Fate/Grand Orader twins future 作:千ちゃん
所長に追い出された俺たちはマシュに個室を案内してもらいながら、長い廊下を歩く。
「災難でしたね。しかし所長の癇癪にも同情の価値ありです。失礼ながら先輩たちはカルデアについて知らなさすぎます。まあ、わたしも務めて二年になりますがよくわかりません」
「そうなんだ。ちょと以外だな」
この年で働くなんて何か事情があるのかな? と聞きたいが慣れ慣れしいので立見は口を閉ざす。
「カルデアの資金は各国合同ですが、その大部分はアニムスフィアで出資しています。所長は悪党ではありませんが、悪人です。平気で気に入らないスタッフは首を切ります。あ、いえ、どうでしょう・・・・・・性格が悪い人だから悪人と言っていいのでしょうか?」
自分の問いに悩むマシュ。悪人かは判断できないけど、立花に殴られた所長の姿を見ていた候補生の中にニタニタした笑いで”ざまーみろ”と不幸を楽しんでいる連中もいたから好かれてはいないだろう。けど・・・・・・
「そうだな・・・・・・俺が思った感想は、切羽詰まっていて認めてもらおうと必死に強く見せようとしている感じだった」
「どうしてですか?」
「聞かせれて」
マシュと立花は疑問を聞いてくる。
「この任務が失敗したら人類は滅ぶだろう? それだけの重圧を一人で抱えている。俺たちを道具といったのもレフ教授みたいに信頼できる人があまりいないからじゃないかな? だからマシュ、所長を支えてあげてよ。君も信頼できる一人だと思うし」
部外者である俺たちには所長の重荷を軽くなんてできない。信頼されている人の励ましで軽くできる。
「・・・・・・ありがとうございます。先輩たちを励ますどころか逆に励まされてしまいましたね。おしゃれな言い回しとかあまり慣れていないので」
「気にしなくていいよ、そんなの。こうやって話かてくれるだけでありがたいんだから」
マシュはコミニケーション不足を落ち込むが立花が話すだけで楽しい事を笑顔で答える。
「しかし、立花先輩の特技には驚かされました。見事に顎に当たりましたね」
「あたしって眠っている時に怒りや殺意を感じると攻撃しちゃうんだよ。・・・それにしても殴られたところがまだ痛い」
「まあ、そのおかげでしっかり目が覚めたんだ。あとで所長に謝るんだぞ。手の様子も聞いておかないと」
立花は少しホッペを膨らませる。まるで怒らせたハリセンボンのように見える。
「ちょと! そこはアタシの頭を心配するところじゃないの。・・・・・・立見て気の強い子が好みだっけ?」
「違うよ。お前の頭は岩のように硬いだろう! 骨にヒビが入ってないか心配だからだよ」
「そこまで硬くないわよ。アタシの頭を何だと思ってんのよ!」
「喧嘩の時に頭突きで相手を気絶させたことがあるんだから表現は間違っていないだろう!」
子供喧嘩のような口論をしていると、向かい側からフォウ君がマシュに向かって駆け出し飛び込んでくる。
「フォウ」
「うわ!」
「あぶない!」
俺たちの叫びにマシュは優しく受け止めて右肩に乗っける。
「大丈夫です。いつものことですから。フォウさんはわたしの顔に奇襲をかけ、背中に回り込み、肩に落ち着きたいらしいのです」
「フォウ!」
フォウはいつもの指定席にいるのかご機嫌そうに鳴き声を上げる。
「慣れているのね。名付け親は君?」
「はい。フォウさんが住み着いて1年になりますから」
立花はフォウ君がマシュの肩に乗っているのを羨ましく思いながら部屋まで歩いていく。
「着きました。ここですね。立見先輩の部屋は。隣は立花先輩のい部屋になっております」
「ここまでありがとう。じゃあ・・・・・・はい」
