水態の神器使い   作:ユキシア

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婚約騒ぎ

Sideショウ

 

冥界での魔獣騒動から数日が経ち、俺―――――駿河彰はグレモリー家に訪れていた。

 

そして、俺の両隣にはいつものように上品な笑みを浮かばせているリアス部長と顔を真っ赤にし薄らと涙目のソーナ会長。そんな俺たちの前で言い争うサーゼクスさんとセラフォルーさま。

 

「セラフォルー。いくらキミと私の仲とはいえこれは譲る訳にはいかない」

 

「もうッ!せーゼクスちゃん、それは欲張りすぎるよ!」

 

「自覚はしているよ。それでも彼は私にとっても必要だからね」

 

「それなら私たちにとっても必要だもん!こっちだって譲るわけにはいかないわ!」

 

言い争う魔王さま方。

 

「・・・・セラフォルー、ここは彼に決めさせようではないか?」

 

「ええ、そうね、私もそう思っていたの」

 

妙な覇気を放ちながら二人の視線は俺の方へと向けられた。

 

「ショウくん!」

 

「ショウちゃん!」

 

俺の名を呼び、二人は同時に叫んだ。

 

「「キミはリアス(ソーナちゃん)どちらの婿になりたい(の)!?」」

 

そう、俺が部長さんとソーナ会長と一緒にグレモリー家に来ていたのは部長さんか、ソーナ会長、どちらの婿になるか。

 

どうしてこうなったんだろう・・・・・・・・。

 

あれは昨日のことだった・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔獣騒動から無事に帰還した俺たちはいつもの日常へと戻っていた。

 

そんななか、俺は目の前にある大量の書類や写真に目を通していた。

 

全ては俺の眷属になりたいという書類やお見合い写真ばかりだ・・・・・。

 

何故、こんなにも俺に送られて来たのか。

 

フィル曰く

 

「ショウはグレモリー家次期当主であるリアスさまの眷属。さらにはフェニックス家のレイヴェルさまを眷属にしています。つまり、ショウは二つの名門と深い関わりを持っています。加えて言えばショウは前例がない二段階昇格で突然上級悪魔になっておりますから身内をショウの眷属にさせたり、逆に身内に引き寄せてグレモリーとフェニックスと関わりを持つためにショウを利用しようとする輩ばかりでしょう」

 

そう説明してくれた。

 

それって俺の価値じゃないじゃん。部長さんやレイヴェルの家が凄いだけだよな?なんか悲しくなってきた・・・・。

 

「・・・・・にゃあ~」

 

俺の膝の上で甘えてくる小猫ちゃん。

 

何か帰ってきてから今まで以上に甘えてくるが、今の俺にはキミは癒しだよ、小猫ちゃん。

 

そんな小猫ちゃんの頭を撫でていると部屋の扉が開かれた。

 

「ショウさま。また新しい眷属希望の書類をお持ち致しましたわ」

 

「ありがとう、レイヴェル。そこらへんに置いといて」

 

書類の手伝いをしてくれているレイヴェルは俺の膝の上に座っている小猫ちゃんに視線を向けた。

 

「小猫さん!ショウさまはお忙しいのですからそこから離れて下さいまし!」

 

「・・・・・いや、ここは私だけの特等席。レイヴェルにもショウ先輩は渡さない」

 

迫力のある言葉をレイヴェルに言いながら更に密着するように抱き着いてくる小猫ちゃん。

 

「レイヴェル。俺は別に大丈夫だから小猫ちゃんを怒らないで上げてくれ。それからいつも手伝ってくれてありがとな」

 

抱きついてくる小猫ちゃんとレイヴェルの頭を撫でながら礼を言うと二人は顔を真っ赤にした。

 

レイヴェルは本当に気が利く良い子だ。本当に俺には勿体無いよ。

 

そんなことを思っていると俺の机から魔方陣が出現して二つのお見合い写真が送られて来た。

 

またか・・・・・・さて、今度はどこの貴族さまだ?

