら、これはどうにゃん?」

 

今度は部長さん達とイッセーの同時攻撃。クソッ!

 

完全なる氷人形(パーフェクションアイスドール)ッ!」

 

氷人形一体をイッセーに行かせてなんとか防げたが

 

「ふーん。なるほど」

 

小猫ちゃんの姉はおもしろいものを見つけたかのように笑った。ちっバレたか。

 

「ショウ、背中・・・」

 

魔力の効かない鎧を身に着けているはずの俺の鎧は壊れ少しだが俺の背中は傷を負っていた。

 

完全なる氷人形(パーフェクションアイスドール)』は俺の気や魔力全く同じ氷人形だが、そのせいか力も魔力も人形を作る分だけ分散されてしまう。

 

「今度は少し強めにゃ」

 

小猫ちゃんの姉はまた魔力の弾を部長さん達とイッセー同時に放ってきた。

 

ドォォォォオオオンッ!

 

「ガハッ!」

 

何とか防げたが氷人形は壊れ俺はふっ飛ばされてしまった。毒霧があるせいですぐに鎧を作らないと俺まで動けなくなってしまう。俺は鎧を急いで修復させた。もう少し.....。

 

それから小猫ちゃんの姉は休ませる間もなく魔力の弾をまた同時に放った。俺はまた氷人形を一体作り防いだが俺はまたふっ飛ばされてしまった。

 

「弱。これが本当にヴァーリを倒したの?」

 

「・・・・先輩」

 

俺は立ち上がり三人を守るように魔力の弾を受けまたふっ飛ばされ、俺はまた立ち上がった。

 

「・・・・先輩、もういいです。もう立たないでください。これ以上傷つかないでください」

 

小猫ちゃんは涙を流しながらそう言ってくるが俺は前に小猫ちゃんに話したことを言った。

 

「前にも言ったよな、小猫ちゃん。俺は強くなんかないって、俺が強かったら今だって小猫ちゃんは泣いていない。俺は誰にも悲しませないために強くなるって誓ったんだ。情けねぇな、俺は」

 

自虐気味に言う俺を小猫ちゃんは首を横に振る。

 

「そんなことないです。ショウ先輩は強いです。今だって一人で私たちを守ってくれているじゃないですか」

 

小猫ちゃんがそう言ってくれているなか小猫ちゃんの姉は魔力の弾を放ってきた。

 

ドオオオオオンッ!

 

「グハッ!」

 

「先輩!」

 

俺はまたふっ飛ばされ小猫ちゃんの姉は笑いだけだった。

 

「白音も大変ねぇ。もっと強い剣をふるって言う奴ならともかく、あんたみたいに泥まみれの血まみれで言っても女の子は引くだけにゃん。キモいキモい」

 

「テメェ!卑怯な手ばっか使っているくせにショウをバカにするな!」

 

イッセーが小猫ちゃんの姉に向かって言うが小猫ちゃんの姉はそれを無視した。俺はぼろぼろになった体で立ち上がり

 

「・・・・確かに俺は強くないし、泥まみれで血まみれでかっこ悪い・・・・それでも俺は守ってみせる。どんなに情けなくても、どんなに醜くても俺は俺自身で決めた誓いを貫き通す。これがおれの覚悟であり、俺が強くなりたいという力の根源だ」

 

俺は一歩また一歩前へ歩き出し叫んだ。

 

「俺は誰も悲しませない!俺は悲しんでいる奴らすべてを守ってみせる!」

 

「じゃあ守ってみなさい!」

 

小猫ちゃんの姉は再び魔力の弾を放ってこようとするが

 

「もう喰らわねぇ!狂水神の流血槍(フォリーデュ―・ルーン)!」

 

俺は一旦鎧を解除し槍に戻した。

 

毒霧でも数分は息を止めればすぐには毒は効かない。

 

「今度はそっちが喰らえ!氷粒子爆殺煙(アイテクル・デスフェメ)ッ!」

 

ドォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

この辺りにバラしておいた氷の粒子を一気に爆発させついでに毒霧もふっ飛ばした。

 

「そこだ!流水の束縛鎖(ヴァッサーバインドチェイン)ッ!」

 

「にゃ!」

 

水の鎖は小猫ちゃんの姉の体を縛り上げた。

 

「捕獲完了ッ!」

 

「無茶苦茶な奴にゃん。この辺りの森を爆発させるなんて、でもこの程度の鎖・・・」

 

小猫ちゃんの姉は鎖を壊そうとするが、さらに締め付けた。

 

「ぅにゃん!痛いじゃない!」

 

「おまえが言うな!俺の方が痛かったわ!」

 

見ろ!俺の体のほうがボロボロだぞ!誰のせいだ!あー腹立ってきた。ちょうどよく痛めつけてくれた奴は縛っているしちょっとお仕置きしようか.....。

 

「ね、ねぇ、な、なに笑ってるのかにゃん?」

 

小猫ちゃんの姉は引きつった笑顔で訊いてくるほど俺は今笑っているのか.....。

 

「そら!」

 

俺は笑顔で更に鎖で締め付け

 

「いにゃん!な、なにするにゃ!」

 

何か言ってきたので

 

「んにゃっ!」

 

更に締め付け一回緩めると

 

「痛いじゃない!あぁんっ!」

 

きつく締め付ける。やばい!何か楽しい!目覚めちまう!いや、もう目覚めていい!

