水態の神器使い   作:ユキシア

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騎士の誕生

Sideショウ

 

魔獣騒動が終えてから、俺――――駿河彰とグレモリー眷属、シトリー眷属、俺の眷属たちはいつもの日常を満喫していた。

 

いや、俺は毎日山のような眷属希望とお見合い写真に目を通して最近寝不足になって疲労がハンパないがそれでも戦いがないだけまだいい。

 

そんな俺だが今はいつものオカルト研究部の部室にて部長さんと向かい合いチェスで真剣勝負をしている。

 

その理由は部長さんの騎士(ナイト)のトレード。

 

もちろん、俺が選ぶのはゼノヴィア。

 

別にゼノヴィアから頼まれたわけではない。俺にはゼノヴィアが傍にいて欲しいと願っているだけ。だから俺は部長さんとトレードを申し込んだ。

 

それを聞いた部長さんを始めその場にいる朱乃たちも目を見開き驚いていたが、部長さんはすぐにいつもの笑みに戻りこう言った。

 

『私とチェスで勝負なさい。勝てばゼノヴィアは貴方の騎士(ナイト)よ』

 

今までゼノヴィアはグレモリー眷属の騎士(ナイト)として部長さんに貢献してきた。そう簡単に譲れるものではないというのは俺も重々承知していた。

 

それでも俺はどんな厳しい条件でも飲むつもりだった。それだけゼノヴィアは俺にとって大きな存在だからだ。

 

チェスの七番勝負。六戦中三勝三敗で今は最後の勝負を俺は皆に見守られながら頭を働かせる。

 

負けられない。そう思いながらも俺は必死に頭を働かせて指を動かす。そして、ついに――――

 

「チェックメイトです」

 

「ええ、私の負けよ」

 

俺は何とか部長さんに勝つことが出来た。

 

「ショウ!」

 

「ああ、何とか勝てたよ」

 

抱きついてくるゼノヴィアの頭を撫でながら俺は部長さんに目を向ける。

 

「これでゼノヴィアは貴方の騎士(ナイト)よ。言わなくてもいいでしょうけど、ゼノヴィアのことお願いね」

 

「もちろんです」

 

こうして無事に部長さんとトレードをしてゼノヴィアは俺の騎士(ナイト)になった。

 

「はぁーーーーーー、見てるこっちが緊張しちまった」

 

「はい、リアスお姉さまもショウさんもとても真剣でした」

 

大きく息を吐いて汗をぬぐうイッセーと安堵するアーシア。

 

「リアス部長。本当によろしかったのですか?せっかく揃った眷属を」

 

「いいのよ。ショウなら安心してゼノヴィアを任せられるし、ゼノヴィアも私よりショウの方がいいでしょう」

 

木場は本当に良かったのかと部長さんに訊いていたが部長さんは迷いなくそう言ってくれた。

 

「うふふ、それでは私はお茶を淹れて来ますわね」

 

「私もお手伝いします」

 

朱乃はお茶を淹れて行き、レイヴェルはその手伝いを。

 

「・・・・・・・」

 

小猫ちゃんはいつものように俺の膝の上に。

 

「ゼノヴィア!これで駿河くんとっずっと一緒ね!良かったわ!」

 

「ああ、ショウの騎士(ナイト)としてこれからも頑張るぞ!」

 

喜び合うイリナとゼノヴィア。

 

「これで残りの駒は騎士(ナイト)一つ、僧侶(ビショップ)一つ、戦車(ルーク)一つ、兵士(ポーン)八つ。ゲームをすると想定するならテクニックタイプと回復は必要になりますね」

 

フィルはゲームでの戦術のことを考え、今後に備えていた。

 

俺も色々考えているけど今は素直に喜ぼう。

 

「ゼノヴィア。今後ともよろしくな」

 

「ああ、私はキミと剣となってこれからも一緒に歩もうではないか」

 

手を握り合う俺とゼノヴィア。

 

だが、突然、オカルト研究部のドアが開いた。皆が視線をドアのほうに向けるとそこにはソーナと真羅副会長が入口にいた。

 

「どうしたの?ソーナ。何かあったのかしら?」

 

「・・・・突然ごめんなさい。ショウくんはいますか?」

 

「俺でしたらここにいますが」

 

