8月――――――
ジリジリと照り付ける灼熱の太陽によって創られた、その名も炎天下と言う地獄のような現実に生きる俺は、そんな世界を横目に室内でちょっとしたバカンスをエンジョイしている真っ最中である。 ラジオから聞こえてくるニュースキャスターからのお言葉は、現在の気温は35℃と人間様のデリケートな身体を溶解させてしまうほどの熱が殺しにかかってきているとのこと。 どおりで、いつもよりも多くゆらゆらと陽炎が動いていると思ったらそう言うことだったのかと、窓からひょっこり顔を出して下界の様子を眺めていた。
だが、そんなことなど俺にはまったく関係ないのだ。
なぜならば、俺は冷房がガンガン効いているこの部屋で心地良く過ごしているのだ。 身体が熱くなろうとも一気に冷却してくれるこのそよ風に当たりながら、今日も1人ゆっくりと時間を過ごしていくのだ。
そういえば……今日は誰かと約束をしていたような気が…………まあ、いいか。 今はこうやって安楽な一時を過ごしていたいのだから、他のことなんて考える必要なんかないな。
ふわぁ~………とか言っていたら眠くなってきたな。 少しだけ昼寝と言うことで………おやすみぃぃぃ………
冷房から吹き出る風が頬をやさしく撫でるように吹きぬけ、気持ちが穏やかになる一方で眠気も舞い降りつつあった。 目蓋も次第に重くなり、いつの間にか視界は真っ暗となり意識も沈んで行きながら、一時の眠りにつくのだった。
「――――――――――――」
「――――――――――――」
んっ……誰かに呼ばれたような…………? 気のせいか………
モゾモゾ―――――――――
んんっ?? なんだ? 今度は、身体に何かが当たっているような……? それに、何だか急に熱くなってきたような気がするのは何故だろうか? 冷房はちゃんと効いている。 なのに、身体が段々と熱くなってきているのは、一体どういうことなのだろうか??
半ば眠りについたままの頭を持ち上げながら、俺は身体を起こす。
そしたら、その原因を瞬間的に捉えることが出来たのだった――――――!
「ッ――――――?!! な゛っ!!!? ほ、穂乃果ッ―――――?!!」
なんと言うことだろうか、俺がゆっくり寝ていたその横で、穂乃果がぐっすりと気持ち良さそうに寝ているではないか!? それもなんだ、私服のままで俺が身体に掛けていた布団を一緒に使って寝ているとか………
何なんだ、この状況は―――――!!!?
起床してから数秒も満たない時、無理やりにでも平静になろうと深く呼吸を行い続ける。
「焦るな……今の状況をもう一度確認するんだ………俺はここで1人寝ていて、しばらく経ったら穂乃果が横にいた………いやいや、どう転んでもおかしいじゃないの?!」
思いもよらないことに直面したからなのだろうか、かなり頭が痛くなってきた。 頭に血が廻り難くなってきているからかなぁ~? だから、頭が痛い……んなわけないか………
そんな俺が思い悩んでいる最中も、穂乃果ときたら、すぅ――――すぅ―――――と小さな寝息を立てて未だにご就寝のままである。
「しかしまあ、こうして見てみると、かわいい寝顔なんだよなぁ………」
そう呟きながら、紅いチークが掛かったようなかわいい頬に指でそっと触れながらその顔を見ていた。 よく、人を散々こき使ってハチャメチャやって困らせてくれるおてんば娘なのだが、いざこうして眺めてみると、かなりの美少女なんだなと改めて感じる。
穂乃果とは、かなり長い付き合いをしているのだが、そうした想いとかに駆られたことなどこれまでに微塵も無かった。 むしろ、厄介なヤツだなと思う時がしばしばといった感じだろう。 ただ、周りに集まってくる有象無象たちは、太陽の美少女だとか言って持て囃しているばかりだ。
これのどこがいいのやら……と随分と思い続けていたモノだ。
しかし、今になってその意味が少しばかり分かってきたような気がする。 ただし、寝ているだけはな、と限定させていただく。
「んっ、う~ん………ふへへぇ~…………♪」
穂乃果のそのやわらかそうな頬に向かって、少しばかりか指で突っついてみる。 その結果は、案の定と言ったところだろう。
「――――――やわらかすぎッ―――――!!」
なに、この饅頭みたいなモチモチとした感触は! やさしく突っついただけなのに、プルンと強い弾力を持って弾き返してくるではないか!! それになんだ、どういう夢を見ているのか分からんが、突っつくことで穂乃果の表情が頬の辺りからだらしなく崩れて、変な声を出しているのだ。
「美少女って言うよりは………う~ん……強いて言えば、愛らしいとしか言いようが無いな………って、何を言っているんだ俺は……!」
自分でも何かおかしい気持ちになってきているのは、沸々と感じてきている。 だって、あの穂乃果にそういう感情を抱き始めているんだぜ? そんなバカなって思っちまう……って!! 穂乃果のヤツ、よだれを垂らし始めやがって! やめろ! お前の唾液で汚すんじゃないよ!!
