Sideショウ
「今日はバレンタインだな~。ショウ」
「今日はご機嫌だな、イッセー」
学園に向かう途中イッセーは凄くご機嫌だった。
「当たり前だろ!何だって今年は部長やアーシアからは絶対もらえるんだ!去年とは違う!俺にも・・・・とうとう俺にもバレンタインチョコが貰えるんだよ!」
嬉し涙を流すイッセーを見て俺は苦笑した。
そうだったな・・・・去年までは『バレンタインなんて無くなっちまえ!』なんて叫ぶほどだったもんな。今年は部長さんやアーシアさんには確実に貰えるから嬉しんだな。
「よかったな、イッセー」
「おう!・・・・・ところで何で今日は一人なんだ?」
普段、俺は朱乃やフィルと腕を組みながら学園に来ているけど今日は一人で学園に向かっている途中イッセーと合流した。
「そういうイッセーだって部長さんやアーシアは?」
「・・・・・・今日は一緒に行けないって。いつも部長やアーシアと挟まれながら来ていたから少し寂しい」
俺と同じか。バレンタインだから何かサプライズがしたいんだろうな。
そして俺とイッセーは学園に到着すると
「「おはよう!イッセー!ショウ!」」
「おっと」
「ぐげっ!」
いきなり松田と元浜からのダブルラリアット。俺は躱してイッセーはまともに喰らった。イッセー、避けろよ。今までの死闘に比べたら簡単だろ?
「いきなりなにしやがる!」
「うるせぇ!今日が何の日かお前ら知ってんだろ!?」
「そうだ!今日の俺たちはモテる男たち全員に嫉妬してんだ!」
「まー落ち着けよ。松田、元浜。もしかしたらお前らにチョコを上げる女子もいるかもしれねえだろ?」
「「だったら今すぐその子を連れて来てくれよ!」」
「うん、ごめん。下手な慰めだったな」
「「謝るな!余計にむなしくなる!」」
本当にごめんな松田、元浜。よく考えるまでもなく嫌われているお前らには酷いことを言って本当にごめんな。
涙を流す松田と元浜に謝りながら俺たちは教室に入ると・・・・・・・驚いた。
「あ、ショウ!やっと来たんですね!」
満面な笑みで俺の名前を呼ぶフィル。だが今はそれどころじゃなかった。
「うん、おはようフィル。ところでこれは?」
「見ての通りバレンタインチョコですよ。ちょっと大きく作りすぎましたが」
「そうだね。そろそろツッコンでいい?」
「どうぞ」
「これのどこがちょっと何だ!?机いっぱいまである巨大なチョコなんて初めて見たぞ!というかよく作れたな!?」
俺の机いっぱいにある巨大なハート形のチョコを作ったフィルに俺はツッコンだ。
デカすぎるわ!作ってくれたのは嬉しいけどこんなに食えねえよ!
「ご安心を!実はこれ小さいチョコを纏めているだけなのでかぶりつく必要はないですよ」
「そういう問題じゃねえ!結局のところ総量は同じだろう!」
「そのあたりも問題ありません!このチョコは長持ちするように作ってありますので二週間は持ちます!」
「この量を二週間で食べろということか!?」
「ハッ!もしかして作りすぎました!?」
「今更!?」
「ごめんなさい・・・・ショウ・・・」
いや、急にシュンとならないで!周りの視線が凄いから!
「いや、作ってくれたのは凄く嬉しいからな!ありがとう、フィル」
そう言って俺はフィルの頭を撫でるとフィルもご機嫌になってくれた。
よかった・・・。でも、実際問題チョコは頑張って食べるからねえな。
「ショウ」
俺が腹を括ったとき急にゼノヴィアが話しかけてきた。
「どうした?ゼノヴィア」
「受け取ってくれ」
そう言ってゼノヴィアは手の平サイドの包み袋を渡してきた。だが
大丈夫なのか・・・・・・?これは食べても本当に大丈夫なのか?
