目が覚めたらレガ様……えっ? 違う?   作:ACS

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ちょっとだけ時間が飛びます、主人公の交友関係的に深雪やテスラくらいしか応援しないのですが、モノリスコードの予選が被ってるししゃーない(白目


#22

#22 レッドカード

 

 

––––新人戦モノリスコード、僕の出場する第二種目なのだけど、ここに来るまでに妨害らしい妨害は無かったので僕は少々気を抜いていたらしい。

 

現在は市街地フィールドを使った二回戦で相手は最下位の四高、その気になれば僕一人でも対人戦の存在するモノリスコードで負ける事はまずあり得ないし、態々和を乱す真似をする必要もないから森崎くんやもう一人の選手の指示に従って行動していたんだけどねぇ……どうやら犯罪シンジケートの連中は死に急いでるらしいね。

 

僕が何故こうも殺意を抱いているかと言うとだ、試合開始直後の破城槌によって僕等は生き埋めにされたんだよ、そう、生き埋めだ。

 

巻き込まれた二人は命に関わるような怪我はない、そうなる前に落下して来た瓦礫の軌道をある程度逸らしはしたんだけど、骨折やその他諸々で暫くベッドの住人になる事は間違いない。

 

さて、どうやって報復してやろうか……。

 

そんな怒りを抱いてると、森崎君が意識を取り戻したらしく、周りの状況を見て少々混乱しながら僕の方へと振り向いて、絶句したようだ。

 

「関根……お前、その、怪我」

 

「ん? あぁ、瓦礫にヘルメットを割られてね、多分頭蓋骨にヒビでも入ってるんじゃないかな? 後は肩と背中に鉄筋の破片が刺さってるくらいかな、死にはしないよ」

 

……レガ様なら無傷だったんだろうけど、僕自身の鍛え方が足りなかった、この怪我はそう言う事だ。

 

「ああ、そうだ、森崎君」

 

「……なんだ、よ」

 

「僕は思った以上に君に対して友情を感じていたらしい、友人をこんな目に遭わされて––––正直相手を殺したいくらいに憎い」

 

僕の怒りがより濃密な殺気となって漏れたのか森崎君が息を飲む音が聞こえた、少なくない量の出血だけれど、勝った形で終わらさせて貰おうか。

 

「取り敢えずそう言う訳だから、相手を潰して来るよ」

 

返事も聞かずに肩に刺さった鉄筋やガラス片を引き抜きながらCADを構えた僕は、入学時よりも範囲の広がった糸を使って相手の居場所を探り当てる。

 

僕らの建物よりも二、三件先の場所に布陣していた彼らは破城槌が発動した事に混乱していたようだが、故意であろうと事故であろうと関係無い、彼らにはメッセンジャーになって貰わないとね。

 

それにこの程度の傷は何ともないと言う事を示しとかないと、テスラがブチ切れて周辺の土地ごと会場を消しかねない、今ですら寒気のする程冷たいプレッシャーが周囲に漏れてるし、割と本格的にヤバイ。

 

さて、どうせこの試合の結果も見るんだろう? なら後悔するんだね、君達が誰に喧嘩を売ったのかを。

 

 

 

この試合で幸運だった事は一つ、それは関根俊彦と言う少年が傷を負いながらも平然と立ち上がった事だろう。

 

破城槌を受けて選手が生き埋めになった際、一高のテント内は息が出来ない程の重圧に襲われていたのだから。

 

そのプレッシャーの正体はテスラの放つ殺気、それは彼女の友人である司波深雪ですらその圧に屈して呼吸が定まらなくなるほどの圧倒的な物。

 

テスラの根底に根差すのは人間不信、かつて実験動物として非道の限りを尽くされたトラウマによるものであり、それ故に彼女は極一部の人間以外には決して心を開かなかった。

 

そんな彼女が最も信頼を置き、愛情を抱く人間は俊彦であり、彼女の中の無二の存在なのだ。

 

それを傷付けられたのだからこその怒り、人間では無く生体プラントと言う圧倒的力を持つ種が持つ力によって周囲全ての人間諸共報復してやろうと考えるレベルであった為、彼が起き上がらなければ比喩抜きで一帯が更地になっただろう。

 

それだけの力を生体プラントは持ち、そして彼女はその力を行使する事に対して何の躊躇いも無い、何せ彼女にとって重要なのは個人(俊彦)であり全体(人間)では無いのだから。

 

 

俊彦が起き上がり、普段の飄々とした態度からは考えられない程の冷たい笑顔を浮かべている事でテスラは四高に対する報復を取り止めた。

 

それは単純に彼自身が見せしめを行う事を邪魔したくないと言う自重、一旦殺気を収めた彼女は救急セットを用意しながらモニターに目を移す。

 

救助隊が向かう前に血だらけの彼が超人的な身体能力を駆使して四高の生徒達の元へと向かう。

 

彼らは室内に居て、自分達の過剰攻撃に対しての責任の押し付け合いをしていたが、その会話を遮るように防火扉をまるで本でも捲る様に引き剥がした俊彦が現れる。

 

血に染まった全身で狂気染みた笑顔を浮かべた彼に恐怖を感じたのか、四高生徒は立ち尽くしてしまった。

 

正確には彼の纏う殺気と、糸を使って無理矢理第六感を覚醒させられたお陰で、自分達が言葉に出来ない程残虐に殺害される幻影を見せられた為完全に心が折れたのだ。

 

ある意味では彼らも被害者だが、俊彦の中ではそんな事はどうでも良かった。

 

そもそも、レガート・ブルーサマーズという狂人の中で半生を共にした彼もまた狂人なのだ、相手がどうなろうと気に留める人種ではない。

 

さらに彼は心の折れた選手達に対して報復の手を緩めず、相手選手達のCADを蹴り飛ばした後に手足と言った末端を狙って魔法を撃ち続け、私刑に近い事を行なっていた俊彦だったが、途中から大会スタッフが到着し、興奮した彼を背後から羽交い締めにするようにして救護室へと連れて行く事でこの試合は幕を閉じた。

 

実はこの時、俊彦を止めたスタッフは無頭竜の工作員の一人であり、その事を探り当てた彼は怒りと出血による興奮を装って四高の選手に精神的トラウマを与えると同時に工作員の持っていた連絡用の通信機を盗んでいる。

 

丁度良く負傷とこの私刑を理由に次の試合からは出場を辞退する事ができる、後は相手の居場所を割り出し報復を行うだけ、無頭竜は判断を間違ったのだ。

 

救護室に連れて行かれる最中、俊彦は笑っていた。

 

最も、それは普段の明るい笑顔では無く、かつての宿主レガート・ブルーサマーズに酷似した笑いではあったが。





やったね無能竜さん!! 分解されないよ!!(尚ミンチ

まぁ、彼らはあっさり死なせては貰えません、死んだ後も……ね?(震え声
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