Sideショウ
「風紀委員ですか……?」
「はい」
いつもの学園生活を送っている俺はソーナに呼ばれて現在生徒会室にいる。
それは風紀委員、それも委員長の任命だった。
「でも、この学園はそこまで風紀を乱してはいないと思いますが?」
駒王学園は元は女子高だったせいか、そこまで風紀を乱すようなことはない。
男子が風紀を乱しているというわけでもないが、そこまで悪いというわけでもない。
むしろ、いい学園だと俺は思っている。
そんな疑問を抱いている俺にソーナは口ごもりながらもその理由を教えてくれる。
「……その、ですね。 実は女生徒からの強い要望がありまして、イッセーくんたちの覗き行為を何度も止めて、説教しているから風紀委員に任命してイッセーくんたちを矯正して欲しいと………」
「………なんか、すみませんでした」
ソーナの言葉に頭を下げてイッセーたちの代わりに謝罪する。
そうだった、いつものことだから慣れてしまったけど、普通に犯罪行為だったよな。
まったく、イッセーたちのせいで毎度毎度尻拭いするのは俺か……。
というより、毎回覗きをして警察に突き出さないこの学園の女子は何気に寛容だな。
「いえ、ショウくんが悪いわけではありません。むしろ、貴方は教諭生徒ともに強い信頼を寄せられている証拠で風紀委員に推薦されたのですから」
「そうですか……」
主にイッセーたちの覗きを止めているからだろう。
他の人から見えたら問題児たちを懲りずにただそうとしている奴に見えるのかな?
最近では朱乃たちのせいもあってそういうのにも鈍感になってきたら気付けなかった。
風呂に入ってきたら普通に全裸で入ってくるし、目の前で着替えもするし、理性を保つのに俺がどれだけ苦労しているの思っているのやら……。
そんな軽い愚痴を心の中で吐き出しながら俺はその任を受けた。
「わかりました。俺でよければ風紀委員の任を受けましょう」
「ありがとうございます。貴方ならそう言ってくれると思っていました。なんせ私の婚約者候補なのですから」
年上のお姉さんみたいに少し悪戯笑みを浮かべるソーナに俺は苦笑で返した。
まぁ、そこは匙に頑張って貰わないと……。
ソーナのことは尊敬しているけど、匙の気持ちを無視してまで本気に好きになることは出来ない。
匙は心からソーナの事を尊敬し、好きなのだから。
「委員の募集はショウくんに一任します。判断はショウくんで決めてください」
「わかりました」
こうして俺は生徒会長であるソーナから正式に風紀委員長の任に就くことになった。
「それと、真面目な話ですから敬語を使うのは仕方がありませんが、二人きりの時は敬語はなしでいいと申し上げましたよ?」
「あ、ごめん……」
「いえ、次からは気をつけてくださいね」
最後にソーナから不満の言葉を貰ってしまった。
「うん、予想はしてはいたけどさ………どうして俺の予想通りに行動してくれるんだよ?」
風紀委員に任命されて与えられた風紀委員室で俺は呆れるように大きなため息を吐いた。
床に正座をさせられて縄で縛られてボコボコにされているイッセーたちを再度見て俺はまた溜息を出す。
「俺、風紀委員になった真っ先にお前等に言ったよな? イッセー、松田、元浜」
風紀委員に任命されたその日に俺は朱乃たちを除いて松田たちにもそのことを伝えていたはずだった。
それなのに懲りずに女子更衣室を覗いて女子生徒に捕縛された。
「というよりもイッセー、何でお前までも………」
「いや、松田と元浜に誘われちまって………」
視線を明後日の方に向けながら頬を掻くイッセー。
お前という奴は、リアスやアーシアさんがいるだろうが?
なんだ? それとこれとは話は別だとでも言いたいのか?
