ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
「いやー食った食った!久々にブロリーにも会えたし言うことなしだな。」
「……おまえはあの時と変わらんな。」
「そんな簡単に変わることなんてできやしねえよ。でもおまえの方は随分変わったんじゃねえの?」
「なんのことだ?オレは何も変わったつもりはないが。」
「少なくとも暴れなくなったな。」
「おまえ、喧嘩を売っているのか?」
「でもブロリーさん、確かに変わりましたよ。昔よりも穏やかになった気がします。」
後ろを歩いていた悟飯に次いで霊夢もクスリと笑いながら言った。
「ブロリーも幻想郷での生活になれちゃったんじゃないの?なにせ一年近くいるんだから。」
「ちっ、勝手に言っていろ……。」
四人が雑談をしながら歩いていると目の前にスキマが現れて中から紫が出てきた。
「霊夢、ちょっといいかしら。それにそっちの三人も。」
少しだけ慌てた様子の紫を珍しそうに見つめる四人だったが、霊夢はすぐにめんどくさそうな顔をして紫の前に出た。
「何よ紫。また変な話を持ち込んだんじゃないでしょうね?それに私だけじゃなくてこの三人にもってのはどういうこと?」
「あまり時間がない。簡単に説明するわよ。さっき人里で暴れた人間がいたでしょ?」
「ええ、でもそいつならブロリーが倒したわよ。」
「それにはお礼を言っておかなくてはね。ありがとうブロリー。」
「フン……。」
「でもそれだけじゃないのよ。その人間以外にも力が暴走している者たちがいるみたいなの。」
「「「!?」」」
紫の言葉にブロリーを除いた三人が目を見開いて驚いた。
「まさか……あいつあの人間以外にも何か……!」
「心当たりがあるの?まあでも今はいいわ。このままじゃ前の異変からようやく落ち着いてきた幻想郷がまた荒らされてしまうかもしれない。だから貴方たちに急いでそいつらを止めて欲しいの。」
「完全に油断してたわ……!そういえばあいつはあちこちで声をかけて回っていた。ってことは何かを仕掛けるには十分すぎるほどの時間があるじゃない……!どうして気が付かなかったのよ私ぃ~!」
「霊夢さん、今は悔やんでる場合じゃありません!急いでそいつらを倒しに行かないと!」
「え、ええそうよね。落ち着かなくちゃ……。紫、そいつらの居場所はわかる!?」
「場所は四か所よ。妖怪の山、旧都、冥界、そして地獄よ。」
「なんだと……?地獄でも暴れている奴がいるのか?」
「ええ。と言ってもそいつらが力を解放したのは今から数分くらい前の話。今なら最小限の被害で間に合うかもしれないわ。貴方の力も貸してほしいの……。」
「……さっきのクズと同じくらいの強さだとしたら映姫や小町だけでなんとかなるはずだ。それをなぜオレの力まで必要とする?」
「……貴方がさっき倒したやつとは強さの次元が違うからよ。それに地獄に行くことが出来るのは限られた人間だけ。だからお願い。地獄に戻ってそいつと闘って頂戴。」
「……そうか。強いのか。」
一言だけぼそりと言うとブロリーは黙り込んでしまった。
「ブロリー?」
ホウレンがブロリーの顔を覗き込もうとするとブロリーは踵を返して歩いて行ってしまった。
「お、おいブロリー!どこいくんだ!?」
「……オレは地獄に戻る。そっちはおまえたちでやるんだな。」
「!……おう!こっちは俺たちに任せとけ!」
「……。」
ブロリーは無言のまま地獄に向かって飛び立った。
「霊夢、悟飯、全員で向かってたら間に合わねえ。俺たちも別れよう。」
「そうね。その方が効率がいいわ。悟飯もそれで大丈夫かしら?」
「はい、ボクも大丈夫です。」
「俺は冥界に向かおうと思う。妖夢たちが心配だしな。」
「ボクは地底に行きます。トランクスさんに状況を説明しておかないと。」
「じゃあ私が妖怪の山ね。いいわ。早苗だけじゃ心配だしね。」
「話は決まったようね。みんな頼んだわよ。」
「任せとけ。油断すんなよおまえら!」
「あんたこそ、返り討ちに合わないようにね!」
「よし、いきましょう!」
話は決まり、三人はそれぞれ別の場所へと飛び出した。
その頃妖怪の山ではすでに暴走した妖怪との闘いが始まっており、妖怪の相手をしているのは早苗とピッコロの二人であった。
二人は山で暴れる妖怪に気が付いて、急ぎその場に駆けつけていた。
「うへへへ!どうした!守矢の巫女さんよぉ?俺様を退治するんじゃなかったのかぁ?」
三メートル近くの体を持ち、鋭く伸びた爪は鋼のように硬い。太ったその体は見た目とは裏腹にあり得ないほどの強度を誇り、早苗はおろかピッコロの攻撃ですらまともにダメージが入らないほどであった。
「くっ!なんなんですか、この妖怪!いくらなんでも強すぎますよ……!」
