~Aqoursの生誕祭~   作:ほおずきん

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どうもほおずきんと申します。

今回は鞠莉の誕生日ということで書かせていただきました。
よければ楽しんでいってください。

それではどうぞ!


〜小原鞠莉生誕祭〜

 俺は目を覚まし眠い目をこすりながら手元にある時計をみる。

 現在の時刻は……21時か、決して昼寝していたわけではない。

 じゃあなぜ俺はこんな時間に起床しているのかって?

 

  答えはこうだ。

 

「あーこっちは日本時間のほうだった。こっちのほうは……7時か」

 

 そう、時計は二つあって一つは日本時間を示したもの、そしてもう一つは『ここ』アメリカを示したものなんだ。

 

 日本とアメリカは時差が14時間ある。これはみんなも知っているだろう。

 

 アメリカにいるのなら日本時間なんていらないだろ! だって? そう焦るなよ、そのことも今説明してやるから。

 実は俺には婚約者がいるんだ。まぁ婚約者の説明は後回しにして俺の説明からしよう。

 

 

 俺の名前は『阿田川吉弘』

 

 

 さっきもいったように俺はアメリカに1人で住んでいて絶賛仕事中。仕事内容はアメリカの強豪アメフトチームのスポーツトレーナー、こっちにきてから早いものでもう3年だ。

 スポーツトレーナがわからない人たちにわかりやすく説明すると、選手の体力づくり、リハビリ、けがの予防、栄養管理、などなどだ。

 もちろんこれらすべて同じ人間が行うのではなくそれぞれの分野に専門が必ずいる。

 

 俺の専門はリハビリとけがの予防だ。

 

 まぁ俺の説明はここら辺にしておいて約束通り婚約者の説明もしよう。

 

 婚約者の名前は『小原鞠莉』

 

 鞠莉は日本に住んでいて、仕事は沼津にある高校の理事長兼ホテルオーナー高校は浦の星女学院、ホテルは淡島ホテルという超高級リゾートホテル。浦の星は鞠莉が高校時代にも理事長をするという現実ではありえないような感じなのだが今年でなんと7年目になるらしい。

 金が絡んでるという話があるようだが俺はよく知らない。

 

 どっちも忙しいんだからどちらかに専念したら?と一度聞いたことがあるが、なんでも高校はいろいろお世話になったしホテルはパパのだからってどちらにも携わっていたいとかなんとか。

 

 そんなこんなで鞠莉は女性ながらおそらく……いや絶対俺より働いている。なんだか悔しい

 

 とまぁ鞠莉の紹介はこんなもんだ。

 

 

 俺がトレーナーとして所属しているチームの試合も2月上旬に終了し、優勝で幕を閉じた。最高のシーズンだった。

 これからオフシーズンということで俺も休みがもらえた。なので鞠莉へと会いに毎年のごとく日本へ帰ろうとしている頃なのだ。

 

 朝起きてまず鞠莉に【今日の21:00ごろにアメリカ発の便に乗るよ。】と、とある便利ツールのアプリを起動しメッセージを送信する。

 

 おかしい、いつもこの時間に送信すればマッハで既読がつき、マッハで返信がくるのだが……

 

「珍しいな、鞠莉の奴仕事で疲れて寝ちまったのか?」

 

 こんな独り言をぼそぼそとつぶやく。いつもの習慣で早起きしてしまい、フライトまで暇なので一応チームに顔を出してから帰ろうと思った俺は家を出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 チームのオフィスに到着する。トレーニングルームを見ると選手は各々筋トレ、リハビリなど自主練習をしていた。

 オフシーズンとはいうものの、もちろん選手の身体は定期的に動かさないと鈍るからだ。

 

「おう、ヨシヒロまだ日本に帰っていなかったのか」

 

 チームキャプテンのエディーが話しかけてくる。

 2か月前膝の靭帯を損傷してから俺がリハビリの面倒を見ている選手の一人だ。リハビリも頑張っているようで治りが良い。

 

「あぁ今日の夜帰るんだが、帰る前に顔を出しておこうと思ってな。調子はどうだ? エディー」

 

「まだ膝が少し痛むけどいい調子だよ。わざわざありがとなヨシヒロ」

 

「いいってことよ、じゃあ1か月くらい空けるからよろしくな! またちょくちょく連絡を入れるよ」

「あぁ! 楽しんで来いよ!」

 

 

 そのあともチームメイト、監督、コーチ陣に挨拶やら雑談をしていたら時刻が昼になってしまっていた。

 

「空港までは車で2時間くらいだから、18時まで家でゆっくりすることにするかなぁ」

 

