Sideショウ
「あ、朱乃。泣かないで・・・」
俺は今、非常に困惑している。なぜなら、朱乃が泣いているからだ。その理由は......。
「だって・・・私を置いていくなんて・・・・あなたがいない生活なんて考えられませんわ・・・」
「いや、だって、これから修学旅行なんだから2~3日いないだけですぐに戻ってくるから、泣かないでくれ」
そう、今日から俺たち二年生は修学旅行。そして、朱乃は朝からずっと涙を流しながら俺に抱き着いてくる。思えばロキとの戦いが終わり、朱乃は今まで以上に俺に甘えてくる。いや、嬉しいし、たっぷり甘えさせてるんだけど、今日は俺と少しでも離れるのが嫌なのか、家を出る時間でもずっとこの調子だ。
「ショウは私と離れても平気なのですね・・・・」
俺から離れて俯きながらそう言う朱乃。
「そんなことねえぞ!俺だって朱乃と離れたくない!だから、泣かないで!朱乃!」
「・・・・嬉しい!ショウ」
今度は満面な笑みで抱き着いてくる朱乃。でも、どうしよう・・・。このままじゃ修学旅行に行けない。そんなことを考えているとフィルが俺と朱乃を引きはがしてきた。
「朱乃さま、これ以上ショウを困らせないでください。それにこれ以上遅れると私たちも修学旅行に行けなくなってしまいます。なりより、一番多くショウに甘えているのですからこういうときぐらいは私に譲っていただきます」
いや、フィルさん。あなた、俺が朱乃を甘やかしてるときも普通に俺に甘えてきましたよね?俺的には二人とも同じくらい甘やかしてると思うんですけど?そう思い出しているとき突然、誰かに腕を引っ張られる。俺の腕を引っ張ったのは.....ゼノヴィアだった。
「二人だけずるいぞ。たまには私にもショウに甘えてもいいだろう。修学旅行のときぐらいショウを独占させてもらうぞ」
そう言って俺と腕を組んで学校へ向かおうゼノヴィアだが、今度は俺の反対側に腕に小猫ちゃんがしがみついてきた。
「・・・・それを言うなら私の方がショウ先輩に甘える権利があると思います。先輩、帰ってきたら私を優先に甘えてもいいですか?」
今度は小猫ちゃんまでそう言ってきた。小猫ちゃん、あなたもよく俺の膝の上に座っていますよね?それじゃあ物足りなかったのですか?そういえばこの前も一緒に寝ましたよ。あまりの可愛さに手が出そうになったけど、それは言わないでおこう。
「え~と、なんだか話が脱線してないか?とりあえずそろそろ行かないと間に合わないんだけど・・・」
正論を言う俺。すると、朱乃が突然、俺にキスをしてきた。いきなり!?
「ん・・・んっ・・・ちゅ・・・」
朱乃は何度も俺の口を犯すように舌をからませてくる。そして、俺がされるがままに朱乃とキスすること数十秒、朱乃は俺から離れる。
「これで、ショウがいない分の日は補充しましたわ。でも、帰ったら甘えさせてくださいね」
頬を少し赤く染めながら笑顔で言ってくる朱乃。すると、横から小猫ちゃんが俺に抱き着いてきた。
「いたたたたたたたたっっ!小猫ちゃん!力入れすぎ!」
小猫ちゃんに力強く抱きしめられてようやく小猫ちゃんは俺を離してくれた。痛いよ、小猫ちゃん。
「・・・・ショウ先輩。帰ってきたら甘えさせてもらいます」
「うん、いいよ。それじゃあ、いってきます」
これで、ようやく俺たちは修学旅行に行けるようになった。
何とか集合場所の東京駅に間に合った俺、ゼノヴィア、フィルは部長さんからフリーパス券というものを貰った。そして、部長さんに挨拶して新幹線へ向かう途中俺はイッセーと部長さんがキスをしているところを目撃してしまったが、特に気にしなかった。一誠が少し遅れて来て俺たちは新幹線に乗ること十分ぐらいが経った頃、
「俺、実は新幹線初めてなんだよなー」
ウキウキとした表情で松田がつぶやいた。そういや、俺は小さい頃乗った記憶があるけど....思い出せんからいいか。
「ショウ、ちょっといいですか?」
女子の席にいるはずのフィルが俺のところに来ていた。フィルを見た松田と元浜が嬉しそうにフィルに話しかける。
「フィルナちゃん!俺たちとトランプしない!?」
「ぜひ、お願いします!出来れば、ショウとイッセーを抜きで俺たちだけで!」
「「おい、こら!どういうつもりだ!?何で俺たちを抜くんだよ!?」」
俺とイッセーはハモりながらそう言うと二人は涙を流しながら俺とイッセーに叫んできた。
「うるせぇ!俺たちにも美少女と仲良くして何が悪い!いつもいつもお前たちばっかいい想いしやがって!」
「そうだぞ!しかも転校してきて瞬く間に有名になり丁寧な話し方や俺たちにも普通に接してくれる女神、アーシアちゃんに続く、癒し系の天使フィルナちゃんはいつもショウが独占してんだ!俺たちにも少しはフィルナちゃんと仲良く遊ばせろ!」
「フィル、お前、天使なんて呼ばれてんだな」
「はい・・・。恥ずかしいですけど私が気づいたときにはもうそう呼ばれていました」
恥ずかしそうにする言うフィル。どうやら本当にそう呼ばれているんだな。
「なら、フィルに告白してくる奴も多いんだろうな・・・・」
思わずそう口に出てしまった。すると、フィルはそれが聞こえたのか俺の手を取って言う。
「大丈夫ですよ。私はショウ以外の人を好きになったりしませんから」
それを聞いて安心してしまう俺。あれ?俺って意外に独占欲が強いのかな?
