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4月――――
冬の寒気に晒されていた街中に、春の始まりを告げる風が通り抜ける。
あたたかな空気が入り込むと、それまで眠りについていた者たちがここぞとばかりに出て来ようとする。
新生活が始まる――――――
世間一般では、学生は入学式or始業式を迎え、社会人は入社式or新年度の始まりを迎える。
新年を迎える正月の時とは違った特別な気持ちを抱いて、みな外に出ていく。
そんな社会人となって数年が経ち始めた俺にも、新年度を迎えた。
とは言っても、例年と変わらない疲れる内容に頭と体を悩ませることとなる。
正直、会社に行かないですぐに家に帰って、もう一度、夢の世界へと潜りたい気分だった。
だがしかし、そんなことすらも許してはくれない
「ほぉら、しゃきっとしなさいよ!」
「ふぁ~い…………」
体中からポキポキと音くらいに硬くなった体に、頬を叩かれるような刺激的なお言葉をいただくと、仕方なく体を動かさなくちゃいけなかった。 彼女の言葉に反応しようと口を大きく開けようとすると、あくびがこぼれる…………あ、ダメだ
「よし、もう一度寝よう(キリッ」
家に帰り夢の世界のゲートをくぐることに決めた――――!
「そんなに眠たいのなら、そのふぬけた顔を叩くわよ?」
―――――前言撤回、やっぱ会社に行きます。
「はぁ………最初からそうしなさいよ…………」
“彼女”は頭を抱えながら大きなため息をつく。
ちなみに、“彼女”の名前は『西木野 真姫』。
俺と同じ年、同じ月、さらに、日にちも4日しか違わずに生まれだ。 その美しさ、可愛さは天下逸品! ひと風吹けば、あの滑らかな赤髪が優雅になびくと甘酸っぱい苺のような香りが鼻につく。
ちなみに、俺の好きな匂いだ。
そして、脚先から腕の先、頭のてっぺんまでもがスラっとした一見か弱そうで細く華奢な体をしているように見える。 だが、見た目では分からないような強気のオーラが彼女を包んでいるため、決して弱くは見えないのだ。
ちなみに、俺はキレイなスタイルの女の子は好きさ。
また、彼女は美少女3大特徴の一つ、ツンデレの使い手! 睨むような目つきと辛らつな言葉で強い“ツン”を演出、そして、時折見せてくれるさりげない優しさによる“デレ”。 このコンボを喰らっちまったらどんな男だってイチコロよ。
ちなみに、ツンデレ………好きです。
そんな俺と真姫だ。 まったく、ちょっとした運命を感じちゃうぜ♪
「どこがそう言うのよ?」
ちょっとイヤそうにジト目でこっちを睨んでくる。 何でそう言う風に見るのか………ふっふっふ、お兄さんは知っているぞ。 これはちょっとした照れ隠しなんだろ? 俺との運命を感じるから恥ずかしくなったのだろう? だからそう言う風に見つめてくるんだね、わかります。
「何で一言話すだけでそういうように言われなくちゃいけないわけ?! 全然、違うんだからね!!」
はい、ここで〔全然〕を用いた否定形の文が飛び出てきましたねぇ。
それに強調するかの如く、文章の最後に持ってくるとは、これは中々のモノですよ。 これはツンデレ特有の言動でありまして、本心である好きという気持ちの裏返しとして発せられた言葉で、ここで露骨な強調否定形を入れているのは、相手に自分の気持ちを気取られたくないことと、自分に嘘をつくという二重の意味があるのです。 そして、誰もいなくなった場所で1人寂しく後悔するのです…………
そんな健気な姿を見せる真姫………いいねっ!!! ツンデレ万歳!!!
「な、なにバカなこと言っているのよ!!? そんなわけないんだからね!!!!」
「安心しろ! ツンデレ語はつまり逆さ言葉なのだろう? ならば、さっきの言葉の逆さは…………ゴフッ!!!! あ、ありがとうございますぅぅぅ!!!!」
「ヴェェ!!? なにそれ、イミワカンナイ!!!」
「イミワカンナイいただきましたぁぁぁ!! 重ねてありがとうございますぅぅぅ!!!」
「な、なんなのよぉぉぉ!!!!!」
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結局、叩かれました。
頬パーンされました。
ほっぺたがヒリヒリします。
「バカなことをするからよ………」
あ、でもこれはこれで、御褒美ではないでしょうか?
