ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~ 作:月下の案内人
皆が闘っている間、冥界では一人の男が白玉楼の近くに現れて辺りを攻撃し始めた。
それに気が付いた妖夢は一人で男の元へ向かった。
「待ちなさい!貴方何してるんですか!これ以上の破壊行動は私が許しません!」
男は無言のままで破壊する手を止めて妖夢を見た。男の見た目は細いが鍛えられた肉体にさらさらの短い黒髪で白いシャツを着ていた。
男は妖夢と対峙するもまったく言葉を発さなかった。
「なぜ何も喋らないんです?まあいいです。侵入者は斬り捨てるのみ……さあ覚悟しなさい!」
妖夢は一直線に突っ込み、男を斬りつけた。だが男はその攻撃を最小限の動きでかわし、妖夢に回し蹴りを入れてきた。
妖夢はその蹴りをなんとか刀で防御するも大きく後ろに滑り込む。
「なかなかやりますね。どこのどなたか存じませんが少し本気で行かせてもらいます!」
妖夢は再び男に斬りかかった。それに対して男もまた応戦する。
だが妖夢は闘っている最中、疑問があった。なぜ男は一切喋らないのかそして自分からは攻撃を仕掛けずにひたすら妖夢の攻撃をかわしてからのカウンターのみの攻撃。
それだけならまだそういった性格、戦闘スタイルだと割り切れるが不思議なことにその男からは一切の霊気や妖気、魔力と言ったものを感じないのだ。
それは男が人間でも妖怪でも幽霊でもないと言うことになる。
(なんなんですかこの人……気味が悪い……!)
得体のしれない者と闘っていることに気が付いた妖夢はいつもよりも神経を研ぎ澄ませて男と闘いを続けていた。
だがもともと半人半霊でありながらも怖いものが苦手な妖夢はだんだんその男が怖くなってきてしまい、手に震えがきてしまう。
「あ、貴方、何者ですか!?名を名乗りなさい!」
若干震えた声でそう言うも男はまるで口を開こうとせずに妖夢の元へ歩き出した。
するとどういったわけか男が何人にも増えていき妖夢の周りをぐるりと囲んしまった。
「なっ!?こ、これは一体……!」
男は動揺する妖夢にもお構いなしで一斉に中央の妖夢目掛けて攻撃を仕掛けてくる。
妖夢はそれを大きく飛び上がることによって回避した。
しかし、飛び上がった先にはなんとその男が一人待ち構えていたのだ。
「っ!!しまった!きゃあああーー!!」
不意を突かれた妖夢は男の攻撃をまともに受けて、地面目掛けて勢いよく落ちていく。
受け身も取れずにこのまま地面に叩きつけられるかと思ったその時。
「よっと!」
妖夢は到着したホウレンによって受け止められてなんとか衝突を回避した。
「ホ、ホウレンさん!?」
「わりぃ、遅くなった。大丈夫か?」
「わ、私は大丈夫ですがなんでホウレンさんが冥界に?」
「ちょっと色々あってな。」
「色々って……あ。」
ここで妖夢は気が付いた自分がどんな体制で受け止められたのかを。
妖夢は背中から落下していたところを受け止められた。つまり今の状況はホウレンにお姫様抱っこされている状態なのだ。
それに気が付いた妖夢は顔を赤くして慌て始める。
「あ、ああ、あの!そ…そろそろ降ろしてください……!」
「ん?ああ、そうだな。ほれ。」
ホウレンが降りやすく角度を変えると妖夢は急いでホウレンの腕の中から抜け出した。
「顔赤いが本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫です!お気になさらず!そ、それよりも気を付けてください!あの方、何をしてくるかわかりませんよ!」
そう言われてホウレンは男の方を見た。男は全部で八人に増えていて全員が同じ姿をしていた。
そしてホウレンもまた男の違和感に気が付いた。
「……気を感じねえ……。」
「気と言うのは貴方方や美鈴さんが使っているものですよね?あの方からは感じないんですか?」
「ああ。まったく感じねえ。そんなやつ存在するのか……?」
「実はあの方、霊気も魔力も妖気も何も感じ取れないんです。貴方方が使っている気と言うものならあるいはと思ったのですが……。」
「それも違ったわけか。じゃああいつは一体なんなんだ?」
「分かりません。……でもホウレンさんが来てくれてよかったです。ちょっと怖かったもので。」
「おまえ半分幽霊なのに怖がりだもんな。でも今は俺も一緒にいる。……もう怖くないだろ?」
ホウレンの言うとおりいつの間にか妖夢の震えは収まっていた。
「は、はい!まだ闘えます!」
「よーし、一人ずつ片付けていくぞ。俺に続け!」
「はい!!」
ホウレンは超サイヤ人に変身して、妖夢は刀を二本抜いて男たちの元へ走り出した。
二人が話をしている最中はまるで動きを見せなかった男たちだったが二人が向かってくるのを見て再び動き出した。
「待っててくれてありがとよ!こいつはお礼だぜ!」
ホウレンはそう言って手から気弾を放ち男たちを攻撃した。
気弾の爆発によって一瞬視界が悪くなったところを二人は同時に一人目の男を殴りつけ、斬りつけた。そしてホウレンはすぐにその男にエネルギー波を放ち止めを刺した。
すると男は体が霧のように消えてしまった。
「やっぱり生き物じゃなかったか……。」
「恐らく幻術の一種でしょう。この調子であいつらを倒しましょう!」
「おう!そっちは頼んだ!」
「任せてください!」
二人は左右に分かれて残りの男たちを倒すことにした。
「今度は容赦しませんよ!たあああーー!!」
妖夢は二つの刀で男を斬りつけまくった。男はそれをギリギリでかわして妖夢に反撃を加えようとした。だがそれを妖夢は許さず、反撃してきた拳を斬りつけ男の右腕が霧になって消えた。
その時出来た隙を見逃さずに妖夢は男を斬って斬って斬りまくった。
すると男はその場に倒れこみ霧となって消えた。
「これで二人……。あと六人!」
ホウレンは四人に囲まれて闘っていた。相手の力は今のホウレンにとって大したものではないがホウレンは逆にそのことが気になっていた。
(こいつらの強さは大したことねぇ。だけど紫は人里のやつとは次元が違うって言ってたはず。だとするとこいつらとは別のやつがいるのか……?それなら!)
