ガンダム CRIMSON COMET   作:レイター

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中立コロニー「フロンティアⅣ」
平和なこのコロニーは突如として戦火に包まれていた。


1話『インフラックス』

目の前で大きな爆発が起きる。

 

「はぁっはぁっ!」

 

ただがむしゃらに走り続けた。

 

「はぁっはぁっはぁっ!」

 

目の前にシャッターの開いた大きな倉庫が見える。

そして同じく、その中にある、闇の色をしたマシンが見える。

 

「はぁ…はぁ…ここは…どこだ?」

 

倉庫の中で一安心し、目の前にあるマシンをよく見て見る。

 

「…ガンダムタイプか?」

 

二股に分かれたアンテナ、光を失ってなお赤く輝くツインアイ、まさしくガンダムタイプのモビルスーツだった。

 

「でも、なんだってこんなところにガンダムがあるんだ?」

 

すると横で、ゴソゴソっという音が聞こえた。

すぐさま音のした方を向き、戦闘体型を取る。

 

「誰だあんたは!『インフラックス』を奪いに来たのか!」

 

その言葉に、俺は少々考える。

『インフラックス』とは何なのか、ここでは一体何が起きているのか、目の前の老人は誰なのか。

 

「インフラックス?それは何だ?」

 

「お前はインフラックスを盗みに来たのではないのか?」

 

老人は不思議そうに俺の方を見た。

 

「それよりここで何が起こってんだよ、さっきから死に物狂いで走って来たってのに」

 

老人はしばらく考えたのちに、俺にこう伝えた。

 

「お前にはこの戦いを止める勇気があるか?」

 

「は?」

 

さすがに意味がわからなかった。

戦争を止める?どうやって?

 

「このインフラックスには、戦争を止める力がある。だが使い方を誤れば、新たな戦いを生む事になる」

 

インフラックスとはこのガンダムの名前らしい。

戦争を止める力がこの機体にあるのか?

 

「戦争を…止める…」

 

「いやはや、お主にはまだ早いか」

 

老人は一転して優しく微笑み、俺に指示を出した。

 

「この機体をそなたに預けよう」

 

いきなりのことだった。

 

「なんでだ?俺は敵かもしれないんだぞ?」

 

「そなたの目を見ればわかる、迷いのない透き通った目をしておる」

 

その時だった、後ろから銃声が聞こえ、続いて兵隊の大きな怒鳴り声が聞こえた。

 

「ここを開けろ!中に入ったら生存者は殺して構わん!」

 

「なっ!」

 

急いで梯子を登り、インフラックスのコックピットに座った。

老人は俺の手を取り、モニターに載せた。

承認完了という声がしたのちに、コックピットの扉が閉まった。

 

「おい爺さん!あんたは来ないのか!」

 

「私はもう終わる命だ、だがそなたにはまだ役目がある、頼む、戦争を終わらせてくれ、そのインフラックスを使って!」

 

老人はそう言うと、扉をこじ開けて来た兵隊によって銃殺された。

 

「1人始末完了、および目標の機体を発見した!」

 

「爺さん!」

 

老人はもうピクリとも動くことはなかった。

 

「あ、あぁ…くっ!貴様らぁ!!!」

 

レバーを思い切り前に倒し、ペダルを踏んだ。

驚いたのは、このインフラックスという機体が俺の思い通りに動いてくれたことだ。

 

「こいつ動くのか!」

 

兵隊たちは驚き、一斉に銃を撃って来た。

当たったところからは火花が少し散るだけで、傷ひとつつかなかった。

 

「はあっ!」

 

地面を殴り、その衝撃で兵隊は皆吹き飛んでいった。

倉庫のシャッターをこじ開け、外の光が見えた。

目の前に現れたのは、背後から緑色の光の粒子を出している機体と、大きな翼を持った機体だった。

 

「誰だ!」

 

翼を持った機体のパイロットが通信で話しかけて来た。

 

「民間人か?まだ機体が残っていたとはな」

 

続いて粒子を出している機体のパイロットが話しかけて来た。

 

「あなた逃げ遅れ?敵ではないわよね」

 

「俺は、沙月タツヤです」

 

俺は名前を2人に告げた。

 

「俺はカレヴィだ、よろしくな」

 

「私はレーアよ、よろしく」

 

2人も俺に名前を教えてくれた。

それと同時に、目の前に単眼のモビルスーツが現れた。

ザクが俺たちの機体に攻撃を仕掛けてきた。

俺のインフラックスは武装がなく、素手の状態だった。

 

「危ない!」

 

レーアがインフラックスに近づくザクを、大剣で真っ二つにした。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「敬語はいらないわ、それより、あなたの機体、戦えるの?」

 

俺はモビルスーツを操縦なんてしたことは無いが、武術の心得くらいは持っていた。

 

「ああ、こうすればいいんだろ?」

 

