終末のイゼッタ 黒き魔人の日記   作:破戒僧

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Stage.8 『黒翼』羽ばたく時

1940年5月29日

 

さて、前任のルートヴィヒ中将がとうとう更迭され……いよいよもって、ルーデルドルフ准将閣下が方面軍のトップを継承することになった。

しかも、中央の参謀本部作戦局との兼務でだ……激務乙です。

 

……まあ、それは僕もだけど……。

こちらもとうとうというか、あるいはいよいよというか……エイルシュタット侵攻軍の前線指揮官をやらされることになったので。

 

司令官は、方面軍司令部トップとしてルーデルドルフ准将が、その下にレルゲン中佐がいて、実働部隊の指揮に、僕や他の少佐・大尉クラスが着任して戦う感じ。

 

僕は、それら横並びの総元締めの立ち位置に指名されたため……実質的な総指揮官だ。

あー、責任重大だコレ。胃が痛い。

 

そして、来週からいよいよ進撃を再開することになったわけで……僕も、それに伴って忙しくなるわけで……しかも、あの魔女殿との戦いも出てくるわけで……

 

……こないだは、レイラインがない上に奇襲だったからこそ、こっちペースで進められたわけで……さて、どうしたもんかね?

純粋に物量で押すか……それとも、何か絡め手を……?

 

何にせよ、一筋縄じゃないかない相手だ……な。

 

 

それに、だ。ぼちぼち、国際社会全体の動きが加速しそうな気もする。

 

……ちと、例の計画……というか、組織? パフォーマンス? の用意を速めた方がいいかもしれない。

アレを用意してるのは、テルミドールだ……それも、単独では反抗できないようにギリギリ残したレジスタンスたちを引っ掛ける形で。

 

手駒として用意させてもらっただけだから、悪いけど……彼らの目的が、本当に達成できるかはわからないんだけども……。それでも、彼らと帝国、そして僕ら、皆に利益になる形でまとめたので、それは勘弁してもらおう。

 

……軍大学通ってるうちから、色々仕込んで手配するの……めっちゃ、大変だったなあ。

そのかいあって、納得できるものができた自信あるけど。

 

ま、出番はもう少し先だろうけど……ね。

 

じゃ、当面の問題である、エイルシュタット相手の戦いに、まずは集中しますか……。

 

 

 

1940年6月15日

 

 

……チートの相手するの、マジ疲れる。

 

エイルシュタットってアレだな……なんか、攻め込めそうなところ、どこもかしこもレイライン通ってるもんな……ベアル峠は、なんか、ケネンベルクとあわせて負け戦の代名詞みたいな戦場になっちゃったから、敬遠されてるし。

 

残りの空白地帯は、大軍を動かすには不釣り合いな立地ばっかり……戦略として進言することができない。

 

結果、相手のホームグラウンドとも言っていいレイラインのあるエリアばっかりで戦うことになって……こっちの被害が拡大するばかりだ。

 

それでも、こっちの武器の質とか物量を武器に、何とかやれている。

 

具体的には……戦線を同時にいくつも、複数個所に展開して、スローペースで進撃する感じ。

 

エイルシュタットという国の規模や、そもそも攻め込める土地の少なさに、多数展開のコスパがあっていないので、思いっきり多く展開とかは元からできないんだけど……それを何とかできるように部隊の再配置を立案。戦線を3つ同時に進める。

1つ1つの規模は、現地部隊と義勇軍が合流してしまえば対応できてしまう規模だ。

 

しかしこれにより、イゼッタちゃんをどこか1つの戦線に縛り付け、残り2か所を推し進めつつ……中央本隊を機動運用してそこをさらに押し込む。

イゼッタちゃんが別な戦線に来たら、それによって空いた土地に戦略予備を押し込んで本隊を動かして、そっちをまた押し込む……という、鼬ごっこをする感じに。

 

