~Aqoursの生誕祭~   作:ほおずきん

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明けましておめでとうございます。
2017年皆さんはいかがでしたでしょうか。やり残したことはありませんか?私はありません。もう年があけてしまったのでやり残したことがある場合はやり直せませんが。
2018年も同じことが言えるよう今年も善処していきます。
ちなみに小説の書き方を忘れました。
それではどうぞ。


~黒澤ダイヤ生誕祭~

 俺には許嫁がいる。

 許嫁と言いながらも、婚約を約束されながらもいまだに結婚できずにいる。

 ――もう28歳にもなるいいおっさんなのに。そろそろ結婚したいよ……。

 昔のダイヤと言えばそれはもう可愛かった。何をするにしても俺についてきたし、俺がいなきゃダメな奴だった。

 そういえば許嫁になったのが……。

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『大きくなったら絶対に龍人(りゅうと)さんと結婚してみせますわ! だから私以外の女には振り向いてはいけませんわ!』

 

『あぁ、もちろん! 俺だってダイヤと結婚するんだ!』

 こんな出来事が発端だったっけ。それからダイヤがお義母さまに俺を許嫁にする! なんて言い出して、ふさわしいかどうか試されたりして。

 苦しくて逃げたかったけどダイヤが『龍人さんならできると信じていますわ』なんて励ましてくれるもんだから。俺もその気になって頑張っちゃって。

 

 とまぁこんな感じで昔はダイヤもめちゃくちゃ俺になついていたはずなのに……。

「なぁダイヤ―早く結婚しようぜー」

 

「あなたが今すぐこの家から出ていったら結婚して差し上げますわ」

 

「それってもう別れを告げてんじゃん! 破局しちゃってんじゃん!」

 一応付き合ってはいるのだけれど全然結婚する気配がない。許嫁って婚約が約束されてるみたいな感じで合ってるよな? 付き合うだけとか俺の認識違いなわけないよな?

 高校を卒業すると同時に『さぁ時は満ちました!』なんて言い始めたダイヤが恋しい。

 あの時は何もかもが初々しかったし何でもかわいく思えてしまった。今では見る影もないみたいだけど……。

 ダイヤが高校を卒業したときは18歳、その時に俺は21歳で3つ年が離れていた。

 ということはもう付き合って6年目になるってことか。よくもまぁ続いてるよ。

 ダイヤもこんな俺を許嫁にしちゃって後悔してるのかな……。もしかして今着々と俺と別れるための算段を立てていて、それが終わるまでとりあえず生かしておくか的な感じなのか!?

 28歳でこれから女を探すなんて無理だぞ! ダイヤが振り向くなとかいうもんだからダイヤ以外の女の誘いとかもろもろは全部断ってきたし。ダイヤ以外の女の好みなんて一切わからない。

 まぁダイヤは日本舞踊とか琴とか古臭いことばかり好きでそんなのが好きな女性なんてこの世にそう多くないと思う。

 

 あ、でもダイヤが好きなもので一つだけ女の子っぽいものがあったな。

 

 

 ――スクールアイドル。

 

 

 高校時代にまさにダイヤ自身が経験していて妹のルビィと好きなものが一緒にできる! なんてやり始めたときはすごいキラキラした顔で言われたっけか。

 懐かしいなぁ……。結局そのまま大会で優勝して終わりにしたんだっけか。

 

「ふぅ、やっといろいろと落ち着きましたわ」

 

 懐かしく昔を振り返っていると横で作業をしていたダイヤが口を開いた。

 

「ん? 片付いたって何が?」

「ほら、先日はわたくしの誕生日だったでしょう? わたくしも今年から社会人になっていろいろ忙しくてお礼の礼状など書くのがたまりにたまっていたのですわ」

 

 そう、ついこの前1月1日はダイヤの誕生日だった。全国各地からお偉いさんが集まってそろってダイヤのことを祝ってくれていた。

 もちろん彼氏である俺もダイヤのお祝いに席に出て祝福した。

 その時にいろんなおっちゃんに『龍人君はダイヤちゃんの彼氏なんだろ? 早く結婚しないのか! がははは!』なんて酒臭い状態で言われて俺のほうも苦笑いで返事することがたびたびだった。

 

 そういえばダイヤは大学で経済学を学んで黒澤家の後を継ぐって言ってたな。

 黒澤家なんて名が知れてるし社会人1年目できっと膨大な量の仕事があって余裕がなかったんだな。

 

 かくゆう俺は社会人4年目のはずなのに毎年ひぃひぃ言っている。今思うと情けねぇ。

 

「そっか、それが書き終わってひと段落ついたってことか?」

 

「ええ、そうですわ。やっと仕事のほうもスラスラできるようになりましたし、ようやくいろいろとできそうですわね」

 

「え? いろいろってまだほかにすることあるのか?」

 

「龍人さんはそんなのだからいつまでもわたくしと結婚できないのですわよ、少ししかない頭をひねってはどうですの?」

 

 なんてダイヤにあおられたがわからないものは仕方ない。だっていろいろ終わったのに色々するんだぜ? 矛盾してないか?