 

そして俺は更に締め付けてみようとしたが赤い光を見てそちらを見ると部長が胸をさらけだして顔が真っ赤になっているのと半眼の小猫ちゃん。そして

 

「禁手、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』ッ!主のおっぱいつついてここに降臨ッッ!」

 

全身赤い鎧を身に着けた変態がいた。

 

あぶねぇ。俺ももうちょっとで仲間入りするところだったよ。爆発がすごくて土煙が上がっていたからなんとかバレなかったみたいだが.....気をつけよう。

 

俺は小猫ちゃんの姉を皆のところに連れて行った。

 

「皆っ!無事かっ!?」

 

俺は皆のところへ行くと部長さんが

 

「ショウ!加減を知りなさい!なんなの!?あの爆発は!?」

 

怒られてしまった。

 

「・・・・すみませんでもおかげで毒霧もふっ飛ばせれたでしょう?」

 

そう言うと部長さんは額に手を当て嘆息した。

 

「でも、突然爆発したんだ?確かにショウはできるけどいつものと違うよな?」

 

鎧状態のイッセーが訊いてきた。

 

「ああ、確かにいつもは氷の球体を作ってやってたけど修行して氷の粒子をバラまかせあとは同じ原理で爆発させたんだ。こいつの分身の本体を見つけようと思ったんだけど、体が持たなかったから爆発させたんだ。って、あれ」

 

縛り付けていたはずの小猫の姉がいないと思ったら少し離れたところで両手にそれぞれ違う力を出していた。

 

「妖術と仙術ミックスをトドメとして一発喰らわしてあげる!」

 

小猫ちゃんの姉は違う力を纏めてそのまま両手から二種類の波動を撃ちだした。

 

水魔溶の鎧(オーディソリュウ・スケイルメイル)ッ!」

 

俺は鎧を身に着け二種類の波動を正面から受け溶かした。

 

「嘘でしょ!かなりの妖力をうぐっ!」

 

俺は一気に近づき小猫ちゃんの姉の首を絞めつけ

 

「見てろよ、小猫ちゃん。これがこの鎧の力だ」

 

すると小猫ちゃんの姉の体から大量の水が流れ始めた。

 

「な・・・私の力を・・・・溶かしてるの?」

 

「ああ、この鎧に直接触れられた者の力を水として外に放出される。まだまだ使い道は悪いけどな」

 

抵抗しようと魔力で攻撃しようとするがその前に水となった。妖術も同じ。そしてぎりぎりのところで小猫ちゃんの姉を解放した。

 

「さてと、小猫ちゃん!」

 

俺は小猫ちゃんを呼び言った。

 

「今のこいつは力は空になっているに近いほど弱ってる。小猫ちゃん・・・・殺す?」

 

俺の言葉に小猫ちゃんは目を見開いた。

 

「こいつは小猫ちゃんを辛い想いをさせた。小猫ちゃんから笑顔を奪った。もし小猫ちゃんが殺したいと思っているなら殺す。殴りたいなら殴る。牢獄に入れたいなら牢獄に入れる。どうするか小猫ちゃんが決めるんだ。小猫ちゃんにはその権利がある。もし殺したとしても誰も小猫ちゃんを責めない。どうする?」

 

「わ・・・私は・・・・」

 

小猫ちゃんは俯き涙を流し始めた。

 

「私は・・・姉さまが・・・黒歌姉さまが・・・・憎い。でも・・・私のたった一人の・・・・家族です。私は・・・・私は・・・」

 

俺は小猫ちゃんの答えをただじっと待つ。これは小猫ちゃんの問題。誰にも口出しは出来ない。

 

「ショウ先輩・・・お願いです。姉さまを助けて下さい」

 

「・・・・白音」

 

「ああ、わかった」

 

俺は鎧を解き小猫ちゃんの姉から離れて小猫ちゃんのところへ行き小猫ちゃんを抱きしめ

 

「ごめんな、辛い選択させて。でも、よく決意し・・・・た」

 

あれ?何か意識が遠く.......。

 

「・・・・先輩?ショウ先輩!?」

 

「どうしたの!?小猫!?ショウがどうしたの!?」

 

ああ、なんか部長さんの声が遠く....。

 

「おい!ショウ!しっかりしろ!」

 

.........イッセーの声か?

 

「ショウ先輩!ショウ先輩!」

 

泣きながら俺の名前を叫ぶ小猫ちゃん。

 

ああ、また泣かせたな.....。ごめん。

 

そして俺の意識が遠くなり闇へ落ちた。

 

 

Sideout

 

 

 

 

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