俺の頭には不安が過った。以前、ゼノヴィアとイリナに味噌汁を飲んでから俺はゼノヴィアが作る料理には無意識に警戒してしまうようになった。
「そんなに心配しなくてもちゃんと朱乃副部長から教わって作った物だ。原材料も市販のチョコを溶かして形を作っただけだから前の時のようにはならないさ」
俺の考えを読み取ってむすっとするゼノヴィア。
ああ、そんなに顔に出てたか。ごめん、ゼノヴィア。でも朱乃から習ってんなら大丈夫か。
俺は安堵しながらゼノヴィアから包み袋を貰い中を開けると丸いチョコボールが入っていた。見た感じ普通のチョコだった。
「ありがとな、ゼノヴィア」
そう言って俺は早速一つつまんで食べた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
パタン
俺は倒れその場で気を失った。
「ん、ここは?」
「・・・・・目が覚めましたか、ショウ先輩」
「小猫ちゃん?」
俺が目を覚ました場所は保健室。どうやら気を失っていたみたいだな。
ハハハ、次からはゼノヴィアに味見は絶対させよう。じゃないと身がもたない。あれ?そういえば何で小猫ちゃんがここに?
「どうして子猫ちゃんがここに?」
「・・・・イッセー先輩から先輩が保健室にいると聞いて来ました。どうぞ」
小猫ちゃんが俺にチョコをくれた。
「ありがとな、小猫ちゃん」
「・・・・にゃ、ショウ先輩」
小猫ちゃんの頭を撫でながらお礼を言うと小猫ちゃんも嬉しそうに目を細める。
やっぱり猫魈だからしぐさが猫と同じだな。可愛いな。それとも妹ってこんな感じなのかな?
それから俺は教室に戻りいつもどおり授業を受け昼休みになる。
「ショウ、一緒に喰おうぜ」
「ああ」
いつもどおり俺はイッセーやアーシアさん、ゼノヴィアやイリナ、フィル。あと松田と元浜と一緒に昼飯を食べようとするとき
「失礼します。駿河彰くん。いらっしゃいませんか?」
「朱乃・・・・先輩。どうしたんですか?」
危ない危ない。学園で朱乃を呼び捨てに呼んだら他の奴らになんて言われるかわかったもんじゃない。まぁ、すでに騒がれているから時は既に遅し。だけど。
「一緒に昼食をと思いまして」
「わかった。行こう」
俺はイッセーたちに軽く謝って朱乃と一緒に屋上に向かう。普段、屋上は許可がないと立ち入り禁止だがすでに朱乃がソーナさんから許可を取っていた。
「さて、では食べましょうか」
「そうだな」
俺達は弁当の蓋を開けて昼食を食べ始める。
「ショウ。美味しいでしょうか?」
「ああ、朱乃が作ってくれる弁当はいつもうまいぞ」
俺の弁当はいつも朱乃が作ってくれる。基本的朱乃は和食を中心だが洋食も中華も作れる。しかもどれも凄くうまい。
「朱乃。本当にいつもありがとな」
「ふふ、私も好きでしていますからお礼はいいですわ」
「でも、いつも朱乃が何から何までしてくれるから俺、いつかダメになりそう」
「大丈夫。例えダメになっても私はショウのこと愛しますわ」
「・・・・・朱乃」
「・・・・・ショウ」
見つめ合う俺と朱乃。顔を近づけ合いもう少しでキスが出来そうな距離になると突然、朱乃が人差し指で俺の口を押える。
「これはまたの次回に。今日はこっちのほうを食べてください」
朱乃が何かを取り出そうとするが何かを思いついたのか急に動きが止まった。
「ショウ、ちょっと目を瞑っていただけませんか?」
「?わかった」
俺は朱乃指示通りに目を閉じる。
チョコを食べさせてくれるんだろうな。次に俺の口にはチョコがあるんだな。
「いいですわよ」
そう言われて目を開けると目の前に小さ目のチョコを銜えた朱乃の顔が目の前にあった。
「ちょ!朱、んんっ!?」
顔を抑えられチョコと一緒に朱乃の舌も俺の口の中に入ってきた。それから一分間くらい俺の口の中でチョコは溶け俺の口と朱の舌がチョコで黒くなり朱乃の唇もチョコだらけになっていたが朱乃は口の周りを舐めて恍惚な笑みを浮かべていた。
「うふふ、あげるつもりが逆に食べてしまいましたわね。ごちそうさまですわ、ショウ」
「うん・・・今度は普通にちょうだい。今のが続いたらちょっと我慢出来そうにない」
それから俺と朱乃は昼休みいっぱいまで楽しく過ごした。
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