Veronica   作:つな*

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ヴェロニカは思った。

愛していると

ヴェロニカは辿った。

軌跡を


Veronicaの軌跡

この時代のマーモンから電話がかかってきた日の翌日、私は空港にいる。

 

マーモンに会いに行くついでに九代目にも会いに行くか。

ヴェロニカはイタリア行きの飛行機に乗る。

未来と違って、この時代ではボンゴレの影響力は大きく、九代目から貰ったボンゴレマークの入ってるブラックカードを見せるだけでファーストクラスに載せてもらった。

ボンゴレパネぇ…

数時間のフライトの末、やっとこさ来れたイタリア。

10年変わると結構景色変わるなぁ…

ヴェロニカは本部まで周りの景色を見ながら歩いていく。

本部へ着くとコヨーテさんが待ってましたよ、何故?

どうやらカードを使ったことで、私がここに来ることが伝わっていたようだ。

 

「九代目はまだ傷が癒えてなくてな…ベッドから起き上がれねぇが、会いにいってくれ」

「そうする」

 

ヴェロニカは案内された病室の扉を開けると、九代目が本を読んでいた。

 

「九代目」

「おお、ヴェロニカ…無事でなによりじゃ」

 

ヴェロニカは辺りの気配を探り、誰もいないことを確認する。

 

「おじいちゃん、無事でよかったわ」

「うむ、孫を見るまでは死なんよ」

「今見てるじゃない」

 

九代目は穏やかに笑うと、ヴェロニカの頭を優しく撫でた。

 

「おじいちゃん…あのね…」

「何じゃ?」

「どうしてパパに嘘ついてたの?」

 

これはずっと昔から聞きたかったことだ。

この嘘が無ければパパはクーデターを起こさなかったかもしれないし、二人の間にここまで大きな亀裂が走ることはなかった。

九代目は悲しそうに、ヴェロニカを見ていた。

 

「わしのエゴで……自業自得じゃ……」

「…」

「あの子がわしの子じゃないことは最初から知っていた……だが否定して追い返せば、彼らはまたスラム街に戻らねばならないと思ってしまうと…断ることが出来なかったんじゃ……」

 

ああ、やっぱり…

 

「だがいきなり出来たあの子を我が子と思うことは難しくてな…子供との関わり方も分からずに距離を取っていた…」

 

パパは愛を知らない。

 

「そして真実を告げるにはわしも、ザンザスも……離れすぎていた」

 

愛されることを知らない。

 

「すまぬヴェロニカ……これはわしの担うべき罪じゃ…お前には苦労を掛けたな」

「嘘ついたおじいちゃんも悪いけど、直ぐに暴力で解決しようとするパパも悪いし、両成敗じゃない?」

「そうか……そうか…ヴェロニカはザンザスが好きじゃな」

「まぁ私の父親だからね…」

「わしよりザンザスの方が父親に向いているのかもしれんのう」

「私はどっちも好きよ、ま、一番はパパだけど」

 

九代目は困ったように笑い、私の頭を撫でる。

 

「ヴェロニカ、ザンザスを頼んだぞ…」

 

普通逆じゃね?

何で孫に息子を頼むのさ…

いやパパは目を離せば直ぐにクーデター起こす人だしなぁ

私にパパがクーデターしなようにちゃんと見ていろってことかな?

 

「うん」

 

まぁ私もまたパパが負けるの見るの嫌だし。

沢田綱吉には主人公補正ついてるから絶対パパ勝てないと思うんだ。

九代目の体に障るといけないので、ここら辺でお(いとま)しますよ。

 

ボンゴレ本部を出たその足でそのままヴァリアー本部へ向かう。

門前に警備がいたが、マーモンから聞いていたのか名前を言えば直ぐに入れてもらった。

何か顔見られたら直ぐに血縁関係バレそうなので、赤いフードのついているパーカーを着てきた。

マーモンの部屋の前まで来ると、ノックをし中へ入る。

 

「やあ、君がヴェロニカだね?」

「ええ」

「そ、じゃあ早く用事を終わらせるよ…僕は忙しいんだ」

 

マーモンは棚の方からごそごそと手のひらより少し大きい箱を取り出し、私に渡す。

 

「一昨日棚の整理をしてたら見つかったんだ…中には僕と君あての手紙は入っててね、この箱を君に渡すよう書かれていたんだよ」

「そう……」

「全く……ボスが復活して直ぐの記憶が数週間もないし未来から変な手紙が来るし…これで終いにしてくれよ」

 

ですよね、すみませんマーモンさん。

リング争奪戦全部記憶ないですもんね。

気付いたら数週間の記憶ないし、何故か日本にいるしですごく困惑したに違いない。

未来のマーモンもそこらへん考えてればよかったのに…

ヴェロニカはマーモンの部屋を出て、ヴァリアー本部を出ようと廊下を歩き出す。

廊下を歩きながら箱の中身を確認していた。

箱の中には手紙とバズーカ、匣の形をした装置が入っていた。

 

