Sideショウ
俺たちはがたどり着いたのは最深部にある神殿。壁に埋め込まれた巨大な装置の中央にアーシアさんがいた。それを見てイッセーは叫んだ。
「アーシアァァァァアアアッ!」
「やっと来たんだね」
装置の横から姿を現したアスタロト、イッセーはそいつを見て更に怒りが高まる。
「・・・・イッセーさん?」
アーシアさんを見ると目元が腫れ上がっていた。泣いてたんだ.....それも尋常じゃないほど。
「・・・ディオドラ、おまえ、アーシアに事の顛末を話したのか?」
イッセーの問いにアスタロトはにんまりと微笑む。
「うん。全部、アーシアに話したよ。ふふふ、キミたちにも見せたかったな。彼女が最高の表情になった瞬間を。全部、僕の手のひらで動いていたと知ったときのアーシアの顔は本当に最高だった。ほら、記憶映像にも残したんだ。再生しようか?本当に素敵な顔なんだ。教会の女が堕ちる瞬間の表情は、何度見てもたまらない」
この......ゲス野郎が.....。
「でも、足りないと思うんだ。アーシアにはまだ希望がある。そう、キミたちだ。特にそこの汚れた赤龍帝。キミがアーシアを救ってしまったせいで、僕の計画は台無しになってしまったよ。あの堕天使の女レイナーレが一度アーシアを殺したあと、僕が登場してレイナーレを殺し、その場で駒を与える予定だったんだ。キミが乱入してもレイナーレには勝てないと思っていた。そうしたら、キミは赤龍帝だという。偶然にしてはおそろしい出来事だね。おかげで計画はだいぶ遅れてしまったけれど、やっと僕の手元に帰ってきた。これでアーシアを楽しめるよ」
「黙れ」
イッセーは今までにないぐらい低い声だった。それに俺も今すぐあのゲスを殺したい。が、今一番怒りをぶつけたいのはイッセーだ我慢しねぇと。
「アーシアはまだ処女だよね?僕は処女から調教するのが好きだから、赤龍帝のお古は嫌だな。あ、でも、赤龍帝から寝取るのもまた楽しいのかな?それにキミの名前を呼ぶアーシアを無理矢理抱くのも良いかもしれ」
「黙れェェェェェェェェェッ!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!』
「ディオドラァァァァァァァァァッ!てめえだけは!絶対に許さねぇッ!」
イッセーは全身に鎧を身にまとった。
「部長、皆、絶対に手を出さないでください」
「イッセー。全員で倒すわと、言いたいところだけど、いまのあなたを止められそうもないわね。手加減してはダメよ」
「イッセー、後始末は俺がする」
「ドライグ、聞こえるか」
『なんだ、相棒』
「今回だけは、好きにやらせてくれ」
『・・・・・わかった』
イッセーの姿を見て奴は楽しげに高笑いし、全身ドス黒いオーラに包まれる。
「アハハハハ!すごいね!これが赤龍帝!でも、僕もパワーアップしているんだ!オーフィスからもらった『蛇』でね!キミなんて瞬殺」
ゴォォォォオオオオオッ!イッセーは背中の魔力噴出口から火を噴かし、
ドゴンッ!
イッセーの打撃はアスタロトの腹部に入った。
「・・・がっ」
アスタロトの体はくの字曲がり、顔は激痛に歪んだ。
「瞬殺がどうしたって?」
アスタロトは腹部を押さえ表情に余裕はなかった。
「くっ!こんなところで!僕は上級悪魔だ!現魔王ベルゼブブの血筋だぞ!」
アスタロトは魔力の弾を無数に展開した。
「キミのような下級で下劣で下品な転生悪魔ごときに気高い血が負けるはずがないんだッッ!」
アスタロトの放つ無数の魔力弾がイッセーを襲うがイッセーには効かずアスタロトの眼前まで迫ったとき、アスタロトは魔力弾を止め距離を取ろうとしたがイッセーは背中の魔力噴出口を噴かしてすぐに追いつきアスタロトは防御障壁を作るが
「ヴァーリの作った障壁よりも薄そうだな」
バリンッ!
イッセーの拳は難なく防御障壁を破壊して
ゴンッ!
顔面へ一撃入れた。
「・・・・痛い。痛い。痛いよ!どうして!僕の魔力は当たったのに!オーフィスの力で絶大までに引き上げられたはずなのに!」
それからイッセーはアスタロトの腹部と顔に一撃入れ、オーラを右拳に集結させ、アスタロトに叩き込もうとする。
「こんな腐れドラゴンに僕がぁぁぁぁっ!」
アスタロトは左手を前にだし分厚そうなオーラの壁を発現させる。
「アハハハハハハッ!ほら見たことか!僕のほうが魔力が上なんだ!ただのパワーバカの赤龍帝が僕に敵うはずがないんだよっ!」
「そのパワーバカのパワー見せてやろうか?」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』
ゴォォォォォオオオオオオオオオオオッ!
