水態の神器使い   作:ユキシア

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笑顔が見たい

Sideフィルナ

 

「ふぅ~」

 

上級悪魔へと昇格したショウの初めての任務に私はショウに眷属、女王(クイーン)として京都へ来ていました。まぁ、眷属でなくてもついて行きますが。

 

しかし、八坂さまの言うとおり、裏京都の温泉は格別ですね。これであとショウも一緒に入ってくれれば文句はなかったのですが・・・・。一応、恋人同士なのに遠慮することないですのに。まったく。

 

「ん~、いい湯にゃ~」

 

心の中で少し愚痴を言っていると黒歌さまが気持ちよさそうに温泉に浸かっていました。

 

主を殺し、はぐれとなった元はぐれ悪魔、黒歌。猫又のなかでも最も強い種族、上級妖怪、猫魈。妖術、仙術を始めとした魔力、魔法をも使いこなすウィザードタイプ。才能もあり、魔法に対する好奇心も旺盛。今現在は監視という理由が付きますがショウの戦車(ルーク)。妹である小猫さまとゆっくりとではありますが仲を取り戻そうとしております。

 

その御二人の間にはショウがいますがね。

 

スタイルはリアスさま、朱乃さまに負け劣らない。それと私の勝手な予想ではありますが恐らく近い未来、シスコンになるでしょう。小猫さま、ご愁傷様です・・・・。

 

「・・・私、人間界の温泉初めてですわ」

 

フェニックス家、息女レイヴェル・フェニックス。フェニックス家三男、ライザー・フェニックスさまの元僧侶(ビショップ)。一時期、母親の眷属ではありましたがトレードにより、今はショウの僧侶(ビショップ)。本人も不死性を持っており、戦うことよりも戦術など頭を使うサポートタイプ。スタイルは流石にリアスさまたちより劣りますが出るところはしっかり出ています。

 

いい感じにショウもハーレムルートに入っておりますね。本人は自覚ないでしょうがそれは仕方ないでしょう。ショウの鈍感さは小さい頃からなのですから。

 

「あ、あの、フィルナさま」

 

「はい?どうしました?」

 

御二人のプロフィールをまとめていると突然、レイヴェルさまが話しかけて来ました。

 

「フィルナさまはまだ幼いころのショウさまのことをご存じなのですよね?もしよろしければ教えてはいただけませんか?」

 

「あ、それは私も興味ある。フィルナ、教えて」

 

御二人とも興味津々の瞳でこちらを見て来ました。御二人ともショウのことが好きですからね。もちろん、私もですが。

 

「そうですね。一言で言えば普通の青少年ですね。明るくて、優しい普通の男の子でしたよ」

 

そう、普通の男の子。本来ならショウはそうであるべきだったのに。神器とあの男のせいでショウの人生は大きく変わった。でも、変わったおかげで今のショウがいて私がいる。複雑な気持ちですね。

 

「なるほど、それじゃあフィルナは小さい時からショウのことが好きだったの?」

 

「はい。ショウは私の初恋の人です」

 

凛と一緒に助けてくれたあの日から私はショウのことが好きになった。でも、本来なら失恋で終わっていたでしょうね。ショウの隣には凛しかいませんでしたから。あの二人の間に入ることは出来ませんでした。

 

ショウが悪魔になってよかったと喜ぶべきでしょうかね。そのおかげで私はショウの隣にいることが出来るのだから。本当に複雑です・・・。

 

「御二人もショウのことが好きですよね?」

 

「もちろんにゃ」

 

「は、はい!」

 

やっぱりそうですよね。なら、言っておいた方がいいでしょう。

 

私は魔方陣を展開して音が漏れないように防音の結界を張り御二人に言いました。

 

「御二人には先に言っておきます。私は何があってもショウのことを第一優先とさせていただきます。例え、貴女方死ぬようなことがあろうと私はショウを守ります」

 

これから先、禍の団(カオス・ブリゲート)、いえ、それ以外のことでも激戦になることは変わらないはず。それでもショウは誰かを守る為に自ら戦う道を選ぶでしょう。自分がどれだけ傷を負おうと構わず。

 

「ショウの性格は戦いには向いていません。御二人とも気づいておりますよね?」

 