 腕を組んでみたり顎に手を当ててみたり考えてみるが何も考えが思いつかない。やっぱり俺の頭はないみたいだ。

 

「なぁダイヤーわかんないんだけど」

 

「やっぱりない頭だったようですね……。いつ結婚できるのやら……」

 

 ない頭なのは実際にわかっているものの言われるとこう、頭にくるものがある。

 まぁダイヤからあおられるのはしょっちゅうのことになってきているし悪気があって言っているわけではないのはわかっているからいつも気にせず許しているんだけど。……あれ? 俺ってもしかして年上としての威厳がない?

 

 それに最近は毎日のようにダイヤに結婚しようって言っているはずなのに結婚してくれないと思ったら今度は本人の口からいつ結婚できるのやらなんて言われるし。ますます何が何だか分からなくなってきた。

 

「では今日の晩御飯を食べ終わるまで答えがわからなかったら罰ゲームですので、よろしくお願いいたしますわ。では、晩御飯の準備に取り掛かりますので少々待っていてくださいませね」

 

 そういってダイヤはキッチンへと姿を消した。

 さっき考えてもわからなかったし一番わかりそうな人に聞いてみるのも手か……。

 

 そう思った俺が訪れたのは黒澤家の中にある一つの部屋。

 この部屋の中にはダイヤの妹であるルビィがいる。家から大学に通いながら姉を手助けするためにこの家に残っているらしい。なんと姉思いの妹なんだろうか。逆もしかりなんだけどな。この前3人で飯を食っていた時に冗談でダイヤからルビィに鞍替えでもしようかなぁなんて言ったら全力で殴られた。

 

『ルビィだけは絶対に渡しませんわ! 前言撤回するように!』

 

 なんてものすごく赤い顔で言われちゃって。そこから1週間は口きいてくれなかったっけ。結局仲直りすることができたのもルビィのおかげ、ルビィが仲介役を担ってくれてダイヤを説得してなかったらもしかしたら今頃俺はこの家に住んでいないと思う。

 

 そんなルビィの力を信じて俺はこの部屋の前に立っている。

 ノックを数回したら部屋の中から入室を許可する声が届いたので襖をあけて中へ入る。

 

「あっ、龍人さん! 何かあったんですか?」

 

「いや、それがだな…………………」

 

 

 俺はできるだけ事細かに今日のダイヤの様子や言動についてルビィに話した。

 するとルビィはいかにも分かったかの様子でフムフムと言ってうなずいていた。さすが妹だな。わかるなんて。

 

「にしても龍人さんは鈍感ですね。そんな鈍感でよくお姉ちゃんついてきてくれますね」

 

 ニコニコとルビィが辛らつな言葉を並べる。そういえばコイツ、無自覚ド天然のドSだった……。

 心にグサッとくるものはあるが答えを知るためであれば手段を選ぶばない。早速ルビィに教えてもらうことにしよう。

 

「それは許してくれ、ルビィ……。で、さっそくなんだが教えてくれないか?」

「フフッ、龍人さん仕方ないですねぇ……」

 

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 ルビィに答えを聞いてから少し談笑していたらダイヤが晩御飯を作り終えたようで呼びに来た。

 そのときにルビィと一緒にいたせいかダイヤが少しムスッとした表情をしていたのは気のせいではないと思う。

 

 リビングに行く途中にルビィから『龍人さん普段は鈍いのにそういうところは鋭いんですね』

 なんてまたニコニコしながら小さな声で言われてしまった。答えを知ってしまったせいか俺の顔も熱くなる。

 

 でもルビィが言ったことはダイヤ本人の口からきいたものでもないし本当かどうかわからない。だけどダイヤのことを一番よくわかっているルビィのことを信じよう。

 リビングに入ると食卓に並んでいたのは鍋だった。

 コンロの上に乗っている土鍋がぐつぐつと煮えていて旨そうなだしのにおいが鼻をくすぐる。

 ふたを開けると中に入っていたのは、白菜と豚バラ肉を交互に挟んで煮込んだミルフィーユ鍋だった。

 