イッセーは背中の魔力噴出口を噴かし拳に勢いを上げて
バリンッ!とアスタロトのオーラの壁はイッセーの拳の一撃で儚い音を立てて消失した。
「わりぃな。パワーバカだから、こんな風に力押ししかできねぇや。でもいまのおまえ相手になら十分か」
「ひっ」
一瞬で顔色を変えるアスタロトに、
「俺ん家のアーシアを泣かすんじゃねぇよッ!」
イッセーの拳はアスタロトの左手を叩き折り、その勢いで顔面に拳がぶち込まれた。その一撃でアスタロトは柱まで吹っ飛んだ。床に落ちたアスタロトはおろおろと地を這いずりながら叫んだ。
「ウソだ!やられるはずがない!アガレスにも勝った!バアルにも勝つ予定だ!才能のない大王家の跡取りなんかに負けるはずがない!情愛が深いグレモリーなんか僕の相手になるはずがない!僕はアスタロト家のディオドラなんだぞ!」
アスタロトは鋭い円すい状のものを幾重にも出現させイッセーに向けて放った。イッセーは避けようとするが意志を持ったかのようにイッセーにまとわりつき、
ザシュッ!
鎧の隙間を攻撃したがイッセーはそれを体から引き抜いた。アスタロトはまた同じ攻撃をしようとするがイッセーは背中のブーストを噴かし一気に詰め寄り
メキッ・・・・・。
イッセーの蹴りがアスタロトの右大腿部をぶち抜き、骨を粉砕する。
「ちくしょぉぉおおおおおおおおおおっ!」
苦痛に顔を歪ませるアスタロトは魔力を急激に集め魔力の波動を撃ちだす。イッセーも手にドラゴンのオーラを集め撃ちだす。
ドシュゥゥウウウウウウウッ!
お互いの一撃が宙にぶつかり合い攻め合うが、
「いっけぇぇぇぇぇっ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost』
神器に増加された力が流れイッセーのパワーを底上げし、
ドンッ!アスタロトの魔力をふっ飛ばして、奴の横をかすめていく。
それでもアスタロトはもう一度しようとするが
ドゴォォオオオオオンッ!
イッセーは勢いよく拳を床に叩きつけた。アスタロトの横に巨大なクレーターをアスタロトは目元をひくつかせ、ガチガチと歯を鳴らし、震え上がっていた。イッセーは歩み寄り、アスタロトを引き上げ鎧のマスクの部分を収納し、素の状態でにらみつけ、全身から赤いオーラを激しく発しながら。
「二度と、アーシアに近づくなッ!次に俺たちのもとに姿を現したら、そのときこそ、本当に消し飛ばしてやるッ!」
アスタロトの瞳は怯えの色に染まっていた。
『相棒。そいつの心はもう終わった。そいつの瞳はドラゴンに恐怖を刻み込まれた者のそれだ』
イッセーのなかのドライグがそう言うとイッセーはアスタロトを放した。
「イッセー、トドメは刺さないのか?」
「そうだぞ、イッセー。ここで殺したほうがアーシアさんのためじゃないのか?」
俺は槍をゼノヴィアはアスカロンをアスタロトに突き立て訊くが、
「ショウの言うとおりだ。またアーシアに近づくかもしれない。いまこの場で首をはねたほうが今後のためじゃないのか?」
ゼノヴィアも本気だ。きっと、部長さんかイッセーが応じれば俺とゼノヴィアはこいつの首を飛ばすだろう。だが、イッセーは首を横に振った。
「・・・・こいつもいちおう現魔王の血筋だ。いくらテロに加担したからといって。殺したら部長や部長のお兄さんに迷惑をかけるかもしれない。もう十分殴り飛ばしたさ」
ゼノヴィアはアスカロンを勢いよく床にぶっ刺した。少しでも憂さを晴らしたかったのだろう。
「・・・・・わかった。イッセーが言うなら私は止める」
「ショウ」
俺はまだアスタロトに槍を向けているのをイッセーに注意されたが、
ザシュ!
俺はアスタロトの左腕を斬りおとした。アスタロトは悲鳴を上げるが無視した。
「・・・・イッセーのいうとおりにするよ。でもこれだけはさせてもらった。あとはまかせる」
「ああ」
イッセーとゼノヴィアは拳と剣をアスタロトに向けた。
「「もう、アーシアに言い寄るなッ!」」
その迫力にアスタロトは瞳を恐怖で潤ませながら何度もうなずいた。そしてアーシアさんのところへ足を向ける。
「アーシア!」
装置のあるところへ皆集合していった。
「イッセーさん!」
イッセーはアーシアの頭をやさしくなでている。
「助けにきたぞ、アーシア。ハハハ、約束したもんな。必ず守るって」
安堵したのか、アーシアさんは嬉し泣きをしていた。そしてアーシアさんの装置を外そうと木場たちが手探りで作業をし始めた。が、木場の顔色が変わる。
「・・・・手足の枷が外れない」
俺とイッセーは木場の言葉でアーシアさんと装置を繋ぐ枷を取ろうとするが、
「クソ!外れねえ!」
「こっちもだ!」
赤龍帝のパワーでも外れず、全員で枷を取りはずそうとするが、聖魔剣、聖剣で切ろうとしても、魔力ではずそうとしてもビクともせず、ブーステッド・ギアの譲渡の力で力を上げても効果がない。
「そうだ!ショウのあの鎧なら!」
俺はイッセーの言葉で急いで『
「クソ!なんで溶けねぇんだ!?」
なんの効果もなかった。これは魔力などで作られたものじゃないのか!?