「・・・・そうね。ショウは優しすぎる。あの性格は戦いには向いていない」

 

「それでもショウさまは誰かが傷付いていれば・・・」

 

「そうです。迷いなくその方を守る為戦うでしょう」

 

私はそれが怖い。誰も傷つけない、誰も見捨てない。そんなショウの優しさが、いつかショウ自身を滅ぼしてしまうかと思うと。

 

「勝手なことを言っているのは重々承知しています。それでも私は貴女方を見殺しにするということを理解していただきたいのです」

 

「・・・・わかった。でも、私は死ぬ気なんてないにゃ。もちろんショウも死なせない」

 

「わ、私もです!」

 

「・・・・・ありがとうございます」

 

理解していただけて私は内心少し安堵しましたがそれでも頭の片隅に誰かが死ぬことを想定しておかなければならない。これからの為にも・・・・。

 

「さて!暗い話はこれぐらいで終わりにしまして男湯でショウと混浴しましょう!」

 

「賛成にゃ!」

 

「い、いけませんわ!」

 

「安心してください、レイヴェルさま。今現在、男湯にはショウ以外誰もおりません。そうですよね?黒歌さま」

 

「もちろん。ショウ以外の気配は感じないにゃ。私たちがあっちに行ったら私とフィルナで結界を張るからショウ以外に裸を見られる心配はない」

 

「それにレイヴェルさまは朝にショウと一緒にシャワー浴びていたではありませんか。恥ずかしがる必要はありませんよ」

 

「・・・・・・・・・・やっぱりいけませんわ!」

 

「「少し考えましたね(にゃ)」」

 

「考えてません!」

 

むむ、これは説得に少し時間が掛かってしまいそうですね。

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sideショウ

 

「よっと」

 

俺は八坂さんの言葉に甘えて温泉で寛いでいる。フィルが一緒に入ろうとしてきたがさすがに俺以外の人も入っている可能性があるから止めさせ、俺は今、温泉に浸かりながら魔力のコントロールの修業として温泉の湯を使いいくつかの水球を作り、それを宙で自在に動かしたり、形を変えたりしていた。

 

「神器と比べると魔力のコントロールは比較的簡単だが、それでも感じが違うからまだ慣れないな」

 

魔力はイメージが主だが、俺の神器は元からある気体などあるものを集め、それを形にして技を出すから朱乃たちのように上手くいかねえな。

 

そんなことを思いながら俺は今回の事件の主犯である酒呑童子のことを思い出す。

 

酒呑童子。俺でもよく知っている妖怪だ。戦闘と酒が好きな鬼でその力は九尾と並ぶ。

 

「でも、一番の問題は禍の団(カオス・ブリゲード)だな」

 

まだ存在がはっきりしていない今回のテロ組織の首謀者。いったいどんな奴なんだ?

 

「明日になったらフィルか黒歌にでも頼んでみるか」

 

召喚魔で偵察、黒歌の仙術や妖術。俺には使い魔がまだいないから二人の力を借りないといけないな。

 

「まずは敵情視察を第一として情報を集めていかねえと。あー、(キング)って色々考えなきゃいけねえから疲れるな。こんなことなら部長さん(キング)としてのありかたでも教えてもらとっけば良かった」

 

「上に立つ者は常に下の者のことを考えなければならん。それは見事に出来てはおるぞ。駿河殿」

 

「そうなんですか?でも、部長さんに比べたら俺なんかまだ・・・・・」

 

・・・・・・・・・・・ん?

 

今、聞き覚えのある女性の声が聞こえたような・・・・いや、ここは男湯だ。暖簾も確認したし、フィルたちもいない。いやでも今の声は!

 

俺は後ろに振り返るとそこにはタオル一枚で身を隠している八坂さんがいた。

 

「や、八坂さん!?」

 

「お邪魔するぞ。駿河殿」

 

そう言いながらタオルを取り何事もないかのように俺の隣に来る八坂さん!

 

いやいやいやいやいやいやいや!!ちょっと待て!!