『プリンチペッサへ

 

君のいる10年後の未来の時間軸の特定が出来なかったから、君が10年後の未来から帰ってくる頃にこれを過去の僕に渡しておいたよ。

まず、ボスへのワクチン投与が成功していても失敗していても一度未来に帰ってくること。

君の炎を調べないと、時間軸の特定がとても困難ということが入江正一の見解らしいからね。

この箱に入っているのは、僕たちの時代に戻るバズーカで、一緒に入っている装置は、ヴェロニカという人物の記憶を抜くためのものだ。

抜くと言っても、君が生まれるまでの時間で限定しているから、未来で君の存在が消えることはないよ。

装置は大空の炎と憤怒の炎で反応するようになっているよ。

           マーモンより』

 

ふむ、これなら私の存在も安心だな。

ってなわけで早速帰りますか。

帰るなら同じ場所じゃないと危ないかな…ボンゴレ研究所だったよな確か。

取り合えずボンゴレ本部まで行かなきゃな…

ヴェロニカが手紙から顔を上げると同時に、何かに顔から突撃する。

 

「ぶっ」

 

鼻を思い切りぶつけ、痛みに鼻を摩りながら、ぶつかった対象に視線を向ける。

と、同時に硬直した。

 

「あ?んだてめぇ」

 

目の前には至る所に包帯とガーゼが貼られてあるザンザスがいた。

おっふ、この時代のパパじゃないですかやだー

なんでいるの?

入院中じゃないの?

待って待って、その手に光っている光球は何ですかね。

憤怒の炎ですか、そうですか。

 

逃げよ

 

ヴェロニカは一気に足元に炎を纏うと、その場を力強く蹴り出しザンザスから距離を取る。

さきほどいたところにクレーターが出来る。

マジでパパが殺しにかかってきている!泣きたい。

ザンザスは己の攻撃を躱した赤いフードを被る人物を見やり、口角をあげる。

嫌な予感がががががが…

 

「おもしれぇ…カッ消してやる」

 

何でそうなるの。

ヴェロニカは内心涙目でその場をあらん限りの力で走りだす。

後ろから何か炎を溜めてる音がするんだけど、これ銃取り出してんの?あの人アホでしょ!

屋敷の中で爆発が起こり、他の者たちも次々と駆け付けてくる。

 

なんでじゃあああああああああ

 

ヴェロニカは今、両手が装置とバズーカで塞がっていて、腰に差してある剣が抜けない状況で走っていた。

ヴァリアーの下っ端も駆けつけてきて、人数が増えている今屋敷の中で鬼ごっこはまずいと思い屋敷の外へ逃げるが、外には警備員が待機していた。

 

「侵入者だ!殺せ!」

 

侵入者じゃねええええ!

マーモンどこだ!あいつに説明っ…何でお前パパの後ろからこっち見てんだよアホ!

なに僕知りませんみたいな顔してんの?カッ消したい。

ヴェロニカは周りを見渡し、窓の空いてる部屋を見つける。

二階だったので少し強めに地面を蹴って、窓から二階の部屋に侵入する。

ザンザスが後ろから追いかけてくる音が聞こえ、ヴェロニカはすぐさま持っていた装置に大空と憤怒の炎を注入する。

ザンザスがヴェロニカの入った部屋に壁を突き破りながら入ってきた瞬間、ヴェロニカの持っていた装置が光り出した。

 

「「⁉」」

 

ザンザスもヴェロニカもその光の強さに目を強く閉じる。

ヴェロニカはこれを好機と思い、もう片方に持っていたバズーカを自身に向ける。

バズーカの引き金を引くと同時にザンザスが銃の引き金を引く音が聞こえた。

 

 

 

 

視界が暗転し、次に浮遊感が襲う。

 

「きゃっ」

「う"お"⁉」

 

重力に従って落ちると、何かとぶつかり、下から聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「いっ…た…」

「その声はあ"、プリンチペッサかあ"!」

「うわっ」

 

ヴェロニカの下敷きになっていたスクアーロがいきなり起き出して、ヴェロニカをまじまじと見つめる。

スクアーロはヴェロニカの顔をぺたぺたを触ると、担ぎ上げてリビングまで歩き出し、扉を勢いよく開けた。

 

「う"お"お"い!おめーらあ"!プリンチペッサが帰って来たぞおおお」

 

扉を開けると、そこにはマーモン、レヴィ、ベル、ルッスーリアが全員集合していた。

何でだ。

全く状況が分からないけど、これ帰れたのかな?