 昼飯をそこらへんのハンバーガ屋で済ませ、家に着いた。アメリカと言えばハンバーガーだよな。なんでもビッグサイズ、たまに食いきれないほどの量が出る時もあるが……まぁ少ない量出されて餓死するよりはましだろう。

 

 さて、ゆっくりするとは言ったのはいいものの、常に仕事をしている身なので暇な時間の使い方はあまり上手くない。

 考えた末、選手の管理でもしようかなと思った俺は各選手にオフシーズンに行うべきことを伝えるためにパソコンを開く。

 

 すると……

 

『ピンポーン』

 

「ん? 誰だ?」

 

 こんな時間に誰か来るなんておかしい……俺はこっちに来てからチームの人たちとしか連絡を取っていない。

 まぁほかに出会いがないと言ってしまえばそれっきりであるのだが……

 

  一応チームの信頼は得ているつもりの俺ではある。しかしチームが負ければもちろん資金が減る、資金が減れば給料が払えなくなるので解雇されるということだ。

 そう、いつ解雇されてもおかしくないから出会いを求めてないんだ、決して仕事が忙しいとかコミュ力がないというわけではないぞ、決してな。

 

 選手は自主練してたし、監督の家を訪ねたことはあっても家に招き入れたことはない。もちろん宅配便なんかも頼んだ覚えもない。

 誰か誰かと頭で思考を巡らせていたら、玄関に着いたので思考を止め、扉に手をかける。

 

「はーい……」

 

 玄関を開けると俺に抱きついてきた人物が一人……鞠莉だ。

 

「ハァイ! ヨシヒロ! シャイニ~!」

「鞠莉!? なんでここに!?」

「なんでってアナタに会いに来たからに決まってるじゃない! それ以外ないデショウ?」

 

 俺に会いに来たって……まぁそれ以外確かにないのではあるのだが……

 

 どうやら俺は忘れていた。この世にこいつほど自由な奴はいなかったことを……

 

「会いに来るのはいいけどさ、何かしら連絡入れろよ! 飛行機キャンセルしなきゃならんじゃないか!」

 

「細かいことは言わないの! いいじゃない! ワタシに会えたんだし!」

 

 飛行機キャンセルが細かいだぁ!? 後で絶対キャンセル料払わせてやるからな。

 

「というかなんでわざわざアメリカまで来たんだ? いつも俺が帰ってるじゃないか」

「アメリカは私の故郷でもあるのよ? たまには里帰りしたいじゃない! ってことで明日から観光するから案内よろしくネ☆」

 

「俺の故郷だって日本だバカ」

 

 ちくしょう、毎年日本に帰るの結構楽しみだったのに。

 

「バカとは何よ! アナタのために一週間後に日本に帰る飛行機のチケット取ったけど、そういうこと言う人はいらないわよね?」

 

 こいつ、”たまには”気が利くようだな。ここはひとつ媚びを売っておくか……

 

「失礼を申し上げたことお許しください、是非日本に帰らせてください。鞠莉お嬢様」

 

「ふふん♪よろしいデェース!」

 

 どうやら鞠莉に一杯食わされたようだな。

 

 今日中に日本へ帰るつもりだったので冷蔵庫に食材は何も入っていない。なので買い物も兼ねて鞠莉と晩御飯を食べに出かけることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「鞠莉どうせそんなにお金持ってきてないだろうし今日の晩御飯は俺がおごってやるよ、何か食べたいものあるか?」

 

「オゥ! 今日はヨシヒロがご馳走してくれるの? んードウシマショウ……」

 

 顎に手を当て少し考えた鞠莉は口を開いた。

 

「マカロニチーズかしら? おいしいチェダーチーズがたっぷりかかったやつ!」

 

 マカロニチーズか日本人はあまりなじみがないかもしれないが、アメリカではドラマや映画によく登場するポピュラーな料理だ。

 鞠莉風に言えばpopularだな。…………わかんねぇか

 

 とりあえず買い物を済ませた俺たちは、レストランへ入る。

 

「じゃあ俺はステーキにしようかな」

「ワタシは予定通りマカロニチーズで♪」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

 数分ほど鞠莉とこっちであったこと、日本であったことをお互い話していると、鞠莉の料理が届いた。

 

 俺はここのレストランに結構な回数きている、いわゆる常連さんだ。味はもちろん文句なしだと思う。

 

「鞠莉、俺のことは気にせず先に食べていいぞ熱いうちに食っとけ」

「じゃあ先にいただくわね」

 