要するに、イゼッタちゃんを思い切って『出てきたら負け』のジョーカーとして認識し、リスク分散を図るというものすごい力技だけど……彼女が1人しかいない以上、有効な戦術である。

戦略的要地を、取られてもすぐ取り返す、を続けるわけだ。

 

これにより、帝国もかなり牛の歩みになるけども……それ以上に、エイルシュタットが抱える負担がかさんでいく。こちらはダメージを抑え、敵に血を流させ、戦争を続けられなくするという……どこぞの幼女いわくところの『消耗抑制ドクトリン』によって、エイルシュタットを弱らせる。

 

これにはおそらく、エイルシュタットもこちらの狙いに気づいているだろう。攻めているようで、実質のところは守っている、徹底的に『消費』をさせるこの戦略の意図を。

 

しかし、それでもおそらく……向こうはこれに対して、国力そのものの小ささから、強くは出られない。戦力のかなめであるイゼッタちゃんは人間であり、戦えば疲れるし休息も必要とする。

 

加えて、各戦線はわざと、レイラインで直接つながっていない土地を選んである。大きく迂回するか、途中、車か何かを使わないといけないような位置取りを。マリーの協力の他に……ちょっとした秘密兵器が、こっちにはあるので、それを調べることが可能なのだ。

 

現にこの半月ばかり戦い続けたけど、彼女が戦線に出てきたのはその3分の2ちょっとだ。それだって多いとは思うが、やはり連日の強行軍は無理があるのだろう。

 

それにこの作戦……帝国の攻撃を事実上止めていられるので、実は、向こうにとっても悪くない展開のはずだ。

 

そもそもの話だが……エイルシュタットは、いくらイゼッタちゃんがいるからと言って、それだけで帝国に勝てるとは思っていないはず。というか、無理だし、思っちゃいけない。

 

だから……行ってみれば、彼女を旗印にして注目を集め、勢いをこちらに持ってくることが、今彼女たちがやっている方策であるはずだ。

具体的には、イゼッタちゃん効果で押しとどめている間に、他の列強各国を動かして参戦させ、その総力を結集して帝国に対抗する……って感じ。ブリタニア王国とか、アトランタ合衆国とかがその筆頭候補だろうか。

 

こいつらが参戦してくると、さすがに厳しいからな……帝国も。

そのための策はいくつか練ってあるし、こないだ準備に入った、テルミドール共和国のアレもその一環だけども……できれば、それ以前の段階で時間を稼ぎたい。

 

理想としては、戦線を展開しつつ……エイルシュタットを巻き込んで、かの国の他国との協調のために時間稼ぎをし……しかしその寸前で、妨害するなりすっ転ばせるなりしてさらに時間を稼ぎ……っていう風にできれば。

 

それがだめなら……思い切ってエイルシュタットを攻め落とすことにもなりかねない、か。

今のところ、『魔女』の存在があるからあの国の相手には慎重になってるけども……どうしても彼女たちを無傷で生け捕りにしなきゃいけないわけでもないし……。

こちらとしても、これ以上戦争を長引かせるのはな……帝国の不安定化が加速する。

 

全く、テルミドールを落とした時点で講和でもなんでもして、その手柄をブリタニアにでもある程度くれてやって、戦争そのものを終わらせてくれれば楽だったのに。

 

……けどなあ、できれば穏便なうちに済ませたい、とも思うしなあ……。

 

別な『魔女』である、イゼッタちゃんについても……捕虜とかにできれば、こっそり事情聴取したりして、僕らの計画に役立てたりも…………何なら、そのまま逃がすこともできそうだ。魔女の力で自爆したとかなんとか言って。

 

捕虜にしたまま帝国に置いておいても、ろくな扱いされないだろうし……ちょっと甘いか?

