水態の神器使い   作:ユキシア

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最後の戦い

Sideショウ

 

俺とフィルはオーディンさまと日本の神様が会談する高層高級ホテルの屋上にいる。イッセーたちはオーディンさまの側にいる。ヴァーリは俺たちの後ろにしばらく待機。

 

「ショウ、準備はいいですか?」

 

俺の隣にいるフィルが心配そうに訊いてくる。

 

「ああ、大丈夫だ・・・・。なあ、フィル」

 

「はい?」

 

「ありがとう。俺の傍にいてくれて、信じてくれて、すごく救われたよ」

 

フィルはそれを聞き嬉しそうにほほ笑む。

 

「何言ってるんですか?今回の戦いが終わってもずっとあなたの傍にいますよ。だから、そんな辛気臭い事を言わないでください」

 

「・・・・ありがとう。でも、ごめんな」

 

「え・・・」

 

俺の言葉が言い終わると同時、フィルは気を失うかのように倒れそうになるが俺が抱きしめて支えた。俺は抱きしめながらフィルに謝った。

 

「本当に・・・・本当にごめん。・・・・フィル、お前は生きてくれ」

 

「本当に・・・よかったのかにゃ?」

 

フィルの後ろには黒い着物を着て猫耳を生やした小猫ちゃんの姉、黒歌が魔方陣を展開していた。

 

「ああ、フィルには生きて欲しい。俺のせいでフィルにまで危険な目に会わせるわけにはいかないからな。悪いな、黒歌。こんなこと頼んで」

 

「別にいいけど、恨むわよ、この子。もし、これであなたが死んだらあなたと自分を酷く憎むわよ」

 

フィルを魔方陣で安全な所まで移動させ黒歌は初めて会ったときのようにふざけた表情ではなく真面目な表情で俺に言ってきた。

 

「ああ、だから、黒歌。二つ伝言を頼む。一つ目はフィルに、俺を恨んでもかまわない。でも、自分は恨まないでくれ。俺は最後にお前だけでも守りたかったんだ。だから、生きて幸せになってくれ。

二つ目は部長さんやイッセーたちにフィルのことをお願いしますと言っといてくれ」

 

俺がそう頼むと黒歌は嘆息した。

 

「ハァ~、それを、テロリストの私に普通に頼むのもどうかと思うけど?」

 

「まあな、でも、俺は本当はおまえが良い奴だと思ってるんだ。だから、頼む」

 

俺は頭を下げ黒歌に頼んだ。黒歌はそんな俺を見て頬を掻きながら了承してくれた。

 

「わかったにゃ。でも、一つ聞かせて。死ぬ気なの?あなたは」

 

「ああ、でもただでは死なない。ロキかフェンリル。どちらかを倒してから死ぬよ。それが俺に出来る自分勝手な償いだからな」

 

「・・・・・・わかったにゃ。じゃあもし、生き残ったら私のお願いを聞いてくれるかにゃ?」

 

黒歌が突然俺に近づいてそんなことを言って来た。

 

「なんだ?お願いって」

 

「私と子供を作って欲しいの。猫魈の子孫を残す為でもあるし、何より私、あなたのことが気に入っちゃたしね。だから、お願いにゃ」

 

「・・・・・・考えておくよ」

 

これしか言えれなかったが、それでも満足そうにヴァーリのところへ戻った。

 

バチッ!バチッ!

 

ホテルの上空に空間の歪み、そこから現れるロキとフェンリル。そして作戦どうりロキたちが現れると同時ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開し、俺とロキを古い採石場跡地へと飛んだ。

今、ここにいるのは俺とロキ、フェンリルだけ。

 

「ずいぶんとおとなしく来たな」

 

俺がそう言うとロキは笑う。

 

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるんだろうからな。それより貴殿一人で我と我が子に挑むというのか?いくら『悲劇の水神』の担い手でも無謀にも程があるぞ」

 

「・・・・その悲劇の水神というのはルルナのことか?」

 

俺がそう訊くとロキは答える。

 

「二つ名のようなものだ。ルルナは我ら神にとって存在を消されたが、そういう二つ名は他の神話体系に複数流れている。『悲劇の水神』というのは我が勝手に言っているだけだ」

 

そうなのか?ルルナ。

 

『私も初めて聞いたわ』

 

どうやらルルナが殺されてから流れたみたいだな。

 

「さて、話はこれぐらいにして始めようではないか。ルルナの担い手を」

 

「・・・・・そうだな。おまえを殺すために俺はここにいるからな」

 

ルルナ。時間はどれぐらいかかる?

