ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
早苗たちと別れてからピッコロはすぐに人里へとやってきた。怪しまれないように里の外で降りてから里に入っていったがもともとの見た目の問題で村人からは怪しがられていた。
「……ここに悟飯がいるのか……。」
だがピッコロはそんな目線をものともせず、悟飯を探して歩き回った。そんな様子を村人たちは更に怪しく思い始めた。
『お、おい。あれ妖怪じゃないのか?』
『本当だ!どうする?巫女様に退治をお願いするか?』
『そうしたほうがいい……!急いで巫女様に_』
村人たちが遠くからひそひそと話しているとピッコロに近づく者がいた。
「あはは!おじさん全身緑色で変なのー!」
『『『!!?』』』
村人たちがその声に驚いてピッコロのほうを見るとそこにいたのはまだ小さな子供であった。
「あはははは!」
「……。」
村人たちは無言で子供を見つめるピッコロを見て大きく慌てだした。
『ま、まずい!このままではあの子が!』
『どうかしたんですか?』
『え?あ!先生!丁度良かった!妖怪が子供を襲っているんだ!助けてやってください!』
『なにっ!?おのれ、すぐに追っ払ってやる!』
そんなやり取りがあることに気づかず、ピッコロは子供に悟飯のことを訪ねようとした。
「おいお前。この辺りで変わった子供を__」
「待て!」
「ん?」
ピッコロが声のしたほうを見てみると、そこには青いメッシュの入った銀色の長い髪に青い帽子を被った女性がまるで鬼のような形相でこちらに向かってきた。
「あ、けいね先生だ!」
「私の教え子に手を出すんじゃない、離れろ!」
「……何を言っている?」
「すぐに立ち去るなら許してやる。だがもし抵抗するならば私が力づくで退治してやろう。」
「貴様、何を勘違いしている。オレはただ聞きたいことがあっただけ__」
「なるほど、立ち去る気はないようだな。」
「人の話を聞け!」
「いいだろう。私がこの場で退治してやる!さあ覚悟しろ!」
女性はピッコロの話をまるで聞かずにピッコロに襲い掛かってきた。
「チィッ!この世界の女は人の話が聞けんのか!?」
仕方なくピッコロは反撃しようと構えて攻撃をしたその時。
「待ってください!慧音さん!」
二人を止めに入ったのは悟飯であった。
慧音と呼ばれる女性も悟飯の声を聞いて襲い掛かるのを止めた。
「む?悟飯、どうしたんだ?」
慧音は先ほどの形相からは想像がつかないくらいに笑顔で悟飯に振り返った。
「ご、悟飯!」
「え?」
ピッコロの口から悟飯の名前が出たことに慧音は驚き、気の抜けた声を出した。
「慧音さん、その人がボクの師匠です!だから攻撃しないで!」
「え?え??」
慧音は何が何だかわからずに、交互にピッコロと悟飯の顔を見るのだった。
それから数分後。
「…本当に申し訳ない……。」
悟飯とピッコロから説明を受けた慧音は申し訳なさそうに深々と頭を下げていた。
「わかればいい。次からはちゃんと人の話を聞くんだな。……それで、悟飯。おまえはなぜここにいたんだ?」
「はい、実はこの近くで迷っていたところでこの慧音さんに出会ってここまで案内してもらったんです。それで…この世界の歴史とかを聞いていたらつい時間を忘れてしまって……。」
「この子は賢い子だな。教えたことをすぐに覚える。私の教え子たちにも見習ってもらいたいくらいだ。」
「ふ、そうか。手間をかけたな……確か__」
「上白沢慧音だ。よろしくたのむ。」
「そうか、礼を言うぞ。慧音。」
「うむ、当然のことをしたまでだ。」
「ピッコロさん、お父さんたちとは会いましたか?」
「生憎、オレもまだ誰にも会ってはいない。お前が初めてだ。」
「そうですか……。」
悟飯はまだ再開できない仲間たちのことが心配なようで小さく肩を落とした。
「……悟飯から話は聞いている。貴方たちは別れてしまった仲間たちを探しているとか……。だが、ここ人里ならば情報も入りやすいはずだ。貴方も悟飯と一緒にここに滞在してみてはどうだろう?」
「なるほど、確かにここならば他の連中もオレのようにたどり着くやもしれん。ここはお言葉に甘えるとしよう。慧音、少しの間だがよろしく頼む。」
「ああ、こちらこそよろしく。」
「それと一応聞いておきたいのだが、貴様は悟飯以外の情報を持っていないのか?」
慧音は腕を組んで記憶を探る、すると何かを思い出して顔を上げた。
「多分貴方たちとは直接関係はないと思うが、一年ほど前に強い力を持った外来人がこの幻想郷に迷い込んだことがあったな。その者は今もまだ幻想郷に住んでいて、よく人里にも来るらしい。」
「ほう?そいつはどれほどの強さを持っているんだ?」