油断も隙もないとはまさにこのこと。 少し目を逸らしていたら、緩んだ口元からつぅ――っと透明なよだれを垂らしているのだ。 そんなことはさせまいと、すぐに穂乃果の身体を起こさせて垂れ落ちないように対処する。
「おい! 穂乃果起きろ!! というか、どうしてお前がここで寝ていやがるんだよ!!」
未だに眠っているだろうその頭をぐらぐらとやや乱暴に揺らして起こすのだが、反応が薄すぎて何とも言えない気持ちになる。
「う~~~ん………頭がくらくらする~………」
若干寝ぼけが覚めないまま、重い瞼を何とか開かせつつも何とか起きてくれたようだ。 まったく、毎度毎度冷や冷やさせてくるものだ。
「おーい、穂乃果。 いい加減起きろ!」
「う~ん………あっ! キミ、起きてたんだぁ~♪」
「起きてたんだぁ~♪ じゃなねぇよ! まったく、お前と言うヤツはいつも何でこうも……」
寝起き早々、コイツの天然発言っぷりにはほどほど呆れてしまう。 ハァ―――と溜息を吐きつつ、頭を指でポリポリと音を立てながらかきむしる。
すると、俺の予想の範疇を越えてしまう出来事がこの数秒後に訪れることになってs――――――
「えへへ♪ ぎゅぅ~~~~~~♪」
「んなぁっ―――――――?!!!」
――――今です!!
はい、そうです。 ちょうど、今だったのですよ、孔明先生。
そのまま、身体を起こさせたのが不味かったのだろうか? 穂乃果が急に俺の身体に目掛けて抱き付いてきたのだ! 何を言っているのか分からねぇかもしれないが、俺にだって分からんのだ!!
「お、おい、穂乃果……? なあ……ちょっと、離れてくれないか?」
「やー! 穂乃果はキミのことをこうやって、ぎゅぅっとしていたいのー!」
うぉいぃぃぃ!! そんなにぎゅぅって密着しないでくれぇ!!
穂乃果の身体が俺の身体とピッタリと密着したことによって、何ともやわらかい物体が当たってやや興奮気味である。 コイツってこんなにも大きく成長していたのか?! って感じてしまうほど、穂乃果のその胸が大人な成長を遂げたことに驚きつつも、湧き上がってくるこの欲情を何とか抑え付けている。
それにだ、肌で感じる感触だけじゃなく、顔に掛かってくる髪から女性フェロモンが鼻腔をくすぐらせる。 それに加えられるシャンプーの甘い香りだったりと、様々な香りが鼻を通り抜けていくので、気持ちが高まる一方なのだ。
と言うか、穂乃果ってこういうヤツだったっけぇ―――――!?
俺の人生史上最高峰とも呼べる昼寝からの目覚めと、人生史上最悪な高まる情欲を抑え付けるというシュチュエーションをこの一瞬で出来上がったことに、喜べばよいのだろうか、嘆けばよいのかまったく分からずにいたのだったのだ。
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――
―――
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「俺を起こしに来たのに、逆に寝るってどういうことなんだよ?!」
「だってぇ! 何度も起こしたのに、なかなか起きなかったじゃない! それに、キミの寝ている姿を見ていたらつい………」
「だからってなぁ……ハァ……まったく、お前と言うヤツは………」
「でも! そもそもは、キミが穂乃果との約束を忘れていたのがいけないんだよ!」
「………それを言われちゃ、何も反論できない………」
つまりどういうことかと言うと、事の発端と言うのは、つい先日に今日の夕方頃から一緒にお祭りに行こうと言う約束を取り付けていたのだが、ついさっきに至るまですっかり忘れてしまっていたと言うのが全貌だ。 非はこちらにあると言っても構わない。
だが、それ故に俺と一緒に寝ると言うのは、どうも筋が通らない。 どうしたらそう言うことになってしまうのやら、悩ましい限りだ。
「そんじゃ、少し遅れちまうが着替えてくるとするか」
「えっ? その格好でいかないの?」
「バーカ、さすがに一度、寝た服で外に出られるかっての」
「もぉー! 穂乃果のことをバカっていわないでよ!」
ぶぅ―――と口を尖がらせて嫌々そうな顔をこちらに向けてくるのだが、バカであるという事実は拭えないものがある。 しかし、これ以上言及すれば完全にへそを曲げてしまうため口を抑える。
