Sideショウ
突然、変な感触が全身を包んだと思ったら松田、元浜、桐生それ以外俺たち以外の人がいなくなった。そして、足には霧みたいなものが立ちこめていた。
「
俺の隣にいるフィルが霧に触れながらそう言う。
「おまえら、無事か?」
空からアザゼル先生が黒い翼を羽ばたかせながら飛んできていた。アザゼル先生によるとどうやら俺たちは渡月橋そっくりな別空間へと転移されたらしい。
あの変な感触がそうか。あれに包まれた時点で俺たちは転移されたのか。
俺がそんなことを考えていると九重が震える声で口を開いた。
「・・・亡くなった母上の護衛が死ぬ間際に口にしておった。気づいたときには霧に包まれていた、と」
じゃあ、これはやっぱり・・・・・・。
渡月橋のほうから気配を感じた俺は神器を発動する。そして、霧のなかから人影が近づいて来て俺たちの前に姿を現した。
「はじめまして、アザゼル総督、赤龍帝、そして氷血神」
挨拶してきたのは漢服を着た黒髪の男。いや、今はあの男が持っている槍を注意しねえと。アレからは不気味な気配がする。
俺は神器を氷の槍に変えかまえる。一誠たちも神器を発動させて警戒する。そんななかアザゼル先生が一歩前に出て訊く。
「おまえが噂の英雄派を仕切っている男か」
「曹操と名乗っている。三国志で有名な曹操の子孫、いちおうね」
あの有名な曹操の子孫・・・・。
「全員、あの男の持つ槍には絶対に気をつけろ。最強の神滅具『
『-ッ!?』
アザゼル先生の言葉に俺を含めた全員が狼狽した。すると、フィルが俺の前に出る。
「ショウたち悪魔は絶対にあの槍の攻撃を喰らってはなりません。もし、喰らえばすぐに死んでしまいます」
真剣な表情で俺たちに注意しながら手元に魔方陣を展開するフィル。曹操はフィルを見ると
「これは、魔術師で有名なセフィード家長女フィルナ・セフィード。まさか、あなたが
「お久しぶりですね、曹操。一応、言っておきますが私達セフィード家は絶対にあなた方テロ組織には加担しません。それと私はどんなときだってショウの味方です」
「フィル、知っているのか?」
俺がフィルにそう訊くと曹操が答えた。
「俺のところの魔術師のグループが何度もその子の家に協力要請を出したのだが見事に断られてな。俺がその子に会ったのは偶然その子の家で鉢合わせたんだ」
「よく言いますね。協力しなかったら私の一族を皆殺しにすると脅すのですから少し痛い目に合せたときあなたも見ていただけとはいえそこにいたでしょう?」
「まあね、生まれ持って魔術の才を生み出し様々な功績と魔術式を組み合わせ。才能で溢れた一族を一度この眼で見てみたくてな。それにキミはそのなかでもずば抜けた才能の持ち主。すでに親顔負けと言っていいほどの功績を出しているんだろ?」
・・・・・フィルってそんなに凄いだな。
俺は初めて知ったフィルの凄さに驚いたがフィルは
「私にとって功績なんてどうでもいいんです。私はショウの傍に入られてショウの手助けが出来るのなら功績なんてゴミにでも捨てます」
「愛されているね、氷血神」
笑みを浮かばせながら俺に言ってくる曹操に俺はなんて言えば分らなかった。
フィルはいつも俺に正直に好意を寄せて来てくれるけど。さすがにあんなこと言われたら照れちまう。
俺が照れていると九重が憤怒の表情で曹操に叫ぶ。
「貴様!一つ訊くぞ!」
「これはこれは小さき姫君。なんでしょう?この私ごときでよろしければ、なんなりとお答えしましょう」
「母上を攫ったのはお主たちか!」
「左様で」
あっさりと認める曹操。
やっぱり、こいつらの仕業か。
「母上をどうするつこりじゃ!」
「お母上には我々の実験にお付き合いしていただくのです」
「実験?お主たち、何を考えておる?」
「スポンサーの要望を叶えるため、というのが建前かな」
九重は激怒しているなか、目にうっすらと涙を流していた。
俺も本当にこいつらに怒りを覚える。自分たちの都合で九重の大切な母親を攫われたあげく、実験までするなんて・・・・ッ!
「スポンサー・・・・・。オーフィスのことか?それで突然こちちらに顔を見せたのはどういうことだ?」
「いえ、隠れる必要もなくなったもので実験の前にあいさつと共に少し手合せをしておこうと思いましてね。俺もアザゼル総督と噂の赤龍帝殿と氷血神殿にお会いしたかったのですよ」
俺とイッセーって有名人かなんかか?