「幻想郷の強者たちに比べればたいした力はないが普通の人間はおろか、そこいらの妖怪では歯が立たないくらいの力の持ち主らしい。私もまだあったことはないがね。」
「……悟飯、お前は心当たりがあるか?」
「いえ……ボクも覚えがありません。ピッコロさんは?」
「オレもだ。そんな力を持ったやつが地球にいたか……?」
気になった二人は考え込むがまるで心当たりがなかった。
「……今は考えても仕方あるまい、少なくとも今のオレたちとは関係ないだろう。」
「……そうですね。もしかしたらその人とも会う機会があるかもしれませんし今はとにかく何か情報が入るのを待ちましょう。」
「それがいい、貴方も探し回って疲れただろう?悟飯と一緒に私の家に泊まっていくといい。」
「そうだな……。ではそうさせてもらうとしよう。」
慧音にすすめられながらピッコロと悟飯は慧音の家へと歩き出すのだった。
そして悟空たちが幻想郷に来てから次の日……。
~白玉楼~
幻想郷のいろいろな話を聞いたホウレンは幽々子と妖夢と共に早朝から白玉楼の前にいた。
「昨日は泊めてくれてありがとな、幽々子。」
「ふふ、また来てもいいのよ?」
「機会があればな。それじゃあ妖夢、道案内よろしく頼む。」
「わかっています。私に任せてください。」
前日の夜に話し合った結果、ホウレンを博麗の巫女の元に送ってホウレンを元の世界に戻してもらえるようにに頼んでみることになり、道がわからないホウレンのために妖夢が付き人になるということになっていた。
「それでは幽々子様、行ってまいります。」
「ええ、気を付けていってらっしゃい。妖夢。」
幽々子に見送られて二人は長い階段を下りて行った。それから歩くこと十数分、そこには空間が歪んでうごめいている場所があった。
「見えてきました。あそこから地上に出ます。ちゃんとついてきてくださいね?」
「ああ。」
妖夢に連れられてホウレンは歪んだ空間に足を踏み入れた。一瞬の眩しい光に目を閉じる、そして次に目を開くとそこは木々に囲まれた山の山頂であった。
「ふぅ、やっと明るいところに出られたみたいだな。」
「冥界は基本薄暗いですからね。さて、ホウレンさんは飛べますよね?このまま博麗神社まで飛んで行っちゃいましょう。」
二人は博麗神社に向かって飛び立った。その途中でホウレンは気になるものを見つける。
「……?」
「どうかしましたか?ホウレンさん。」
「あそこに見える真っ赤な建物ってなんだ?」
「ああ、あれは紅魔館といって吸血鬼とその従者たちが住んでいる館ですよ。それがどうかしたんですか?」
「吸血鬼って…そんなのもいんのか……。入口の辺りが派手にぶっ壊れてっからなんだろうなと思ってさ。」
「あれ?ほんとですね。何かあったんでしょうか……?ホウレンさん、すみませんが少し寄って行ってもいいですか?」
「いいぞ、俺も気になるしな。」
ホウレンに許可を取った妖夢は方向を変えて紅魔館へと飛び、その壊れた門の前に降りたった。
門の前を見るとそこには美鈴が立ったまま寝ていた。
「……えっと、妖夢?」
「なんですか?」
「いや、あそこに寝てるやつは門番とかじゃないのか?」
「そうですよ。妖怪の紅美鈴という方です。」
「門番が寝てるとか、ここの警備は大丈夫なのかよ……。」
「そもそも紅魔館に侵入しようなんて命知らずな人はまずいませんからね。あまり問題ではないんじゃないかと思われます。」
「そ、そうか。」
二人が話をしているその時、突然その場に咲夜が現れて美鈴の頭に軽く手刀を入れた。
「はう!」
「まったく、貴方は何度言えばわかるのかしらね?」
「はっ!いやこれは違うんですよ咲夜さん!今日はなんていうかその、侵入者とかも来そうにないとても素晴らしい天気だったので昨日の戦闘での疲労を回復させつつ次から頑張ろうということであって決してサボって昼寝していたわけじゃないんです!」
「言い訳してる暇があったらそっちを見てみなさい。」
「へ?そっち?」
そのやりとりを見て、妖夢はいつものことといった表情。ホウレンは呆然とそれを眺めていた。
「どうも。」
妖夢は特に驚いた様子はないが、突然現れた咲夜にホウレンは驚きを隠せずにいた。
(まったく見えなかった。どんなスピードしてやがんだ……。)
「あ、妖夢さん。おはようございます。それと……どちら様ですか?」
「バカね、男女の関係にあまり口を出すものじゃないわよ?」
「ちょ、何を勘違いしてるんですか!この人は幽々子様のお客人ですよ!」
「えっと、俺はホウレン。あんたたちから言えば外来人ってやつだ。」
咲夜と美鈴はホウレンの言葉を聞くとお互いに顔を見合わせた。
「?……どうしたんですか??」