 

……だめだな、疲れすぎて考えがまとまらない。

寝ようかな、もう、今日は。

 

 

☆☆☆

 

 

エイルシュタット首都、ランツブルック――王宮

 

 

「はぁ……疲れた……」

 

「お疲れ様です、イゼッタ様……マッサージ、しますか?」

 

「あー、うん。お願いできるかな、ロッテちゃん……」

 

姫様こと、フィーネ大公に報告を済ませ、自室に戻ったイゼッタは、帰ってくるなり、着替えることもなく……いつもの『白き魔女』の衣装のまま、ベッドに倒れ込んだ。

 

かつては、『私なんかがこんな立派なベッド汚しちゃった!』と大慌てしていたものだが……ある程度扱いに慣れたのか、はたまた、それを気にする余裕がないくらいに疲れているのか。

 

どっちかというと、多分後者だと思う、と苦笑しながら心の中で考えるのは、フィーネ大公の命令で、彼女のお世話役を担っている、メイドのロッテである。

 

手早く彼女の服の、体を圧迫している部分を緩め……その体重をかけてマッサージしていく。

指圧のたびに、『あぁ~……』と、無防備に幸せそうな声がイゼッタの口から漏れ出ていた。

 

喜んでくれているのをうれしく思いつつも、ロッテは素直に喜べないでいた。

 

「このところ、ほとんど毎日の出撃ですね……どこもかしこも疲れがたまってるみたいです」

 

「うん……。けど、ゲールが攻めてきてるのに、動かないわけにはいかないし……」

 

「それはわかりますけど……このままじゃ、イゼッタ様のお体が持ちません。その……メイドが言うことじゃないかもですけど……お休みをもらうわけには、いかないんですか?」

 

「でも、私が出ないと……兵隊さんたちが、大変だから……。今日だって、結構ぎりぎりのところで間に合ったみたいだったし……ああでも、明日はまた別な戦線に行かなきゃ……はぁ……あ、そこそこ」

 

腰のあたりを指圧してるところで、気持ちよさそうにするイゼッタに……『まあ、アレに乗ってれば腰も疲れますよね……』と、イゼッタが空を飛ぶときに乗っている対戦車ライフルを思い出しつつ、ロッテはため息をついた。

 

このところ、出撃しっぱなしの自分の主は、この国のために身を粉にして働いている。

 

最初こそ、おとぎ話の英雄……それこそあの『白き魔女』のように、さっそうと現れて国の、そして身内の危機を救ってくれた彼女にあこがれたものだが、こうして見ると、どこにでもいる普通の女の子である。

 

……実際にここでは、レイラインがないために魔法が使えず、本当に女の子同然なのだが、ロッテはそれを知る由もない。

 

そんな彼女が……献身的で、姫様を敬愛する心にあふれ、どんな困難にも立ち向かっていく気質を持ったイゼッタが、ここまで疲れている。同時に、極めて人間らしい一面も見せている。

ロッテが、彼女も1人の人間なのだと認識するには、十分すぎる光景だった。

 

だからといって、彼女の忠誠心は微塵も揺らぐことはなく……むしろ、こんな時だからこそ、自分に弱弱しい姿を見せている彼女を支えたい、という思いでいっぱいだった。

 

「……っ、イゼッタ様が頑張れるように、私も頑張りますねっ!」

 

「え、えあ……あー……うん、あ、ありがと……」

 

いきなり言われてきょとんとするイゼッタを気にせず、ロッテは指圧により気合を込めるのだった。

 

そしてその後は、イゼッタの着替えの手伝い(毎回イゼッタは自分でやると言ってるのだが、半ば無理やりロッテが『お世話』している)、洗濯、掃除と、やることは山ほどあるのだ。

 

イゼッタが忙しくなってきてから……彼女の仕事も、また増えていた。

 

(本当にもう……ゲールのせいで私もイゼッタ様も大迷惑です! 毎日疲れて帰ってきて……っていうか、ひょっとしてコレ、狙ってやってるんじゃ……?)

