Sideショウ
「ん・・・・ここは、どこだ?」
俺たちはあの後、ロスヴァイセさんについて行き、京都の裏の都へ足を踏み入れ、京都で起きた事件を知った。そして、その事件の犯人はやっぱり
どこだここ?ルルナがいつも俺を呼ぶ場所は青い空間だったが、ここは前も見えないくらい黒で覆われた空間だった。
「おーい、ルルナか?いるなら返事してくれ!」
俺はとりあえず叫んでみたが、反応がなかった。訳が分からず首を傾げていると
「よぉ、初めまして」
「っ!?」
俺は背後から聞こえた男の声に振り返るがそこには誰もいなかった。
「誰だ!?」
俺は叫ぶが、聞こえてくるのはクククという不気味な笑い声。
「そんなつれないこと言うなよ、同志。お前はある意味俺で。俺はある意味お前だ。つまり、仲間みたいなもんだよ」
仲間?それに俺はある意味お前?意味が分からん。
「仲間だって言うなら姿でも見せてくれてもいいんじゃねえか?」
俺がそう訊くと男は寂しそうに言う。
「・・・・そうか、お前にはまだ見えねえのか。だが、安心しろ。時期にお前も俺になる」
「意味が分からねえことほざいてんじゃねえよ。俺は俺だ。それ以外誰でもねえ」
俺はそう答えるとまた男の不気味な笑い声が聞こえた。その時、地面が俺の足を飲み込み始めた。
「ちょっ!なんだよ、これ!飲み込まれる!」
俺は必至に足掻くがドンドン俺は暗い地面に飲み込まれていく。
「お前も闇に飲み込まれな」
男の声。クソ!離せ!離しやがれ!
俺はもがくが、男の言う闇にドンドン飲み込まれて行った。
やめろ、やめろ!
「やめろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ひゃあ!ごめんなさーーーーーーーい!」
俺は目を開けるとそこはホテルのベットだった。
はぁ・・・・はぁ・・・・。いったいなんだったんだ、あれは!闇に飲み込まれる?あの男の声は誰だったんだ!?意味がわからねえ。
俺は夢で見たことを考えるが、まったくわからなかった。あれは何だ?あの男は誰だ?闇といったいなんだ?そんな疑問が俺の頭を過る。
とりあえず、今は考えてもしかたがねえ。今度、ルルナに話そう。
俺はとりあえず、考えをまとめると、起きた時の声を思い出す。
・・・・・ごめんなさい?
俺は隣にいるフィルを見ると裸で土下座していた。そして、俺も何故か裸になっていた。
「・・・・・・フィル。何をしようとしてたんだ?もしかして夜這いじゃなく朝這いでもしようとしていたのか?」
俺の問いにフィルは顔だけ上げて目線を俺から逸らしながら答える。
「・・・・・・・最後までするつもりはありませんでした。ただ、男の人の溜まっているものをスッキリさせてあげようと・・・・」
「うん。理由はわかった。それじゃあ、何で俺たちは二人とも裸になっているんだ?俺たちは昨日、ちゃんと寝間着を着たよな。もし、したとしても最後までしないのなら全部脱ぐ必要ないよな?」
「そ、それは・・・・その・・・」
フィルは目を泳がせながら必死に何かを考えていたが、俺はため息をしてお互いに服を着て朝からフィルを説教した。
まったく、気持ちは嬉しいがもっと自分を大切にしろ!と説教したら
「大切にしてます!ただ、ショウに私の処女を捧げようとしただけです!」
女の子が処女って言うな!