「さすがに、それはひくわよ…………」
今度はイヤそうな顔をして、俺との間隔を開けてきた。
「わー! 嘘うそ!! 嘘だから、そんなことないからね! お兄さんは、叩かれるのはイヤな方だから、やっぱ叩かれて痛いなぁ………真姫に叩かれたから余計に痛いなぁ…………ナーバスになりそう……………
はぁ…………死にたい……………」
「ヴェェェ?! そ、そこまでなの?!!」
「だって、我が愛しの大天使様(マイ・ラブリーエンジェル・マッキー☆)から嫌われたんだからそうなるに決まってんじゃん。 あー………テンションマジ下がるわー…………」
「う、うぅ……………」
そう言ったら、真姫は顔をうつむかせて暗い表情になり始める。
ありゃりゃ………ちょっと言い過ぎちまったかな………?
仕方ない、アレをやるか…………
「あーテンションが低くなっちゃったなぁー(棒) 誰か、俺のこの手を握ってくれる大天使級の超絶美少女はいないかなぁー(さらに棒) 握ってくれたら、テンションMAXになるんだけどなぁー(すごい棒)」
そう言って、手をブラブラとして見せると、ビクッと反応を示して、物音を立てずにスッと俺の手を握ってくれた。 ちょっと、ムスッと頬を膨らませてそっぽを向いたままなんだけど、そこからでもバッチリと顔が赤くなっているのが分かるとか……………
うおぉぉぉぉぉぉ!!!? や、や、やさしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!
え、何この子、ホントマジで可愛過ぎない?! さり気なくやったつもりだけど、俺がそうさせたということが分かっててやってるの? いや、それとも分かってない!? うわぁぁぁ!! どちらにせよ、可愛いじゃん! 最高じゃん!!! さすが、我が愛しの大天使様(マイ・ラブリーエンジェル・マッキー☆)!! 俺の目には狂いは無かったようだぜ!!!
まったく、抱きしめたくなっちゃうぜ、このやろー!!!!
「う、うるさいわよ!!! 少し、心の声の音量を下げなさいよ!!! は、恥ずかしいじゃないの!!!!!」
「え? それって、俺の言ったことは肯定してくれるってこと?」
「ッ――――――!!!!/////////」
この数分間の間で、本日2度目となる頬パーンをいただきました。
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頬がまだヒリヒリs「もうそのくだりはいいわよ、飽きた」……ハイ。
辛辣な言葉が飛び出て気ましたなぁ………こりゃ、たまげた。
ん? こうした言葉を吐かれて悔しくはないのか、だって?
う~ん………確かに、あまり良い気持ちにならないのは正直なところだな。
けどさ、それ以前に、俺は真姫のことが好きだし、これからも変わることの無い普遍的なものなのだ。 しかも、好きと言っても『like』ではないぞ、『love』だ! ラブライブのラブだ! そう、つまり俺は真姫を愛しているんだ! 愛していなくっちゃ、こんなハートブレイクされそうな言葉を毎日聞けるわけがないだろ?
それに、真姫だって俺のことを愛してくれているんだし。
「誰も言ってないわよ!!」
「えっ……それじゃあ、俺のことは嫌いなのか………?」
「え、いやっ……そんなことはないけど………」
「じゃあ、俺のことを愛しているんだ、ヒャッホ―イ!!」
「だからどうしてそうなるのよ!!!」
いいじゃないか、いつも俺のことを散々弄くり回すんだから少しくらいこっちが弄ったっていいじゃない! そうもしないと、保たないんだよ! この気持ちが!!
『アイ・ラブ・ユー』の『ア』すら言わせてくれないんだからさ、いいよね? うん、いいんだな。 よしわかった、決定!!!
俺からお前に、アイ・ラブ・ユゥゥゥゥゥ!!!!!
「だから、うるさいわよ!!!!!」
おっと、いけねぇ…………欲望が口からシャングリラシャワーなことになっていやがったぜ。
はっ……! そう言えば、気付かぬうちに俺は真姫に愛の告白をしていたというのかッ!!? むぅ………気付かぬうちにそんなことになるとは………真姫ちゃん……恐ろしい子ッ………!!
