ガンダム CRIMSON COMET   作:レイター
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左手の激痛により意識を失い、医務室で目を覚ました沙月タツヤは、怪我の内容について知ることになった。
その時、月の中立都市フォン・ブラウンにはコロニー連合軍の魔の手が忍び寄っていたのだった。


3話『月の中立都市part2』

医務室から自分の部屋まで、そこまで長くはなかった。

俺は軽い身支度を済ませ、ブリッジに向かった。

先ほど副長代行のマドックから至急来て欲しいとの連絡があったのだ。

 

「腕は…大丈夫みたいだな」

 

左手の包帯を取り、傷の具合を見てみる。

火傷の跡は大きく広がり、まだ少し赤くなっていた。

俺は左手を握りしめ、司令室に入った。

 

「パイロット、沙月タツヤ入ります」

 

「あ、こんにちはタツヤさん!」

 

最初に声をかけて来たのは先ほど見舞いに来てくれたルル艦長代行だった。

少しだけ顔が赤くなっているように見えるのは気のせいだろうか?

 

「タツヤくんか、実は整備班が君の機体を調査し、わかったことがあるのだよ」

 

「わかったこと?」

 

マドックは真剣な表情で話を続けた。

 

「君の機体の正式名称は『RX-93ν-2I Hi-νガンダムインフラックス』という機体だ」

 

「Hi-νガンダムインフラックス…」

 

さらにマドックはインフラックスの詳細について説明してくれた。

 

「インフラックスには『サイコフレーム』と呼ばれる特殊な素材が使われていてな、そのサイコフレームが何かの拍子に君と同調し、結果としてインフラックスの性能が跳ね上がったのだろう」

 

「あの赤い光はサイコフレームの輝きだったのか…」

 

「だがサイコフレームと同調した君にはインフラックスが受けたダメージが70%ほど君に反映するのだよ、その左手の火傷もそのためだ」

 

「やっぱりか…」

 

左手の火傷跡を確認してみる。

やはりあの時のレーザーのダメージのようだ。

 

「次の戦闘からその事故を防ぐために、我々でリミッターをかけさせてもらったよ」

 

「リミッター?」

 

「うむ、インフラックスのサイコフレームと君の同調が60%を超えると、強制的に同調を中断させるシステムをアップデートしておいた」

 

要するに、俺が怪我を負う可能性があると、システムが強制的にやめさせてくれるらしい。

 

「現在わかっているのはこんなところだ、君からは何か質問はあるかね?」

 

「じゃあ聞いときます、インフラックスはあれが限界の性能なんですか?」

 

「それはどういうことだね?」

 

確かにインフラックスの性能は、ウイングやエクシアよりも高い。しかし、戦争を根絶させられる機体という割にはそこまで大した性能ではないと思うのだ。

 

「インフラックスは強力ですが、まだ完全じゃない気がするんです」

 

「なるほど、おそらく今のインフラックスはフル装備ではないのだろうな」

 

「と、言いますと?」

 

マドックは先ほどとは違い、微笑を浮かべた。

 

「インフラックスにはバックパックが装備されていなかった、悪用されるのを防ぐために外したんだろうな」

 

「じゃあそのバックパックはもう二度と作れないんですか?」

 

「我々が調査しておこう」

 

「ありがとうございます」

 

俺はマドックに一礼し、司令室を出ようとした。

その瞬間、ドカァン!という爆発音が聞こえ、少し遅れて振動が伝わって来た。

 

「なんだ!?」

 

「コロニー連合軍のモビルスーツです!何故ここに!?」

 

モニターを見ると、ザクやジム、ガンダムまでもが街を攻撃していた。

 

「タツヤさん!」

 

「分かってます!」

 

ルルは俺を格納庫に行くように指示した。

すぐさまパイロットスーツに着替え、ヘルメットをかぶった。

インフラックスに乗り込み、出撃準備を整えた。

 

「各モビルスーツに連絡します。直ちにコロニー連合軍のモビルスーツを撃退してください」

 

「「「了解!!!」」」

 

3人同時に返事をし、出撃した。

 

「カレヴィ・ユハ・キウル、ウイングガンダム出るぞ!」

 

「レーア・ハイゼンベルグ、ガンダムエクシア、行きます!」

 

「沙月タツヤ、Hi-νガンダムインフラックス、出撃する!」

 

3機のガンダムが一斉に出撃、鎮圧に向かった。

 

「だから言ったのによぉ、ここにくれば的に攻める口実をやるだけだってな」

 

「司令部からの命令です、任務に支障が出るからと…」

 

「たかが戦艦一隻の移送任務だろうに、ガキの使いかよ…」

 

カレヴィの言葉が気に障ったらしく、頬を膨らませていかにも怒ってますよ顔をしたルル。

 

「むんー!」

 

回線に割り込んで来たマドックが、カレヴィに注意する。

 

「口を慎め少尉、すでに敵は侵入しているのですぞ」

 

「失礼しました!副長代行殿」

 

俺は彼らのやりとりに、おもわず笑ってしまう。

一方レーアの方は「やれやれ…」と言った感じだった

 

「これだからガキのお守りなんてなぁ…」

 

カレヴィはやはり嫌だったようだ。

 

「言っても仕方ないでしょう」

 

相変わらず冷静なツッコミを入れるレーア。

 

「やれやれ、大人が責任取らねーとな!」

 

目の前に立ちはだかった敵機体を次々と倒して行く。

 

「危ないと思ったら下がれよ、死にたくないだろ?」

 

