ドラゴンボールUW~記憶を失くしたサイヤ人~   作:月下の案内人

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深まる崩天祭の謎 あの世でもこの世でもない場所?

「……ハハ、どうやらオレの負けみたいだな。」

 

 馬乗りで首元を押さえつけられたディグラは拍子抜けするほどあっさりと敗北を認めた。

 

「……聞いてた話なら、貴方はあのセルに近い実力だって聞いてたのだけど。随分と簡単に負けを認めるのね。それともなにか企んでいるのかしら?」

 

「まさか。これはオレが始めた遊びだ。その遊びで負けたんだ、負け惜しみでそんなみっともない真似しない。ちゃんとヒントを出してやるさ。」

 

「……。」

 

 その言葉を聞いても紫は一切手の力を緩めずにディグラを睨みつける。

 そこに観戦していた霊夢と魔理沙が駆けつけてきた。

 

「紫!やったじゃない!」

 

「あとはこいつから情報を聞き出すだけってわけだな!」

 

「そうね。でもまだ結界は解いちゃだめよ?逃げられたら困るわ。」

 

「もちろんよ。むしろあんたたちが闘ってる間に、結界をより強固にしといたわ。」

 

「そう、流石ね。……さてディグラって言ったかしら?この状況でヒントだなんて意味がないんじゃなくて?貴方はここから逃がさないわよ。幻想郷の上空にある大岩とやらを早くなんとかしなさい。」

 

「最初に言ったろ?このオレを倒しても崩天祭は終わらないし、終わらせない。だからこそ、このヒントが重要なんだ。オレを倒すためには絶対に外せない、な。」

 

 ディグラの訳の分からない言いように紫は内心苛立っていた。しかし相手のペースに乗せられないよう、軽く深呼吸をして心を落ち着かせると再びディグラに向き合う。

 

「……いいわ。聞くだけ聞いてあげましょう。貴方を倒す為のヒントとは何?」

 

 

 

「……残り二人のオレを見つけろ。それぞれがオレの居場所を教えるヒントになる。」

 

 

 

「「「は?」」」

 

 

 

「おっと勘違いするなよ?今のはヒントじゃなくておまけだ。こんな風に無駄な時間が増えれば、それだけオレが遊ぶ時間が無くなってしまう。そんなのはごめんだ。」

 

「こいつ何言ってんだ?あと二人のオレ?私にはわけが分からないぞ?」

 

 困惑していたのは魔理沙だけではない、霊夢もまた同様にディグラの言葉の意味が分からずに首を傾げていた。

 しかし紫だけはディグラの言葉の意味に気が付いたようで、押さえつけていた手をディグラの首から離して立ち上がった。

 

「ちょ、ちょっと紫!なにこいつを離しちゃってるのよ!」

 

「そうだぜ!逃げられでもしたら面倒なことになるぞ!?」

 

「……いいえ。こいつは逃げないわ。逃げる意味が無いもの。」

 

「逃げる意味がないですって?……まさか!」

 

「そのまさかよ。こいつは多分ディグラ本人じゃないわ。」

 

「「!?」」

 

「惜しいな。」

 

 驚く二人をよそにディグラはボロボロの体を無理やり起こし、立てた膝に腕を置く。

 

「本人じゃないってのは少し違う。オレはちゃんとオレの意志で行動しているディグラそのものだよ。

ただし、本体ではないってだけだ。」

 

「ほ、本体じゃないって?じゃあおまえのその体はなんだよ!まさか式神だってのか!?いや、式神だろうが分身だろうが本人の意志があるわけないだろ!?」

 

「それはまだ秘密だ。今教えても面白くない。少なくとも式神や分身といった類のものじゃあないな。

それよりいいのか?こんなことを話しているうちにどんどん時間が無くなっていくぞ?」

 

「くっ!」

 

「落ち着きなさい魔理沙。聞いてやろうじゃないの、こいつのヒントってやつを」

 

「じゃあ話すぞ。第一のヒントは『あの世でもこの世でもない場所』だ。これ以上は何も言うつもりはない。オレのことは好きにするといいさ。」

 

 そう言うとディグラは降参のポーズを取って目を閉じた。本当にその場から逃げるつもりはないようで少しだけ霊夢と魔理沙はホッと胸を撫で下ろした。

 

「霊夢。魔理沙。この男は私がスキマに閉じ込めておくわ。たとえこの男を殺したとしても大岩を止められないとしたら、逃げ場のないスキマで私が直接見張っておきましょう。」

 

「ええ、任せたわ。……っていうか紫。あんたって幻想郷の全部を見渡せたはずよね?それでこいつの場所を探せないわけ?」

 

 

 霊夢の指摘に魔理沙がその手があったか!といった顔で手の平をぽんと叩く。

 しかし紫は残念そうに首を横に振ってそれを否定した。

 

「それは出来ないわ。」

 

「出来ないってなんでよ?」

 