でも、そんなところが可愛いのだよ♪
「も、もぉ………さっきから恥ずかしいことばかり言って…………け、けど、ありがと……ね………」
「ダニィ?! 真姫が……デレている………だとぉ………?!」
「何よ! 私があなたを褒めて何か悪い!?」
「い、いやぁ、そんなことはないのだが………まさか、素直にそんなことを言うとは思ってもみなかったからさ」
「べ、別にいいじゃないの。 実際、あなたには感謝しているのよ?」
「ん? 俺は何かしたっけ……?」
唐突に、まさかの真姫からの感謝の言葉を貰って、正直戸惑っている。
俺自身、真姫と一緒にいた年月は長い方だが、何をしたのかと言う心当たり全く無し!
「えっと……その……あなた、
「えっ?! あ、いや、確かにそうだが………どうして?」
「あなたがそうして話を書いてくれることで、
「あー………って、イヤイヤイヤ! 待ってくれよ、真姫! 真姫は俺の書いている小説が良いって言うのか? あれは、真姫を散々酷い目に遭わせているんだぞ?! そんなのが良いって言うのかよ!?」
「いいのよ、アレで………私はね、いろんな人に私や私たちの話を書いてもらっているわ。 そんないろいろな人たちの世界で私たちが動けているのは、実に嬉しいことなのよ」
「だがよ、いろいろな世界と言ってもすべてがハッピーな話だってわけじゃないんだぜ? 真姫たちが酷い目に遭わされたりする世界だって、少なからずあるんだぜ? それに今の俺だって………!」
「だから、それはそれでいいのよ。 正直、私もそんな酷い目に遭うのはゴメンよ。 けどね、それも1つの人生だと思うわ。 その人生を完全に否定したら私自身も否定することになるわ」
「けどよ………けどよ…………!!」
「だったら、
「えっ……?」
「あなたは私を幸せにしてくれる話を書いてくれるかしら?」
真姫の真剣な眼差しが俺を突き通した。
初めてだ、こんな真姫を見たのは………!
俺の見てきた真姫は、決して強くは無かった。 強気にふるまってはいるが、実際のところ目の前に高い壁がぶち当たった時の真姫は誰よりも弱々しかった。 いや、むしろそれが真姫の正体なのだと思っていた。 だから、俺は自分の書いている小説の中で、弱い真姫を描きだし、そこからどんどん強くしていかせていた。
だが、今俺が見ている真姫はそんな真姫じゃない。 もっと……とてつもなく強くなった姿をした、真姫だったのだ!
真姫………キミはいったい…………?
「うふっ♪ 少し戸惑っているようね。 いい? 私はね、強くなったのよ。 みんなから支えられて、助けられて、そしてようやく
「戻ってきたって………何故だ?」
「決まっているじゃない。
「新しい………物語………?」
「そうよ、また私たちのために新しい物語を書いては、この世界に生み落としてくれたのよ。 私はその度に、こうやってスタート地点に戻ってきては新たな一歩を踏み出しているの。 そうしていたら、いつの間にか強くなっちゃってたのよ。 それに、あなたの世界でもね」
「俺の物語に?」
「ええ、もう1人のあなた『宗方 蒼一』と共にあの世界での私は生きているの。 それに言ってたわよ、あなたの物語は好きだってね」
「そんなバカな。 だってさ、あんなことをやって嬉しいはずがないだろ?」
「いいえ、違うわ。 あなたはその分、私に幸せを与えてくれたわ。 もちろん、『宗方 蒼一』としてね。 今は、蒼一と一緒にいることが出来て、十分に幸せだと言っているのよ」
「そう………なの…………か………?」
「だからね、あなたに聞きたいの。 あなたは私のことを幸せにしてくれるの?」
幸せ、か………正直、俺自身が幸せと言うモノをちゃんと分かってないのかもしれないけど、多分、こう言うことなのだろうというものは頭の中では分かっているつもりだ。 だが、それが本当に正しいのかわからねぇ…………
だが、そんないろんなことがあったとしてもだ。 ハッキリと言えることが出来ることがある。
「真姫、俺は………お前を幸せにしてやる! 蒼一が必ず、真姫を幸せにしてやるからよ、待っててくれよな!!」
「ええ、待っているわ――――――
「!! い、いや、俺は蒼一じゃないんだぜ……? ちゃんとした名前があってだな…………」
「わかっているわ。 けど、あなたも蒼一なのよ。 あなたをそのままトレースした存在が蒼一なのだからどちらも変わらないことじゃない」
「そうだけどさ………まあ、いいか。 どっちがどうやろうが、結局のところ、真姫を幸せにするのは確定済みなんだしよ」
「うふふ♪ そうこなくっちゃね♪」
「………なんか、俺んとこに出てくる真姫に似てきたような気がするんだが………」
「さぁ? どっちかしらね?」
ふふふっ♪と意味ありげな声を出すと、不敵な笑みをこぼし始める。
そしたら、今度は握っていた手を俺の腕に回してきて、自分の体を押し付けてくる。
むむむっ!! こ、この感触はまさか………!