「とっとと終わらせて元凶を倒して終わりだ!どりゃああーー!」
ホウレンは襲い来る男の足を掴み他三人を巻き込んで振り回し、そのまま放り投げた。
「あばよ!ターコイズブラスト!!」
放り投げたところを狙ってホウレンは技を放って男たちを飲み込むと男たちはあっけなく霧となって消えてしまった。
「ふう、こっちは終わりだな。あとは残ったやつの中に元凶がいるはず……。」
すぐに加勢しに向かおうとするホウレンだったがそこに妖夢が駆け寄ってきた。
「ホウレンさーん!」
「妖夢。残りのやつらは?」
「なんとか倒せました。ご協力ありがとうございました。」
あっさりと残りの男たちを倒してきた妖夢にホウレンは首を傾げた。
「あれ?一人だけ強いやつとかいなかったか?」
「?……いえ、みんな同じくらいでしたけど。」
「そうか……紫のやつめ。大したことなかったうえに暴走した様子もなかったぞ……。」
「暴走?なんの話ですか?」
ホウレンは地上で何が起こったのかを説明した。
「なるほど、それでホウレンさんは冥界に来たんですね。」
「そういうこと。まあ聞いてたほどの強さはなかったから、ちょっと拍子抜けだな。」
「いいじゃないですか。あの方が更に強かったらもっと被害が出てたかもしれないんですよ?むしろよかったと考えるべきです。」
「確かにな。おまえの言うとおりだ。そんじゃ、他のやつらの様子も気になるし俺は地上に戻るとするか。幽々子によろしくな。」
ホウレンは軽く手を振って再び地上へと戻ろうとした。ところが振り返るとその先に先ほどの男が一人、こちらをじっと見ていた。
「うおっ!?びっくりした!あ、あいつまだ残ってやがったか……!ってことはあいつが本体か?よーし、今度こそ終わりにしようぜ!」
ホウレンは腕を鳴らして再び戦闘態勢に入る。
「待ってくださいホウレンさん!何か……変じゃありませんか?」
「?何がだよ。」
「周りですよ。ほら、いつの間にかこんなに霧が……。」
妖夢に言われて辺りを見回すと確かに霧が立ち込めていた。そしてその霧は男に近づくほど濃くなっており、二人はこの霧が普通の霧じゃないことを察して辺りを警戒する。
「……妖夢。気をつけろよ。どんな攻撃がくっかわからねえぞ。」
「ええ……。」
警戒を続ける二人の前で男は目を鈍く光らせた。すると周囲に男とまったく同じ姿をした者たちがどんどん現れ、数えきれないほどの人数にまで増え始めたのだった。
「なっ!?」
「なんて人数……!これもすべて先ほどと同じ術を!?」
本気で闘えば余裕で勝てる相手とは言え、数えきれないほどの人数にさすがのホウレンも汗を垂らす。いくらホウレンといえど体力が無尽蔵にあるわけではない。
それは修行で実力が上がっている妖夢との二人がかりでも厳しいものであった。
「やべえな。どうすっか……__!!」
その時遥か遠くの方から強大な気が二つ解放されるのを感じた。それは地獄と地底で闘っているブロリーと悟飯のものだった。
幻想郷では霊気や妖気、魔力やそれ以外の力で満ち溢れていて普段はホウレンたちでも近くでない限りは特定の気を探るのは難しいものである。
しかし、この二人は今超サイヤ人以上の膨大な気を放出しているため、その気が冥界にまで届いてきたのだ。
「悟飯……ブロリー……あいつらがフルパワーで闘うほどの相手がいたのか。俺も弱気になってらんねえよな……。妖夢!いけるか!?」
「もちろんです!貴方と鍛えたこの力、まだまだあんなものじゃありません!」
「そうか!じゃあ俺も本気出していくぜ!!はぁあああーー!!」
その瞬間ホウレンは気を解放し、超サイヤ人へと姿を変えた。
「いくぞ妖夢。こいつら全員蹴散らして俺たちが勝つ!」