水態の神器使い   作:ユキシア

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一歩前へ

Sideイッセー

 

「大丈夫か!?ショウ!?」

 

俺とヴァーリはショウに噛みつこうとしたフェンリルをぶっ飛ばした。

 

危なかった!もう少しでショウがフェンリルに噛まれるところだった!

 

「・・・白龍皇・・・・イッセー・・・なのか?」

 

ショウは血まみれの格好で俺とヴァーリを呼んだ。

 

「ああ!俺だ!イッセーだ!助けに来たぞ!」

 

「駿河 彰、少し休んでいろ。交代の時間だ。それに、貴様は俺が倒すんだ。こんなところで死なれたら困る」

 

ヴァーリはそう言って、ロキに向かって飛んで行った。

 

オオオオオオオオオッ........。

 

狼の苦しそうな悲鳴が聞こえフェンリルを見るとグレイプニルがフェンリルの動きを封じていた。

 

「ショウさん!今治します!」

 

フェンリルが動けなくなってアーシアは神器でショウの治療を始めた。

 

「アーシアまで・・・どうして・・・ここに」

 

「私とイッセーさんだけじゃありません」

 

どうして俺とアーシアがここにいるのか疑問に感じているショウにアーシアは答えると

 

「ゼノヴィア、イリナ、小猫、ギャスパー!子供のフェンリルをお願い!」

 

「「「「了解!」」」」

 

ゼノヴィア、イリナ、小猫、ギャスパーは部長の指示で子フェンリルのほうへ攻撃を始めた。そして部長と朱乃さんがショウに近づく。

 

「ショウ!なんて無茶をするの!?」

 

「本当ですわ!なんでこんな無茶なことを!?」

 

部長と朱乃さんは涙目で怒り朱乃さんはショウに抱き着いた。

 

「ゼノヴィア、栗毛、小猫、ギャスパー、部長さんに朱乃までなんでここに・・・オーディンさまの護衛はどうしたんだ?」

 

今だ俺たちがここにいることに驚愕しているショウ.....。部長は涙を拭きショウに答えた。

 

「オーディンさまのところにはアザゼルがついているわ。それより何でこんな無茶をするの・・・・。心配したんだから・・・。」

 

部長はまた涙目になり、朱乃さんと一緒にショウを抱きしめるが

 

「触るな・・・!」

 

ショウは抱きついていた朱乃さんと部長を突き放した。

 

「どうして・・・どうして俺なんか助けるんだ!?俺は・・・俺は皆を殺そうとしたんだぞ!なのに、何で助けるんだよ!?」

 

「仲間だからに決まってるでしょ!」

 

ショウの言葉に部長がすぐに答え、もう一度ショウに抱き着いた。

 

「ショウ・・・。お願い。戻ってきて。皆、あなたがいなくなって悲しんでるのよ。あなたが皆を殺そうとしたことは誰も気にしていないわ。だから、お願い。戻って来て」

 

部長が必死に懇願する。ショウはそんな部長の肩を掴み離れた。

 

「無理だ。俺はもう皆の傍にいる資格なんてない。俺は皆を・・・仲間を殺そうとしたんだ。皆が許してくれても俺は俺自身が許せない。だから、俺は皆の前から消えたんだ」

 

「ショウ!どうしてあなたはそんなにも自分を責めるの!?いったい何があなたをそんなにさせるの!?」

 

部長がそう言うとショウは涙を流しながら言った。

 

「俺が俺自身を許したら凛は誰を恨めばいいんだよ」

 

凛・・・。ショウの大切な人。そして、ショウが守れなかった人。

 

「俺は守ると決めていた凛を殺した。俺が凛の人生を奪ったんだ・・・。恨まれるのは当たり前だ。凛の全てを奪った俺が自分を許したら凛は誰を恨めばいいんだよ・・・」

 

ショウは目から大粒の涙を流し俯いた。

 

「ショウ!?俺はその凛って人がどんな人か知らねぇけど、お前が守りたいって思った人だろう!?そんな人がお前を恨むとは思えねえぞ!?」

 

「そんなことはわかってんだよ!凛は人を憎んだり、恨んだりはしない!俺のことだって許してくれているはずだ!」

 

「だったら・・・」

 

「でもな、イッセー!凛は神器のせいで毎日が父親の恐怖と暴力に怯えて、幸せになるどころかまともな生き方だってできなかったんだぞ!これから幸せになる凛の未来を俺が奪ったんだ・・・大切な人の未来を、人生を俺が奪ったんだ!だから俺は自分が許せないんだ・・・」

 

ショウは涙を流しながら拳を強く握った。俺も部長も朱乃さんもアーシアも何も言えなかった。

 

「凛を守れなかった俺は、どうすれば凛に償いができるか考えていた。でも、思いつかなかった。そのまま時間だけが過ぎて高校に入学し、イッセーや皆と出会ってからは本当に楽しかった。でも、それと同時楽しんでいいのかとも思った。凛の人生を奪った俺が楽しんでいいのかと、だから決めた。皆を守る。それを凛への償いにしようと・・・でも、俺は!」

 

ショウは地面を殴り言った。

 

「償うと決めたのに!皆を守ると誓ったのに!俺は・・・俺は、結局、誰も守れなかった!助けられなかった!救えなかった!それどころか力を暴走させ、皆を殺そうとした。だから、この戦いで最後に皆を守って死ぬつもりだった。こんな俺なんか死んだほうがいい」