「落ち着け、強さ自体はまだなんとかなるレベルだ。だがやつの体は何かがおかしい。いくらなんでも硬すぎる。下手したらあの時の魔人以上の強度だ。」
「ピッコロさんの力でもダメなんですか?」
「いや、ある技を使えば確実にあいつを倒すことが出来る。だがその技は気を溜めるのにやたら時間がかかってしまってな。やつがそれを待ってくれるとは思えん。」
「じゃあ私が時間を稼げば……!」
「無理だ。おまえ一人では時間を稼ぐことはできん。」
「うう、せめてもう一人味方がいれば……。」
「お困りのようですね。」
突然聞こえた声に振り返るとそこには黒の短い髪。黒いミニスカートに白いフォーマルな半袖シャツを着ていて、手にはカメラを持った女性が空から舞い降りてきた。
「文さん!どうしてここに?」
「暴走している妖怪が出たと聞きましてね。いいネタになるかと思ってやってきたというわけです。ですが思いのほか危険な相手のようですね。」
「そうなんです。そうだ!文さんも力を貸してくれませんか?ピッコロさんの技の時間を稼ぐのを手伝ってください!」
「元よりそのつもりで出てきました。あんな妖怪を放っておいたら上の人に怒られちゃいますからね。」
「力を貸してくれるか。礼をいうぞ。」
「いえいえ、その代わりと言ってはなんですが、闘いが終わったらぜひこの間の異変についてインタビューさせてください。」
「そんなことならお安い御用だ。では頼んだぞ。」
「うへへへ!お仲間の登場みたいだが無駄だぜぇ!今の俺様は今までの俺様とは違う!てめえらみたいなやつ、何人かかってきても無駄なんだよぉ!」
「言ってくれますね。天狗の力をあまり舐めないことです。」
「だったらかかってこいよぉ!力の差ってやつを見せてやるぜぇ!」
その瞬間、射命丸の姿が消えて気が付くと妖怪の後頭部を思いきり蹴りつけていた。
だがしかし、妖怪はビクともせずにやにや笑いながら射命丸の足を掴んだ。
「いくら速くても攻撃が効かなきゃ意味ねえんだよぉ!」
射命丸はそのまま早苗の元へ投げ飛ばされ、それを早苗が受け止めた。
「大丈夫ですか!?」
「くっ……なんなんですか、あの妖怪。硬いなんてものじゃありませんよ?」
「わかりません。あんな妖怪が今まで隠れていたなんて……。」
「とにかく強敵であることには変わりありませんね……。ピッコロさん、技の準備はどれくらいかかりそうですか?」
そう言ってピッコロを見るとすでにピッコロは技の準備を始めていた。おでこに二本の指を当てて気を集中させながら口を動かした。
「……一分だ。なんとか一分だけ耐えてくれればいい。」
「一分……。短いようで長い時間ですね……。わかりました。早苗さん、いきましょう!」
「はい!」
射命丸はその場から姿を消して目では追えないほどのスピードで妖怪の周りを回った。
「今度は何をするきだぁ?目では見えねえが効かなきゃ関係ねえぜぇ?」
敵に当たったところで効かなければ意味がない、射命丸はそれをわかりながらもどんどんスピードを上げて、妖怪の周りを回り続けた。
そして射命丸のスピードが最高速に達したその時、射命丸は真正面から妖怪に体当たりを食らわせた。
「ぬぉおお!?」
超高速でぶつかったことによって威力は数倍にまで上がっており、圧倒的な硬さを持つ妖怪もその突進に耐え切れず、地面を滑りそのまま岩山に減り込んだ。
「早苗さん、今です!」
「任せてください!」 秘法「九字刺し」
早苗は格子状のレーザーのような弾幕を放ち、そのまま減り込んだ妖怪にぶつけた。
早苗の弾幕により岩山はバラバラに砕けて崩れ落ち、土埃が宙を舞う中、妖怪は崩れた瓦礫を蹴飛ばして起き上がると下品な声を上げて笑い出した。
「ひゃっはっはは!無駄無駄!少し驚いたがこんな攻撃じゃ俺様は死なねえよぉ!!」
「くっ!これでもダメですか……!」
「参りましたね……。まだ三十秒も経ってません。同じ手は通用しないでしょうし、どうすれば……。」
「そろそろ俺様からも攻撃させてもらうぜぇ?」
そう言うと妖怪は大きな口を更に大きく開けてなんとそこから特大のエネルギー波を放ってきた。
「まずい!早苗さん、避けて!!」
文は回避することを早苗に叫ぶが早苗は予想外の攻撃に反応が遅れて回避が間に合わなかった。次の瞬間、大爆発が起こり早苗を飲み込んだ。
「早苗さん!!」
大爆発の中、無事では済まないと思われた早苗はなんと無傷でそこに立っていた。
そしてその早苗の前には。
「何やってんのよ。闘いの最中でしょ?しっかりしなさい。」
そこにいたのは霊夢だった。霊夢は直撃の瞬間に結界を張り、早苗を守ったのだ。
「「霊夢さん!!」」
「ここからは私も闘わせてもらうわ。さっさとあいつを倒すわよ。」