 数年前にはやってからこの黒澤家の食卓には毎年数回は並ぶようになった。

 特に俺は大好物でとにかくクタクタになった白菜と豚バラを一緒に口に入れるのがなんとも言えないくらいにうまい。

 

 最近では大根おろしをたくさん乗せたみぞれ鍋や辛いのが好きな人にはもみじおろしを入れたりするらしい。

 他にも大葉を挟んでさっぱりした鍋にしたり餃子の皮を入れてもちもちの触感をいれたりとアイデアにあふれている。

 いつかこのうちのどれかをやってみたいなぁ。なんて思うんだがダイヤは予告なしにこのミルフィーユ鍋をするため事前に言うことができない。

 冬場に一人で飯を食うことがあればやってみようかな。卓に着くとダイヤがさっそく皿によそってくれた。

 皿から立ち上る湯気が鼻の中に入ってくる。においもついてくるし食欲をそそる。早く食べたい。

 

「それじゃあ、いただきます!」

 

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「ごちそうさまでした。じゃあルビィは部屋に戻るね」

 

 俺が夢中になって白菜をむさぼっているといつの間にかルビィは食べ終えていたようで部屋に戻っていった。

 相変わらず小食で少し心配になるがまぁ何年もこんな感じだし大丈夫だろう。

 しかし去り際には頑張ってくださいねなんて言ってきそうな顔でリビングを後にしたのがとても心にくる、大丈夫だろうか。

 

「さて、ルビィもいなくなったことですし、答え合わせをしましょうか」

 

 ここでルビィに言われたのは……。

 

『今から答えを教えますけどおねぇちゃんに答え合わせさせられてもわからないって答えてみてください。可愛いおねぇちゃんが見られますよ。それで答えのほうは…………もちろん結婚してほしいってことです。龍人さんはずっと結婚しようって言ってますけど誠意がないのが悩みだったみたいで……。正式なプロポーズがほしいみたいですよおねぇちゃんは』

 

 と言われた。今思えばだらだらしながらいつもダイヤに結婚を求めてたっけ、そんな自分を反省してちゃんとしたプロポーズをしようと思ったけど、可愛いダイヤを見たいという悪魔じみた誘惑にまんまと負けて俺はわからないという選択肢を取ることにした。

 

「ごめん、ダイヤずっと考えていたんだけど、わからないんだ……」

 

「やっぱりない頭だったのですねあなたは、もういいですわ! 罰ゲームですわ!」

 

 はぁというため息が漏れた。答えを知っていて知らないと答えるのはなんとも心が痛むが可愛いダイヤを見るため、致し方ない。

 

「罰ゲームはわたくしと……」

 

 ごくりと俺の喉が鳴る。ルビィの言っていたことが本当なら………………。

 

「け、結婚することですわ」

 

 そういってダイヤが顔を赤らめて言う。あぁ、よかった。見限られたわけじゃなかった。

 安心してその場に座り込んでしまう。

 

「ねっ? 龍人さん。ルビィの言ったとおりだったでしょ?」

 

 ルビィが扉の隙間からひょこっと顔を出した。

 

「ちょっ!? ルビィ!」

 

「あっ、つい嬉しくて出てきちゃった……」

 

 多分察しがいいダイヤなら最後まで答えが出ているに違いない。

 ゴゴゴゴという効果音がいまにも聞こえてきそうな怒りのオーラが後ろを振り向くまでもなく伝わってくる。

 

「これはどういうことですの? ルビィ、龍人さん?」

 

「あぁ、いやダイヤこ、これは違うんだ」

 

「そ、そうだよ。別に可愛いおねぇちゃんが見たかったとかじゃなく……。あっ!」

 

 またもやルビィの失言。晩飯前の頼もしさは一体どこに行ったのやら。

 多分かわいらしく口を押えてみてもかわいらしく笑ってみてもダイヤは許してくれそうにないぞ?

 

「ふぅん? 何が違うんですの? 説明してくださるかしら?」

 

「「す、すいませんでしたー!」」

 

「ルビィ! 逃げるぞ!」

「はい! 龍人さん!」

 

「お二人とも! まちなさーい!」

 ダイヤの大きな叫び声がこだまして結局捕まった挙句2時間正座させられながらお叱りを受けた。

 

 あの後はというと正式にダイヤにプロポーズして、今では素晴らしい関係を築くことができている。

 ダイヤが優しくてよかった。




2018年もみなさんにとって良い年になりますよう心から願っております。それでは来月また会いましょう。
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