インフラックスはアクロバティックな動きでもう一体のザクの後ろに飛び、後頭部を掴み、もう一体のザクに放り投げた。

 

「せぇい!」

 

すかさずコックピット部分をマニュピレーターで貫いた。

 

「す、すごいな、どこで操縦を覚えたんだ?」

 

カレヴィは目を見開いて俺に問うてきた。

 

「いや、操縦はこれが初めてだよ、ちょっと武道をやってたくらいかな」

 

「つぎ、来るわよ」

 

レーアの言葉に、前の敵に視点を切り替える。

 

「丸腰じゃ長くは戦えないわ、これを使って」

 

レーアは俺に、腰についている一本の剣を貸してくれた。

 

「ありがとうレーア」

 

インフラックスは凄まじい機動力で、次々と敵機体を切り裂いていった。

レーアとカレヴィも、負けじと敵機体を撃破していった。

 

「どこに向かってるの?」

 

「港だ」

 

「真っ先に制圧されたって聞いたけど」

 

「言ったよ?」

 

「何か考えがあるなら先に教えてくださる?」

 

レーアとカレヴィは淡々と会話をしている。

 

「あそこにはアークエンジェルがある、あれを奪還して脱出する」

 

「そんな事しなくても、救命ボートとか」

 

「残ってると思うか?それにボートじゃ避難民は逃げられない、あれがいる」

 

「まったく、災難だこと」

 

大きな橋を渡り終え、大きな宇宙港へと到着した。

そこには敵の攻撃部隊と思われる機体がいた。

ジンクスとトールギスだ。

 

「なんだその荷物は!」

 

「修理用の予備パーツって聞いてます!」

 

「基地に戻ればいくらでもあるんだぞ、捨てていけ!」

 

部下にそう指示し、もう1人の部下に聞く。

 

「もっと急げないのか?」

 

「収容作業を中断されては?」

 

「ダメだ、捕虜と民間人は最優先だ」

 

「しかし、この人数では収容スペースも…」

 

「気密が保てばいい、銭湯区画も使え、備品を捨てても構わん」

 

「少尉は…」

 

「甘いか?」

 

「いえ、作業続けます」

 

「頼む、定時報告だ、少し外す」

 

隊長機と思われるトールギスが移動したのを見計らい、カレヴィが通信で指示を出した。

 

「隊長機が消えたな、今だ!」

 

3機とも飛び出し、ジンクスの前に立った

 

「なんだこいつら!」

 

ジンクスはビームを撃ってくるも、カレヴィ機、レーア機は軽く避けている。

 

「くらえ!」

 

「こいつ!腕を!」

 

インフラックスはジンクスの腕を掴み、背負い投げをした。

 

「う、うわぁぁぁぁ!」

 

断末魔と共に、コックピットを踏み潰した。

 

「次はどいつだ!」

 

他のジンクスは後ずさりをした。

 

「そこまでだ!」

 

隊長機のトールギスが戻って来て、通信で呼びかけた。

 

「一度ならず二度までも、我が軍の船を!この盗人が!」

 

「ちぃっ!」

 

トールギスとカレヴィ機のウイングガンダムがビームサーベルで鍔迫り合いをする。

 

「お前らが間抜けなんだよ!」

 

「その声!まさかカレヴィか!?」

 

「んん?誰だお前?」

 

煽られた隊長が蹴りをいれようとするが、見事にかわされる。

 

「この私を忘れたとは言わさん!」

 

「ははっ!相変わらず暑苦しいな!エイナル」

 

そう言って睨み合いを続けるウイングガンダムとトールギス。

するとレーア機のエクシアがライフルを構えた。

 

「援護する!」

 

「待て!手ぇ出すな!」

 

トールギスはエクシアに向かって急接近した。

 

「速い!」

 

インフラックスはすかさずGNブレイドでトールギスのビームサーベルを防いだ。

そしてトールギスを吹き飛ばした。

 

「面白い!」

 

今度はインフラックスに接近するトールギスだった。

すると俺の前のモニターに、英語で、

『CRIMSON COMET』と表示されると同時に、インフラックスを赤い光が包み込んだ。

 

「なんだ!?」

 

トールギスは慌てて後退した。

 

「紅の…彗星?」

 

「何が起きてるの?」

 

レーアも不思議にそう言っていた。

 

「ふん!たかが赤くなったくらいで!」

 

トールギスは高速で背後に回り、サーベルを振ったが、そこにインフラックスはいなかった。

 

「なんだと!?」

 

数メートル先にインフラックスはいた。

凄まじいGに耐えながらも、再びインフラックスは高速移動する。

 

「くらえっ!」

 

トールギスの腹部を蹴り飛ばした。

 

「なんという速さだ!」

 

「トドメだ!」

 

GNブレイドを振りかざすと、目の前にビームが落ちた。

 

「隊長!撤退を!」

 

トールギスは飛び上がり、俺たちにこう告げた。

 