 

俺は二つのお見合い写真に目を通そうと写真を覗き込むと

 

「にゃ!?」

 

驚きの余り立ち上がってしまい小猫ちゃんが俺の膝の上から落ちた。

 

だけど、今の俺にはそれに気にするほどの余裕がなかった。

 

何故、この二人が・・・・いや、考えられるとしたらあの人たちしかいない。

 

「ど、どうなされましたか?ショウさま」

 

「・・・・・レイヴェル。今すぐにサーゼクスさまとサラフォルーさまに連絡を。明日の夕方に空けるようにアポ取っといてくれる?」

 

「し、しかし、魔王さま方お忙しいお方です。明日お会いすることは・・・・」

 

「大丈夫。絶対に空けれる」

 

あの二人だ。絶対にこのことを予想して明日のどこかに時間を空けているに違いない。そうでなければこれを送ってこない。

 

「わ、わかりましたわ。至急連絡してみます」

 

慌てるように部屋から出ていくレイヴェル。

 

「・・・・・・先輩。これは」

 

先程の写真を見て目を見開く小猫ちゃんに俺は神妙に頷いた。

 

何故、この二人を送ってきたかはその詳細はわからないが明日は大変なことに巻き込まれるのは確かだ。

 

うぅ、ストレスで少し胃が痛くなってきやがった・・・・・・。

 

それから俺は小猫ちゃんに仙術をかけてもらいながら寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで俺は部長さんとソーナ会長と一緒に冥界に行きグレモリー家に訪れるとそこには貴族服を着たサーゼクスさんと魔法少女のコスプレをしているセラフォルーさまがすでに到着されていた。

 

「やぁ、待っていたよ」

 

「おっひさー☆この前はお疲れさまー!」

 

いつもの優しげな笑みのサーゼクスさまとノリノリのセラフォルーさま。

 

「お兄さま、それにセラフォルーさままで。ショウ、私たちをいったいどういうこと?」

 

「そろそろ説明してはいただけませんか?」

 

サーゼクスさま方を見て説明を要求してくる部長さんとソーナ会長。

 

いつもの俺ならちゃんと説明してからついて来てもらうのだがさすがにこれはこの人たち抜きで見せることは出来ない。

 

「サーゼクスさま、セラフォルーさま。御二人ですよね?これを送ってきたのは?」

 

俺は二枚のお見合い写真を見せると部長さんとソーナ会長は目を見開き驚いていた。

 

まぁ、驚くだろうな。

 

俺が見せたお見合い写真は部長さんとソーナ会長二人の写真が貼られていたのだから。

 

「うん、そうだよ」

 

「そうでーす☆」

 

何も問題ないかのように平然と肯定する魔王さま方。それにソーナ会長が声を上げた。

 

「お姉さま!これはどういうことですか!?どうして私に一言を言わずこのような写真を!」

 

抗議するかのように声を上げるソーナ会長だがサラフォルーさまは変わらず言う。

 

「えー、ソーナちゃんはショウちゃんのこと嫌い?」

 

「・・・・・嫌いではありません。むしろ、彼の性格は好感を持っています。ですが、突然このようなことをそれも私に一言を言わないのはどういうことですか?」

 

「嫌いじゃないならOKだよね☆安心して、結婚式の会場はもう用意してあるから☆」

 

「私の話を聞いていますか!?」

 

セラフォルーさまと言い争うソーナ会長。その顔は真っ赤だった。

 

そりゃ、いきなりお見合いやら結婚式など言われたらそうだろうな。

 

「おっと、セラフォルー。すまないがショウくんにはイッセーくんと一緒にグレモリー家を継いでもらうよ。努力家のイッセーくんに真面目なショウくん。二人がいればグレモリー家は安泰だ」

 

セラフォルーさまとソーナ会長の話に横やりいれながら安心するかのように勝手に頷くサーゼクスさま。

 

いや、もう貴方にはイッセーという義弟がいるでしょうが。そりゃ俺もリアス部長のことは好きですけどそれは尊敬するという意味であって恋愛感情は持っていませんよ。それにもう部長さんにはイッセーがいるし、俺、イッセーから部長さんを寝取る趣味はありませんよ。

