ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
厄介ごとの予感?あの世とこの世の噂
ホウレンたちは様々な死闘を乗り越えてついにアスイを倒し、無事に異変を解決させた。
それから二週間ほどの時間が過ぎて、幻想郷全体に広がった凍結はほぼ無くなっていた。
ここは博麗神社。ホウレンは妖夢と共に修行をしていた。
「やあ!」
妖夢はホウレンに向けて木刀を振り下ろした。
「おっと!」
ホウレンは体を捻ってそれをかわして手のひらに気弾を作り、そのまま妖夢に向けて放った。
「くっ!なんの!」
その気弾を妖夢は木刀で軌道を逸らして回避した。
そして逸らされた気弾は神社に向かって飛んでいった。
「「あっ!!」」
しまった!と思った二人だったが気弾は神社に当たることなくその一歩手前で止められた。
そこには少し怒った顔をした霊夢が立っていた。
「ホウレン!気弾は神社が壊れるから修行中には撃つなっていったわよね?」
「わ、悪い!つい熱くなっちまって……。」
「妖夢!あんたも軌道を逸らすなら逸らすで別の場所に逸らしなさい!」
「ごめんなさい!うっかりしてました!」
「まったく……毎日毎日修行ばっかりして疲れないわけ?」
「そりゃまあ、体を動かしてるから疲れるけどよ。その分強くなれると思うと全然気にならないぜ。」
「私もです。日々努力を重ねて一人前になるまでは精進は怠りません!」
「やれやれ……それはそうと妖夢、あんた結構長い時間いるけど大丈夫なの?」
「え?……今何時くらいですかね。」
「もう夕方よ。そろそろご飯の時間だわ。」
「た、大変!私今日はこれで失礼します!」
「おう、気を付けてな。」
慌ただしく帰り支度をする妖夢だったが急に何かを思い出して振り返った。
「帰る前に一つだけいいですか?」
「ん?なんだよ。」
「昨日人里に買い物に行った時に聞いたんですが、ここ数日の間に幻想郷のあちこちで顔立ちが整った人や強い力を持った人の元に見知らぬ女性が現れて闘いを挑んでくるって噂を耳にしたんですよ。」
「なんだそりゃ。強いやつの所ってのはわかるが顔が整ったやつに闘いを挑む理由があるのか?」
「さあ?わかりませんけど、念のためお二人も気を付けたほうがいいですよ。話はそれだけです。」
「そうか、わざわざありがとよ。」
「貴方も気を付けなさいよ。一応強いんだから。」
「はい。それでは失礼します。」
そうして妖夢は急ぎ足で冥界へ帰っていった。
それから少し時間は過ぎて霊夢とホウレンは夕食を食べていた。
「……ねえ、ホウレン。」
「なんだ?」
「さっき妖夢が言ってた噂だけど、貴方はどう思う?」
「ん~そうだなぁ……。変わったやつがいる、としか考えてないな。」
「はぁ……まあ、貴方はそうよね。」
「なんだよ、何か気になることでもあるのか?」
「まあね。……噂の女。何か怪しい気がするのよ。もしかしたらアスイの時みたいに何かを企んでいる可能性だってあり得るわ。」
「おいおい、あんなやつがそう簡単に現れるかよ。心配しすぎなんじゃねえか?」
霊夢の考えを否定しつつもホウレンはアスイが闘いの中で言っていた言葉を思い出していた。
『幻想郷の侵略は重要な任務だ。たとえこの体が壊れようとも……俺は任務は遂行しなくてはならない……!』
(まさかあいつに任務を任せたやつが自分から動き始めた……?)