「カレヴィ、勝負は預ける、それとその黒い機体のパイロット、次に会うときは必ず殺す!」

 

そう言ってエイナルと部下は撤退していった。

 

「勝負とかいってんなよ、恥ずかしい」

 

いつの間にか赤い光が解けたインフラックス。

 

「はぁ…疲れた…」

 

「あなた、タツヤとか言ったわね、さっきはありがとう、助けてくれて」

 

「いや、俺の方こそ、最初に助けてくれてありがとう」

 

すると、アークエンジェルから通信が入った。

 

「あーあー、聞こえますか?こちらアークエンジェル、ルル・ルティエンス中佐です、現時刻より艦長代行に着任しました。」

 

俺は通信の少女をみて驚きを隠せなかった。

 

「艦長代行、ずいぶんとお若いんですね!?」

 

「悪かったですね!子供で!」

 

むぅっと頬を膨らませる艦長代行。

 

「そういえば、地球に送るために人を載せるって言ってたな、ずいぶんと速い到着だが、今までどちらに?」

 

「えーと、それは…」

 

「捕虜になってたと」

 

「ううぅ」

 

しょんぼりする艦長代行に変わって、顔に傷をおった軍人が出て来た。

 

「副長代行のマドック中佐だ、すまんが発信のため、宇宙港を開けてもらいたい」

 

「了解だ」

 

宇宙港のハッチを開けるボタンは、そう遠くはなかった。

 

「艦長代行、ずいぶんと若かったわね」

 

「お偉いさんのご息女らしくてな、安全な移送任務を与えられたんだろうが」

 

「愛されてるってことでしょ」

 

「そういえば、2人はなんでこんなところにいるんだ?」

 

俺はレーアとカレヴィに問いかけた。

 

「私はもともとここで仕事をしてたのよ」

 

「俺は地球軍所属で、任務のためにここに来た」

 

「へぇ、俺はただの民間人だったけど」

 

軽い経歴を明かしているうちに、ハッチに到着した。

突然モニターが赤く光り、cautionと表示される。

 

「接近警報!」

 

頭上から降り注いだビームは、いとも容易くコロニー自体を破壊した。

 

「コロニーが!なんてこった!」

 

「ネズミが!逃げられると思うな!このガンダムと私が来たのだからな!」

 

巨大なブースターを兼ねた装備をまとったGP03デンドロビウムだった。

 

「ルスラン・シュレーカー…」

 

「来るぞ!」

 

巨大なモビルアーマーは、俺たちに向かって突っ込んできた。

まずは挨拶代わりと言わんばかりに、巨大なビームを放ってきた。

 

「あぶなっ!」

 

「くそッ!こんなデカブツどうしたらいいんだ!」

 

カレヴィの言葉に、レーアが返答した。

 

「まずはIフィールドを消さないと…あのジェネレーター、壊せる?」

 

この中で格闘が得意といえば、エクシアかインフラックスになる。

流石に女性に行かせるわけにはいかなかった。

 

「わかった、じゃあ俺が行くよ」

 

「あら、ありがとう」

 

ブースターの出力を全力にし、Iフィールドジェネレーターにしがみついた。

 

「クソッ!離れろ!」

 

デンドロビウムは機体を大きく動かし、インフラックスを振り払おうとした。

 

「させない!」

 

ジェネレーターを全力でぶっ叩き、破壊した。

 

「ちっ!」

 

「次はどうすればいいんだ!」

 

レーアに助けを求めた。

我ながらかなり他力本願だ。

 

「次はあのミサイルをどうにかしましょう」

 

「そういうことなら任せろ!」

 

カレヴィのウイングが、バスターライフルを発射し、片方のミサイルポッドを破壊した。

 

「私だって!」

 

レーアも負けじとGNソードでミサイルポッドを破壊した。

 

「このままではまずいか…」

 

ルスランはその場を後にし、逃げようとした。

 

「逃げられる!」

 

「そうはさせない!」

 

インフラックスの『CRIMSON COMET』を発動させ、まさに紅の彗星の如く凄まじいスピードで追いついた。

 

「かかったな!」

 

デンドロビウムはこちらに振り向き、大出力のレーザーを放った。

 

「危ない!」

 

インフラックスは、左手でビームを弾きながら、右手のGNブレイドでGP03を貫いた。

 

「馬鹿な!」

 

GP03は大爆発を起こした。

インフラックスは、左手を失いながらもなんとか生還した。

 

「はぁはぁ…さすがに疲れたな…」

 

「あんな無茶するからでしょ、さっさとアークエンジェルに帰還するわよ」

 

3機のガンダムはアークエンジェルに帰還するために、再び飛んだ。

 

 

 




ガンダムブレイカー2を久しぶりにプレイしていて書きたくなったので書きました。
投稿ペース遅めです。
「インフラックス」はHi-νガンダムインフラックスの事です。
多少パクリみたくなってますので、苦手な方は注意してください。

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