水態の神器使い   作:ユキシア

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二人の王

sideショウ

 

俺と部長さんは悪魔の仕事でとある町で起きた謎の霧の正体を突き止めて何とかしてほしいという依頼が来た。

何でも突然その霧は発生してその霧に触れた人は次々凶暴化し、手が付けれなくなっていた。そこで上級悪魔である俺と部長さんに白羽の矢が立った。

 

「それにしても深い霧ですね、部長さん」

 

「そうね」

 

前が見えないぐらい深い霧の中を神器の力で水の結界を張りながら俺と部長さんは調査を行っていた。

この霧は初めて黒歌と会った時の毒霧に似ている。誰かが何らかの目的でこの霧を生み出したのじゃないのかと思ったが部長さんが首を横に振り否定した。

 

「もしそうならいったいなんの為に霧を発生させたのかわからないわ。それにこんな霧を張っていたらいずれ私達みたいに調査に来るはずよ」

 

「なるほど。なら、これは自然災害に類なんですかね?」

 

「それを調査するのが私たちの仕事よ」

 

その通りです。と肯定しながら俺と部長さんは霧の奥へと歩む。

しかし、この霧はいったい何なんだ?毒霧なのは間違いないのだけど。

もしかして禍の団(カオス・ブリゲード)の仕業・・・いや、なにがなんでもテロリストの性にするのはよくないな。

 

「ところで、ショウ。話は変わるのだけど」

 

「はい?」

 

「どうしてリアスから部長さんに戻っているのかしら?」

 

「え、いや・・・そりゃ・・・」

 

何故か不服そうに言う部長さんに俺は言葉を濁らすと部長さんがまるで拗ねる子供のように頬を膨らませていた。

 

「私を一晩抱きしめてくれた時はリアスって呼んでくれて私は嬉しかったのよ。でも、すぐにいつもの部長さんに戻るから少し傷ついたわ」

 

そ、そんなにですか・・・。いや、でも呼べないでしょう?

 

「今、部長さんをリアスと呼んでいいのはイッセーだけです。そしてリアス部長の恋人はイッセーです。だから呼ばないだけですよ」

 

「でも、貴方は私の気持ちを知っているでしょう?」

 

知っていますよ。部長さんが俺のことを好きだということは。

でも、だからと言ってこれとそれとは話が違うし、俺には朱乃達がいる。

 

「知っているからこそ線引きはしないといけません。部長さんが俺のことを好いてくれるのは嬉しいですし、俺も部長さんのことが好きです。ですが、互いにそれ以上の関係にはなれないのは部長さんもわかっているでしょう?」

 

「それはそうだけど・・・・なんか不服だわ」

 

口を尖らせ如何にも私不服ですと顔に出す部長さん。

だけど、俺は部長さんの気持ちを知っているからこそそうしないといけない。

万が一のことがあったら傷つくのは俺と部長さんだけじゃすまなくなる。

第一、部長さんとそういう関係になってしまったら浮気になってしまう。

俺は浮気はしないぞ。朱乃のお仕置き受けたくないんだから!

 

「はぁ~、貴方って本当に頑固ね。それとも朱乃の教育がいいのかしら?」

 

何ですか?教育って。俺は別に朱乃達に何かを教わったことはないぞ。

ただ、時々学園での女性関係に洗いざらい喋らされるだけだぞ。

どう関わったのかを笑顔で指からビリビリと音を立てながら問いかけてくるだけだぞ。

俺は何もしていないからな。

部長さんは息を吐いて俺の前に指を立てる。

 

「それじゃあ、二人きりの時だけ私のことをリアスって呼んでちょうだい。それならいいでしょう?」

 

「何がいいんですか?例え俺が部長さんのことを名前で呼ぶようになってもリアスさんと呼びますよ。部長さんは俺より年上なんですから」

 

「・・・・・朱乃やソーナは呼び捨てなのに」

 

そっぽを向いて拗ねる部長さんに俺はやれやれと肩を竦める。

そりゃ、朱乃は恋人同士だし、ソーナとは一応婚約者候補になっているし本人の希望でもあるから呼び捨てにしているだけでさん付けがいいのなら俺は普通にさん付けするぞ。

 

「拗ねないでください、部長さん。俺を好いてくれる気持ちも名前も呼んで欲しい気持ちもわかっていますがこれも俺や部長さんだけじゃなく、イッセーたちの為でもあるんですから。多少は我慢してください」

 

「む~」

 

「可愛らしく膨れても駄目です」

 

本当に可愛いけど、駄目なものは駄目です。

 

「ほら、まだ調査は終わってないんですから行きますよ」

 

「・・・・・いつか言わせてみせるんだから」

 

どうやら部長さんは諦めてくれなかったようです。

ご機嫌斜めの部長さんと一緒に霧の奥へと足を運ぶがコレといったものは何も発見できず調査は行き詰まり始めていた。

行き詰まり始めていた時、部長さんの手元から魔法陣が出現してそこから部長さんの使い魔であるコウモリがジャンプしてきた。

 

「なるほど。ありがとう」

 