そのとき、アスタロトは言葉少なくつぶやいた。
「・・・・無駄だよ。その装置は機能上、一度しか使えないが、逆に一度使わないと停止できないようになっているんだ。アーシアの能力が発動しない限り停止しない」
「どういうことだ?」
イッセーが訊くとアスタロトは淡々と答えた。
「その装置は神滅具所有者が作りだした固有結界のひとつ。このフィールドを強固に包む結界もその者が作りだしているんだ。『
神器の力か!だからこの鎧の能力が効かないのか!
木場はアスタロトに問いただす。
「発動条件と、この結界の能力は?」
「・・・・発動の条件は僕か、他の関係者の起動合図、もしくは僕が倒されたら。結界の能力は枷を繋いだ者、つまりアーシアの神器能力を増幅させて反転すること」
反転?つまりアーシアの回復の力の逆を増幅。
木場も気づいたのか、さらに問いただす。
「効果範囲は?」
「・・・・このフィールドと、観客席にいる者たちだよ」
その言葉に全員が驚愕する。クソ!
「お、おい!ショウ!どこに行くんだよ!」
俺はアスタロトを掴み隅の方へ移動する。
いざとなったらアーシアさんの両手両足をなくしてでも最悪殺してでも皆を助ける。その後なにをされようが受け入れよう。でも、その前に!
俺はアスタロトを投げ飛ばし倒させる。
・・・・こいつのせいで・・・・。
俺は槍でアスタロトの右足を突き刺す。
「あぐっ!あ、足が!足がぁぁあ!」
「てめぇの薄汚ねぇ欲望のせいでアーシアはぁぁぁぁああああああっ!」
今度は右手を刺し次に腹を刺す。
「ぅぐ!ああぐぅううう」
アスタロトは痛みで悶える。
「てめぇのせいでアーシアは、辛い想いをした!たくさん傷ついた!」
俺は涙を流しながらさらに刺し続けた。
「やっと手に入れたアーシアの幸せを・・・・てめぇのせいでぇぇぇぇぇぇッ!」
たくさん辛い想いをし、たくさん傷ついた。それでもアーシアは前を見て一生懸命生きて、やっと手に入れた幸せを!おまえのせいで・・・・・おまえのせいで!
ザクッ!ザクッ!と刺していく。
「いぐぅ!あがっ!」
「てめぇのせいでアーシアの幸せを壊したんだ!アーシアの痛みはこんなもんじゃねぇぞ!」
腹部を刺して斬り裂き、アスタロトの返り血を浴びる。
「いぎゃあぁぁあああ!た・・・・助けてくれ!も・・・もう、彼女・・・には近づか・・・ないから・・・だから、助け」
ザクッ!
俺はアスタロトの腹部を深く刺し絶命させた。そして俺は涙を流しながら床を何度も殴った。
ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!俺は何で誰も助けることができねぇんだ・・・・どうして俺はこんなに誰も守れないくらい弱いんだ・・・・。
俺は自分の弱さに悔やんでいると
「ショウさん!」
後ろからもう聞くことができないはずの声が聞こえ振り返ると、そこにはいつもの笑顔のアーシアがいた。
「アーシア?」
「ショウさん。ご心配をおかけ」
俺はアーシアの言葉の途中でアーシアを抱きしめた。
「良かった・・・・・本当に・・・良かった。」
俺はアーシアを抱きしめながら安堵の涙を流した。
「さて、アーシア。帰ろうぜ」
イッセーが言う。
「はい!と、その前にお祈りを」
アーシアさんは天に何か祈っている。
「アーシア、何を祈ったんだ?」
と、イッセーが訊くがアーシアさんは恥ずかしそうに言った。
「内緒です」
笑顔でイッセーの元に走り寄るアーシアさん。
カッ!
突如、俺たちに眩しい何かが襲う。
視線を送るとアーシアさんが光の柱に包まれていた。そして、光の柱が消え去ったときそこには。
「・・・・アーシア?」
誰もいなかった。
Sideout
主よ。お願いを聞いてくださいますか?
どうか、イッセーさんをずっとお守りください。
そして。
どうか、これからもずっとイッセーさんと一緒に楽しく暮らせますように。
Side木場
僕たちは一瞬何が起こったかわからなかった。
ディオドラ・アスタロトをイッセーくんが倒し、装置を破壊し、この場を退避しようとしていた。
その瞬間、アーシアさんがまぶゆい光のなかに消えていった。
「神滅具で創りしもの、神滅具で散る、か。霧使いめ、手を抜いたな。計画の再構築が必要だ」
聞き覚えのない声。
声のしたほうへ視線を送るとそこには見知らむ男性が宙に浮いている。
部長がその男性に訊く。
「お初にお目にかかる、忌々しい偽りの魔王の妹よ。私の名前はシャルバ・べルゼブブ。偉大なる真の魔王ベルゼブブの血を引く、正統なる後継者だ」
旧ベルゼブブ!こんなときに!