「そんじゃあ、今から着替えるからそっちも準備しておけよ?」
「むぅ……わかったよ。 それじゃあ、穂乃果は一旦ウチに戻るから、待ち合わせはいつものところね!」
一瞬、納得いかない表情を見せていたが、すぐに気持ちを入れ替えたのだろうか、にっこりと微笑みながらこの場を去っていった。 何やかんや言っても、今日のお祭りを楽しみにしていたもんな、穂乃果は。
「さてと、俺も準備に取り掛かりますか……」
タンスの中から浴衣を取り出すと、袖を通し始めて身なりを整え始めるのだった――――――
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「遅い………」と愚痴をこぼしながら、夜の街中にポツンと
ここに来てから、かれこれ数十分は経とうとしているのだが、一向にアイツの姿が見えないままである。 着替えや準備とかで時間がかかっているのだろうか? 男モノと比べて、女モノの浴衣と言うモノは、着付けが難しそうだと言うのだから仕方ないのだろう。 いや、もしかしたら、すでに着付けは完了しているが、どこかで道草を食っているのではないだろうか? と推測してみる。
案外、後者の方が穂乃果らしいのだが、もしそうだとしたらどういう風に叱りつけようか考えどころだ。
bbbbbb――――――――――
そう思いふけっていると、携帯が激しく揺れ始めていた。
画面を見てみると、穂乃果の名前と携帯番号が表示されていたのだった。 やっとか、という思いで一度溜め息を吐くと、通話ボタンを押して電話に出る。
「もしもし、穂乃果か? 今一体どこに――――」
『ゴメ―ン!! 今、大急ぎでそっちに向かっているからもう少しだけ待ってて!!』
「大急ぎって、今、どこを走っているんだよ?」
『ハァ――――いつもの場所の道を走っているんだよ――――ハァ―――――』
電話越しから、強く風を切る音と激しく息切れる穂乃果の様子がうかがえ、かなり切羽詰まりながらこっちに近付いていることを予見した。
「おいおい、急ぎ過ぎて転ぶんじゃないぞ?」
『大丈夫、大丈夫! もうすぐ着くから――――――あっ、キミの姿が見えたよ!』
電話越しよりもハッキリとした声が耳を通り抜けると、聞こえてきた方向に顔を向け始める。 ガランガランと下駄の乱れ激しい音が街路地に響くと、アイツの影が見え始める。
やっと来たか、とやや呆れながらアイツに声をかけた―――――――
「まったく、遅かったじゃない………か…………」
だが、その姿を見た瞬間、声をかけることを忘れてしまったのだ。 と言うのも、穂乃果の姿を一目見た時、ドキッと胸が大きく揺れ動いたのだった。
まず、目に飛び込んできたのは、穂乃果の身体のラインに合わさった美しい着物だ。 黄色に近い橙色を基調にした衣に、赤や黄色、白などの小さくかわいらしい花々が散りばめられた色鮮やかな浴衣が、穂乃果の元気で明るい性格を表しているようだった。 またそれが、普段は見せない着物を着用しているが故に、初々しくも女性らしい魅力を感じさせる。
また、髪型も普段とは違って横に束ねて垂れ下げるものではなく、後ろに束ねて団子にした、とてもサッパリとした清楚な雰囲気を醸し出しているようだ。 髪を束ねたことで見えるうなじが、普段では決して見ることのできない個所であるために、新鮮な気持ちで眺めてしまう。 それがとても綺麗に見え、全体的にも、まるで別人のような美しさを見せていたのだった。
「どう……かなぁ…………?」
その姿に見とれてしまっていた俺に、頬を紅く染めながら穂乃果が尋ねてきた。
「と、とっても似合っているぞ………」と応えて見せるのだが、何とも恥ずかしい気持ちになってしまうのだろうか、見ているだけでも顔を逸らしてしまいたくなる。
すると穂乃果は、「あ、ありがと……ね………」と手をモジモジとあやしながら俺と同じく恥ずかしげに応えるのだった。 すると、無言のまま小さく動いては俺の横につき、「行こ?」と呟くような声でささやいた。 俺はそうした行為にも心を揺らされつつ、小さく頷いて共に並んで歩き始めたびだった。
祭囃子と太鼓の音が近づいてくる。 お祭りの会場がもうすぐそこにまで近づいてきているようだ。