アザゼル先生が手元に光の槍を出現させる。
「わかりやすくてけっこう。九尾の御大将を返してもらおうか。こちらとら妖怪との協力提携を成功させたいんでね」
一誠は禁手化のカウントを始め、ゼノヴィアはイッセーからアスカロンを受け取る。
「レオナルド、悪魔用のアンチモンスターを頼む」
曹操が横にいる小さな男の子に頼むと影から数百体のモンスターが現れた。
「
「どうしてだ。俺も戦えるぞ」
俺がそう言うとフィルは振り返って言う。
「今のショウは禁手化が出来ないのでしょう?相手は上位神滅具。禁手化が出来ないショウには荷が重すぎます」
「っ!」
フィルの言葉が俺の心に深く突き刺さった。今の俺じゃあ足手纏いということが理解できたから。
「・・・・・・わかった。でも、無茶はしないでくれ」
「わかっています。私はショウを置いて死ぬつもりなんてありませんよ。それにちょうどいい機会です。ここで私の実力を見ていてください」
「話はすんだかい?さ、戦闘だ。はじめよう」
曹操が槍をこちらに向けながら開戦の言葉を言うとアンチモンスターたちがイッセーたちに襲いかかり、アザゼル先生は曹操と対決。俺は急いでアーシアたちのところに行き後方へ下がる。
「さて、それでは始めましょうか」
フィルがイッセーたちより前に出ると魔方陣を展開させると
「来てください!灰銀!」
フィルの魔方陣から現れたのは全身が黒や銀色の毛並を持つ
「おー、フィルナちゃん。ようやくワイと寝る気になってくれたんか」
「誰もあなたとは寝ませんよ。私が一緒に寝ていいのはこの世でショウだけです。それより、これからあのモンスターを倒すのを手伝ってください」
「へいへい。相変わらずそのショウって奴に惚れてるんやな。恨ましいわッ!ドチクショウ!」
関西弁の灰銀は本当に悔しそうに叫ぶと俺と視線があったと思ったら
「おまえがフィルナちゃんが話とったショウか?クソッ!イケメンめッ!死ね!」
一瞬で俺の目の前に現れた灰銀は毒づくが、俺は今の灰銀の動きがまったく見えなかった。
速い・・・・・ッ!一誠も木場も今の灰銀の動きに目を見開いている・・・・。木場でさえも見えなかったのか・・・・。
「まあええ。俺のこれからの活躍でフィルナちゃんを振り向かせればええ話や。おまえはそこで大人しく見とれ。ワイとフィルナちゃんの活躍を。残りもそうやで!大人しくしとき!」
灰銀は一誠たちにも忠告するとまた姿を消したと思ったらアンチモンスターが数体吹っ飛んだ!
「ハハハハハ!ワイのスピードについてこれるもんならついてみい!」
圧倒的なスピードで次々にアンチモンスターを倒していく灰銀に俺やイッセーたちはただ見ていた。
「フィルナちゃん!援護頼むで!」
「任せて下さい!」
フィルナは魔方陣を展開すると炎を放出するとその炎は灰銀に纏わり灰銀は炎を纏った拳で更にモンスターたちを倒していく。
「・・・・もうフィルと灰銀の独壇場だな。俺たち何もすることねえじゃねえか」
「ていうか、あのウェアウルフの速さもだけど、フィルナちゃん自信もスゲー強いんだな。今まで見る機会がなかったからわからなかった」
イッセーの言うとおりフィルナ自信の魔法も一つ一つ強力だ。それに加えて灰銀の速さ。主体で灰銀が戦い、それにフィルが援護に回ることで隙のない攻撃力があるのか・・・・。
「そうか!思い出した!」
今まで喋らなかったゼノヴィアが突然に口を開く。
「どうしたんだ?ゼノヴィア」
「ああ、あの灰銀という人狼。確か別の名は孤狼。あまりの速さゆえに誰もついて来れなかったことでそう呼ばれていた名だ。教会にいたとき上位の討伐対象になっていたが誰も討伐どころか傷さえもつけることの出来なかった奴だ。それが、まさか、フィルナの召喚魔になっていたとは」
それは凄いな。というか、どうやってフィルは灰銀と契約したんだ?
俺はそんなこと考えていると今まで攻撃の姿勢を見せなかった英雄派の一人であろう腰に何本もの剣を帯剣した白髪の男が前に出てきた。
「初めまして、グレモリー眷属。僕は英雄派シグルトの末裔、ジーク。仲間は『ジークフリート』と呼ぶけど、ま、そちらも好きなように呼んでくれてもかまわないよ」
ジークフリート・・・・。フリードと何か似ているが気のせいか?
「・・・・・どこかで見覚えがあると思っていたが、やはり、そうなのか?」
「ええ、だと思うわ。あの腰に帯刀している複数の魔剣から考えても絶対そう」
ゼノヴィアとイリナがジークフリートを見て何か確信的なことを言っているとゼノヴィアが俺たちに教えてくれた。
「あの男は悪魔祓い、私とイリナの元同胞だ。カトリック、プロテスタント、正教会を含めて、トップクラスの戦士だ。『
「ジークさん!あなた教会を、天界を裏切ったの!?」
「裏切ったことになるのかな。現在、
「・・・・なんてことを!教会を裏切って悪の組織に身を置くなんて万死に値しちゃうわ!」
「・・・少し耳が痛いな」
そりゃ、有名なデュランダルの使い手がやぶれかぶれで悪魔になったからな。
「いいじゃないか。僕がいなくなったところで教会にはまだ最強の戦士が残っているよ。あの人だけで僕とデュランダル使いのゼノヴィアの分も十分に補えるだろうし。案外、あの人は『
教会関係の三人に宣戦布告するジークフリートに三人は応じて剣をぶつけ合うがジークフリートの魔剣と亜種の
クソッ!フィルはアンチモンスターを倒して、木場たちはジークフリートと戦っているのに俺は何も出来ねえのかよ!
禁手化出来ない今の自分に苛立ちながら拳を握ると俺はあることに閃いた。
確か、俺の神器は禁手化状態と違い扱える量が少なくなるだけ。なら、それを別の力で上げることが出来れば・・・ッ!
俺は自分の左手を見て実行することにした。