Sideショウ
「相変わらずいつ見ても凄いな・・・」
朱乃たちからの尋問が無事に終え、俺は今、フィル、黒歌、レイヴェルたちと一緒に冥界のフェニックス家に来ている。その目的はレイヴェルの母親にトレードの交渉。正式にレイヴェルを俺の眷属、『
自分を娘を預けるんだからな、そう簡単には応じてはくれないだろう。でも、何としてでもレイヴェルを俺の眷属にしてみせる。
俺は気を引き締め直すとフィルが宥めるように肩を叩いてきた。
「そこまで気難しくする必要はありませんよ。すんなりと行きますから」
「どうしてそんなことがわかるんだ?」
「そうですね。女の勘と言っておきましょう」
・・・・・勘かよ。
「あ、門が開くみたい」
黒歌の声に俺は城門のほうに視線を向けると重い音を立てながら城門が開いた。そして、俺達は中へ進み庭園を抜け、居住区に出る。豪華な造りの扉の前には先に帰っていたレイヴェルが待っていてくれた。
「お待ちしておりました。ようこそフェニックス家へ」
レイヴェルに先導してもらいながら俺たちはなかへと進む。
相変わらず部長さんの家と負けないぐらい凄いところだな。前に来たときはライザーを立ち直させる時だったっけ?タンニーンさまの領地に行ったな。途中でライザーとイッセーが朱乃たちの温泉を覗きに行こうとして・・・・・・・えっとその後どうなったんだっけ?確か気が付いた時には朝で氷漬けになっているライザーとイッセーがいたのは覚えてるんだが。まあ、どうでもいいか。変態共だし。
そんなことを思い出していると扉の前でレイヴェルが足を止め、扉にノックした。
「お母さま。ショウさまをお連れしました」
『入ってちょうだい』
その言葉を聞きレイヴェルは扉を開ける。中にはレイヴェルの母親がいた。
この人がレイヴェルとライザーの母親か。レイヴェルは母親似なんだな。よく似ている。
「ようこそ、おいで下さいました。レイヴェルの母です」
「初めまして。つい先日上級悪魔に昇格しました。駿河彰です」
「その眷属、
「同じく、
俺に続いてフィルと黒歌も挨拶する。そして、レイヴェルの母親に促され向かい合うように椅子に座る。そして、一拍開けて、レイヴェルの母親が口を開いた。
「娘からご用件は伺っております。トレードでしたわね?」
「はい。レイヴェルを俺・・・私の眷属に迎え入れたい」
さて、問題はここからだ。大事な娘を預けても問題ないようしっかりとしないと。まずはこの人から俺を信用してもらえるように・・・。
「それでは、レイヴェルを、娘をよろしくお願いしますね」
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
よろしくお願いしますね?あれ?交渉成立?え?え?
あまりにもあっさり交渉が成功した俺は思わず困惑した。
「あ、あの、よろしいのでしょうか?」
「あら、娘に何か問題でも?」
「いえ!レイヴェルに問題なんかありません!むしろ、俺には勿体無いぐらいで・・・。て、そうじゃなくて!」
簡単に決まりすぎて俺はテンパる。それを黒歌とフィルは笑っているが今はそれどころじゃない。
「あの、そんなあっさりと決めていいのですか?あ、もちろん、こちらとしては嬉しいのですがレイヴェルを娘さんを俺なんかに預けてもよろしいのでしょうか?」
「もちろん、貴方のことは娘から聞いています。私も夫も安心してレイヴェルを貴方に託すことができますわ」
なるほど、レイヴェルから俺の事聞いていたのか。それなら即答するにも納得できる。
「わかりました。レイヴェルは俺が責任を持って守ります。ですので、どうか安心してください」
レイヴェルの母親も父親も俺の事を信用してくれている。なら、俺もその気持ちに応えないといけない。少なくともレイヴェルのご両親が安心できるぐらいは。
俺がそう言うと、レイヴェルの母親は明るい表情となり、レイヴェルは顔が真っ赤になった。
「感謝致しますわ。それと、駿河彰さん」
「はい?」