コウモリは姿を消えると部長さんがコウモリが集めて来てくれた情報を教えてくれた。

部長さんのコウモリは霧の外周辺を調査しているとあることが判明した。

それはこの霧はドーム状に発生していて結界のようになっている。

なら、霧の中心部が怪しいと睨んだ俺と部長さんは何とか霧の中心を目指して動く。

深い霧で視界が悪いが俺の神器で作った氷動物たちに霧の範囲を調べてだいたいの大きさと現在の位置を計算して中心部へと向かう。

そして、その中心部であろう場所に俺と部長さんはたどり着いた。

 

「ここがその中心部ね」

 

「そのようですね」

 

俺と部長さんが睨んだ中心部は湖があった。その湖からブクブクと泡が出てきてそこから霧のようなものを生成していた。

ここで間違いないだろう。見たところ原因は湖の中のようだし俺が行くしかないか。

 

「部長さん。湖の中を調べてきます。しばらくの間結界を張っていてください」

 

「いいえ、その必要はなさそうよ」

 

紅いオーラを全身に迸らせる部長さんの視線の先には赤く怪しく光る二つの光。

 

「ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

魔物の咆哮。そして、霧が薄れてその咆哮の魔物の全体を見渡すことが出来た。

細長く全身が蛇の鱗のように覆われて龍の顔をした魔物。そして、鱗で覆われた所々に穴がありそこから霧のようなものが出ていた。

間違いなくこいつが霧の発生源なのだろう。なら、倒すしかないな。

俺はすぐに禁手(バランス・ブレイカー)になり、戦闘態勢に入る。

 

「ガァッ!」

 

魔物の口から水の砲弾が俺と部長さん目がけて発射されたが俺はそれを難なく防ぐ。

水関係なら相当な威力でない限り俺には通用しない。

まぁ、今はイッセーのドラゴンブラスターでも防げる自信はあるけど。

そんな呑気なことを考えていると魔物は今度は俺と部長さん目がけて突進してきた。

 

「喰らいなさい!」

 

だけど、突進してくる魔物に対して部長さんの滅びの魔力が炸裂。

 

「ギャアアアアアアアアアアッ!!」

 

悲鳴を上げる魔物。だけど、先ほど部長さんが与えた傷が治っていく。

 

「・・・・なるほど、合成獣(キメラ)ね」

 

合成獣(キメラ)。何でそんな生き物がこんな湖に。いや、今はそんなことより目の前の魔物を倒すのが最優先だ。

だけど、今、俺と部長さんは周囲に覆われている毒霧のせいで動けない。しかもあの大きさで再生能力があるとしたら部長さんの本気でなければ倒せないだろう。

 

「部長さん!俺が時間を稼いで奴の動きを封じます!その間に魔力をためて一撃であいつを倒せますか!?」

 

「いったい誰に言っているの?私は貴方の(キング)でグレモリー家次期当主、リアス・グレモリーよ!一撃でこの湖もろとも消し飛ばしてあげるわ!」

 

自信たっぷりと堂々と言う部長さんを見て愚問だったなと思い知らされた。

 

「なら、お願いしますよ!リアス!」

 

「え?」

 

「ガァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

再び水の砲弾。今度は連射で発射してくる。

でもその程度では俺の水の結界はビクともしない。

今まで強者と戦ってきた俺たちにその程度の攻撃はどうとでもない。

いや、本当に何であんなに強い奴らと戦ってきたんだろうか?おかげで何度死にかけたことやら。それでも俺たちはもっと強くならないとな。みんなの為にも。

 

「たまったわ!」

 

「わかりました!」

 

部長さんの手には巨大な滅びの魔力の塊。見ただけで身震いするほど凄い魔力が込められていた。俺は湖の水を操り水の縄を作ってそれで魔物に括り付ける。

 

「今です!」

 

「消し飛びなさい!」

 

放たれた滅びの魔力は魔物だけじゃなく湖までも綺麗に消し去った。

本当に・・・湖もろとも消した・・・・。

部長さんの滅びの力に俺は空いた口が閉じれなかった。

部長さんも強くなっている。俺ももっと精進しないとな。

帰ったらイッセーたちを誘って修行しようと考えると深い霧が晴れてきた。

 

「どうやら解決したようね」

 

「そうですね。帰りましょうか」

 

無事依頼は達成して帰ろうとした時、部長さんが俺の腕を組んできた。

それもかなりご機嫌の様子で。

依頼を達成したことがそんなに嬉しかったのかな?

そんな思い違いをしている俺に部長さんが嬉しそうに言ってきた。

 

「貴方、さっきの戦闘中私のことをリアスって呼んでくれたのよ?ふふ、やっと呼んでくれたわね」

 

え、俺、無意識で言ったのか?ああ、あんなに部長さん本人に呼ばないって言った傍から言ってどうするんだよ俺・・・・。

 

「これからもリアスって呼んでね。ショウ」

 

「・・・・・・・考えときます」

 

そしてご機嫌の部長さんと一緒に俺たちはいつもの部室へと帰った。

 

Sideout

 

 

 

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