俺の方に視線を向けるとソーナが真剣な表情で言ってきた。

 

「大至急、リアスと共に生徒会室に来てください。貴方に客人が来ています」

 

俺と部長さんは目を合わせ首を傾げながらもソーナの言うとおり、生徒会室へと足を運ぶ。

 

客人ってソーナが言っていたけどいったい誰だ?心当たりが全くないんだが・・・・。

 

「ここです」

 

ソーナは生徒会室のドアを開けると中にはソーナと真羅副会長以外の生徒会のメンバーが揃っていているが何故か妙な空気になっていた。そして、生徒会メンバーの視線の先には・・・・。

 

死神(グリム・リッパー)・・・」

 

中学生ぐらいの深い紫色の長髪と金の瞳をした死神(グリム・リッパー)がソファで茶を飲んでいた。

 

俺も部長さんも一瞬臨戦態勢を取ろうとしたがソーナが手で制した。

 

「気持ちはわかりますが、彼女は敵ではありません」

 

「これはどういうこと?ソーナ。もしかしてショウの客人が彼女だとでも言うの?」

 

部長さんの言葉からは少なからずの怒気が含まれている。

 

イッセーたちの中級悪魔昇格試験の時に大量の死神と戦ったんだ。部長さんやイッセーたちにとって警戒するなというのが無理な話だ。

 

俺もハーデスにとんでもないことを言ってしまっているし、まさかしかしとばかり何らかの宣戦布告でもしに来たのか?いや、それなら何であんなに寛いでいるんだ?

 

「そのとおりです、リアス。ですが、先程も言ったように彼女は敵ではありません。ショウくん、どうか話だけでも聞いてはいただけないでしょうか?」

 

「ソーナの頼みというなら・・・・わかった」

 

俺は一応警戒しながら死神(グリム・リッパー)である彼女に近づくと彼女も俺の存在に気づいた。

 

《アイスナイトの旦那ではありませんか。来てくださったんすね》

 

俺を見て無邪気に近い笑みを浮かべる彼女を見て俺はますます彼女の目的がわからなくなった。

 

《あっしはベンニーアと申します。・・・・見ての通り死神(グリム・リッパー)であります》

 

「駿河彰だ」

 

頭を下げて挨拶してくるベンニーアに俺は簡潔に挨拶して本題に入る。

 

「突然で悪いけど、何が目的でここに?ハーデスに何か伝言でも頼まれたのか?それともスパイ?」

 

「ちょっと、ショウ!?」

 

すみません、部長さん。本来なら遠回しで目的などを聞くのが定石でしょうけどあえて俺は単刀直入に訊きます。正直俺も死神(グリム・リッパー)にはいい印象は持っていない。

 

《ハーデスさまのやり方についていけなくなったのでこっちに寝返ることにしやした。あっしを眷属にしてみませんかね?》

 

「・・・・はい?」

 

予想外の答えに俺も恐らく部長さんも口がぽかーんと空いているだろう。

 

いやいやいや、待て待て待て。落ち着くんだ。

 

「一応、その理由を聞いていいか?どうしてハーデスのやり方についていけなくなったんだ?」

 

その問いかけにベンニーアはあっさりと答えてくれた。前にイッセーたちの中級悪魔昇格試験の件もベンニーアは気に入らないらしく、家を飛び出して来たらしい。

 

何というか、うん、死神も色々大変なんだな・・・・・・。

 

それでも、まだスパイではないという保証もない。あのハーデスが何をたくらんでいるのかはわからない。まぁ、こんな大胆なスパイなんていないだろうが。

 

《信用・・・ならないすっか?》

 

「正直に言えばその通りだ。何か俺たちを信用してもいいというのはないか?」

 

《ありやすぜ》

 

ベンニーアがマントの裏を見せてくれるとそこにはおっぱいドラゴンの刺繍があった。

 

《あっし、おっぱいドラゴンのファンなんですぜ》

 

「うん、信用出来るわ」

 

もうこれだけで信用に値するわ。いくら死神でもイッセーのファンなら信用も出来る。

 