立花はお礼を言いつつ手を差し出す。
「・・・・・・え~と・・・・・・これは?」
いきなり手を出されて困惑するマシュ。
「握手と自己紹介だよ。いろいろバタバタしていたから、ちゃんとお礼もしてなかったし。アタシは藤丸 立花。よろしくね。後、いろいろ面倒見てくれてありがとう」
「そうだな。あいさつとお礼はきちんとしないと失礼だからな。俺は藤丸 立見。また迷惑を掛けるかもしれないけどよろしく」
立見も手を差し出し
「マシュ・キリエライトです。こちらこそよろしくお願いします。立見先輩、立花先輩」
「フォー、キューキュ」
「うお!」
マシュも戸惑いから少しだけ笑顔になり、握手に応じてくれた。そのまま肩に乗っていたフォウ君が立見の顔面に向かって飛んでくる。立見は驚きつつもそのまま顔面でキャッチして落ちないように手で支える。
「立見ずるい! アタシも」
立花はフォウ君を抱っこしようと胴体を持ち引っ張る。
「痛い! 痛い! 髪に引っかかって余計に痛いから!」
痛がる立見を見てフォウ君を離す立花。フォウ君はそのまま立見の右肩に居座る。その光景を微笑ましくマシュが見ていた。
「先輩たちがフォウさんをみていてくれるのですね。それなら安心です」
「そういえばマシュは何チームなんだ?」
「Aチームです。すぐに行かないと」
Aチームか・・・・・・立見は優秀だと思いつつ一番危険な場所に行くことを決められているのを思い出す。
特異点Fにはどれだけの危険があるか分からないが、また会って話したい。だから今の俺たちにはこれぐらいの言葉をかけるのが精一杯だ。
「マシュ、気を付けて」
「マシュ、またお話ししよう」
「はい。ではまた」
マシュの姿が見えなくなるまで目を離さず、無事に帰ってくるのを祈る立見であった。
「しかし、立花先輩の特技はどうやって身に付けたんですか?」
マシュは所長をぶっ飛ばした睡拳のことを聞いてくる。
「ああ、あれ。なんかジャングルで野宿していたら勝手に身に付いた」
「・・・・・・・・・え?」
マシュは立花の問いに口が塞がらない。
「正確に言えば俺たちのじいちゃんが探検家でよく冒険に連れて行ってくれたんだ。危険地帯とか平気で連れて行くから・・・・・・何度死にかけたか」
「・・・・・・は?」
マシュはどんなリアクションをすればいいのか分からず苦い顔をしている。
「夜に安全に寝たいと思ったら勝手に危険感知ができるようになったからいいんだけどね」
「そのせいで、居眠りしている立花に怒りどれだけ学校の先生が被害に遭ったか・・・・・・」
立花は笑いながら状況を認め、立見は被害にあった人たちを思いため息をついている。
「そんな危険な場所にいってつらくはなかったのですか?」
「うーん・・・・・・確かに危険地帯にもいったけど、でもいろいろな景色も見れたから。いい思い出だよ」
「オーロラやグレイトブルーとか世界の絶景スポットも現地で見たからな。あの感動は今でも忘れられないさ」
マシュの質問に危ない目にもあったが綺麗な物も見れた事を伝える立花と立見。
「羨ましいです。わたし・・・・・・そういうの図鑑でしか見たことがないので」
「だったら行けばいいじゃないか」
「え・・・・・・?」
羨ましがるマシュに立見は行動する事を伝える。
「この任務が終わったら有給休暇でも取ってさ、自分の見たい物を見に行けばいい。成功の報酬としては赦されるだろう?」
「そうだよ! 今見れる物は今しかないんだから、行かなきゃ損だよ」
「・・・・・・・・・・・・考えてみます」
立見と立花の質問にマシュは難しそうに答える。魔術師の世界では自由に出歩くことも禁止されているのだろうかと立見はマシュの態度を見て考えていた。