「ちくしょぉぉぉぉおおおおおおおおおっ!やっぱりそうだったのか!フィルナちゃんはショウのことをぉぉぉおぉおおおおおおっ!」
「なんでだぁぁぁああああああああああッ!?何でこいつばっかり、こんなにモテるんだぁぁぁぁぁああああああああッ!?」
フィルの言葉が聞こえたのか、松田と元浜が叫ぶ。つーか、うるないな。新幹線のなかなんだから静かにしてろよ。などと、心の中で愚痴っていると俺はフィルに引っ張られ、イッセーたちと少し離れたところにあった席に座る。
「ショウ、この子を一時的な使い魔として契約してください」
そう言ってフィルの魔方陣から四枚の翼を生やした小さな鳥が現れた。
「この子はリリ。私の召喚魔として契約している鳥です。この子をショウが持っていてください」
「どうしてだ?」
俺がそう訊くとフィルはバックのなかからタロットカードを取り出して俺に見せてきた。
「私が魔法使いということは前にお話しましたよね。私が得意とするのは召喚魔法と未来予知という魔法です。もちろん、普通の魔法も必要以上にできますが、昨日、修学旅行での運勢を占ってみたんです。そしたら、このカードが出てきたんです」
フィルが見せてくれたタロットのカードは塔に雷が当たったカード。俺はよくわからず怪訝そうにするとフィルが説明してくれた。
「塔のカードはハプニングを表しています。もしかしたら京都でなにかあるかもしれません。ですので、リリを連れて何かあったらこの子で教えてください」
「・・・・わかった。じゃあこの子は俺が一時的に使い魔として預かるな」
俺はそう言ってフィルの召喚魔のリリを一時的に使い魔にした。そして、俺たちは京都に到着した。
「百円均一のショップは京都駅の地下ショッピングセンターにあります。何か足りないものがあったら、そこで済ませるように。お小遣いは計画的に使わないとダメです。学生のうちから豪快なお金の使い方をしてもろくでもない大人になるだけですよ。お金は天下の回り物。あれやこれやと使っていたらすぐになくなります。だからこそ百円で済ませなさい。百均は日本の宝です」
俺たちが泊まるホテルで他の先生が注意事項を言い、ロスヴァイセさんは百均のことについて熱く語った。そして、先生たちの最終確認が終わると俺はアザゼル先生から部屋の鍵を貰ったとき何故か先生は笑っていた。何かあるな。と睨んだ俺だが、とりあえずは部屋に行くことにした。
「え~と、201、201、おっ、あったあった」
俺は部屋の鍵でドアを開けると
何故かフィルがいた。
「あっ!ショウ。やっと来たんですね」
フィルはいつも通りの笑顔で俺に話しかけて来てくれるが、俺には何でフィルがここにいるかわからなかった。
「なんで・・・フィルがここに?普通、男女別れるもんじゃねえのか?」
俺が思わずそう口に出してしまうと、突然、携帯が鳴った。電話の相手はアザゼル先生だった。
「もしもし・・・」
『よお、今頃混乱していると思って電話してみたぜ。どうだ?嬉しいハプニングだろ?』
「どういうことか説明を要求する」
アザゼル先生の言葉を無視して俺は話を続ける。
『いや、修学旅行の班を決めるときには班での行動は一誠たちとなんとかなったが、部屋はお前だけになってたんだよ。ほら、お前がいなくなっていたときに決まったもんだからとりあえずはお前一人で保留にしてたんだよ』
ああ、俺が、皆から離れていたときか.....。
『そんななか、ちょうどいいところにフィルナが現れたからな。バラキエルから聞いたぜ。お前、朱乃とフィルナの二人と結婚するんだって?だったら、せっかくの修学旅行だ。おもしろゴホン!修学旅行でする青春を与えるのも教師の仕事だと思ってな。お前とフィルナを一緒にさせた』
「おい!今、面白いって言いそうになったろ!?それからするって何をだよ!?もしかして、イッセーだったら真っ先に想像しちまうことか!?』
『おーよくわかってんじゃねえか。じゃ、俺は舞子を見てくるんで切るぞ。ちなみにフィルナはお前とならOKって言ってたぜ』
それだけを言い残してアザゼルは電話を切った。俺はフィルに視線を向けるとフィルは笑みを浮かばせたまま俺に言ってきた。
「さて、ショウ。イッセーさまたちが待っています。早く荷物を置いて行きますよ」
「・・・・わかったよ」
もう観念した俺は荷物を置いてイッセーたちと一緒に伏見稲荷に行くことになった。
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