そして、俺たちは朝食を食べて天龍寺へ行くためイッセーたちと合流すると、何故か松田と元浜がボロボロになり、イッセーは嬉しそうな表情になったと思ったら今度は複雑そうな顔をしていた。
松田たちはどうせ女湯でも覗きに行ったのがバレたんだろうが、イッセーは・・・・ああ、アーシアさんたちと何かあったんだな。
すぐに理解した俺は特に気にせず天龍寺へ到着すると
「おおっ、お主たち、来たようじゃな」
そこには昨日あった巫女装束姿の九重がいた。
「九重か」
「うむ。約束通り、嵐山方面を観光案内してやろうと思うてな」
イッセー、そんな約束してたんだな。まあ、詳しい人、じゃねえ、妖怪に案内してもらう方がこっちも助かるけど。そして、元浜よ。お前は息を荒くしながら九重を見るなよ。って言いたいがこいつはロリコンだったな。
だが、そんなロリコンを突き飛ばして桐生は九重に抱き着いた。
「やーん!かわいい!何よ、兵藤、どこで出会ったのよ?」
「は、離せ!馴れ馴れしいぞ、小娘め!」
・・・・見た目はあきらかに
俺は心の中でツッコミを入れた。そして、俺たちは九重に天龍寺を案内してもらった。
「あ、あの・・・ショウ。まだダメですか?」
俺の後ろでフィルが俺の腕を組もうと俺に許可を取ろうとしたが
「まだダメ。少しはこれで自重を覚えろ」
俺が断るとフィルは背中にガーンという文字が見えるかのようにショックを受けていた。
Sideout
Sideイッセー
俺たちは九重に案内してもらいながら天龍寺を堪能し、今は九重のお勧めの湯豆腐を食べて休憩している。
「あ、イッセーくん」
突然の声、この声は。
「おおっ木場か。そういや、今日はおまえのところも嵐山攻めるんだったな」
「うん。天龍寺行ってきたのかい?」
「ああ、見事な龍が天井にあったぜ」
俺と木場がそんな話をしていると「秋の嵐山、風流なもんだぜ」と聞き覚えのある声が聞こえた。
「おう、おまえら、嵐山堪能しているか?」
アザゼル先生だった!しかも真昼間から日本酒を飲んでるし!
「アザゼル先生。教師が酒を飲んでていいんですか?」
俺が注意しようとしたが、その前にショウが非難すると、先生の対面の席にロスヴァイセさんがいた!
「その人、私が何度言ってもお酒を止めないんです。生徒の手前、そういう態度は見せてはならないと再三言っているのですか・・・・」
青筋を立てて、怒っていらっしゃった!
「ところで、アザゼル先生。調査のほうは上手くいきましたか?」
「調査中だ。今はちょっと休憩だ」
ショウが言う調査は
「ロスヴァイセ、ちったぁ、要領よくいかねえとよ。そんなだから、男の一人もできないんだぜ?」
「あ、バカ!アザゼル先生!それは禁句!」
ショウがアザゼル先生に注意するが、それは遅かった。ロスヴァイセさんは顔を真っ赤にさせテーブルをバン!と叩く。
「か、か、彼氏は関係ないでしょう!バカにしないでください!もう、あなたが飲むぐらいなら私が!」
「ダメです!ロスヴァイセ先生!」
ショウがロスヴァイセさんを止めようとしたが、ロスヴァイセさんはアザゼル先生から酒を奪ってぐびぐびと見事な飲みっぷりを見せた。
「ぷはー。・・・だいたいれすね、あなたはふだんからたいどがダメなんれすよ・・・」
よ、酔っぱらってる!?早っ!すでに言語が怪しいし!