「サーゼクスの妹君。いきなりだが、貴公には死んでいただく。理由は当然。現魔王の血筋をすべて滅ぼすため」
「グラシャラボラス、アスタロト、そして、私たちグレモリーを殺すというのね」
「その通りだ。不愉快極まりないのでね。私たち真の血族が、貴公ら現魔王の血族に『旧』などと言われるのが耐えられないのだよ」
シャルバは嘆息した。
「今回の作戦はこれで終了。私たちの負けだ。まさか、神滅具のなかでも中堅クラスのブーステッド・ギアが上位クラスのディメンション・ロストに勝つとは。想定外としか言えない。まあ、今回は今後のテロの実験ケースとして有意義な成果が得られたと納得しよう。クルゼレイが死んだが問題ない。私がいればヴァーリがいなくても十分に我々は動ける。真のベルゼブブは偉大なのだからさ。さて、去り際のついでだ。サーゼクスの妹よ、死んでくれたまえ」
「直接現魔王に決闘も申し込まずにその血族から殺すなんて卑劣だわ!」
「それでいい。まずは現魔王の家族から殺す。絶望を与えなければ意味がない」
「外道っ!何よりもアーシアを殺した罪!絶対許さないわッ!」
部長が激高し、最大までに紅いオーラを全身に迸らせた!朱乃さんも顔を怒りに歪め、雷光を身にまとい始めた。
僕も許すつもりはない!アーシアさんは.....やっと過去のすべてとケリをつけれたんだ!彼女の大好きなイッセーくんがそれをぶち破ることですべてが終わったんだ!
僕の大切な仲間を消し去った罪!その命で償いきれないだろうけど、それでもこのテロリストには死んでもらう!
「アーシア?アーシア?」
イッセーくんがふらふら歩きながらアーシアさんを呼んでいた。
「アーシア?どこに行ったんだよ?ほら、帰るぞ?家に帰るんだ。父さん母さんも待ってる。か、隠れていたら、帰れないじゃないか。ハハハ、アーシアはお茶目さんだなぁ」
イッセーくんは・・・・アーシアさんを探すように辺りを見渡しながら、おぼつかない足取りで・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ショウくんは死人のような表情で俯き、両膝をついて動かなかった。
「アーシア?帰ろう。もう、誰もアーシアをいじめる奴はいないんだ。いたって、俺がぶん殴るさ!ほら、帰ろう。アーシア、体育祭で一緒に二人三脚するんだから・・・」
見ていられなかった。
その光景を見て、小猫ちゃんとギャスパーくんが嗚咽を漏らしていた。
朱乃さんはショウくんを抱きしめ、部長はイッセーくんをやさしく抱いていた。
僕もこみ上げてくるものを止められなかった。
「部長、アーシアがいないんです。やっと帰れるのに。先生が言っていた神殿の地下に隠れなきゃ。でも、アーシアがいないと・・・・。・・・と、父さんと母さんがアーシアを娘だって。アーシアも俺の父さんと母さんを本当の親のようにって・・・・。俺の、俺たちの大切な家族なんですよ・・・」
うつろな表情でイッセーくんはつぶやき、部長は彼の頬を何度もなでてあげていた。
「・・・・・・許さない。許さないッ!斬るっ!斬り殺してやるっ!」
叫びながらゼノヴィアがデュランダルとアスカロンでシャルバに斬りかかる!
「無駄だ」
ギャンッ!
シャルバは聖剣の二刀を光り輝く防御障壁で弾き飛ばし、ゼノヴィアの腹部へ魔力の弾を撃ちこんできた。
ドオオンッ!
地に落ちるゼノヴィア。聖剣も放り投げられ、床に突き刺さった。
「・・・・・アーシアを返せ・・・。私の・・・・友達なんだ・・・・っ!・・・・・やさしい友達なんだ・・・・。誰よりもやさしかったんだ・・・・ッ!どうして・・・・ッ!」
ゼノヴィアは床に叩きつけられても手元から離れていった聖剣を求め、握ろうとする。
シャルバはイッセーくんとショウくんに向かって言った。
「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴン。まったくもって、グレモリーの姫君は趣味が悪い。そこの赤い汚物と転生悪魔の汚物。あの娘は次元の彼方に消えていった。すでにその身も消失しているだろう。死んだ、ということだ」
イッセーくんの視線が宙に浮かぶシャルバを捉えた。無表情のまま、じっとシャルバの顔だけを見続けた。
『リアス・グレモリー、いますぐこの場を離れろ。死にたくなければすぐに退去したほうがいい」
ドライグの声。僕たちにも聞こえるように発生した。
『赤龍帝のいうとうり、早くここから離れなさい』
ショウくんの神器から女性の声が発生された。今のはショウくんの神器にいる声なのか?それより退去?どういうことだ?部長も僕同様に怪訝な表情をしていた。
ドライグとショウくんの神器の声は次にシャルバへ向けられた。
『そこの悪魔よ。シャルバといったか?』
イッセーくんとショウくんは部長と朱乃さんを振り払い、立ち上がる。
『おまえは』 『あなたは』
死人のようなおぼつかない足取りで、イッセーくんとショウくんはシャルバの真下に来たとき、ドライクの声音とショウくんの神器の女性の声音は口元から発せられた。それは心身を底冷えさせるほど、無感情な一声だった。
『選択を間違えた』 『決してしてはいけないことをした』
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!
