Side木場
「く・・・・ッ!」
「どうしたんだい?三人がかりでこの程度あのかい?」
強い!僕、ゼノヴィア、イリナの三人がかり相手に僕たちが押されている。彼の亜種の神器、
「木場!」
「ほら、考え事なんて油断がすぎるよ」
「しま・・・!」
油断してしまった。ジークフリートの魔剣が僕に目掛けて振り下ろされたとき僕は死を覚悟した。
ガキィィィン!
だが、僕とジークフリートの間に一本の蒼い槍を持つ人が僕を守るように立っていた。
「大丈夫か!?木場!」
「ショウくん・・・」
僕の親友であるショウくんが槍をかまえて僕を守ってくれていた。
「ゼノヴィア!アーシアの守りに行ってくれ!ここは俺とイリナ、木場で何とかする!」
「了解した」
ゼノヴィアはショウくんの指示通りにアーシアたちのところに向かう。僕は聖魔剣をかまえながら彼の隣に並ぶと彼の制服に大量の血が付いていた。
「ショウくん!その傷は!?」
「何、禁手に近いくらい力を上げるためにちょっと無茶をしただけだ。傷はアーシアさんに治してもらった」
キミはそこまでしてまで僕たちを・・・・。
ショウくんは槍をジークフリートに向ける。
「ジークフリート。これ以上俺の仲間は誰も傷つけさせねえ。お前ら英雄派なんて俺が倒してやる!」
「氷血神。まさか自ら怪我を負ってまで仲間を守りに来るとはね」
「俺は大切な人が傷つくぐらいなら俺はどうなってもかまわない。
その瞬間、ショウくんの左手首にあるブレスレットが白銀色に光り輝くとショウくんの力は何倍にも引き上がった。
「これからは俺が相手だ」
「それは面白い。キミとも一度戦ってみたかったんだ」
三本の魔剣をかまえるジークフリートに僕もイリナさんもお互いの武器をかまえる。だが、ショウくんが僕に耳打ちをしてきた。
「木場、悪いがフィルを頼む。こいつは俺が引きつける」
「君一人を置いてはいけないよ。僕も戦う」
「俺は大丈夫だ。だが、フィルとイッセーだけじゃあの数はきつい筈だ。頼む」
「・・・・・・・わかった。でも、無茶はしないでくれ」
僕はそう言いながらもショウくんとイリナの傍から離れていく。ショウくん、本当に無茶はしないでくれ。
Sideout
Sideショウ
悪い、木場。
俺は心の中でそう謝りながらも槍をジークフリートに向ける。
「イリナ。悪いが付き合ってもらうぞ。禁手じゃない俺一人じゃ重荷しかねえからな」
「大丈夫よ!これでもミカエルさまのAだもの!あなたを守りながらでも戦って見せるわ!」
その言葉に俺は苦笑した。ありがとうな、イリナ。それじゃ
「行くぞ!」
俺は足に魔力を溜め込み一気に踏み込んだ。だが、ジークフリートはその攻撃をものともせず受け流す。
「そんな直情的な攻撃では僕は倒せないよ」
「そんなことわかってる!」
本来、禁手状態は今の状態より扱える量を増やすだけ。だが、力を上げ、これだけ接近すれば何の問題もない。俺は空中に複数の水の槍を創りだしそれを放つ。
「
放った水魔溶の槍はジークフリート目掛けて行くがジークフリートは水魔溶の槍を魔剣で斬り裂いた。
「どうやら、その技は僕の魔剣には効かないようだね」
魔術や魔力を溶かせるが魔剣は無理なのか。クソ!
俺が内心愚痴を言っていると突然、地面が激しく揺れた。驚いた俺は英雄派が何かをしたのか?と疑問を感じたがジークフリートの顔を見る限り違った。そして辺りを見渡すとそこには十メートルはあるであろう岩の怪物がいた。
「・・・・ゴグマゴグ。ヴァーリにちょっかい出したのがバレたか」
ヴァーリ・・・・白龍皇の仲間なのか?あれは。そんなことを考えているとジークフリートは魔剣をしまい踵を返す。
「そろそろ、お暇させてもらうよ。次は僕の禁手を見せよう」
そう言ってジークフリートは姿を消した。そして再び地面が大きく揺れるとゴグマゴグが倒れていた。すると俺の視界におぼつかない歩き方で英雄派に近づく人、ロスヴァイセさんがいた。というか、酔ってる!