 

『・・・・あと最低でも十分』

 

わかった。それまで時間を稼ぐ。

 

俺は槍をかまえているが見た感じフェンリルはロキの命令がないと動かないみたいだな。なら、先にロキを殺す。

 

俺は悪魔の翼を広げロキに近づいていく。ロキはそんな俺を見て歓喜した。

 

「さあ、現代のルルナの担い手よ。その力我に見せてみよ!」

 

ああ、見せてやるよ!俺の最後の戦いを!

 

俺は気体の酸素を拳サイズの弾に変え、それに魔力で炎を起こし酸素の弾を炎の弾に変えロキに向かって放ったがロキは右手を前に出し防御魔方陣を展開した。

 

なら、これでどうだ!

 

俺は炎の弾を操りロキの防御魔方陣にぶつかる前に止めて、ロキの周りに酸素の道を作り炎の弾を酸素の道に誘導させて防御魔方陣を避けてロキに攻撃するがロキは無傷だった。

 

「ふむ。水神だから最初に水の攻撃をすると思っていたが、まさか炎で攻撃してくるとは」

 

ロキはおもしろそうにうんうんと頷いていた。

 

「なら、お望みどうり水で攻撃してやるよ」

 

俺は複数の水の槍を作りそれに回転を加えロキに放つ。

 

「『水魔溶の散弾槍(オーディソリュウショットランス)』ッ!」

 

水魔溶の鎧(オーディソリュウ・スケイルメイル)の槍バージョン。これなら槍も消えず、魔力も最小限で抑えられる。

 

ロキはさっきと同じように防御魔方陣を展開したが、槍は魔方陣を溶かすと

 

「なっ!」

 

ロキは自分の魔方陣が溶かされたのに驚愕するが、身を捻らせて槍を避ける。

 

「ふぅ。あぶない、あぶない。まさか我の魔方陣を溶かすとはな。一撃もらうどころか、死ぬところであった。神を殺しまくったという水神の力とそれを扱う担い手の技量。恐ろしいな」

 

クソッ!今ので死んでくれたらいいのに。ルルナ。あと、どれぐらいだ!?

 

『あと、三分』

 

あと三分。きついな。

 

「そろそろこちらも本格的な攻撃に移ろうかッ!」

 

ロキが指を鳴らすと、いままで様子を見ていたフェンリルが動き出した。

 

「神を殺す牙。それを持つ我が僕フェンリル!一度でも噛まれればたちまち滅びをもたらすぞ!さあ、ルルナの担い手よ!この獣に勝てるというのならばかかってくるがいい!」

 

動き出したか。なら、動きを止める!

 

俺はフェンリルに手を向けてフェンリルの動きを氷結させるとフェンリルは動かなくなった。

 

「ほう、今度は氷の氷結の力か。だが、フェンリル!」

 

ロキが叫ぶと氷結させていたフェンリルが動いた。そして無感情で薄暗く冷たい双眸で俺を見て俺に突進して来た。

 

「チッ!」

 

俺は舌打ちしすぐ自分の周りに氷の障壁を作るが

 

バキンッ!

 

フェンリルはその氷をかみ砕き、爪で攻撃してくる。

 

「グッ!」

 

俺は避けようとするがフェンリルの攻撃のほうが早く少し喰らってしまった。

 

痛ぇぇぇぇぇッ!少し喰らっただけでこれかよ!もし、今の攻撃が牙だったら避けられなかったぞ!

 

フェンリルは続けて攻撃してこなかったおかげで、何とか助かった。ロキは俺とフェンリルが戦っているのをおもしろそうに見ている。

 

「気体、水、氷間違いなくルルナの力の片鱗だな」

 

ロキはそう言うと懐から時計を取り出し、時間を確認する。

 

「他の悪魔たちもいるし、そろそろ行かねばオーディンの会談が終わってしまうな。フェンリルよ!ルルナの担い手にトドメをさせ!」

 

フェンリルは主の命令どうり口を開け牙をむき出し、トドメにかかろうとしていた。

 

やばい!さすがに噛まれたら終わりだぞ!

 

そしてフェンリルがトドメをさそうと動こうとしたとき。

 

『きた!ショウ!』

 

わかった!行くぞ!