「ねぇ………」と俺の集中がやっと穂乃果から離れ始めようとした時に尋ねてくる。 まるで、ずっと私を見てほしいと言わんがばかりに主張するそのあどけない姿を見て、またひきつけられてしまう。
「キミは……穂乃果のことを………どう思ってるの……?」
突然のこの発言に、内心を乱し戸惑う俺。 なんて答えたらいいのだろうかと、戸惑いながら言葉にすることが出来ないまま口をパクパクと開閉を繰り返していた。
そんな上手く応えられない俺を見ながら、穂乃果はやや沈んだ表情となって呟いた。
「やっぱり……穂乃果って、他の女の子とは違うのかなぁ………? 穂乃果は、ことりちゃんのように可愛くないし………海未ちゃんのように美しくないもんね………それに比べたら私って、ドジで不器用な女の子なんだもんね…………」
声を低く、暗い気持ちを露わにしながら悲観な言葉を口にする。 その姿に、哀愁すらも感じずにはいられなかった。
そんな穂乃果の姿に、俺はグッと内から湧いて出てくるモノがあったのだ。
「そんなことは無いぞ、穂乃果! 穂乃果は十分にかわいいヤツなんだぜ? 今なんて、こんなにも綺麗な姿になっているんだぜ? そんなに悲観するもんじゃないと思うぜ!」
とまあ、俺らしくもなく激しく反論してしまうわけだ。
無論、その姿を見て穂乃果は口をポカンと開けながら目をぱちくりとさせて俺のことを見つめていた。 そんな俺も我に返り、改めて自分が口にしたことに恥ずかしさを抱き始めてしまうのだった。
「あっ……! い、いやっ………その…………なんだ………」と口元が乱れるほどに、慌てふためきを感じ始めていた。 どうして、そのようなことを口にしてしまったのか分からなかったからだ。
それを見ていた穂乃果は、「クスッ」小さく笑った。
そして――――――
「嬉しいな………キミからそうした言葉が聞けて、穂乃果は……嬉しいよ………」
俺との視線を交じらせないまま、また頬を紅く染めて恥ずかしそうに言う。
俺自身もなんと言えばよいのかが分からず、ただ戸惑いながら頬を指でかくばかりで、顔を向き合わせることが出来ないまま、改めて恥ずかしい気持ちとなるのだった。
すると――――――
「………よかった………好きな人に、綺麗だって言ってもらえて………」
―――――と小さな声で、ぽつんと呟いたのだった。
その一言が耳を通り抜けた頃には、さらにドキッと心を揺さぶられていた。
横に並ぶ穂乃果の方に顔を向けると、うつむいたまま恥ずかしそうに頬をリンゴのように紅く染めていた。 その横顔を見ただけで、こっちも顔を熱くさせて恥ずかしくなってくる。
けど、何だかちょっとだけ嬉しかったと言う気持ちになり、内心気持ちが緩みかかっていた。
同じように、穂乃果もまた穏やかな顔をして少し嬉しそうに見えた。
「それはどういう………」
俺は直接、穂乃果にさっき言った言葉の意味を知ろうと声をかけるのだが、すべてを言い終える前に、穂乃果は俺の前に立ち、とても愛おしい顔をして見つめてきたのだ。
その瞬間だけ、お互いに何も言葉をかけることが無かった―――――――
そのわずかな時間の中で、迷ったり、悩んだりとした様々な葛藤が起きているのだと言うことをその表情から見てとれた。 そして、一旦目を閉じて、勇気を振り絞ったかのようにもう一度、俺に見つめ直してきたのだ。
「穂乃果ね………ずっと……ずっとね、キミのことが好きだったの! だからね、キミに………好きな人に、かわいいだとか、綺麗だとか言われたことがとてもうれしいの………!」
穂乃果の口から発せられた俺に対する気持ちの表れに、驚きを隠せなかった。
穂乃果が……俺のことを……? そんなバカな……!? と感じてしまうことなのかもしれない。 しかし、穂乃果の今までに見たことの無い真剣な眼差しに引き込まれそうになったことで、この考えが大きく変わろうとしていた。
穂乃果にそのようなことを言われたのは初めてだった………けど、ふと思い返してみると、どうして穂乃果がこんなにも俺と一緒に過ごすことが多かったのか。 その理由がやっと分かったような気がした。
そして、高鳴る胸の鼓動の意味もやっと分かったような気がした。
自分の胸に手をおいてみると、ドキドキと高鳴りが抑えられないほどに強くなっていた。 そしてまた、彼女に伝えなくちゃいけない気持ちがあるのだということに気が付き、自然と言葉が流れ出た。