神殿は大きく揺れ、イッセーくんは血のように赤いオーラを発し、ショウくんはイッセーくんより濃い血と同じ色のオーラを発していく。
『我、目覚めるわ』 『我はあなたを殺した』
『覇の理を神より奪いし二天龍なり』 『己の存在と甘さのせいであなたを死に追いやった』
『無限に嗤い、夢幻に憂う』 『だから我はこの身を血で染めこの身が滅びるまで
すべての命を奪い殺そう』
『我、赤き龍は覇王となりて』
イッセーくんの鎧が変質していく。さらに鋭角なフォルムが増していき、巨大な翼まで生えていった。両手両足から爪のようなものが、伸び、兜からは角のようなものがいくつも形作られている。
その姿はドラゴンそのものだった。
ショウくんは血のようなオーラを凝縮させそれを纏い始め、まるで返り血を隙間なく浴びたかのような紅い衣を身に着けショウくんの青い両目から血涙を流していた。
「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう」」」」」 『それが最後にできる贖罪だから』
『Juggerrnaut Drive!!!!!』
「ぐぎゅああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!アーシアァァァァァァァッァァァァァァァッッ!」
「殺す!我から奪う奴は全て殺す!」
獣の叫びにも似たイッセーくんの声と憎しみと怒りに満ちたショウくんの声。イッセーくんは四つん這いになり、翼を羽ばたかせる。
ビュッ!
空を切る音!速い!僕の目でも捉えきれなった。
「ぬうううううっ!」
シャルバの悲鳴が聞こえる。振り向けば。小型ドラゴンと化したイッセーくんがシャルバに絡みつき、肩に食らいついていた。
「おのれっ!」
シャルバが右腕で光を作り出しイッセーくんに放とうとするが
「奴より生まれし血液よ奴を斬り裂け」
ショウくんがシャルバに手を向けるとイッセーくんが食らいついているところからシャルバの血がまるでショウくんに操られているかのように動き出した。
ザシュッ!
「ぐおっ!」
シャルバは自分の血で腕を切断された。ショウくんは相手の血までも操れるのか!?
ぶちんっ!と気味悪い音を立てて、イッセーくんはシャルバに肩の肉を食いちぎって床に着地する。
「げごぎゅがぁぁ、ぎゅはごはぁっ!ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
イッセーくんはすでに人の言葉を発していない。
「ふざけるなっ!」
地に降り立ち、激高するシャルバが残った左腕で光の一撃を放つ!その一撃は極大ともいえるほどの規模だった。
赤龍帝の翼が光輝く!まるで白龍皇の翼のようだ!
『DividDividDividDividDividDividDividDivid!!』
その音声が鳴り響き、光の波動が半分に、さらに半分!縮小は留まることを知らず。ペンライトの光ほどの弱弱しさと化した。
「ヴァーリの力か!おのれ!どこまでもおまえは私の前に立ちふさがるというなだなッ!ヴァーリィィィィィィッ!」
吠えるシャルバが次に放ったのは光ではなく、魔力の波動だった!大きい!絶大なオーラの波がイッセーくんとショウくんを襲うがショウくんはそれを気にせずシャルバに向かっていた。
バジイィィィィィィィィッ!
それをイッセーくんは翼の羽ばたきだけで軌道をずらして弾いた。
ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアンッ!
ショウくんはその波動をまともに食らったが何事もなかったのように槍でシャルバの腹部を突き刺した。今の魔力の波動がまったく効いていないのか!?
「グハッ!」
シャルバはショウくんから距離を取った。そのとき僕はイッセーくんの変化に気づく。
赤龍帝の兜がに生まれた口からレーザーの発射口みたいなのを覗かせて、一瞬の閃光。
ビィィィィィッ!