「・・・・ういー。ヒトが気分よく寝ているところにドッカン!バッタン!チュドーンって!うるさいんれすよ!」
まずい!いくらなんでもあの状態じゃ戦えない!俺は急いでロスヴァイセさんのところに向かう。
「なんれすか?やるんれすか?いいれすよ。元オーディンのクソジジイの護衛ヴァルキリーの実力、見せてやろうじゃないれすかっ!」
ロスヴァイセさんが大きく叫んだあと、ロスヴァイセさんの周りに数十の魔方陣が展開した。
「全属性、全精霊、全神霊を用いた私の北欧式フルバースト魔法くらえぇぇぇぇぇぇえええええッ!」
ズドドドドドドドオォォォォォォォォォッ!
凄まじい量の魔法が縦横無尽に放たれ、英雄派の陣営を雨のように降り注いだ。
恐ろしい威力だな。ロキとの戦いのときはよく見ていなかったからわからんばかったけど相当な実力者だな。
「もう一発くられええええええええええええっ!」
もう一度魔法をぶっ放そうと魔方陣を展開し始めた!ヤバい!もう一度あの魔法を放たれたら俺たちにまで危害が来る!
俺は何とか発動前にロスヴァイセさんのところに到着するとロスヴァイセさんも俺に気づいた。
「あれえ?ショウさん?どうしたのれすか?」
「・・・・とりあえず落ち着いてください、ロスヴァイセさん。魔方陣を解いてください」
「ふぁい」
俺の言うとおりに魔方陣を解くロスヴァイセさんに俺は安堵の息を漏らすといきなりロスヴァイセさんが抱き着いてきた!
「んんう・・・・ショウさん・・・・」
甘えるような声を出すロスヴァイセさん。
「はいはい。ショウですよ。大人しくしてくださいねー」
俺は宥めるかのように頭を撫でると今度は涙目で叫び始めた。
「ショウさん!私、私、いつになったら彼氏が出来るんれすかぁぁぁぁぁぁああああああああ!?私にも素敵な彼氏が欲しいんれすよぉぉぉおおおおおおお!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!オーディンのクソジジイィィィィィイイイイイイイイイイイイイ!」
「・・・・・大丈夫ですよーロスヴァイセさんにもいつか素敵な彼氏ができますよー」
あまりの狂乱ぷりに思わず棒読みで言ってしまった。本当に苦労人だな。ロスヴァイセさん。
俺はロスヴァイセさんのあまりの不憫さに涙が出てきた。可哀想すぎるよ。この人。
俺は片方の手で涙を拭いているとふいに俺の視界いっぱいにロスヴァイセさんの顔が近づいて・・・。
「んっ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
俺の視界は一瞬にして真っ白になった。
部室にて
パキィィィン!