「取りあえず、覗きは覗きだ。お前等には反省文を書いてもらう………そうだな、最初は百枚で勘弁してやる」
嘆息しながら三人に罰を与えると三人の顔が真っ青になった。
「おい、反省文百枚なんて嘘だろう!?」
「そうだそうだ! なんでそんなに書かなきゃならねえんだ!?」
「俺達にだって人権はあるぞ!?」
予想通りに文句を言ってくる変態三人組に俺はハッキリと言ってやる。
「日頃からのお前等の行動のせいだろうが!! いったい誰がお前等の尻拭いをしていると思う!! 覗きをされた女子生徒の謝罪にお前等が覗きように穴を空けた覗き穴の修繕! 誰のせいでこんなに苦労をしていると思ってんだ!! 本来なら千枚ぐらい書かせようと思ったのを百枚に留めただけでもありがたく思え!!」
「「「お、おう………いつもご迷惑をおかけします」」」
心からの嘆きを聞いて三人は素直になると俺は反省文百枚を三人に渡す。
「期限は明日までだ。それまでにしっかりと書いて反省しろ」
「「「はい……」」」
それぞれ反省文を持たせて退出させていくと俺は一息ついて椅子に腰を下ろす。
「風紀委員も色々大変だな……」
学園の風紀を守るのが主な仕事なのだが、この学園自体はそこまで風紀が悪いわけではないからそれほど忙しいというわけでもない。
イッセーたちを除いてだが………。
俺は他の女子生徒からの風紀改善案をアンケートに目を通す。
8割ぐらいはイッセーたちに関することだったが、今は置いておこう。
あいつらのことだから反省文百枚書かせたところで懲りずに覗きをする可能性が高い。
なら、まずは改善できるところから始めよう。
「えっと、ボランティア活動の人材派遣………これって風紀委員の仕事か? それに風紀委員長が直接身体検査……って半分以上は女子生徒だから出来るか! 絶対コレ嫌がらせだろう。荷物検査ぐらいなら教師たちとソーナと話して決めようか」
書類と睨めっこしながら作業を進行していくとフィルが紅茶を淹れて来てくれた。
「まぁまぁ、そんなに根を積めないで少しは休みましょう」
「ああ、ありがとう」
「いえいえ」
フィルが淹れてくれた紅茶を飲みながら一息つく。
風紀委員に任命されたその日に委員に立候補してきたフィルは風紀副委員長として共に委員会の活動を共にしている。
俺の
風紀委員の募集をしてみたが、希望者が多くて取りあえずは抽選という形を取った。
そんなに希望者がいるのなら誰かしろよと朱乃たちに愚痴ったらどういうわけか呆れられた。
三年はもう半年もしないで卒業してしまうから俺達と同じ二年生と一年生で編成する。
一年生ではレイヴェルが立候補してくれたから助かった。
後は抽選のなかで俺達が悪魔だと知っている、裏に通じる人たちを風紀委員にしてそこから本格的に活動を始めないといけないか………。
「さて、では………」
「………フィルナさん、どうして俺の膝の上に座るのですか?」
急に人の膝の上に座って来たフィルナは俺の首に手を回して抱き着く恰好をとる。
「いつも小猫さまがしているので代わりにと思いまして。胸でも足でもお好きな所を好きなだけ触ってもいいですよ?」
そう言って胸元のボタンを外すフィルナの下着が見えてしまう。
「………あのな、俺は純粋な気持ちで小猫ちゃんに癒されているだけで別に邪な気持ちで小猫ちゃんを膝上に置いている訳じゃない」
そもそも妹的存在である小猫ちゃんにそんなことはしない。
それを聞いたフィルは人の膝の上で大きくため息を吐いた。
「………本当に鈍感ですね、ショウは。小猫さまもお可哀想に」
どうして小猫ちゃんが可哀想なのか怪訝する俺は可笑しいのか?
「朴念仁のショウはもう治らない病気だと思っていますが、もう少し周りを見てあげてくださいね? そうでないと小猫さまを含めて他の方々が救われません」
「見ているつもりなんだけど……」
「いいえ、見ておりません。まったく、これっぽちも。鈍感な主を持つ私達の気持ちも考えてください」
何故か怒られた。
その理由に頭を傾げる俺にフィルがまた溜息をはいた。
「お待たせいたしましたわ………フィルナさま! 何をなさっていますの!?」
「抱き着いております」
戻って来たレイヴェルがフィルを見て叫ぶとフィルは当然のように答えて更に密着するように抱き着いてきた。
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