俺の二の腕に感じられる2つのやわらかさ………そのやわらかさの間に挟まれるように俺の腕が入っている!! おお! こ、これは………!! これはぁぁぁぁ!!!!!
――――って、この真姫はどう見てもデレ真姫じゃないかぁ!!
あっ、でも気持ち良かったです♪
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「そろそろお別れのようね」
そう真姫が言うと、目の前に2つの道が俺たちの前に現れた。
一方は、俺がよく知る会社への道―――――
もう一方は、俺の知らない場所への道―――――
この2つは、まるで正反対の道に進んで行くような気がしてならなかった。
すると、真姫は俺から離れて、俺の知らない場所への道に歩み始めようとしていた。
その時に自分の中でかき立てられる何かがあった。 焦燥感と言うヤツだろう。 そう、ここで真姫を引き留めないと、もう会えないような気がしたのだ。
「お、おい! どこに行くんだ………?」
咄嗟に声が出てしまう。
そしたら、真姫は少しさびしそうな顔で話してくる。
「待ってるの、私のことを待っている人がこの先にいるの。 迎えに行かなくちゃいけないの」
その時、ハッとさっきのことを思い出す。
真姫は、今までにたくさんの人から真姫や真姫たちの話が作られてきて、その度にスタート地点へと戻っていくのだという。
まさに今がその時のようなのだ
「あっ………」
今、手を伸ばしてその行く先へと行かせないことは簡単に出来る。
だが、それで真姫は喜ぶだろうか? 真姫は幾度となく続く時間の中を楽しく過ごしてきているんだ。
それが今の真姫の喜びなのかもしれない
そんな真姫を俺は引き留めることなんて出来なかった。
俺は伸ばそうとしたその手をひっこめた。
すると、真姫が―――――
「大丈夫よ、私はいつもあなたと一緒にいるわ。 だから安心して行ってらっしゃい。 私には私の世界があるように、あなたにはあなたの世界があるのよ。 そこで全力を出しに行きなさい。 でも、もし辛くなった時は思い出してね。 あなたをために飛んで行くから」
――――と、満面の笑みで語りかけてきてくれたのだ。
ずるいなぁ………大好きな真姫にそんなこと言われたらさ………嬉しくって涙が出ちまうじゃねぇか………
こぼれ落ちそうになる涙をグッと堪える。
別れる時くらいは、悲しい涙の顔じゃなくて、嬉しさがあふれた笑顔でいたいのさ。
そう気持ちを切り替えて、俺は大きく手を振る。
「また会おうな、真姫」
そう言ってあげると、真姫もニッコリと笑い始める。
「ええ、いつかまた会いましょうね、○○」
そう言うと、真姫は道を歩んで行き、そして――――――見えなくなった
「行ったのか………」
その姿を見守った俺もまた、自分が歩まなければならない道に進み始める。
そこに何があるのか分からない。
けど、前に進もう。 そうすれば、何か新しいモノが見えてきそうな気がしたのだ。
そして、去り際にこう残してやるのだ――――――
「愛してるぜ、真姫!!」
―――――ってね♪
どうも、うp主です。
どうでしたでしょうか、私の妄想世界は?
というより、今回の話は実際に夢に出てきたことをそのまま小説としてブチ込んでいったわけなのですが……………
う~む……これも悪くないのかもしれない………!
変態主人公、俺!!…………悪くない………悪くないぞ………!!
現在執筆中の作品にも入れてあげたい要素だと思う、今日この頃。
しかし、今回の話は俺の妄想のホンの一部に過ぎませんわ!
もっとね、真姫とね色々なことがしたいという願望はあったりしますが、それをフルで書いてしまうと、止まらない止められない状態になりかねませんので、まだ、抑えておきますw
そんな妄想爆発小説の次回は…………希!!!
推しと言うことで、本編では書ききれなかった妄想を大爆発させていこうかな?と思います!!
それでは、次回までおさらばでございます!