「どうしたの?朱乃がカップを落とすなんて珍しいわね」
「ごめんなさい、部長。どうやらショウがまた誰かを口説いたような気がして」
「・・・・・よくわかるわね」
「何となくですわ。最近気づいたのですが、実はショウは」
「・・・・・・天然のジゴロですから。ショウ先輩は」
「ショウ先輩、凄いですぅぅぅうううう!」
「すぴー」
俺の腕の中で気持ちよく寝息をたて寝ているロスヴァイセさん。俺は未だに頭が真っ白になっていた。
「・・・・・・・・」
キス・・・・されたんだよな?俺。ロスヴァイセさんに・・・・・・。
自分の唇に触れながらそう考える。
うん、きっとロスヴァイセさんは酔うとキス魔になるんだ。よってこれはノーカンだ。俺は決して浮気はしてねえぞ。
誰に言い訳をしているのもわからず俺はそんな言い訳をしていると俺の背後から冷たい視線がきた。俺は壊れた人形のようにギギギと首を後ろに向けるとそこにはフィルとゼノヴィアがいた。
「ショウ。私にしないで何でロスヴァイセに先にするんだ」
「ショウ。あとでお話しがあります。逃げないでくださいね」
頬膨らませ怒っているゼノヴィアと笑顔だがフィルから冷たいオーラがビシビシと伝わってくる。その二人を見て俺は。
「・・・・・はい」
としか言えなかった。
「我々は今夜この京都という特異な力場と九尾の御大将を使い、二条城でひとつの大きな実験をする!ぜひとも制止するために我らの祭りに参加してくれ!」
曹操の言葉は俺の耳にろくに入らなかった。だって、俺はこのあと死んじゃうから。ハハハ。
「おまえら、空間がもとに戻るぞ!武装を解除していけ!」
先生の言葉に俺も武装を解除した。そうして、一拍開けると霧が晴れ元の場所に戻った。
「すぴー」
そして、今だに気持ちよさそうに寝ているロスヴァイセさんをこんなにも恨めしいと思ったのは初めてだ。
「どうして避けないんですか?あなたなら避けられたはずでしょう?まったく女性には弱いんですから」
「はい、申し訳ありません」
ホテルに戻った俺はロスヴァイセさんをアザゼル先生に預け部屋で正座をしながらフィルの説教を受けていた。俺が説教してフィルが正座がいつもなのに今に限って逆だな。
「まぁ、ロスヴァイセさまのキスはこのぐらいで許してあげましょう。そんなことより」
パン!
突然のフィルの平手打ち。何故されたのか俺はわからなかった。
「・・・・・どうしてあんな無茶をするのですか」
あんな無茶、それは俺が自分から自分を傷つけたことだろうな。
「・・・・私はショウに傷ついて欲しくないからショウにあんなことを言ったんです。それなのに何で傷つこうとするんですか?いくらアーシアさまがいたとしても、自分のパワーアップのためだとしても・・・・傷つき、痛みはあるんですよ。どうしてそこまで無茶をするんですか?どうして私たちを信用してくださらないのですか?」
フィルの両目からは涙が流れていた。俺は立ち上がってフィルを抱きしめる。
「ごめん、フィル」
「・・・・謝るくらいならしないでください。もうあなたが傷つくのは見たくありません」
そう言って俺の胸の中で泣き崩れるフィル。
ごめん、フィル。俺は別に皆を信用していないわけではないんだ。でも、フィルが俺を傷つけたくないように俺も俺の目の前で誰かが傷つくのはもう見たくないんだ。例え、どんな無茶をしても俺はこの気持ちを変えることは出来ない。
それから俺はフィルが泣き止むまでフィルを抱きしめ、その後イッセーの部屋で英雄派との作戦会議に向かった。
「と、俺からの作戦は以上だ。俺も京都の上空から独自に奴らを探す。各員一時間後までにはポジションについてくれ。怪しい者を見たら、ソッコーで相互連絡だ。死ぬなよ?修学旅行は帰るまでが修学旅行だ。京都は俺たちが死守する。いいな?」
『はい!』
アザゼル先生の作戦会議が終了し、部屋から出ると真っ先にロスヴァイセさんのところに向かった。
「ロスヴァイセ『ごめんなさいっ!』・・・・・さん」
呼びかけた瞬間もの凄い速さで俺から逃げていった。
って、謝るのは俺の方!