「先ほど、レイヴェルを預かるとおっしゃいましたが私はレイヴェルを貴方に託します。そのことをお忘れなきようお願いしますね?」
「はあ?わかりました」
よくはわからないがとりあえず返事をしておいた。それを聞いたレイヴェルの母親は満足そうにうなづいていた。
「レイヴェル。あなたのすべきことはわかっていますね?リアスさんや駿河彰さんを立て、諸先輩の言うことを聞いて、その上で、駿河彰さんの仲を深めなさい。フェニックス家の娘としても、駿河彰さんの眷属としても、家の名を汚さぬよう精一杯励むのですよ?」
「もちろんですわ!」
顔を真っ赤にしながらレイヴェルは気合の入った面持ちをする。すると、突然フィルが俺の肘を突いてきた。
「わかりましたか?ショウ。女の勘はとてつもなく鋭いんですよ」
「・・・・・恐れ入ったよ」
結局、初めにフィルの言って通りあっさりと決まった。それから、レイヴェルの母親とトレードをし、正式にレイヴェルは俺の眷属になった。
「改めて、よろしくな。レイヴェル」
「はい!こちらこそ、よろしくお願い致します!」
これで、
「さて、それじゃあ行くか。京都に」
「「「はい!」」」
そうして、俺はフィルの転移用魔方陣で京都までジャンプした。
のは、いいのだが・・・・・・・・・。
俺は一呼吸して、もう一度辺りを見渡す。俺たちの周りには武器を持った妖怪たちや悪魔たちが俺達を取り囲むようにいて、殺気をこちらに向けて来ていた。
「氷血神だ!奴を殺せば名が上がるぞ!」
「我ら
なんだか、色々言われているが何故か俺の首はテロリストには大人気なそうです。ハハハ。
「フィルナ。どうしてこんなところに転移したの?直接裏京都にジャンプすればいいのに?」
「私もそのつもりでしたがどうやら何者かに妨害されているらしく目的地点がズラされたようです」
黒歌とフィルが何か言っているが二人とも平然としているところをみるとそこまで脅威な奴はいないのか?まあ、でも、ここで一気に倒せば後が楽になるか。
「はぁ、せっかくの初陣が台無しにゃ。それで、どうするの?ショウ」
「決まってるだろう。倒すぞ。俺たちはその為にここに来たのだから。俺と黒歌は前線。フィルは援護を。レイヴェルは敵の様子を見て何かあれば教えてくれ」
「仰せのままに。我が主」
「わかったにゃ」
「わかりましたわ」
フィル、黒歌、レイヴェルも俺の指示に従ってくれた。よし、なら。
「行くぞ!」
俺は神器を使わず、魔力を練り始め、朱乃の雷光をイメージする。
「朱乃直伝!雷光!」
ドォォォォォオオオオオオオオンッッ!!
朱乃程じゃないがそれなりに威力はあるな。もう少し、イメージを鮮明にすればまだ威力は上がるだろう。
「ショウ!危ない!」
フィルの声に気づき俺の後ろに妖怪が武器を振り下ろしてくるがその瞬間、フィルが放った炎の魔法が妖怪を包み込んで吹き飛ばされた。
「大丈夫ですか!?ショウ!」
「ああ、助かった!」
フィルに助けられながら俺はもう一度雷光を放つ。横目で黒歌を見ると。
「にゃはははは!」
黒歌が何人もいた。
幻術だろうけど、でも妖術や仙術で確実に敵を倒している。流石はヴァーリのところにいただけはあるか。心配は不要だったな。
ある程度、敵を倒していくと相手も焦りが見え始めてきた。
「クソ!せめて、一人だけでも・・・・・ッ!」
旧魔王派の悪魔の一人が狙いをレイヴェルに絞った。
「させるかよ!」
俺は指先に集中させ、槍のように鋭く、そして、速く。それをイメージするよう魔力を練り雷光を放つ。すると、指先から雷光が飛びだすように発射され旧魔王派の悪魔を貫いた。
「レイヴェル!無事か!?」
「大丈夫ですわ!」
よかった。でも、まだ安心は出来ない。油断せず行こう。
それから俺たちは敵を倒していくと旧魔王派も妖怪たちも撤退していくのを確認し俺たちは戦闘態勢を解除した。
「ふぅ~。全員、怪我はないか?」
「もちろんです」
「問題ないにゃ」
「ありませんわ」
