Sideショウ
温かい・・・・・・。
全身の主に顔が妙に温かくて柔らかくて和むように落ち着く気持ちになってしまう・・・。
気持ちいいな・・・・・・。
そう思いながら俺は目を開ける。
「・・・・朱乃?」
目を開けると朱乃が俺を抱きしめるように眠っていた。
制服姿・・・・ということは俺はあの時また寝てしまったのか・・・・。
朱乃が学園から帰宅後に朱乃は優しく俺を抱きしめて甘えさせてくれた。
その時に俺はまた寝ていたのか・・・もしかして朱乃はずっと傍にいてくれたのか?
よく見たら朱乃が着ている制服にシワが出来ていた。間違いなく朱乃はずっと傍にいてくれた。
優しく抱きしめてくれて甘やかしてくれた。俺が寝ているにも関わらず・・・・。
俺は朱乃が起きないように優しく髪を撫でる。
「本当に俺には勿体無い女だよ・・・・朱乃」
こんな俺を優しくしてくれる、笑顔を見せてくれる、好きでいてくれる、愛してくれる、一晩中抱きしめてくれる。
本当に俺には勿体無いぐらいいい女だ。
『誰かを失いたくないという恐怖心がキミを動かしているにすぎない』
不意に冥界で戦った曹操の言葉が俺の頭を過ぎった。
曹操の言っていた言葉は正しいのかもしれない。万が一に仲間が朱乃が死ぬようなことがあれば俺はどうなってしまうんだ・・・・いや、そうならない為にも俺は皆と一緒に強くなっていけばいいんだ。イッセーはイッセーのように俺は俺のように強くなってみせる。
「んっ・・・」
決意を決めていると朱乃がより一層強く俺を抱きしめてくれるのを見て俺は苦笑する。
そうだな、今はこんなこと考えている時じゃないよな。
時計を見るといつもの起きる時間に来ていた為俺は朱乃を起こそうとした。
たまには俺からキスしてもいいよな・・・?
キスはいつも朱乃のほうからしてくれるけどたまには俺からキスしてもいいよな。
少しテレながら俺は顔を近づけて朱乃の唇に軽くキスをしようと近づける。
あと少しでキスしようとするとき、ドアから物音が聞こえて振り返るとドアの隙間からフィルたちがこちらに視線を向けていた。
って何覗いてんだよ!?お前ら!?
『どうぞ、お気になさらず』
ドアの隙間からそう書かれた紙を見せてくるフィル。
気にするわ!?
『続けてください』
続けられるか!?
『いっそその先・・・ギリギリまでなら』
するか!?
朱乃を起こさないようにツッコミたい気持ちを抑えながら心で叫ぶ。
「残念ですわ。あと少しでしたのに」
「って、起きてたのかよ!?」
「はい」
イタズラ笑みを浮かばせながらと起き上がる朱乃に俺はさっきまで自分がしようとしたことに顔を真っ赤にしながら数分間悶えていた。
「「喰らえ!リア充!!」」
「・・・・いきなりなんだよ」
風邪が治って登校できるようになり、その昼休み早々に松田と元浜が殴ってきたが軽く躱して半目で二人を見る。
「うるせぇ!この抑えきれない嫉妬を元凶へぶつけたいだけだ!」
怒りで拳を震わせながら詰め寄ってくる松田。
「いや、お前らが嫉妬で狂うのはいつものことじゃないか」
モテない松田と元浜が俺やイッセーに嫉妬で殴ってくるのはいつものことだけど、いい加減に慣れてくれよ。
「アレを見て抑えきれるものか!?」
元浜が指した方向には一人の女子生徒が教室の前に立って誰かを探していた。俺と目が合うと手招きされてその女子生徒に会いに行く。
「駿河先輩。病気はもう大丈夫なのですか?」
「ん?ああ、平気だよ。元々たいしたことなかったからすぐに治ったよ。心配してくれてありがとう」
「い、いえ・・・駿河先輩が無事なら私はそれで・・・」
「それでも心配してくれるだけでも俺は嬉しいよ。ありがとう」
「は、はい。それでは私はこれで・・・」
早足で去って行った後輩。顔が妙に赤かったけどあの子の方が風邪を引いているんじゃないか?
というか、今日尋ねてくる女子ほぼ全員顔を赤くして去って行っているような気がするな。
そんなことを思いながら自分に机に戻ろうとする。
「「やっぱり喰らえ!モテない男の怒りを!!」」
再び襲いかかって松田と元浜の攻撃を再び俺は避ける。
「避けるな!」
「そうだ!受け止めろ!俺たちの怒りを!」
「嫌に決まってるだろ」
悪魔になって鍛えたり、戦ったりして痛いのには慣れているけど痛いものは痛いから喰らいたくない。
「だいたい何が怒りだよ。ただ風邪で寝ていた俺を心配に来てくれただけじゃねえか」
優しい人たちばかりだな、この学園は・・・・それと同じぐらい変態も多いが。
「ああ、だよな、お前はそういう奴だったな」
「ああ、忘れていたがそういう奴だったな」
松田と元浜は何故か呆れたかのようにため息を吐きながら自分の席に戻った。
いや、そういう奴ってどういう奴だよ。
そう問いかけようとしたがフィルが俺の肩に手を置いてきた。
「いいんですよ、これ以上ライバルが増える可能性を摘んでおきたいですから気づかないでくださいね」
意味深なことを言うフィルに俺は首を傾げる。
いったいどういうことなんだ?