「待ってください!ロスヴァイセさん!」
「追いかけてこないでください!うっ・・・また吐き気が・・・」
「そんな状態で走ったら余計に気持ち悪くなりますよ!というか何で逃げるんですか!?」
「え?」
「ちょ!?急に止まらないでうおっ!?」
「きゃあ!?」
ロスヴァイセさんが急に止まったため俺は走っていた勢いのままロスヴァイセさんにぶつかり倒れた。
「いつつ・・・・・すみません。ロスヴァイセさん」
「あ、あの、ショウさん・・・・出来れば手を・・・」
顔を真っ赤に染め小さい声で俺のことを呼ぶロスヴァイセさん。俺は視線をロスヴァイセさんのほうに向けると・・・・俺の右手がロスヴァイセさんの胸をワシ掴みにしていた。
「すみません!で、でもこれはワザとでは・・・・」
「わかっています。イッセーくんと違ってショウさんはそういう人じゃないということぐらい」
弁明しようとした俺だがロスヴァイセさんは許してくれた。良かった・・・。やっぱ日頃の行いがものを言うんだな。ってそうじゃない!
「ロスヴァイセさん。どうして俺から逃げたんですか?」
俺がそう訊くとロスヴァイセさんが気まずそうに言う。
「そ、それは・・・・彼女でもないのにキスしてしまいましたし、それにショウさんには朱乃さんとフィルナさんと大切な人がいるじゃないですか・・・・」
ああそうか。そういうことか。
「ロスヴァイセさん。あなたは何も悪くない。悪いのは俺の方です。経緯がどうであれロスヴァイセさんの唇を奪ったのは事実です。本当にすみませんでした」
俺はその場で膝をついて頭を下げる。ようは土下座だ。それを見たロスヴァイセさんはあたふたと慌てる。
「ちょ!やめてください!悪いのは酔った私なんですから!」
「それでも謝らずにはいられません。もし、初めてならなおさら」
「いいですから!頭を上げてください!」
「・・・・・・」
俺はロスヴァイセさんの言うとおりに頭を上げる。
「・・・・・あの時のキ、キスは一応、私にとって初めてです。ですがそのことについては後悔はしていません」
「どうしてですか?」
「相手があなただからでしょうか。酔った勢いとはいえ抵抗や後悔はありませんでした・・・・むしろ嬉しかった」
「え、最後なんて言いました?」
「な、なんでもありません!」
最後の方聞き取れず聞き返したら顔を真っ赤にして怒鳴られた。なんで?
「ですので!された本人が気にしていませんのでもうこの話は終わりです!いいですね!?」
「は、はい」
何か強制的に終わったが・・・・ロスヴァイセさんがいいならいいか。
俺はその場を離れ作戦に向けて準備しようとまずは部屋に向かおうとした瞬間。
「一つ、訊いてもいいでしょうか?」
俺に背中を向けながら突然、ロスヴァイセさんが何かを訊いてきた。
「なんですか?」
「・・・・ショウさんは朱乃さんとフィルナさんは自分以上に大切な人たちなのでしょうか?」
「はい。朱乃もフィルも俺にとって自分以上に大切な人です」
ロスヴァイセさんの問いに俺は正直に力強く答えた。すると
「なら、例えばの話。その中にゼノヴィアさんや小猫さん・・・・私が入ったらショウさんは朱乃さんやフィルナさんのように大切にしますか?」
その問いに俺は首を傾げた。どういうことだ?ゼノヴィアならまだわかるけど、小猫ちゃんやロスヴァイセさんまでも?んー。
「わかんないですね。俺は朱乃やフィルは好きです。もちろんゼノヴィアや小猫ちゃん、ロスヴァイセさんも皆好きです。俺は複数の女性をちゃんと大事に出来るか正直わかりません。今でも朱乃やフィルを大切に出来ているのか不安を感じています」
「・・・・・そうですか」
「でも、ロスヴァイセさんの言うとおりのようになったら俺は幸せにしてやりたいです。朱乃もフィルもゼノヴィアも小猫ちゃんも、もちろんロスヴァイセさんも。俺一人で出来るかはわかりませんがそれでも皆を幸せにしてみせます。って、これじゃあまるでイッセーのようですね。忘れて下さい」
俺は踵を返していったん部屋に戻るためその場を去った。
「・・・・これで迷いはなくなりましたね。負けませんよ。朱乃さん、フィルナさん。そして、ゼノヴィアさんも小猫さんにも。うっぷ・・・また・・・」