「穂乃果。 実のところ、今日はずっとお前にドキドキされっぱなしだったかもしれない。 お前が俺の横で眠っていた時から、今のこの時間に至るまで……な。 それで、ようやく分かったことがあるんだ――――――」
星空のようにきらきらと輝く瞳を見つめ合った――――――
そして――――――――
「穂乃果。 俺も穂乃果のことが好きなんだ……! まだ、ハッキリとした答えは見つからない……だが、今ここで抱いているこの気持ちは、穂乃果が抱いている気持ちと同じなんだと思っている。 だから、もう一度言う。 俺は穂乃果のことが好きだ―――――!!」
―――――今度は、俺からの真剣な言葉で穂乃果にこの気持ちを伝えた。
すると、穂乃果の瞳からボロボロと宝石のように光り輝く涙が地面に零れ落ちた。 頬を伝って流れ出る涙は、穂乃果が手でそれを拭っても留まることなく流れて行くのだった。
「あれ………おかしいなぁ………こんなに嬉しいのに……どうして、涙が止まらないんだろう………」
鼻をすすりながら拭い続けるその手に触れて、止めさせる。 代わりに、俺の手が涙で汚れる頬に触れて涙を拭い取った。
すると、どうだろう。 さっきまで流れ出ていた涙は止まり、代わりに、流れていた宝石が留まったかのように瞳を煌めかせて俺のことを見つめだしていたのだ。 それに、気が付けばお互いの顔がすぐ目の前にあり、あともう少し前に出ればぶつかってしまうほどだった。
お互いの息遣いがよく聞こえる――――――胸の鼓動だって、自分のと穂乃果のとの両方が一気に耳に入ってくるのだ。 こんな近い距離にいるのだから当然のことだ。 だが、こうやって近くにいることで触れ合ったり、鼓動を聞くことが出来る。 それが何だか、調和しているみたいで、気持ちが通じ合っているようにも感じられるのだ。
それを確かめるように、彼女を見つめる。
彼女もまた、俺のことを見つめだしていて、そのお互いの視線が交じり合うと、俺も穂乃果も自然と穏やかな笑みを浮かべていた。
お互いに、気持ちが通じ合ったような、そんな気分になるのだった。
ひゅるるるるるるるるるる……………
ド――――――――――――ン!!!!!
夜空に、光り輝く巨大な一輪の華が開いた――――――――
その様子を2人で見ていた――――――――
「ねぇ…」とか細い声を俺に聞かせながら、手を差し伸べてきた。
「キミと……穂乃果の……最初のデートに………誘ってくれますか……?」
物寂しそうな、でも、とても愛らしい素顔を言葉とが、俺の感性を強く刺激してくる。 とても魅力的すぎるその誘いに、俺は断る理由など見つけることが出来なかった。
俺はその手を包むように握ると、にっこりと微笑んで受け入れた。
「あぁ、もちろんだとも。 一緒に行こうか」
穂乃果は、「えへへ♪」と嬉しく微笑んで返事すると、繋いだ手の指と指とを絡ませて恋人繋ぎをして見せた。 始めてやるそれが何だか恥ずかしい気持ちになってしまうが、穂乃果の手の温もりを直接感じとることができたため、自然と落ち着いた気持ちになる。
互いの鼓動が手を通して感じとる。
ドキドキと音を立てながらこの道を進んでいく。
けれど、それは決して悪いモノではなかった。
すぐ隣に顔を向けると、穂乃果が一緒になって歩いてくれている。
穂乃果と一緒にいることで、また新たな一歩を踏み出すことが出来るのだ。
「あっ……! 見て、あそこ!!」
夜空にまた、一輪の華が咲く―――――――
それはまるで、穂乃果のように光り輝く太陽のように輝いて見えたのだ――――――――――
無邪気に笑う、その愛おしい笑顔を絶やさないように、俺はその華を輝かし続けて行くのだ―――――――――
~Fin~
ドウモ、うp主です。
今回は、穂乃果のお話を書かせていただきました。
いやぁ~、穂乃果可愛いです。(いまさら)
何と言うか、あの無邪気さが、心に沁みてくるというか、癒されていくというか。
つまりは、穂乃果はとっても可愛いということですよ、みなさん!!!
そして、中の人の新田殿も可愛い!!!!(ここさけ)
そんな感じで、今日もいっぱいいっぱいお祝いさせていただきますよ!!!
次回は………なんと、ことり!
自分、ことりには特別な思いがあります故、今年もいいお話が書けるように頑張りたいです。
では、次回に!!!