「どうしたの?急に黙り込んで。」
「いや、なんでも……ないってわけじゃないか……。」
「何よ。やっぱり貴方も何か引っかかってるの?」
「ああ。実はな。アスイと闘っていた時、あいつは幻想郷を侵略することを任務だって言ったんだ。任務ってことはそれを任せたやつがいるってことだろ?もしかしたらそいつが動き始めたんじゃねえかって思ってさ……。」
「貴方ねえ!そんな大事な情報なんでもっと早く教えなかったのよ!」
「言うべきかどうか迷ってさ。でも考えてみたらおまえには話しとかないとまずいよな。」
「そうよ。私は博麗の巫女なんだから幻想郷の危険に関わることは全部教えなさい!そうじゃないと対処できないでしょ!」
「痛ててっ!?わかった、わかったよ!今度からこういう大事な情報はすぐに話すから!箸で耳を引っ張るのはやめろ!」
「分かればいいのよ。このくらいで勘弁しといてあげるわ。」
霊夢はホウレンの言葉に満足して箸を戻した。
「痛てて……。そりゃどうも。」
「ホウレン、貴方明日暇よね?」
「明日?そうだな。明日は妖夢も忙しくて修行には来れないらしいから暇だ。」
「ちょうどいいわ。明日あの噂の女を調査しにいくわよ。」
「動きが早いな。それに俺も連れていくのか?」
「ええ。……もしもその女が私よりも強かったら貴方に頼るしかないもの……。」
そう言った霊夢は悔しそうな顔を隠すように俯いてしまった。
「……わかった。俺も行く。一緒にその女を探しに行こう。闘いになったらおまえの力も頼りにしてっぜ?」
ホウレンは霊夢の気持ちを察して励ますように霊夢の肩に手を置いた。
「……気を遣わせちゃったわね……ありがと。」
霊夢の感謝の言葉にホウレンは笑顔で答えた。
そして次の日。霊夢はいつまで経っても起きないホウレンを叩き起こす(物理的に)と朝ごはんを済ませてから噂の女性を探しに博麗神社を飛び立った。
一方その頃、地獄では一つの問題が発生していた。
それは凶悪な亡者や強い亡者の元にだけたびたび見知らぬ者が現れるというもので地上の噂とほぼ同じものだった。
それを問題視した四季映姫は地獄にいる獄卒たちとブロリーに探索命令を出した。
地獄中を探し続けること三日間。その人物はいまだ見つかってはいない。
「ブロリー様!第三班、針山付近には亡者以外の人影はない模様です!」
「こちら第五班!血の池周辺も異常ありません!」
「チッ。なかなか姿を見せんな。」
「我々は引き続き捜索を続けます!ブロリー様は四季様へのご報告、よろしくお願いします!」
「わかっている。さっさといけ。」
「「はい!!」」
獄卒たちは再び元の配置の場所へ向かって走り去った。
「はぁ……なぜこのオレがこんな面倒なことを……。」
「ブロリー。そっちはどうだい?」
ため息をつくブロリーに話しかけてきたのは小町であった。
「……おまえか。残念ながら何一つ状況は進んでいない。」
「やっぱりか。」
「おまえはこんなところまで来て一体何の用だ。まさかこのことのためだけに来たわけではないだろう?」
「ご明察。ちょっとした噂を川の向こう岸で聞いてね。それを映姫様に報告しようかと思って来たんだよ。お前さんもどうせ報告だろ?一緒に行こうじゃないかい。」
「……どうせ同じ場所に向かうんだ。好きにしろ。」
「じゃあ遠慮なくついてかせてもらうとするよ。」
二人は並んで映姫の元へ歩き出し、少し経ってから映姫の元へ到着した。
「映姫様、いますかー?」
「小町ですか。それにブロリーも、例の人物の情報は掴めそうですか?」
「さっぱりだ。本当にそんなやついるのか?ただの見間違いじゃないだろうな。」
「確かな情報ですよ。私に嘘の情報は通用しませんからね。」
「……そうだったな。」
「映姫様。実は向こう岸でとある噂を耳にしまして。」
「ふむ。それはなんですか?」
「はい。それがどうやら幻想郷のあちこちで地獄と同じことが起きてるらしいんですよ。」
「つまりどういうことだ。」
「向こうにも強いやつに近づく輩がいるってことだよ。」
「なるほど……厄介ですね。もしもその人が地獄に現れた者と同一人物だとしたら放っておくわけにもいきません。すぐに対処を考えなければ。」
「何をそこまでする必要がある。別にそこまで危険なわけでもないだろう。」
「甘い!そもそも本来は死人以外はあの川を渡って地獄に来ることは出来ないはずなんです!にもかかわらずに川を行ったり来たり出来る人物なんて貴方を除いて他に存在しません!つまりその人物はただ者ではないということです!だから私たちが対処しないと万が一のことがあってからでは__」
「もういい、わかった!」
「人の話は最後まで聞きなさい!そもそも貴方は!」
「あちゃ~こりゃ長くなるね……。」
いつものように映姫の説教が始まってしまいブロリーはがっくりと肩を落としたのだった。