生み出された赤いレーザーはシャルバの左腕を吹き飛ばした。
「ぬああああああああああああっ!」
イッセーくんが咆哮をあげ、全身に莫大なオーラを漂わせると床が大きく抉れて、巨大なクレーターが生まれた。
「ば、化け物共め!こ、これが『
シャルバの言葉をショウくんは否定する。
「違う。我は全てを奪われ存在を消された者。今はただ貴様の命を奪い取るだけの存在」
シャルバの顔は恐怖に包まれた。その瞳は二人を恐怖の対象として捉えている。
僕たちは呆然と見ているしかなかった。
部長も目を目開き、全身を震わせていた。朱乃さんもゼノヴィアも小猫ちゃんもギャスパーくんもイッセーくんとショウくんを恐れるように見ている。僕も全身の震えが止まらなかった。
イッセーくんは両翼を大きく横に広げ、顔をシャルバに真っ直ぐと向けた。
ガシャッ。
何かがスライドしていく音。見れば鎧の胸元と腹部が開き、何かの発射口が姿を現した。
「大気の水よ。集いそして凝結せよ。そして敵を滅ぼせ」
ショウくんは槍を上に向けると槍の先端に水が集まり始めた。
「くっ!私はこんなところで死ぬわけには!」
シャルバが残った足で転移用魔方陣を描こうとするがその足にシャルバ自身の血が絡まり動けないようにされていた。それだけじゃなかった。
「・・・・・と、停めたのか!私の足を!」
鎧の眼が赤くきらめいていた。ギャスパーくんの神器と同じ能力で停めたというのか!?
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!」
『
神殿内に幾重にも鳴り響く、赤龍帝の神器が発する音声。そしてその隣には巨大な水の塊を集めそれをうねらせているショウくん。
「
まずい!このままでは僕たちまで巻き込まれる!
「部長、一時退却しましょう!この神殿から出るべきです!」
「イッセー・・・・私は・・・」
「ショウ・・・・」
部長はイッセーくんを朱乃さんはショウくんを求めようと歩み寄ろうとするが、僕はそれを制止する。
「すみません!」
僕は二人を抱きかかえていく。小猫ちゃんはゼノヴィアに肩を貸し、ギャスパーくんも僕のあとに続いた!
「バ、バカな・・・・ッ!真なる魔王の血筋である私が!ヴァーリに一泡も噴かせていないのだぞ!?ベルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!おのれ!ドラゴンごときが!赤い龍め!白い龍め!謎の神器使いめぇぇぇっ!」
ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
放たれた二人の攻撃にシャルバは包まれ、神殿と共に光の中へ消え去っていった。
「っ・・・・」
僕は神殿を出たあと、聖魔剣を幾重にも創りだし、シェルターみたいなものを形作って眷属をそこへ避難させた。
神殿の崩壊する音が無くなったのを確認すると、剣を解放し、外の様子に目を配らせると神殿は完全に崩れ去っていた。
「おおおおおおおおおおおおおん・・・・・」
イッセーくんは瓦礫と化した神殿の上に立ち、天に向かって悲哀に包まれた咆哮をしている。
ショウくんは血涙をしながらじっとしていたがこちらに視線を向けると
「・・・・・・貴様らもか」
ショウくんが殺気をこちらに向けこちらに迫ってきた。僕は咄嗟に聖魔剣を作り、ゼノヴィアもデュランダルをかまえ、
ガキンッ!
僕とゼノヴィア二人で何とかショウくんの攻撃を防いだ。
「ショウくん!しっかししてくれ!僕たちは仲間だろ!」
「ショウ!正気に戻れ!どうして仲間にまで攻撃する!?」
僕とゼノヴィアがショウくんをなんとか正気に戻させようと説得したが、ショウくんは血涙をしたまま言った。
「貴様らもだろう?貴様らも我の大事なものを全て奪うのだろう?なら、貴様らの命を全てを奪う!」
まるで声が届かなかった。ショウくんの眼を見ると彼の眼は絶望、怒り、憎しみ、あらゆる負の感情を感じられた。
「祐斗!ゼノヴィア!後ろ!」
部長の声に僕とゼノヴィアは後ろに視線を向けるが僕たちの後ろから氷の槍が迫ってきていた。
まずい!
僕とゼノヴィアは死を覚悟し目を瞑ってしまったがバキィィィンという破砕音が聞こえ目を開けると
「無事か?」
僕たちを助けてくれたのは白龍皇のヴァーリだった。そして古代中国の鎧を着た男、初見だがおそらく孫悟空の美猴だろう。そしてもう一人は背広を着た見知らむ男性だったが手にしている剣の神々しいオーラですぐわかった。聖王剣コールブランドの所有者だ。
「美猴、アーサー。すまないが駿河 彰の相手をしてやってくれ」
ヴァーリ言葉に二人は頷き、ショウくんに向かっていった。
「貴様らもか。いいだろう。貴様らの命も殺して奪ってやる」
ショウくんも応じるかのように二人に攻撃をし始めた。僕たちはヴァーリに戦闘のかまえを取るが彼から敵意は感じられなかった。
「やるつもりはない。見に来ただけだ。赤龍帝の『
部長がヴァーリに訊く。
「・・・・この状態、元に戻るの?」
「完全な『
そしてよく見るとヴァーリは誰か抱えている。あれは!アーシアさん!?
「ああ、ここに来る途中次元の狭間で見つけたんだ。それにしても運がいい。あのままだったら次元の狭間の『無』にあてられて、消失していたからな」
ヴァーリがアーシアさんを僕に渡し皆がアーシアさんのもとに集まる。見たところ、外傷はない。気絶しているようだけど・・・・息はしている!