 

「プリンチペッサぁぁぁあああ!待ってたわよ~!」

「プリンチペッサ!無事でよかったよ」

「シシッ、元気そうじゃん」

「うむ、怪我がなくて安心したぞ」

 

ルッスーリアがスクアーロを蹴飛ばしてヴェロニカにいきなり抱き着いてきた。

 

「んもう!何で黙って行っちゃったのよん!心配したんだからぁ!」

「根性あんじゃん、シシッ」

「全く、無事でなによりだよ」

 

ああ、これは間違いなく私は帰ってこれたのだ。

え、待ってどうなってんの?ここ。

私が状況を把握していないことに気付いたマーモンが説明し出す。

どうやら私の14歳の誕生日は一昨日あって、それまで皆に、過去に行ったヴェロニカの記憶はなかったようだ。

昨日、いきなり皆に記憶が戻りヴェロニカは行方不明に。

それで私が今日中に飛ばされて帰ってくることは知っていたので、帰ってくるまで待ってたらしい。

 

「つか何で俺の上に落ちてきたんだあ"?」

「24年前のパパと鬼ごっこしてて逃げ込んだ場所がたまたまスクアーロの部屋だった」

「はあ"⁉」

「あ…待って……パパは?」

 

ヴェロニカの言葉に、スクアーロがヴェロニカの手を引いてザンザスの執務室に向かう。

歩いている途中にスクアーロが教えてくれた。

 

ザンザスは生きている、と。

 

ここはパパが生きている未来であると。

誰もが昨日までパパが生きていることが当たり前だと思って過ごしていたが、今日記憶が戻ったらパパの命日じゃないですかーってことで、全員焦りながらパパの執務室に押しかけたらぶっ飛ばされたらしい。

にしても、ザンザスが死んでしまった未来での記憶が、ザンザスが生きている未来の彼らに上書きされた理由がいまいち分からないけれど、未来を変えたこと自体が世界の法則を捻じ曲げちゃったようなもんだし、理論上で解決出来るわけないのか。

少し時間に余裕が出来たら、ボンゴレ本部いって入江正一に聞いてみよう。

ヴェロニカの考えを他所に、スクアーロがザンザスの執務室の前に来ると思い切り扉を乱暴に開け、大声を出す。

 

 

「う"おおおい!ボスさんよお"!プリンチペッサが帰って来たぞおおお」

「うっせぇんだよカス!」

 

ガラスの割れる音と共に、スクアーロが部屋の外にぶっ飛んだ。

ヴェロニカは静かにそれを見届けて、部屋の中に入り扉を閉める。

 

部屋の奥にはザンザスが不遜な態度で座っていた。

 

「あ………」

 

 

生きているパパを見ると言葉が出なかった。

そんなヴェロニカを横目にザンザスがゆっくりと口を開いた。

 

「おい」

 

「ぇ……なに……」

「菓子作りは諦めろ、才能が壊滅的にねぇぞ」

「は?」

「くそまずかった」

 

かし…菓子……お菓子?

まさかあのクッキーのこと?

てか食べてはくれたんだ。

 

「な…」

「あ?」

「何で一言目がそれなのよっ……バカぁ…」

「あ"?」

「ていうか何で覚えてるの?記憶消したハズなんだけど…」

「あの時代にいた俺は10年後と入れ替わってただろうが」

「あ」

 

そうだった。

消したのはあくまで私が本来存在しない時間にいる人間の記憶だけ

あの時パパって確か私が10歳になった頃の時期から飛ばされてきたから、一応私が存在する時間軸の人なのか。

じゃあ手を繋いだことも覚えてるわけ?この人

 

「もう面倒くせぇことすんじゃねぇぞ」

 

ザンザスは呆れたような声と共に溜息を吐く。

ヴェロニカは少しだけ感考え込み、ザンザスに近寄り、彼に問いかける。

 

「ねぇパパ」

「あ?」

「パパが死ぬ直前に、『お前は俺のようになるな』って言ったの………」

「……」

「私、パパみたいにならないよ」

 

ザンザスが少しだけ目を見開く。

 

 

「だって私パパが好きだからね」

 

 

❝あなた達はお互い何も知らなさすぎるのよ❞

 

「あのね、私――――」

 

 

パパは不器用だから、仕方なく私のことから教えてあげる。

 

 

禍々(まがまが)しくも 

  (おびただ)しくも 

    気高き炎よ

 

 

燃え(たぎ)るその心に宿すは

 

 

  憎愛か

 

   はたまた親愛か―――――…

 

 

 

 

 

fin.

 

 




ご愛読ありがとうございました。
一応これで最終話ですが、後日談というか番外編があります。
私が気付く限りの、回収できなかった伏線を処理したいので後日談という形を使いますw
ほんとただの思いつきの設定をここまで書くことになるとは思いもよらなかった(笑)
因みにヴェロニカはポイズンクッキング一歩手前の料理の腕です。
今まで誤字・指摘・感想された方には大変感謝しております。


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