しかし、誰もその疑問に答えてはくれなかった。
「それで聞いてよ!その上司がさ!私のお尻を触りながら『キミいいお尻しているね』なんてセクハラ発言してくるのよ!ホンット腹が立つわ!」
「確かにそれは酷いですね」
悪魔稼業の時間。俺は一人の若いOLの女性に呼ばれて酒に付き合いながら愚痴を聞いていた。
俺の仕事は主に愚痴を聞くだけ。そういう人ばかり呼ばれるけどイッセーみたいな変人の人たちよりマシだとは思ってる。
このお姉さんは俺のお得意様で俺を呼んでは酒を飲みながらセクハラ上司の愚痴を盛大にぶちまけていた。
「もうブラックよ!あそこの会社はブラック企業なのよ!給料は低いわ!残業手当も低いわ!せめてもっと給料よくしなさいよ!そう思わない!?悪魔くん!」
「そうですね。流石にそこで働きたいとは思えないですね」
「でしょう!もう嫌になるばかりで・・・・」
テーブルに倒れるお姉さん。今日はいつもより酷いぐらいに荒れている。
「それでも、辞めないお姉さんは心が強い人だと俺は思いますよ。普通の人ならそんなところすぐに辞めるでしょうけど、上司のセクハラにも根気強く耐えて仕事に頑張っているお姉さんは立派だと俺は思います」
「うぅ、悪魔くんだけどよ~そういうこと言ってくれるの」
慰めにもならないけど励ましの言葉を言う俺にお姉さんは起き上がって涙を流す。
「冷蔵庫にある食材少し使いますね。頑張っているお得意様に些細ながらサービスさせていただきます」
「やった!悪魔くんの手料理が食べれる!」
酔っているせいかあっという間にご機嫌になるお姉さんに俺は冷蔵庫にある食材を使って簡単な料理を作ってお姉さんに振る舞う。
就職するとき、しっかりのその企業の事調べておかないとな・・・・。
料理を作りながらしみじみと社会の厳しさと大変さを知った俺だった。
そして、お姉さんに料理を振る舞った後お姉さんが就寝する前に依頼料として五千円分の商品券を貰った。
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「戻りましたわ」
「帰ったぞ」
「・・・・戻りました」
「ただいま戻りましたわ」
「帰りました」
俺、フィル、朱乃、ゼノヴィア、小猫ちゃん、レイヴェル、ロスヴァイセさんは悪魔の仕事を終えて自宅へと帰ってきた。
「おかえりにゃ」
《お帰りなさいっす》
リビングで寛いでいる黒歌とベンニーア。黒歌はソファから起き上がって小猫ちゃんに抱き着こうとしたが小猫ちゃんは身を逸らして黒歌のハグを避けた。
「何で避けるにゃ?白音」
「・・・・帰るたびに抱き着くのはやめてください、姉さま」
「白音に嫌われた・・・ショウ、慰めて欲しいにゃ」
全然ショックを受けていないに俺に抱き着いてくる黒歌。
く・・・黒歌め、ワザと足を絡めてくるな、胸を押し付けてくるなよ・・・・。
妖艶な笑みを浮かばせながら抱き着いてくる黒歌を小猫ちゃんは無理矢理引きはがして黒歌を引きづりながらどこかに行ってしまった。
「・・・・・姉さま、ちょっとお話があります」
「にゃ!?し、白音。顔が怖いわよ。ほら、笑顔笑顔」
無表情ながら迫力のある表情に黒歌は顔を引きつかせながら笑みを浮かばせるが小猫ちゃんには通用せず、そのまま部屋へと連れて行かれた。
黒歌、成仏してくれ。
部屋に向かって手を合わせて俺は荷物を置いて着替えると台所へ行き今日の夕飯を作る。
「ショウさま、お手伝いしますわ」
《マスター、あっしも手伝いますぜ》
「ありがとう。それじゃ作るか」
レイヴェルとベンニーアたちと一緒に夕飯を談話しながら夕飯を作る。その間に朱乃たちは風呂を出したり、食器を並べたりしてくれている。ゼノヴィアは帰って早々外で素振りをしている。
夕飯が終えると一回イッセーの家にあるトレーニングルームに集まり、それぞれの修行を始める。
「よっしゃ!行くぞ!」
「ああ、来い!」
「僕も行かせてもらうよ!」
イッセー、俺、木場は三つ巴で模擬戦を行う。鎧姿のイッセーはパワーで攻めて、俺は氷などを使い中距離を保ちならウィザードタイプのように戦い、木場は聖魔剣、今は新しく手に入れて魔剣を使って模擬戦に参加している。
一対一、一対二など色んな方向からも模擬戦を行って互いに気づいたことを指摘し合っていく。
他にも自分の神器について深く知ろうとしたりなどあるが、主に男子組は模擬戦ばかり行い、これにゼノヴィアやイリナも参戦したりする。
その後、ミーティングなども行って俺たちは自宅に戻ってそれぞれやりたいことをする。
「ショウ」
「どうした?朱乃」
後ろから抱きついてくる朱乃。
「いいえ、なんでもありませんわ」
「そうか」
肩から顔を覗かせてくる朱乃の頭を撫でる。
「朱乃。昨日はありがとう」
「うふふ、いつでも甘えてくださいね」
「ああ」
愛してるよ、朱乃。これからもずっと傍にいてくれ。
心の中で俺は静かにそうつぶやく。
そうして俺たちは眠りについた。
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