 

「ダメダメ!ショウちゃんはソーナちゃんとシトリー家を継いでもらうの!水と氷!相性だって抜群なんだから!それに私の義弟になってくれたら私の事も甘やかしてくれそうだし!」

 

セラフォルーさま、本音が出ていますよ。

 

「うぅ・・・」

 

会長、気持ちは痛いほどわかります。

 

「いいかい?セラフォルー。母上はショウくんのことをえらく気に入ってしまっていてね。最近ではグレイフィアまで彼のことを推薦するんだ」

 

「ダメよ!いくらおばさまが気にかけているとしてもリアスちゃんには赤龍帝くんがいるじゃない!ここはグレモリー家に赤龍帝くん、シトリー家にショウちゃん。これでどちらも安泰」

 

言い争う魔王さま方に俺はもうどうすればいいんかわからなくなった。ソーナ会長に至ってはもう涙目だ。多分、身内の恥を見せていることに泣いているのだろう。というか、部長さんはさっきから黙ってるのはどういうことだ?

 

「あの、部長さん。いいんですか?」

 

「あら、何が?」

 

「このままじゃ部長さんは俺とイッセー二人と結婚することになりますが」

 

「いいわよ」

 

・・・・・・・・・え?

 

あっさりと肯定した。

 

「確かに私はイッセーのことを愛しているわ。でも、私は貴方の事も抱かれてもいいと思えるほど好きよ。イッセーもショウも二人がグレモリー家を継いでくれるというなら私は二人と結婚してもいいわよ」

 

・・・・・そうだった。この人の気持ちは前にイッセーと喧嘩した後に知っていたんだった。本気でそうなったらこの人は俺たち二人を受け入れるだろう。

 

「さすがリーアたんだ。さぁ、サラフォルー、リーアたんは覚悟を決めたぞ」

 

「むむ・・・・ソーナちゃん!ソーナちゃんはどうなの!?この前彼氏が欲しいって言ってたでしょう!?ショウちゃんはどうなの!?見た目良し!才能良し!性格良し!これ以上にないくらい理想だよ!」

 

セラフォルーさま、俺を使ってサーゼクスさまと張り合わないでください。

 

ソーナ会長は何も言わずただ俯いたまま。

 

そりゃ、知っている間とはいえいきなり結婚とか言われたら嫌だろうな。女の子にとって結婚は大事なことなんだし。

 

だけど、二人の魔王さま方はソーナ会長の答えを待たずヒートアップしながら言い争っていた。そして、最終的に

 

「「キミはリアス(ソーナちゃん)どちたの婿になりたい(の)!?」」

 

俺に問いかけてきた。

 

まったくこの魔王さま方は・・・・・部長さんやソーナ会長が真面目な性格じゃなかったらどうなっていたのやら。でも、それはどちらも俺の事を信用してくれて大切な妹のことを考えてのことなんだろうけど。

 

どう応えるか悩んでいるとき、ソーナ会長が立ち上がった。

 

「もう耐えられません!お姉さまのバカっ!」

 

涙を流しながらこの場を走り去っていった。

 

「ソーナ会長!」

 

「ソーナ!」

 

俺と部長さんは思わず追いかけてしまう。しばらく走っているとやっとソーナ会長の動きが止まった。

 

「ソーナ、大丈夫?」

 

部長さんが優しくソーナ会長に声をかける。

 

「・・・・・すみません。身内が恥ずかしいところをお見せして」

 

涙声で謝ってきた。

 

いや、悪いのはソーナ会長でなくあの魔王さま方なんだけど。

 

「駿河くんもごめんなさい。突然結婚とか言われても迷惑ですよね・・・・」

 

「いえ、驚きはしましたが迷惑とは思ってませんよ」

 

本当に驚きはしたけど・・・・。

 

「それに私なんかとは嫌ですよね」

 

「え、何でですか?」

 

自虐するかのように言うソーナ会長に俺は思わず問いかけてしまった。

 