 鞠莉がのびるチーズをぱくっと一口

 

「ん~ひっさしぶりに食べたわ! やっぱりおいしいわねぇ~」

 

 満足そうに食べる鞠莉を見て、俺も満足する。やっぱり恋人の笑顔を見るのは素晴らしいな。

 するとここで何を思ったのか鞠莉がマカロニチーズをこちらによこしてくる。

 

「なんだ? 食わしてくれるのかありがとう」

 

 鞠莉の好意を無駄にしないためにも口を開け食べようとすると……

 

 ヒョイ、ぱくっ

 

「ん~おいしい」

 

 またやられた。目の前のマカロニチーズは俺を避け鞠莉の口へ、鞠莉はまたうれしそうな表情を浮かべる。

 まぁいい結構かわいいし、鞠莉の幸せそうな表情も久しぶりだから許してやるか。

 

「アラ~そんな悔しそうな顔してどうしたの? ヨシヒロもしかしてワタシの食べてるマカロニチーズ食べたかったの?」

 

 憎たらしい、前言撤回する。可愛くない。幸せそうな顔を見てもうれしくない。

 

 ここで俺の頼んだステーキが到着する。よし反撃だ。

 

「もういい! 俺のステーキだって一口もやらないからな!」

 

 鞠莉がきょとんとした顔でこちらを見る。そんな顔で見るな、恥ずかしいだろ。

 

 怒った俺の反撃はまさに小学生のような言動だった。これでも一応24歳なんだけど……言っといて今更なんだが恥ずかしい。

 

 すると鞠莉は

 

「いいわよ? シェフに頼めばここよりおいしいステーキ出してくれるし。」

 

 と言って俺の反撃をかるーく受け流した。まったくこれだから金持ちは。

 スクールアイドル時代に鞠莉の幼馴染の言っていたことを身をもって痛感したよ。付き合って7年目で

 

 

 

 

 ……ちょっと遅かったかもな

 

 

 

 

 そうそう、今話にでたが鞠莉はスクールアイドルなるものをやっていた。

 

 スクールアイドルっていうのはだな……え? わかっているからもういい? そんなことより早く次にいけ? そんなひどいこと言うなよ。

 

 仕方ない、不服ではあるが次へ行こう。ちょうどスクールアイドルの話が出たので今更ではあるが、それがきっかけとなった俺と鞠莉の出会いについて話そうと思う。

 

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 俺と鞠莉の出会いは高校の時だった。俺と鞠莉の高校は別々、浦の星は女子高だったので滅多に入ることはなかったものの、高校の友人と浦の星で文化祭があることを耳にして暇つぶしで行くことにした。

 

 この選択が俺の人生を変えたんだ。

 そこで行われた文化祭のライブでたまたま鞠莉が踊っていたのをみて俺は一目惚れをした。

 

 その時の俺はほかのメンバーに目もくれず鞠莉だけを見ていた、いや見惚れていたんだ。友人の声、周りの音も全く耳に入らなかった。なんと言えばいいか表現することはできないのだが俺の中で彼女だけはただただ格別だった。

 ダンスのキレ、表情、曲にマッチした色気これらすべてが文句なしの完璧だった。

 

 ライブが終わった後俺は舞台袖に捌けた彼女のもとへ夢中で走った。

 彼女のことをもっと近くで見てみたい、彼女をもっと知りたい、その一心だった。

 

 舞台袖に侵入した時、もちろんなんの計画もなかった俺は見つかってしまってなんだかお堅そうな人や青いポニーテール、アホ毛、一緒に来た友人、様々な人にこっぴどく叱られた。

 しかし必死に弁明する俺を見て鞠莉だけはアハハと腹を抱えて笑ってこう言って許してくれた。

 

「いいわよ、じゃあ今週末デートに行きましょ! それであなたがワタシにふさわしいか見極めてあげるわ!」

 

 なぜか鞠莉は俺とデートしてくれることになったんだ。

 

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 こうして俺はそのデートでなんとか鞠莉の心掴むことに成功し、今に至っている。今思えばただの変質者だが、後悔はしていない。

 なぜなら今鞠莉と結ばれているんだからな。あの時の鞠莉に感謝だ。

 

 なんて物思いに耽けていると鞠莉が

 

「どうしたの? そんな顔してなんか面白い顔してるよ~?」

「面白い顔ってどんな顔だよ」

「んー難しそうな顔とにやけた顔が混ざってるカンジ?」

 

 嘘だ、そんな顔してたのか俺、そりゃあおもしろいわ。

 