 

ルルナの声が聞こえたと同時フェンリルが口を大きく開け噛もうとするがフェンリルの動きが止まった。しかし、それだけじゃない。

 

「なっ!?フェンリルよ!」

 

フェンリルが氷始めたのにロキが驚く。だが、凍っているのはフェンリルだけじゃない。

 

「な!?我まで凍っていくだと!?何をした!?ルルナの担い手よ!?」

 

ロキの体も凍り始め、ロキは俺に問いかけてきた。

 

「ロキ。これが俺の命をかけた最後の技『永久凍結(エテネーソ・ゼロ)』ルルナの力と俺の魔力を合わせるのに時間がかかったがこれで終わりだ」

 

ロキとフェンリルの体が徐々に氷始めて行く。

 

「バカな!?確かにルルナの力なら可能だが、たかが一介の悪魔に神の力を扱えるわけがない!?」

 

「ああ、確かにそうだ。だが、言ったはずだ。命をかけた最後の技だと、ルルナのこの力の代償に俺は死ぬ。だけど、この力を得てもお前とフェンリルは倒せない。だから、お前らを永遠の氷の中に封じる」

 

ルルナの協力で俺はこの技のみ神に近い力を持つ。だけど、ルルナの力は強大。これを使えば俺の肉体は完全に崩壊する。だけど、やらなくちゃいけない。

 

「何故だ!?何故、そこまでする!?いったい何が貴殿をそこまでさせる!?」

 

ロキは凍りながらもそう言ってくる。俺はそれに答えた。

 

「自分勝手な償いだ。俺は愛する人を死に追いやり、仲間を殺そうとし、好きな女もこの手で殺そうとした。だから、俺は皆を守る為、死をもって償う!これが俺の自分勝手な償いだ!」

 

そう、自分勝手な償い。俺は誰も悲しませないために強くなろうとした。でもその強さが皆を....朱乃を殺そうとした。もし、俺が死んだら悲しむ人もいる。俺がやっているのは皆から逃げていることもわかってる。でも、俺にはもう皆を守る資格はない。だからこれを最後の戦いにした。これで終わりにするんだ。俺は最後の力を振り絞って。

 

「これで終わりだぁぁぁッ!ロキィィィィィッ!」

 

ロキとフェンリルの体がほとんど凍ったとき俺は終わったと思ったとき

 

バグンッ!

 

「えっ」

 

俺は後ろから突然現れた二体の狼の内一体に噛まれた。

 

「ガハッ!」

 

吐血する俺。そして中途半端に終わってしまったためロキとフェンリルは氷から解放されてしまった。

 

「・・・なんで・・・フェンリルが・・・二体も・・・」

 

俺は一体のフェンリルに噛まれながら俺が喋るとロキが答えた。

 

「その子たちはフェンリルの子供。スコルとハティ。ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。我は凍られながらも貴殿の後ろにその二匹を呼び出したのだ」

 

ロキが指を鳴らすとフェンリルの子供が俺を放り投げた。

 

「グッ!」

 

俺は立てる力もなく地面に寝転ぶ。

 

「正直、危なかった。ルルナ、神の力の神器を持っていたとしても一介の悪魔にやられかけ・・・いや、我一人なら今頃、貴殿の最後の技で氷の中にいただろう。命をかけた最後の技、見事だった。これからは一介の悪魔だろうと気をつけるとしよう。では」

 

ロキは右手を前に出すと親フェンリルが前に出てきた。

 

「我をここまで追い詰めたのだ。我の魔物のなかのトップクラスのフェンリルの牙で終わらせよう。やれ」

 

その言葉と同時フェンリルが動いた。俺は体どころか口すらまともに動けなかった。

 

ああ、俺、死ぬんだな。

 

もう、諦めたかのように俺は目を瞑った。

 

結局俺は誰も守れなかったな。フィルにもひどいことをしたな。恨むだろうな、自分を。伝言頼むぞ、黒歌。ああ、そういえば黒歌、子供が欲しいって言ってたな。俺はもう無理だけどイッセーならOKじゃないかな?ああ、そうだ。イッセーや部長さん、皆にちゃんと謝ってないな。ごめん。

そういえば、死んだらどこに行くんだろう?凛に会えるのかな?会ったら怒られるだろうな。朱乃、泣いていたな.....。ごめんな、朱乃。でも、俺は最後まで凛のことを忘れられなかったけど、俺は朱乃のこと

 

「大好きだよ」

 

まともに動かない口でもこれだけは言えた。そしてフェンリルの牙が俺を襲いかかろうとした瞬間。

 

ドゴン!

 

何かが殴り飛ばされた音が聞こえ俺は目を開けると、そこには赤い鎧と白い鎧を身に着けた二人がいた。

 

「無事か。駿河 彰」

 

「だいじょうぶか!?ショウ!?」

 

白い方は白龍皇ヴァーリ。赤い方は赤龍帝であり俺の親友、兵藤一誠。そして二人は口をそろえて言う。

 

「「助けに来たぞ」」

 

二人は俺を庇うように立ち、ロキと向かい合う。

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