「前に言ったと思うけれど、今幻想郷の時空はとんでもなく不安定なのは知っているでしょう?それのせいで私もスキマが思い通りにいかないのよ。」

 

「でもあんたさっきの戦いでいろんな物で攻撃してたじゃない?あれはどういうことなのよ。」

 

「あれは私が念のため残しておいたストックよ。今外の世界から物を持ってくることなんて出来ないもの。今ここに来ることが出来たのだってちょっと無理してるんだから。」

 

「……じゃあ紫の力でこいつを探すのは難しいのね。仕方ない、こいつのヒントを元に探す場所を考えましょ。」

 

「たしか、あの世でもこの世でもない場所だろ?そんな場所あるか?」

 

「うーん例えば異界とかあの世に近い場所とかかしら?」

 

 霊夢が言った異界とは幻想郷から繋がっている別の次元に存在する異世界である。

 

 例えば『魔界』は博麗神社の裏山の洞窟にある門から行き来出来る異世界。だが現在扉は開かず、その中にある『法界』にも行くことは不可能であるためここではないだろう。

 

 『天界』は妖怪の山をずっと登った場所から行くことが出来る桃源郷で冥界には近いがそこに住んでいる者たちは死んでいるわけではないのでディグラのヒントに該当する。

 

 そしてあの世に近い場所とは言葉のままで生きている物でもギリギリ行くことが出来る場所であり、

 

 『三途の川』は渡り切るまではまだ現世側であるため、あの世とこの世の狭間であると言える。

 

 『旧都』は元々地獄であり厳密にはヒントに該当するかもしれない。

 

 三人で思考を巡らせているとふと魔理沙が何かを思い出した。

 

「そういやさ。こいつが言ってた大岩なんだけど、ほんとにあるのか?いくら空を眺めてもそれらしいものは見当たらないしさ。紫は何か知ってるのか?」

 

「……ええ。最初に幻想郷の上空をなんとか見て見たのだけれど。何故かそれらしい物は何も見当たらなかったの。でも確かにあの小さい化け物たちは空を徘徊している。ひょっとしたらもっともっと高い場所にあるのかもしれないけれど、今の私では無理な話ね。」

 

「なあディグラ。本当は大岩なんて大嘘なんじゃないだろうな?」

 

「まさか。大岩は確実に存在するよ。それを認識出来るかは知らないがな。」

 

「ちぇっ、またよくわかんないこと言いやがってさ。」

 

「いいわ。とにかくまずは他のみんなにこの情報を伝えましょう。紫、あんたなんとか出来る?」

 

「ええ、それくらいならなんとか。」

 

「決まりね。私たちはこのまま思い当たる場所を探索。紫はみんなへの情報共有とそいつの見張り。何かわかったらすぐに報告すること。いいわね?」

 

「わかったわ。」

 

「よし、さっそく行こうぜ霊夢!ぼやぼやしてると時間が無くなっちまう!」

 

「わかってるわよ。さっさとこんなこと終わらせてやるんだから!」

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、幻想郷の上空に向けて飛び出す戦士が一人いた。

 

 

 

 

 

「あんときは随分やられっちまったけんど、今のオラは前みてえには行かねえぞ!!」

 

 孫悟空だ。悟空は上空の大岩を破壊出来ないかを試すためにセルジュニアたちの群れに単身で乗り込んだのである。

 突撃してくる悟空に気が付いたセルジュニアたちは一斉に悟空へと攻撃を仕掛ける。

 

「いくぞ!ハァアアアア!!」

 

 悟空はいきなり超サイヤ人の壁を超えて超サイヤ人2へと変身し、襲い来るセルジュニアの一匹を一撃で粉砕する。

 動揺するセルジュニアたちにさらに悟空は一気に距離を詰め。足蹴り、正拳突き、肘打ち、様々な攻撃でセルジュニアたちを粉砕していく。

 しかしセルジュニアたちはとんでもない数で空を覆っている。

 

「参ったな。やっぱ簡単には行かねえか。じゃあオラの全力で一気に突き抜けてやっぞ!ダアァアアアアアアア!!」

 

 悟空は気を最大限まで高めだすと、そのあまりの気にセルジュニアたちは恐れからか、少し後退する、そこを悟空は見逃さない。右手に全力の気を込めてセルジュニアたちの中心へ超スピードで突撃した。

 そしてそのままたくさんのセルジュニアたちを粉砕吹き飛ばしながらその肉の壁を突き抜け、そのまま上空へと飛び出した。

 

「へへっ、上手くいった!あとは隕石だか大岩だか知らねえけどそいつを見つけちまえば……ってあり?」

 

 追いかけるセルジュニアを背に悟空は遥か上空にまで飛んできた。ほぼ大気圏に近い場所だ。

 しかし……。

 

 

 

 

 

 

そこには大岩など、どこにも存在していなかった。

 

 

 

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