「・・・・私はリアス程スタイルがよくありません。それに堅物で融通も利かない。私は家柄だけが取り柄のつまらない女です」

 

「そんなことないわ。貴女はとっても可愛いわよ、ソーナ」

 

「そうですよ。それに俺はソーナ会長の事好きですよ」

 

「「え?」」

 

「あ、先輩として」

 

驚く二人に俺は訂正を加える。

 

「俺はソーナ会長のこと尊敬しています。もし、本当に家柄だけが取り柄の人だったら冥界に学校を建てるなんて立派な夢を持たないはずですよ。自分の夢を叶えるために努力している真剣さは俺たちはよく知っています。匙たちも本気でその夢を叶えようとしている。それはソーナ会長の事が好きだから、慕っているからだと俺は思います」

 

少なくとも匙は本気でソーナ会長のことが好きだし、ソーナ会長の夢を自分の夢のように語っている。

 

「ソーナ会長。貴女は自分の事を悪く言うのならそれは間違いだと俺は言います。ソーナ会長はリアス部長とは別の方向性で可愛いですし、堅物なのは誰よりも物事に真剣で真面目だから。だから自分の事を悪く言う必要はありませんよ」

 

正直は気持ちを話すとソーナ会長は涙を流しながら部長さんに抱きついていた。

 

「ショウ、狙って言ってる?」

 

「え、何をですが?といか俺、もしかして会長を傷つけてしまいましたか?」

 

励ますつもりがどうしてこうなった・・・・っ!?どうしよう・・・・なんて謝れば・・・。

 

「大丈夫よ。傷ついてはないわ。でも責任は取ったほうがいいかもね。ソーナも朱乃たちのも」

 

責任・・・・いったい何の責任ですか?しかも朱乃たちのも・・・・いったいどうすればいいんだ・・・・。

 

それからしばらくの間はソーナ会長は泣き、俺は慌てふためき、部長さんは笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ありがとう、リアス。もう大丈夫です」

 

気持ちが落ち着いたソーナ会長は部長さんから離れて俺に頭を下げて来た。

 

「駿河くん・・・・・いえ、ショウくんでいいかしら?ありがとう」

 

「いえ、それより先程の結婚などの件はやっぱり白紙に戻したほうがいいですよね」

 

部長さんにはイッセーがいるんだし、ソーナ会長のことを慕っている匙のことを考えればそれが一番ベストだろう。それに俺は相手をしたくないぞ。嫉妬で怒り狂った龍王と天龍を。

 

「いえ、白紙には戻しません」

 

しかし、ソーナ会長に俺の案は否定された。

 

「ですが、私もショウくんもお互いの事を殆ど知りません。ですので私の婚約者候補になってはいただけませんでしょうか?」

 

ああ、なるほど、そっちのほうがあの魔王さま方も納得できそうだな。でも・・・。

 

「俺なんかでいいんですか?ソーナ会長ならいい相手を見つけられるでしょう。俺は貴族社会についてあんまり知りませんが純血やら家柄を大事にしないといけないんではありませんでしたっけ?」

 

まぁ、ライザーの時はイッセーと一緒にそれをぶち壊したけど。

 

「そうね、ですから自分で見つけました」

 

小さく笑みを浮かばせるソーナ会長。

 

「それでどうするの?イッセーと一緒に私と結婚する?それともソーナの婚約者候補になる?」

 

そんなイタズラな笑みを浮かべないでくださいよ、部長さん。

 

それにしてもどうするか。ありがたいけど俺には朱乃たちもいるし、まぁ、でも候補なら朱乃たちも許してくれるだろう。それにいずれ匙が本当の婚約者になれば問題もないだろう。

 

「わかりました。僭越ながらソーナ会長の婚約者候補にならせていただきます」

 

「ありがとう。それと、プライベートの時は私の事をソーナと名前で呼んで。敬語もなしでいいわ」

 

「わかったよ、ソーナ」

 

そうして俺はシトリー家次期当主であるソーナの婚約者候補になった。

 

その後日、その事を嗅ぎ付けた龍王と天龍が怒り狂ったのは言うまでもなかった。

 

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