 

俺は目を閉じて八坂さんのほうを見ないようにしながら問いかける。

 

「八坂さん!ここは男湯ですよ!」

 

「私は気にはしない。ふむ」

 

すると、突然俺の顔を掴んでのぞきこむように見てくる。

 

「・・・・やはり、少し似ておるな。私の夫に」

 

つぶやくかのようにぽつりと言う八坂さん。

 

「夫・・・・ですか?」

 

「うむ。前に駿河殿たちが参られたときはよくは見えなかったが顔の輪郭といい、雰囲気いいよく似ておる」

 

懐かしそうに、でも、どこか悲しそうに聞こえたその声に俺は思わず訊いてしまった。

 

「夫さんはもしかして・・・」

 

「・・・・・数十年前、九重が生まれてすぐ戦死した」

 

「・・・・・申し訳ありません。言いにくい事を訊いてしまって」

 

気まずくなった俺は謝るが八坂さんは笑みを浮かばせながら俺の頭を撫でてきた。

 

「気にするでない。夫が亡くなったのももう昔のこと。ただ気になったのでここに来たまでのことだ」

 

それならここ(男湯)じゃなくてもいいじゃないですか・・・・・。

 

そう思ったが良く考えれば八坂さんは大人で九重もいる。もしかしたら子供と一緒に風呂に入る感じで来たのかもしれない。

 

なら、問題ないのか?俺的にはかなり問題だが俺が見なければ済む話だし。

 

そう結論に至り、俺は八坂さんに背を向けながら温泉に浸かっていること数分、突然八坂さんが言ってきた。

 

「駿河殿。今回の戦で酒呑童子は私に任せてはいただけないだろうか?」

 

重みのあるその言葉に俺は問いかけた。

 

「何故ですか?」

 

「奴とは昔に京都の主権を巡って戦った因縁がある。それの決着は同じ京の者である私がつけたい。それにテロリストの動きもわからん以上下手に戦力も分散も出来ん。駿河殿にはテロリストのほうを全面的に任せたいと思っておる」

 

・・・・確かに妖怪側では同じ妖怪である八坂さんたちのほうが行動も読めやすいだろうし、テロリストがいつ不穏な動きをするかわからない以上俺たちが行ったほうが効率はいいかもしれない。

 

「勝率はあるのですか?こちらの戦力は減っている以上何か対策を打たないといけません」

 

「・・・・・奴は根っからの戦好きじゃ。私が前に出れば奴も必ず出てくる。そこで奴を倒せば他の兵たちも去って行くであろう」

 

「俺が訊いているのは勝った後の事ではありません。勝てる勝率です」

 

「・・・・・・わからん。しかし、私はこの京都の妖怪たちを守らなければならん。その為なら命を懸ける覚悟は――――」

 

「ふざけるなよ」

 

八坂さんの言葉に俺は我慢出来なかった。

 

俺は八坂さんと向き合い八坂さんの両肩を掴んだ。突然のことに八坂さんは驚いているが気にしなかった。

 

「貴女と酒呑童子に因縁があるのはわかった。それを自分に手でケリをつけたい気持ちもわかるし、貴女が今の京都を愛しているのもわかる。でも、でもな!」

 

俺は真正面から八坂さんに言った。

 

「貴女には大切な娘が!九重がいるだろう!それだけじゃない!貴女の事を慕っている妖怪たちもいる!その人たちの為にも命を懸けるなんて危ないことするんじゃねえよ!」

 

「し、しかし、命を懸けなければ他に何を懸けろと言うのじゃ!?駿河殿は酒呑童子の恐ろしさを知らん!奴を倒すためには命を懸けなければこの京都を守れん!」

 

八坂さんの瞳からは強い意思の固さを俺は感じ取った。

 

「京都を束ねる者として私は奴と戦う。日は浅いとはいえ駿河殿もわかるであろう?上の者としての立場と義務。私はそれを果たさなければならん」

 

・・・・・確かに俺も上としての立場は少しはわかる。果たさなければいけないという立場と義務も。だけど。

 

拳を強く握りしめる俺に八坂さんは俺の頬を撫でてきた。

 

「駿河殿。お主は優しい人格の持ち主だとういうことはわかった。しかし、理解して欲しい。酒呑童子は奴はそれだけの強者だということを」

 