 

「そんなことありませんっ!」

 

ショウの言葉をアーシアが涙を流しながら強く否定した。

 

「どうしてそんなことを言うのですか!?死んだほうがいいなんて言わないでください!それに私はいつもショウさんに助けてもらっています!」

 

「えっ・・・」

 

突然、アーシアの言葉にショウは目を見開いた。

 

「私が転校して来てから、少しでも私が困った素振りをしたらすぐに気づいて助けてくれました!それだけじゃありません!私が悩んでいる時はいつも相談に乗ってくれました!それだけで私はすごく救われました!」

 

確かにアーシアが転校して来てから俺より先にショウがアーシアを助けていたな。それにたまにアーシアとショウが二人っきりで何か話していたの見て少し嫉妬していたときがあったな。

 

「だから、死んだほうがいいなんて言わないでください!」

 

「アーシア・・・」

 

アーシアは涙を流しながらショウに言った。すると、

 

「ショウ!」

 

ゼノヴィアが子フェンリルと戦いながらショウの名前を叫んだ。

 

「私とイリナも今生きていられるのはショウのおかげだ!あのとき、無謀なことで命を捨てようとしていた私たちに本気で怒ってくれた!」

 

続けてイリナが言う。

 

「そうよ!私たちは駿河くんのおかげで生きている!私とゼノヴィアは駿河くんに救われたのよ!」

 

「ゼノヴィア、栗・・・イリナ」

 

次に木場が言った。

 

「ショウくん!キミとイッセーくんは復讐に囚われていた僕を助けてくれた!今度は僕が二人を守る。」

 

「木場・・・」

 

次にギャスパーが言う。

 

「ぼ、僕が今、ここで皆さんと一緒にいられるのはショウ先輩のおかげです!引きこもりの僕を先輩が助けてくれましたっ!だから、今度は僕が先輩を守ります!」

 

「ギャスパー・・・」

 

ショウの目から再び涙が流れ、次に小猫ちゃんが言う。

 

「・・・・・・ショウ先輩。私は自分の力・・・猫又の力を使うのを怖がってた私に勇気をくれました。私が前に進めたのも先輩のおかげです。だから、戻って来てください」

 

「小猫・・・」

 

俺はショウの肩に手を置き言う。

 

「ショウ、見たか?皆お前に救われたんだ。お前が皆を助けたんだ。だから、戻ってこいよ!」

 

俺はそれだけ言ってヴァーリとロキのところまで行った。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

Sideショウ

 

俺は・・・・皆を、助けていたのか?本当に俺は皆を・・・仲間を守れていたのか?

 

「・・・ショウ」

 

部長さんが俺を呼び俺は部長さんを見る。

 

「ギャスパーからあなたの過去を少しだけ聞いたわ・・・・。ごめんなさい。私はあの時、何も知らずにあなた傷つけた。あなたの過去を聞いたとき私はすごく酷いことをしたと気づいたわ」

 

部長さんがそう言って謝ってきた。そして、部長さんはもう一度俺に抱き着いてきた。

 

「ショウ。あなたが背負っているものを私にも背負わせて。今度こそ私にあなたを救わさせて、もうあなたに背負わせないように私があなたを守る」

 

部長さんは俺から離れた時、決意に満ちた目をしていた。そして皆のところへ行った。

 

「ショウ」

 

今度俺を呼んだのは朱乃だった。朱乃は俺の手を握る。

 

「ごめんなさい。私はいつもあなたに甘えてばかりだった。一番辛いのはあなたなのに、ショウを愛しているのに私はあなたの傍にいて助けることも支えることもしなかった・・・・。本当にごめんなさい」

 

朱乃は涙を流し俺に謝ってくる。俺は手で朱乃涙を拭った

 

「朱乃、泣かないでくれ。悪いのは全部俺なんだ。だから、泣かないでくれ」

 

「ショウ・・・!」

 

朱乃は涙を流しながら俺に抱き着いた。そして抱き着きながらでも朱乃は俺に謝ってきて俺はそんな朱乃の頭を撫でるぐらいしか出来なかった。

 

「ごめんな、朱乃。ずっと一人にさせて・・・本当にごめん」

 

「いいんです・・・・もう、いいんです。あなたに会えたのだから」

 

俺はなんてバカなんだろう。俺は皆を助けることが出来ていたのにそれを勘違いして皆を・・・朱乃を泣かせてしまった。俺は最低な奴だ。でも、

 

俺は朱乃と向かい合い言った。

 

「朱乃。約束する。俺はもう朱乃から離れない。ずっと傍にいる。だから朱乃も俺の傍にいてくれないか?俺は・・・俺は」

 

言え!言うんだ!俺!今まで言えなかったこの一言を言うんだ!

 

俺は自分に喝を入れ、勇気を振り絞り一歩前へ。

 

「俺は朱乃のことを愛してるんだ。だから、俺の傍にいてくれ」

 

今まで言えなかった。凛のことを償うばかり考え、ずっと言えなかった一言。でも、そんな俺でも仲間がいる。愛してくれる人がいる。なら、俺もそれに応えたい。

 

「はい。喜んで」

 

朱乃は笑顔で微笑みながら言ってくれた。そして、俺と朱乃は見つめ合いキスをした。

 

Sideout

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