とりあえず、全員怪我はないな。なら、まずは裏京都へ行き八坂さんたちと会わないと。現在の状況と敵の勢力を知っておかないと。
「ねーねー、ショウ。一つ、いいかにゃ?」
「どうした?」
「どうして神器を使わなかったの?」
「ああ、修行中。新技を使うにはどうしても魔力を上手く練る必要があるからな。いざというとき以外は魔力を使うつもりだ」
本当、アザゼル先生も変なこと思いつくよな。まあ、それはイッセーも変わらないが・・・・・。
「ふふ、それじゃあ、今夜も修行ですね、ショウ」
嬉しそうに微笑むフィル。何でお前はそんなに楽しそうなんだか。
「好きな人とのスキンシップは誰だって楽しいですよ」
「さり気なく人の心をよまないでくれよ・・・・。フィル、今度こそ裏京都行く魔方陣を作ってくれ」
「わかりました。今度はちゃんと確認しますので少々お待ちください」
フィルがもう一度転移用魔方陣を作り始めると俺はふと思った。
そういえば、ここに転移したのはフィルの魔方陣に誰かが妨害したからだったよな?なら、おかしいぞ。俺たちが京都へ行くのが決まったのは昨日、サーゼクスさんに言われてからまだ一日も経っていない。どこかで情報が漏れて、誰かがフィルの魔方陣に細工をした?いったい誰が?それに、ここに俺達が転移するのがわかっているのに何故強い奴が一人もいなかったんだ?俺達の戦い方を知る為?いや、今は情報が少なすぎる。まずは八坂さんたちと合流だ。
「出来ました。今度こそ裏京都へとジャンプできます」
そうして、俺達は今度こそ裏京都へとジャンプすると、そこに待っていたのは修学旅行の時に知り合った、九重と九重の母親、八坂さんが俺達を待っていてくれた。
「駿河殿、そしてその眷属の皆々。よくぞ来てくれた」
「ショウ!待っておったぞ!」
「お久しぶりです。八坂さん、そして、九重。元気にしていたか?」
挨拶をしながら俺は思わず九重の頭を撫でる。前も触ったが小猫ちゃんや黒歌と違った触り心地がして気持ちいいんだよな。
「もちろんじゃ!あれからちゃんと嫌いな魚も食べ、舞も上達したぞ!」
「そうか。じゃあ今度見せてくれるか?」
「う、うむ!わかったのじゃ!」
うんうん、元気一杯だな。やっぱり子供はこれぐらい元気がねえと。
「完全に九重ちゃんを虜にしていますね」
「無自覚でしてるから恐ろしいにゃん」
「もはやあれは才能の領域ですわね」
俺の後ろでフィルたちが何か言っているが一応言わせてもらうぞ。俺はロリコンじゃないからな。
「駿河殿。そろそろよろしいか?」
「あ、申し訳ありません、八坂さん」
「かまわんぞ。私も微笑ましく見させてもらった」
微笑みながら言う八坂さん。だけど、その表情はどこか疲れているように見える。それに隠しているようだが所々傷がある。恐らく他の妖怪たちと前線で戦っていたのだろう。
「此処ではなんじゃ。どこか落ち着く場所まで案内しよう」
八坂さんと九重の案内で俺たちは前に来たとき案内された屋敷へと到着した。そして、八坂さんから現在の状況を教えてもらうと敵は
「私が勝手に和平を結んだことが気に入らぬのか酒呑童子はテロリストと手を組み京の者を襲っておる。私も前線に出たが奴らを撤退させるのが精一杯であった」
そう言うと八坂さんは俺たちに頭を下げて来た。
「頼む・・・・っ!もう一度、京都を守る為に私達に力を貸してくれ。私達だけでは奴らを倒すことはできぬ」
「ショウ!私からも頼む!」
「頭を上げてください。八坂さん、九重。俺たちはその為にここに来たんですから、必ずテロリストから京都を守ってみせます」
「・・・・・すまぬ。この礼は必ず返す」
頭を上げ安堵の息を漏らす八坂さんと九重。
「駿河殿。恐らくこれからは激戦になるであろう。今の内に英気を養って疲れを取っておいてくれ。この裏京都の温泉は格別じゃ」
そうして、俺達は八坂さんの言葉に甘えるように温泉へと向かった。
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