八坂さんの意思の固さは、決意は俺にはどうすることも出来ない。例え、ここで俺が何を言っても八坂さんは酒呑童子と戦うだろう。

 

「それなら俺の命も懸けてください」

 

それでも俺にも譲れないものがある。

 

「八坂さん。貴女が命を懸けても京都を守ると言うのであれば俺も命を懸けて京都を、そして、貴女も守ります」

 

「それはならん。駿河殿には一度はこの京都守っていただいた恩がある。その恩人の命までも懸けること私には出来ん」

 

「そんなもの関係ありません。貴女が、貴女の意思で命を懸けるなら。俺は俺の意思で命を懸ける。そこに貴女の意思も、恩も関係ありません」

 

「な、何故そこまでして・・・」

 

「貴女が京都を守りたいように俺にも譲れないものがあるからです」

 

俺は八坂さんの肩に手を置く。

 

「それに貴女は一人の女です。だから無茶しないでください。無茶をするのはいつだって男の役目なんですから」

 

「っ!?」

 

刹那、八坂さんの瞳から涙が流れた。それを見て慌てふためく俺だが八坂さんは首を横に振った。

 

「す、すまない。今の言葉は昔に夫が言っていたのと同じで・・・そう思うと涙が止まらなく・・・」

 

泣いている八坂さんを見て俺は八坂さんを抱きしめる。

 

「俺なんかで良ければ貴女の夫代わりにしてください。それが無理なら今だけでも、貴女の涙が収まるまででもいいですから」

 

しばらくの間、八坂さんはずっと泣いていた。多分、今まで泣けなかったんだろう。夫が亡くなって立場もあるだろうし、何より九重、実の娘の前では泣くなんて出来ないだろうからその悲しみを胸の奥にずっとしまい込んでいたんだろうな。

 

それから数分間、八坂さんは泣き続けた。

 

「す・・・すまぬ・・・・みっともないところを見せた・・・・」

 

泣き止んだときは目元を赤くしながら俺から離れ謝ってくるが俺は首を横に振った。

 

「いえ、全然かまいませんよ。誰だろうが泣きたいときはあるんですから」

 

「・・・・・本当にすまぬ」

 

「ですから謝らないでいいですよ」

 

本当に申し訳なさそうに謝ってくる八坂さんに俺は苦笑しながらそう言うと俺はそこで気づいた。お互い風呂場で、全裸だということに・・・・・!

 

風呂場で何やってんだよ!!俺は!!裸で抱き合うとか!しかも相手は人妻!いや、妖怪妻?って、そんなことはどうでもいい!俺のバカ!ちった周りを見ろよ!

 

「そ、それじゃあ俺はお先に失礼します!!」

 

俺は早足でその場から離れようとしたが八坂さんが腕を掴んできた!

 

「や・・・八坂さん?」

 

俺は恐る恐る声をかけると突然、八坂さんが後ろから抱きついてきた!

 

ああああああああああああああああああああっ!!八坂さんのおっぱいやわらけええええええええ!!って何考えてんだ俺は!朱乃たちに殺されるぞ!

 

背中からダイレクトに感じる八坂さんの胸を味わいながらもその先にある朱乃たちの死刑というなの説教+お仕置きの恐怖を感じた俺は冷や汗が流れる。

 

「・・・・・駿河殿。先ほど、お主は私の夫代わりになってもよいと申したな?」

 

「はい。と言っても俺は悪魔ですし、ずっと京都にはいませんからたまにぐらいになってしまいますけど」

 

ある意味無責任なこと言ってしまったかも。俺には朱乃たちが待っている帰るべき場所がある。それにもし、こちらへずっと居れば朱乃たちが悲しむだろうし、でも、言ったんだから責任は取らないとな。

 

そう考えていると八坂さんは小さな声で俺に訊いてきた。

 

「どうしてお主はそこまでするのだ?何故お主は自分の得にもならぬことを・・・」

 

八坂さんの言葉に俺は苦笑しながら納得した。

 

まあそうだろうな。周りから見たらそう思われるだろう。でも俺は・・・。

 