「生きてます!」
僕の一声に皆、涙ぐんでいた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁあんっ!」
ゼノヴィアがアーシアさんの無事を確認し、安堵のためか、その場に座り込んで泣きじゃくってしまった。僕はゼノヴィアのもとにアーシアさんをおろす。彼女はアーシアさんを大事そうに抱きかかえ、笑顔でうれし涙を流していた。
「あとはイッセーとショウだけど」
部長が二人に視線を向けるとイッセーくんはいまだアーシアさんを失った悲しみで咆哮を上げ、ショウくんはいまだにあの二人と戦っている。
「アーシアの無事を伝えればあの状態を解除できるかしら」
「危険だ。死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが」
ヴァーリに朱乃さんと小猫ちゃんが詰め寄る。
「頼める間柄ではないけど、それでもお願い。彼らを助けるのに手を貸して。白龍皇のあなたなら、彼らの意識を取り戻す役割を担えるのではなくて?」
「・・・・・お願いします。私たちも全力を尽くしますから、あの人たちを救うための力を・・・」
ヴァーリはあごに手をやり考える。
「そうだな、何か彼らの深層心理を大きく揺さぶる現象が起こればいいのだが・・・あの状態ではな。ドラゴンを鎮めるのはいつだって歌声だったが・・・・・そのようなものはないし、赤龍帝と白龍皇の歌なんてものはない」
「あるわよぉぉぉ!」
ヴァーリの声を遮って、遠くから白い翼の天使、紫藤イリナさんが飛んでくる。
「はー、着いたー。ってあれがいまのイッセーくんと駿河くん!?ミカエルさまやアザゼルさまに聞いてはいたけど、すごいことになっているわね!」
「イリナ、どうしてここに?」
ゼノヴィアが訊くと、イリナさんは手に持った立体映像器を突きだした。
「イッセーくんと駿河くんが危険な状態になったのは観戦ルームやこのフィールドで戦っていたお偉い方々にも把握されているの。このままではいけないと魔王ルシファーさまとアザゼルさまがイッセーくん用の秘密兵器を私に持たせてくれたのです!」
「よくわからないけど、これでイッセーは何とかなるのね。あとは」
ドゴオオオオオオオオオオンッ!
部長の言葉の途中に僕たちの近くに何か飛んできて壁にぶつかっているのは美猴と聖王剣コールブラウンの使い手だった。二人は深手は負ってはいないがあちこち傷だらけになっていた。
「この程度か?この程度の力で我から奪うつもりだったのか、まあいい。貴様らの命を奪うのだからそんなの必要ないか」
ショウくんが二人に手を向けると二人の傷から血が出てきてその血は彼らの首を絞め始めた。仮にもヴァーリの仲間をこんなにも圧倒するなんて......。
「・・・・しかたない」
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!』
ヴァーリは瞬時に禁手し、白い鎧を身に着ける。
「このままだと我々全員駿河 彰に殺されそうなんでな。その前に殺せるかわからないが殺す気で戦わせてもらう」
ヴァーリがそう言い、ショウくんに目掛けて魔力の弾を撃とうとするが、
「ショウ・・・お願い。いつものに戻って」
いつのまにか朱乃さんがショウくんの近くにいた。
「朱乃!今のショウは危険よ!そこから離れて!」
部長が朱乃さんを呼び戻そうとするが朱乃さんはゆっくりとショウくんに近づく、ショウくんも朱乃さんに気づき朱乃さんのほうに振り向く。ショウくんに操られていた首を絞めていた彼らの血は元に戻った。
「貴様もか?貴様も奪うのか?我から大事な者を存在を奪うつもりか?」
ショウくんの言葉に朱乃さんは首を横に振る。
「奪わないわ。私はあなたから何も奪わない。だから、お願い。元に、いつもの優しいショウに戻って」
朱乃さんはそう懇願するが、ショウくんは槍を朱乃さんに向けた。
「嘘を吐くな。そう言って貴様らは奪った。我の存在を勝手に怖がり、恐れ、憎んで最後には我からすべて奪った。名も場所も存在も何より我の存在を許してくれた想い人も貴様らはすべて奪った。許さない。だから、貴様のすべてを奪い思い知らてやる」
ショウくんの口から憎しみの声が発せられた。朱乃さんは槍を向けられているにもかかわらずショウくんにゆっくり近づいていく。
「ショウ、思い出して。私は姫島朱乃。あなたを愛している人です。この想いに嘘偽りはありません。だから、お願い。戻ってきて」
朱乃さんは涙を流しながらも必死にショウくんを元に戻そうと説得するが、
ガッ!
ショウくんが朱乃さんの首を持ち上げ締め付け始めた。
「騙されるか、騙されるものか。貴様の嘘と偽りの言葉を誰が信用するか。このまま死ね」
ショウくんが朱乃さんの首を絞め始めた。もう待てない!