 

 

 

「狙ってやっているのだろうな」

 

「ええ……ですが、実に効果的な手であると言わざるを得ません」

 

一方その頃、会議室にて、フィーネ大公とミュラー補佐官、シュナイダー将軍が、今後について話し合っていた。

 

明らかに、この戦局は……意図して向こうが展開しているものだ。こちらの戦力を……国力、経済力、兵員、兵站、政治中枢……そして、イゼッタ。その全てを疲弊させ、弱らせるために。

 

「我が国のような小国を相手にするに、このような流血戦術とは……高く評価されたものだ」

 

「全く持って忌々しい……しかし、効果的な戦略なのも事実。困ったものです……」

 

シュナイダー将軍が、苛立ちつつも落ち込むという器用な表情をしつつ、本音をこぼす。

それには、フィーネもジーク補佐官も同意だった。

 

このままでは、物量において圧倒的に劣るエイルシュタットは、間違いなく負ける。

そう遠くない未来、限界が来る。兵站にも……主力中の主力たる、イゼッタにも。

 

そうなる前に何か手を打たなければいけないが……列強に参戦を促すために説得するちょうどいい機会が、中々巡ってこない。

 

「……この状況を改善するのに、一番手っ取り早く確実な手は……やはり、他国からの干渉でしょうか。少なくとも、今の戦況を膠着ないし、敵軍を押し戻すことはできるかもしれない……」

 

「だがそれは不可能だ。ゲールとの戦争そのものはともかく、それにかこつけて我々を救ってくれるような国は……。今の義勇軍との共闘でさえ、ギリギリの綱渡りなのだぞ」

 

将軍の言う通りだった。打開のための、外部の余剰戦力が……今の自分たちには、用意できない。

 

かつてフィーネがその身を犠牲にして行おうとした政略結婚による支援要請も、戦争が始まってしまった上……そもそも、彼女自身が国家元首となってしまった今、余計に無理だ。

そして、他にその手に使えそうな者は、今のエイルシュタットにはいない。

 

(このままでは、限界が来る……イゼッタも過労で潰れる……! それだけは……何か、何か打開の手を……!)

 

しかし、戦略に決して明るいわけではないフィーネの頭をいくら振り絞っても、妙案など出てくるはずもなく……しかし、彼女の隣に座っていた男は違った。

 

「ならば、次点としては……敵指揮官の暗殺ないし、司令部の破壊。あるいは、敵兵站の途絶あたりでしょうか。いずれも、時間稼ぎにしかなりませんし、容易くはありませんが」

 

「敵指揮官というと……例の、『ソグンの悪魔』」

 

「ええ……情報もある程度集まりました。本名、テオドール・エリファス・フォン・ペンドラゴン。帝国軍少佐、参謀系統部局所属。異名は『ソグンの悪魔』『100年に1人の天才』『黒翼の魔人』……その他いくつか。様々な武勲を抱え、帝国では、軍内外からの信頼も厚い猛者、と」

 

「大層なことだ……しかし、この状況を見る限り、あながち間違いでもないのか」

 

「魔女の敵は、魔人、か……ジョークにしても笑えない」

 

呟くフィーネと将軍。それを気にせず、補佐官は続ける。

 

「周辺警戒を考えれば、暗殺は困難……実効性に乏しいと言わざるを得ません。であるならば……兵站の補給を寸断し、ある程度戦線に混乱を発生させる方策が効果的かと」

 

「なるほど……目星はついているのかね?」

 

「直近で襲撃できそうな、中規模以上の集積地が4つあります。全て北西の軍区にあり、それぞれ、戦域区分エリア4、11、12、19に。これら全体を一度に襲撃できれば、北西は東部に比べて兵站戦も弱く、それなりに時間稼ぎが見込めます。ただ……これら4つは相互に補い合う形で配置されているため、短期間に全て叩き潰さないと効果が出ません」

 

「4か所を同時に襲撃……しかしそれほどの部隊運用は、今の戦況では……」

 

「……イゼッタか」

 

「……戦線への負担となりますが、私の見立てでは、少なくとも2日程度であれば、彼女なしでも何とか持ちこたえられます。彼女であれば、半日あればすべての集積地を襲撃可能かと」