「昔鞠莉と出会ったこと思い出しててな、ありがとう、鞠莉」

「いきなりナニ? 感謝してもなにもでてこないわよ?」

「もちろんそれはわかってるさ、けど鞠莉なんであの時俺とデートしてくれたんだ?」

 

 鞠莉は少し考えてから口を開く。

 

「そうねぇ……ヨシヒロのこと直観的に悪い人ではないと思ったからよ、今までああいう風に近づいてきた人は何人かいたけどアナタの目だけは違ったわ、嘘偽りがないっていうか……私だけを見てくれる目をしていたの」

 

 ほんとにいい恋人に出会えてよかった。

 

「そうか……ありがとな、愛してるよ鞠莉」

「もー! 今日はどうしたの? ヨシヒロらしくないわよ?」

「はははっ、こういう日も悪くないだろ? さぁさっさと飯食って家帰るぞ!」

 

 

 

 腹ごしらえを終え、家に着いた俺たちは明日以降の予定を立てていた。基本的には鞠莉が行きたいところを上げていき、それに俺があれはどうだこれはどうだ、とつけたしていく形だ。そうしてようやく明日以降の予定が決まった俺たちは眠りについた。

 

 そこからの一週間はとても楽しいものだったと思う。

 主に鞠莉が、そう俺はいつものごとく鞠莉に振り回されただけだったのだ、

 

 結論を言ってしまえば立てた計画の中で訪れた場所は、数十カ所あった中の2、3箇所程度、車を走らせて見える景色や場所に鞠莉が「あれが見たい! これが見たい!」

 なんていうもんだから「何のために計画を立てたんだ!」と反論すれば、「いいじゃない! ワタシが行きたいんだから! 早く曲がりなさい!」と鞠莉が拗ねてケンカになる。

 

 最終的に俺が折れて鞠莉がごきげんを戻すという茶番を数十回ほど、いつまで経っても鞠莉には勝てない気がするな。…………やっぱり悔しいが。

 

 怒涛の一週間を終え、ようやく淡島ホテルについた。

 

「あぁ~楽しかったわねぇまた来年もアメリカ行こうかしら」

「そうだな、俺はお前に振り回されただけだけどな」

「そんなこと言わないの! この忙しいワタシとすごせたのよ?」

 

 そうだなぁ鞠莉は確かに忙しいし……と心の中で思う俺だったが一つの疑問が生じた。

 

「なぁ鞠莉、理事長の仕事やホテルの経営今どうしてるんだ?」

「仕事? もちろん押し付けてあるわよ」

「はぁ? 押し付けてるって……この3年間俺と会う1か月ずっとそうなのか!?」

「そうよ? だって普段会えない大切な恋人との1ヶ月だもの、安心しなさい? しっかりお給料払ってあげてるから♪」

 

 安心しなさい? じゃねぇよ! みんなも鞠莉みたいに仕事はすっぽかしちゃだめだぞ?

 

 信頼は積み上げるのは大変だけど崩れるのは一瞬だからなって俺は誰に向けて言ってんだか……

 

「お前よくそれで解雇されないな……」

「そりゃあワタシの浦の星への寄付額は相当なものだからね☆」

 

 やはり金持ちは手に負えん……

 

 というかお金が絡んでるのはやっぱり本当だったんだな。

 

「でもね、後で言おうと思ってたんだけど、ヨシヒロ……ワタシそろそろ仕事を引き渡そうと思うの……」

 

 突然鞠莉が言い出す。

 

 ……ん? 仕事を引き渡す?

 

「おいおいおいそれってまさか……まさかだよな?」

「そのまさかよ、今までそういう行為は日を考えて避けてきたじゃない? 仕事に影響があっちゃダメだって。でもそろそろアナタと結婚式を挙げてそれでアナタとの子どもほしいなぁって、その……いつもワタシのわがままで振り回してごめんね?今回もワタシのわががまに付き合ってほしいの。」

 

 鞠莉にはずっと振り回されきたが今回ばかりは悪い気はしないな。

 

「まったく……こういうときだけ謝りやがってわがままなんていつも付き合ってやってるだろ? 今回だってどこまでだって付き合ってやるよ!」

「……! ウン、私たちの素敵な子供を作りまショウ!」

 

「ああ鞠莉、幸せにするよ約束する」

 

 

 そのまま俺たちは少し早めの誓いのキスをした。

 

 

 

 




読了ありがとうございました。いかがだったでしょうか?
鞠莉のいいところ読者様に伝わっていればなと思います。

それでは次は津島善子生誕祭でお会いしましょう。


マリー誕生日おめでとう!
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