驚く俺たちだが、ロスヴァイセさんは二杯目の酒をつぎ、豪快の飲み干した。
「ロスヴァイセ先生。酒に弱いなら無理しちゃだめですよ。というか、もう酔っぱらっているんですから、その辺で・・・」
ショウが何とか、ロスヴァイセさんから酒を奪おうとするが、ロスヴァイセさんは酒を大事そうに抱えて言う。
「わらしはよっぱらっていやしないのれすよ。だいたいれすね、わらしはおーでぃんのクソジジイのおつきをしているころから、おさけにつきあっていたりしててれすね。・・・・だんだん、おもいだしてきた。あのジジイ、わらしがたっくさんくろうしてサポートしてあげたのに、やれ、おねえちゃんだ!やれ、さけだ!やれ、おっぱいだって!アホみたいなことをたびさきいうれすよ。もうろくしてんじゃないかってはなしれすよ!ヴァルハラのほかのぶしょのひとたちからはクソジジイのかいごヴァルキリーだなんていわれててれすね、やすいきゅうりょうでジジイのみのまわりのせわしてたんれすよ?そのせいれすよ!そのせいでかれしはできないし、かれしはできないし、かれしはできないんれすよぉぉぉぉぉぉぉ!うおおおおおおおおおおんっ!」
・・・・・・・・・。だ、大号泣しちゃってるよ・・・。ショウでさえ、どうしようか、わからないでいるし。
先生は頭をポリポリかきながら俺たちを逃がしてロスヴァイセさんの愚痴に付き合った。そして、俺たちはそこから離れ、しばらくすると遠くのほうから「ひゃくえんショップ、サイコーれすよ!アハハハハ!」と爆笑が聞こえてきた。
「・・・・ロスヴァイセ先生がなんだか、可哀想になってきた」
ショウの言葉にこの場にいる全員が頷いた。
それから俺たちは渡月橋までたどり着いた。すると、桐生が
「知ってる?渡月橋って渡りきるまで後ろを振り返ってはいけないらしいわよ」
「なんでですか?」
「それはね、アーシア。渡月橋を渡っているときに振り返ると授かった知恵がすべて返ってしまうらしいよ。エロ三人組は振り返ったら終わりね。真の救いようのないバカになるわ」
「「「うるせえよ!」」」
「それに比べたら駿河くんは大丈夫ね。馬鹿になっても充分に救われるわ」
ショウと比べんな!
「あと、もうひとつ。振り返ると、男女が別れるって言い伝えもあるそうね。まあ、こちらはジンクスに近いって話だけど」
「絶対に振り返りませんから!」
桐生の説明を遮って、アーシアは涙目で俺の腕につかまってきた。
「あ、あの・・・・ショウ」
フィルナも桐生の話が聞こえたのかショウの腕につかまろうとするが、つかめないでいた。
そういや、なんかの罰だってショウが言っていたな。
今日は朝からフィルナはショウの腕を組んでいないから松田や元浜が自分の腕を差しだしていたが、フィルナは丁重に断っていた。フィルナの困り顔を見たショウは息を吐き、自分の腕を差しだすとフィルナは嬉しそうにショウの腕に抱きついた。
「反省したみたいだし、罰はこの辺で終わりだけど、次からはちゃんと自重しろよ」
「はい!えへへ、ショウの腕、温かいです」
「はいはい」
フィルナの言葉をショウは聞き流すように言うが、頬は若干赤くなっていた。
ショウも照れてんだな。フフフ、面白いものが見えたぜ。ていうか、フィルナはやっぱり美少女だな!今の笑顔、スゲー可愛かった!
俺はアーシアとショウはフィルナと腕を組みながら渡月橋を渡り始める。
「クソ。イッセーとアーシアちゃん、それにショウとフィルナちゃん、もろカップルじゃないか・・・・!」
「悔しいところだが、あれはすでにバカップルの領域に入りつつあると思うぞ。というか、ショウとフィルナちゃんはあきらかに入ってる!」
松田と元浜が背後からそんなことを言ってくる。くっ!バカップルだと!それはショウとフィルナだけだ!振り返って一発殴ってやりたいが、ここは我慢だ。振り返ったらアーシアが泣いちゃう!
「気にせんでいいと思うのじゃが・・・・。男女の話は噂が過ぎんのじゃ」
九重もそう言ってくるくれるんだけどね。アーシアは純粋なんだよ。
「ショウ、絶対振り返っちゃダメですよ!」
「わかってるよ。だから、そんなに強くつかまらなくても大丈夫だから」
ショウとフィルナはイチャつきながら橋を渡る。松田と元浜はそれを見るたびに涙を流していた。
そして、端を渡り切り風景をぐるりと一望したときだった。
突然、ぬるりと生暖かい感触が全身を包み込んでいった。
Sideout