「俺は・・・・守れなかった人が・・・・幸せに出来なかった人がいます。その人が笑って暮らせるのなら、幸せになれるのなら俺はどうなろうがかまわなかった。でも、結局は守れず死なせてしまった。そして、その罪悪感と命の重さに耐えられなかった俺は死ぬことでそれから逃れようとしていたんです」

 

悪神ロキとの戦いで俺は背負わなければいけないものから逃げようとしていた。

 

「でも、仲間が皆がそんな俺を受け入れてくれた。助けてくれた。だから、俺は死んで償うんじゃない、生きて償うんじゃない。その人の分まで生きて幸せにならないといけない」

 

凛が、イッセーが、部長さんが、朱乃が皆が救ってくれた命はもう俺だけの物じゃない。

 

「皆が、笑っていてくれていて、笑顔でいてくれるのが俺の幸せです。俺は貴女と九重の笑顔が見たいんです。だから、得が無いわけじゃないんですよ」

 

俺だって悪魔なんだ。自分の欲のために動いてもいいだろう。

 

「・・・・・・・」

 

正直に自分の気持ちを話した俺に対して八坂さんは無言だったが抱き着いてくる腕の力が少し増した。

 

「ふふ、亡き夫より早く出会っておれば私はお主の妻になっておったな」

 

なんか小さい声でぶつぶつ言っているが八坂さんは抱きつきながら俺の耳元でこう言ってきた。

 

「駿河殿、いや、ショウ殿。お主の都合のよいだけでよいから夫代わりになってくれ」

 

「俺なんかで良ければ・・・ハクシュ!」

 

返事をしようとしたがくしゃみが出てきたため上手く言えなかった。

 

ずず・・・・完全に湯冷めしたな。かっこ悪い。

 

「ふふ、それでは湯に浸かり直そう。背中を洗おう。旦那様」

 

笑みを浮かべながらそう言って俺の背中を流してくれる八坂さんに俺はふと思った。

 

これ、夫代わりじゃなくて八坂さんの息子になった気分だ。

 

ちゃんと夫代わりが出来るか不安になりながらしばらくして俺は風呂場を出て、部屋に入るとそこにはフィル、黒歌がいつもと同じ笑みを浮かばせていて、二人の体から溢れ出るプレッシャーに有無言わず俺はその場で正座をして、レイヴェルはおろおろしながら俺とフィルたちを交互に見ていた。

 

「あ、あの何を怒っていらっしゃるのでしょうか?」

 

俺は勇気を出して恐る恐る訊いてみる。

 

「別に~、怒ってないにゃ」

 

「ええ、怒ってはおりませんよ」

 

黒歌とフィルははぐらかすように言ってくるがあきらかに怒っている。

 

俺が風呂に入っている間に俺、何かしたか?

 

助けを求めようと視線をレイヴェルに向けるとレイヴェルは顔を真っ赤にしながら言ってきた。

 

「あ、あの、ショウさまは貴婦人の方が好みのなでしょうか?」

 

「え、いや、何でそんなこと訊くの?」

 

「さ、先程、ショウさまが八坂さまの夫になると・・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・あ~なるほど。そういうことか。納得したよ。

 

「何か勘違いしてるようだけど夫代わりだ。八坂さんの夫になるわけじゃねえし、つーか、八坂さんにとっては夫より息子的な感じで接していたから変なことになるわけがねえじゃん」

 

まったく、何を勘違いしているのやら。だいたい俺が八坂さんの夫になれるわけねえだろ。亡くなっているとはいえ八坂さんにとっては一生の人なんだ。八坂さんだってきっと、俺の事を息子のように思っているに違いないだろう。

 

そう思っているとフィル、黒歌、レイヴェルは三人同時にため息を吐いた。

 

「フィルナ。貴女も小さい頃から苦労していたのね」

 

「いいんです・・・・もういいんですよ。慣れましたから」

 

「小猫さんたちの気持ちが痛いほどわかりましたわ。私の気持ちもいつになったら・・・・」

 

「「「はぁ~」」」

 

複雑な表情をしながら再びため息を吐くフィルたち。

 

え?何でお前らため息なんか吐いてるんだ?と訊いたら。

 

「「「貴方(ショウ)のせいです(にゃ)!!」」」

 

そう力強く言われた。

 

解せん・・・・・・・・・・。

 

Sideout

 

 

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