「いえ、なんでもないわ。それよりも貴方、ホウレンさんって言ったかしら?」
「それがどうかしたのか?」
「……妖夢。この人ってひょっとして凄く強かったりするかしら?」
「え、ええ。確かにこの人は少なくとも私よりも強いですけど……。」
「……やっぱり。ねえホウレンさん?貴方、孫悟空という人物を知っているかしら。」
ホウレンは予想だにしない名前に目を見開いた。
「悟空だって!?なんであんたが悟空のことを知ってるんだ……!?」
「咲夜さん、悟空さんを知っているってことはやっぱり!」
「ええ。間違いないわね。妖夢、悪いんだけどその人と一緒にお嬢様の元まで来てもらえるかしら?」
「いいですけど、ひとつ聞いてもいいですか?」
「なにかしら?」
「……随分館がボロボロみたいですけど、何かあったんですか?」
「そのことならお嬢様のところに行けばすぐにわかるわ。とにかくついてきて頂戴。」
「えっと…咲夜でいいのか?悟空のこともついていけば教えてもらえんのか?」
「はい、十六夜咲夜と申します。悟空さんのことならばついて来ればすぐにわかりますよ。もっとも、貴方の知っている孫悟空さんだったらの話ですが。」
「あ。ついでに私は紅美鈴です。よろしくお願いしますね。」
「ああよろしく。」
ホウレンと妖夢は咲夜たちに連れられて紅魔館の奥へと足を進めた。途中でボロボロになった庭や壊れた扉を見て、ますます疑問に思いながらも先に進んでいくと広い部屋に出て、そこには大量の料理と食べ終えた皿、そしてそれをガツガツと食べる男とそれを愉快に眺める少女がいた。
「悟空!?」
「!……ゴクン。ホウレンじゃねぇか!おめえなんでここにいんだ!?」
思わぬ再開に動揺する二人を横目にレミリアは咲夜に問いかける。
「咲夜。こいつは誰かしら?」
「お嬢様、この方はホウレンさんと言いまして悟空さんのことを知っているようなので探していたお仲間の一人かと思い、勝手ながらここまで連れてまいりました。」
「そうなの?……ってあら?そっちにいるのは冥界の庭師じゃない。なんで貴方までここにいるのかしら?」
「突然押しかけてごめんなさい。私はホウレンさんの道案内として行動してたんですが、途中でここが派手に壊れているのが見えて何かあったのかな?と思って来ました。」
「そういうことか。ここが壊れてるのはね、昨日そこの男が私たちと闘ったからよ。」
「闘ったって……あの人ももしかして強い方なんですか?」
「強いなんてもんじゃなかったわよ。私とフランの二人がかりでまるで敵わないんだもの、正直勝ち目が見えないわ。それよりも、あの人もってことはあいつも強いのかしら?」
「ええ、まあ。咲夜からも聞かれましたが、私よりはずっと強いですよ。」
妖夢たちが話している間にようやく落ち着いてきたホウレンたちは久々の再開に会話を弾ませていた。
「ホウレン、おめえも随分と強くなったみてえだな。三年前とは大違いだ。」
「おまえこそ、ただでさえ強かったのにまだ強くなるのかよ。」
「ははは。オラもっと強くなりてえかんな。そういやおめえ、なんでここにいんだ?確か宇宙に飛んでったはずだろ?」
「久しぶりにみんなの顔が見たくなってな。帰ってきたと思ったらへんな空間に巻き込まれてさ、気が付いたらこの世界にいたってわけよ。悟空こそなんで幻想郷にいるんだ?」
「オラは界王様に頼まれて来たんだ。悟飯たちも一緒に来てんだけど、はぐれちまってどこにいんだかわかんねえんだ。」
「そうだったのか。俺も探すの手伝おうか?」
「ほんとか!いやあ助かるぞぉ!オラここのこと何にも知らねえかんな~。」
「大丈夫だ、妖夢がいれば少なくとも道には迷わねえさ。妖夢!ちょっといいか!」
呼ばれて妖夢はホウレンの元へ小走りでやってきた。
「なんですか?」
「あのさ、この後博麗神社に向かう前に悟空の手伝いを一緒にしてくれねえか?お前がいないと道がわかんなくてさ。たのむよ!」
ホウレンは手を合わせて妖夢に頼み込んだ。
「え?別にいいですけど、何を手伝えばいいんですか?」
「実はこいつの仲間を探すのを手伝ってほしいんだ。」
「この方のですか。まあ乗り掛かった舟ですし、最後まで付き合ってもあげてもいいですよ。」
「サンキュー!おまえやっぱりいいやつだぜ!」
「オラからも礼を言わせてくれ、ありがとな!オラ孫悟空ってんだ。おめえは?」
「私は魂魄妖夢です。よろしくお願いします。」
「そんじゃあ、わりいけど飯食い終わるまで待っててくんねえか?」
「相変わらずよく食うなお前……。いいぜ、ゆっくり食えよ。」
「サンキュー!」
こうしてホウレンと悟空は思わぬ形で再開することになったのだった。ホウレンたちは無事に仲間を探し出すことが出来るのであろうか……。