 

「そうか……我々は、結局また、イゼッタに負担をかけてしまうのだな……」

 

「……斯様な作戦しか立案できないことを、恥じるばかりです」

 

頭を下げるミュラー補佐官と、うなだれるフィーネ。

泥沼の戦いに、必死で自分たちを支えてくれる小さな魔女を思い……会議室は、沈黙に閉ざされていた。

 

……その沈黙の中、ミュラー補佐官だけが、活発に思考を働かせていた。表面上、申し訳なさそうにしつつも――いや、本当にイゼッタに対して申し訳なく思ってはいるし、負い目も感じているのだが、割り切りが得意なのである――その頭の中では、もっと重要なことを考えていた。

 

(……できれば、ペンドラゴンについては、暗殺ではなく捕獲したいものだ……この戦線配置、明らかに作為的なものを感じる。レイラインで一続きになっていない土地を選んで……イゼッタ君の負担が大きくなるように展開されているようにしか……。偶然と片付けるのは簡単だが……。もしこれが本当に作為的なものであれば、奴は……魔女の『レイライン』という弱点に関する知識を有し……そして、その分布さえもある程度把握しているということに……)

 

もしそうであれば、最悪の展開である。それを、どうにかして確かめたい……と、ミュラー補佐官は心の中で願っていた。

 

……そして、時を同じくして……フィーネの心中には、これまた全く異なる、というか、思い付きに近い1つの思考が生まれていた。

 

それは、敵の指揮官の名前を聞いた時に、ほぼ無意識の領域で呼び起こされた、1つの記憶。

 

(テオドール……テオ、ドール……? ……テオ…………あ……)

 

ふと、思い出した。

それは、まだ幼いころ……イゼッタと彼女が出会った時の、2人で遊んでいた時の記憶。

 

 

 

……否。

その思い出の中に……『3人目』がいたことの記憶。

 

 

 

『イゼッタおねーちゃん、フィーネおねーちゃん!』

 

 

 

(そうだ、確か……あの子の名も『テオ』だったな)

 

瞼の裏に……黒髪、黒目の、当時の自分たちよりさらに小さい子の、無邪気な笑顔が浮かんで……フィーネは、ふっと笑った。

 

 

☆☆☆

 

 

一方その頃……ここにも、疲れ切っている男がいた。

 

「あー……きっつい。マジ疲れた……もう寝たい」

 

テオドール・エリファス・フォン・ペンドラゴン。帝国軍少佐、エイルシュタット方面前線部隊総指揮官。

 

多数の戦線を同時に展開し、その全てを、報告を受けながら同時に指揮……さらにそれに連なる兵站や他の予備隊の管理、他の方面軍との連絡確認まで、同時進行で密に行うという離れ業をやってのけている彼は……当然ながら、疲れ切っていた。

 

有効な戦略であり、敵を徹底的に疲弊させうる手段ではあるが……その分、やる側も疲れるのである。

 

そんな、机でつっぷして『たれ』状態になっている彼の元に歩み寄るのは……彼の副官であり、士官学校時代からの親友。黒髪に長身の美男子にしてオカマという、やや残念な属性を持つ男、アレス大尉である。

 

「そんなところに申し訳ないのだけれど……お仕事追加よ、テオ」

 

「うーぃ、さんきゅーアレス……いや、全然ありがたくないけど……何コレ、出張?」

 

「というか、視察ね。急きょだけど決まったみたい……各戦線の視察と、細かい指揮。それから、その帰りにでも、各所の軍施設の視察をお願い。半分は私がやるわ」

 

「あー、うん。ありがと……ここには、二コラとマリーを残しとけばいいか……じゃ、僕はこことここに……えっと、で、その帰りに……『第11物資集積地の視察』……ね」

 

 

 

その数週間後。

誰もが予想だにしなかったところで……交わるとも思われていなかった道が、交わることになる。

 

その結果、何が起こるのか……まだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

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