カレヴィは俺に忠告してくれた。

 

「大丈夫だって、危ないと思ったらすぐにお前の後ろに行くからな」

 

「それはさすがに困るな…」

 

そんな会話を続けながらも、どんどん敵を倒していった。

気づけば20機ほどいた敵機体もほとんどいなくなっていた。

 

「それにしても、2人とも流石だな」

 

機体性能ではインフラックスの方が多少上だが、ウイングとエクシアは俺よりも全然敵を倒している。

 

「あら、タツヤだって民間人にしてはすごく強いじゃない」

 

「ふっ、年季が違うからな」

 

カレヴィのカッコつけた言い方には多少イラつく。

だがこれでもいい奴なので許せてしまう。

 

「お、扉が開いたぞ」

 

目の前の大きな扉が開き、ひらけた場所に移動した。

 

「各機モビルスーツに連絡する、敵の部隊は居住区エリアのピラーを破壊しようとしている、速やかに排除せよ」

 

「「「了解」」」

 

敵を粗方片付け、居住区エリアまで飛ぶ。

 

「あれじゃないのか?」

 

巨大なピラーが7本あるエリアに到着した。

すると敵部隊の声が聞こえた。

 

「これより速やかに居住区エリアを破壊する、総員攻撃開始!」

 

「全く、今日はとことんツイてないぜ!」

 

「全くだ!」

 

カレヴィの意見に同意し、全速力で敵部隊を攻撃する。

 

「ピラーは壊させないぞ!」

 

「なんだ貴様ら!」

 

俺は敵兵の言葉を一切耳に入れずに、距離を一気に近づけ、コックピットをビームサーベルで貫き、そのまま上に切り上げる。

敵兵の乗っていたザクが爆発し、すぐさま俺は別の機体に標的を変更する。

 

「逃すかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

インフラックスのモニターに『CRIMSON COMET』の文字が現れ、機体が真紅に染まる。

 

「なんだとっ!?う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

敵機が振り向いたと同時に、その胴体をビームサーベルで切り裂いた。

 

「はぁ…はぁ…次はどいつだ!」

 

大量の汗をかき、息も荒れて来たが、俺はまだ戦えた。

すると背後から振動が発生した。

確認すると、背中を撃たれたようだ。

 

「ぐっ!う、うぉあぁぁぁぁぁ!!!」

 

歯を食いしばり、強烈なGに耐えながらインフラックスを撃った機体を葬った。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

膝をつき、『CRIMSON COMET』を解除した。

 

「タツヤ!大丈夫か!」

 

声をかけてくれたのはカレヴィだった。

 

「ああ…なんとかな…」

 

突然、上から新たに投下されたのは青いモビルスーツ、グフカスタムだった。

 

「あの機体、エースか!」

 

「気をつけてタツヤ!エースは強力だわ!」

 

投下されたグフカスタムは3機、1人1機ずつ相手にしなければならない。

そんな時なのに、俺はなぜか笑みを浮かべていられた。

 

「は、ははっ、なぁインフラックス、俺たちはこんなところじゃ、止まれねぇよなぁ!」

 

俺の気持ちに応えるように、インフラックスは立ち上がった。

 

「テメェらも、コロニー連合軍も、全員ブチ殺して!この戦争を終わらせる!」

 

インフラックスの赤いカメラアイは、これまでにないほど輝いていた。

 

「オラァァァァァァ!!!!!!」

 

ビームサーベルを振りかざし、一気に間合いを詰める。

グフカスタムもソードで受け止めるが、インフラックスの力に完全に押されていた。

 

「この力はなんだっ!クソッ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ソードと右腕を切り裂き、もう一撃加えようとしたその時、グフカスタムは左手に持っていたガトリングを掃射した。

 

「これで迂闊には近づけまい!」

 

「チッ!」

 

なんとか逃げるが、ガトリングの掃射は完全には避けきれずに、数発被弾している。

 

「そのまま死ね!」

 

「こんなところで、死ねるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ガトリング掃射を被弾覚悟で一直線に間合いを詰めた。

 

「なにっ!?」

 

「トドメだぁ!」

 

ビームサーベルの柄の部分をコックピットに付け、一気にビーム刃を展開した。

ビームの刃はコックピットを焼き、その中にいたパイロットの命を奪った。

 

「はぁ…はぁ…こっちは倒したぞ…」

 

最早喋る力も残っておらず、モビルスーツを立たせることですらもうできなかった。

 

「こっちも片付いた、これよりアークエンジェルに帰還する」

 

「インフラックスとタツヤはエクシアが運ぶわ、カレヴィは出てきた敵を迎撃して」

 

「了解した」

 

インフラックスのサイコフレームに40%以上同調すると、体力もかなり使うことが今回わかった。

俺は途切れ途切れの意識の中、ある言葉が聞こえてきた。

 

【それでも私は信じてる…】

 

女性の声だ。

もしかしたら俺は瀕死の状態で幻聴が聞こえているのかもしれない。

 

【あなたならいつか、この戦いを終わらせられるって】

 

その言葉を最後に、俺は完璧に意識を失った。

 




結構急ピッチで書いています。
それ故に誤字がいくつかあるかもしれませんが、その辺は大目に見てくれればありがたいです( ^ω^ )
今回は主人公の沙月タツヤがかなりのバーサーカーになってましたね。
多分次かその次くらいにフォン・ブラウン編は終わりにしたいと思います。
お気に入りしてくださった方、誠に有難うございます。
これからもガンダムCRIMSON COMETをよろしくお願いします。







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