「わかった。ベンニーア、俺はお前を信用する。だけど、どうして俺の眷属になりたいんだ?確かに俺は上級悪魔だし、騎士(ナイト)の駒も余ってるけどここにはリアス部長とソーナも上級悪魔で丁度二人とも騎士(ナイト)の駒がある。それかイッセーが上級悪魔になった時に眷属にしてもらえばいいんじゃないか?そう遠くない未来じゃないと思うぞ?」

 

ファンならイッセーの騎士(ナイト)になったほうがいいと思うんだが。イッセーもベンニーアのような美少女なら喜んで受け入れると思うんだが。

 

《それもいいんすが、あっしはアイスナイトの旦那の眷属になりたいんですよ》

 

「どうして?」

 

いくら二段階昇格したとはいえ俺は転生悪魔だ。俺なんかより純血の部長さんやソーナの眷属になったほうがなんらか優遇はされるとは思うんだけどな。俺も部長さんから土地を貰ったり、他にも色々面倒をみて貰っているし。

 

《あっし、アイスナイトの旦那に一目惚れしたからです》

 

頬を赤くさせながら告げるベンニーア。

 

ああ、俺に一目惚れしたのね。なるほど、納得・・・・・・・。

 

「はぁぁぁああああああああああああああああああああああああっっ!!」

 

思わず大声で叫んでしまう俺だが、何故か俺以外は冷静というか『ああ~やっぱり』みたいな感じに呆れていた。あ、フリーズしている匙を除いて。

 

《ハーデスさまに堂々と怒鳴る旦那を見てあっしのハートは射抜かれましたぜ。危うく凍らされそうになりやしたが》

 

あの場にいたのか!?まったく気づかなかったぞ!いや、俺もそうだけどアザゼル先生やサーゼクスさんもデュリオさんも皆ハーデスに注視していた。そうしなければ危ないのはこちらだったからな。

 

「ショウ、貴方が冥界に行っていたのは知っていたけどそんな危険なことをしていたのね」

 

「なるほど。ですから彼女がショウくんの眷属になりたいと言って来たのですね」

 

困り顔で額に手を当てる部長さんとベンニーアがここに来たことに納得するソーナ。

 

「駿河くん、とうとう死神にまで惚れさせちゃったのね」

 

「これが魅了(チャーム)の力を持つ駿河先輩なんですね。このまま会長堕ちとしてくれれば」

 

おぉぉぉぉい!花戒さん!仁村さん!何言ってんの!?というか何だよ魅了(チャーム)って!俺はイッセーが欲しがるようなもんは持ってねえ!後本音が出てるからな!

 

心の中で荒れている俺に巡さんが言ってきた。

 

(駿河。キミは気づいていないのかい?キミは学園では特に一年生は木場より人気があるんだ)

 

(マジで!?)

 

(大マジだ。正直私もキミが魔力でそういう風に使っているのかと疑うぐらいだぞ。まぁ、すぐにそういう奴ではないとわかったが)

 

マジかよ・・・・。俺は別にそんなつもりはなかったんだが・・・・・。

 

巡さんが俺の肩に手を置いて言う。

 

(キミの人望だと思えばいいと私は思うよ。あ、私は年下が好きだから)

 

はいはい・・・・・。

 

「それでどうするの?彼女を眷属にするの?」

 

話を戻してくれる部長さん。

 

「・・・・・そうですね。特にこだわりなどありませんし、駒一つで足りるなら」

 

「ですが、ショウくんには数多の眷属希望がいるのではありませんでしたか?」

 

「ああ、確かにそうですけど。やっぱり、書類なんかより直接会って自分の目で確かめてから眷属になって欲しい。俺が(キング)で相応しいかどうかを」

 

眷属同士でいざこざなんかあってほしくないし、ちゃんと仲間として一緒にいたい。なにより俺の下僕というのには変わりないんだからちゃんと見極めてからなってもらわないと。後で後悔なんかしてほしくない。

 

「ベンニーア。確認の為に訊くけど、本当にいいんだな?」

 

《もちろんですぜ》

 

即答か。まぁ、下手に悩んでから決めてもらうよりかはいいか。

 

そうして、ゼノヴィアに続いて俺の新たな騎士(ナイト)、ベンニーアが眷属になってくれた。

 

「まだまだ駆け出しの上級悪魔だけどよろしくな、ベンニーア」

 

《イエッサー。了解ですぜ、マスター》

 

Sideout

 

 

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