僕は朱乃さんを助けようと動こうとするが指一本も動けなかった。周りの皆も同じようになっていた。ヴァーリでもぴくりとも動けなかった。これは.....。
ショウくんのほうを見ると槍を地面に突き刺し右手をこちらに向けていた。
「貴様らの動きすべてを氷結させた。こいつが殺されるのをおとなしく見ていろ。そして思い知れ。奪われた者の気持ちを、怒りを、悲しみを」
前にヴァーリに使ったと言っていた氷結の力か!クソ!本当に凍らせれたかのように動けない!このままじゃ朱乃さんが!
僕は必死に体を動かそうとするが指一本どころか声すら出せなかった。
「さあ、死ね。死んで思い知れ。奪われる気持ちがどんなものか」
ショウくんは更に朱乃さんの首に力を入れる。朱乃さんは抵抗すらしなかった。
動け!動け!動けぇぇぇぇッ!動いてくれ!僕の体よ!仲間を朱乃さんを助けないと!
「・・・ショ・・・・・ウ」
朱乃さんの涙がショウくんの左手に伝わった瞬間。突然、ショウくんの左手からブレスレットが現れ白銀色に輝き始めた。
「う、うがあああああああああああああああああああああああああああっ!」
突然のショウくんの絶叫に近い叫び、朱乃さんを離し僕たちも動けるようになった。
「朱乃さん!」
僕は朱乃さんに近づき、朱乃さんを呼ぶ。
「はぁ・・・・はぁ・・・大丈夫・・・・ですわ。それよりショウは・・・」
僕は視線をショウくんに向けると左手を押さえ苦しんでいるショウくんがいた。
「ぐぅううう、がああ、ああああ」
苦しんでいるショウくん。だけど、左手の輝きは強くなるにつれてショウくんの力が急激に下がっていく。そして、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!」
紅い衣は消えいつものショウくんの格好に戻った。
「あれ、俺は・・・・たしか」
正気に戻ったショウくんは周りを見渡していくと体が震え始め自分の両手を見た。
「俺は・・・・俺は・・・朱乃を殺そうとあ、あああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!」
絶叫を上げその場へ気絶した。そして白銀色に輝いていたブレスレットも消えた。朱乃さんはショウくんを抱きしめ涙を流した。これで、終わったのか......後はイッセーくんだけ。
そしてイッセーくんは............ひどかった。
Sideout
Sideショウ
「・・・・・・ん」
俺が目覚めたのはところは自分の部屋だった。
「あれ、朱乃は・・・・」
俺は寝ぼけたまま時間を見ると今日は体育祭の日だった。そして頭が目覚めてきて、すべて思い出した。俺は自分の震えている両手を見て涙を流した。
「俺は、この手で皆を、朱乃を殺そうとした」
守ろうと決めた仲間を。好きな女性を俺は.......俺は。
俺の目から涙が止まらなかった。凛が死んで俺はあんな想いを誰にもさせない為に強くなろうと誓ったのに、誓ったのに!俺は!
俺は涙を流しながらある決意を固めた。
Sideout
Sideイッセー
俺とアーシアは何とか二人三脚で一番になり、今ショウの家に向かっている。
ショウの奴もう起きたかな?
俺とショウは神器の力が暴走し、しばやく寝ていたみたいだが俺は目覚めて何とかアーシアと二人三脚できたが、ショウは来ていなかった。恐らくまだ寝ているのだろうということで部員全員でお見舞いに行くことになった。先に朱乃さんが様子を見てくれている。そしてショウの家に着きショウの部屋の扉を勢いよく開け
「ショウ!起きてるか!聞いて驚け!なんと俺・・・・」
そこから先は声が出なかった。ショウの部屋には目覚めたのかショウが立っていて朱乃さんが泣いていた。え・・・どうしたんだ。
ショウはこちらを向きいつものように話しかけた。
「よう、イッセー。おまえも起きていたんだな」
「あ、ああ」
俺がそう返事をする。するとショウは今度は真面目な表情になり、
「ゴメン」
謝ってきた。どういうことかわからない俺を無視してショウは言い続けた。
「俺は皆を守ると誓ったのに、なのに俺は皆を殺そうとして本当にごめん」
ショウが謝るとショウの体に亀裂ができた。あれはショウの氷人形!
「俺はもう皆を傷つけたくない。だから俺は皆の前から消えることにする」
ショウの言葉に皆が驚愕する。何.....言ってんだ?ショウ.....。
「皆は優しいからこんな俺でも許してくれるだろう。でも、俺自身が許さないんだ。だから、お別れをこの氷人形と感覚を繋げて言っている。俺自身はもうこの町にはいない」
氷人形にできた亀裂が走り広まっていく。
「でも、安心してくれ。皆の敵は俺が倒す。それが皆を傷つけた俺にできる償いだから」
ショウの氷人形は笑顔になって言う。
「さよならだ」
パキィィィィィィィン
ショウの氷人形が砕け消えた。そのとき俺の目から涙が溢れ止まらなかった。
Sideout