無理やり完結させる恋姫†無双   作:キューブケーキ

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シャオと俺の弁当屋全国展開

あらすじ

 

 かつて獣と呼ばれた男が、愛と弁当で人生を変える。

 暴力と血にまみれた過去を持つ青年・北郷一刀は、ある日突然、戦乱渦巻く後漢末の世界に迷い込む。

 彼を迎えたのは、桃色の髪を揺らす天真爛漫な少女・孫尚香(シャオ)と、中華を二分せんとする豪傑たちだった。

 

 

 

 

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登場人物紹介

 

北郷 一刀(ほうごう かずと)

 現代日本から突如として三国時代に飛ばされた青年。

 粗暴で傲慢、過去はまさに“獣”そのものだったが、弁当屋として己の誇りを築き直し、多くの人々を食で救う。誰よりも合理主義だが、人のぬくもりには誰よりも飢えている。

 

孫尚香(そんしょうこう)/小蓮(しゃおれん)

 孫家の末娘。明るく無邪気で好奇心旺盛な少女。

 彼の初めての理解者であり、唯一の家族。

 

孫堅(そんけん)/炎蓮(いぇんれん)

 孫家三姉妹の母であり、戦乱を生きる戦闘狂。

 生粋の豪傑でありながら、娘たちへの愛情は深い。

 

孫権(そんけん)/蓮華(れんふぁ)

 孫家の次女。真面目で責任感の強いリーダータイプ。

 最初は一刀を警戒していたが、徐々に理解と信頼を深めていく。

 

孫策(そんさく)/雪蓮(しぇれん)

 孫家長女。陽気で気さくな姉貴分。

 誰よりも現場主義で、武人としても人間としても豪快な性格。

 

曹操(そうそう)/華琳(かりん)

 天才的戦略家にして中原の風雲児。

 その高慢な態度とは裏腹に、誰よりも孤独を抱えている。

 

 

 

 

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 気付いたら知らない場所にいた。

 俺の名前は北郷一刀。尊敬する人はクメール・ルージュの指導者で、一国を動かしたポル・ポト。だけど虐殺だけはNOだ。

 青少年を取り巻く悪質なコンテンツ──過激なアニメや漫画の影響を受けた俺だが、無差別に暴力を振るう程に誇りと矜持を失ってはいない。

 まぁ、だからと言って品行方正とは言えないけどな。

 ──獣としての過去は、ここでは捨てていく。そう決めた。

 荒野をさまよい、最初に出会ったのはピンク髪のツインテ少女・シャオ。

「ここは袁術のお膝元よ」と言う彼女の言葉から、自分が『三国志』の世界に来たことを知る。

 少年院で読み漁った漢書と資治通鑑が、こんなところで役に立つとは。

 生きるためまずは情報収集。そして現代知識と料理スキルで商売を始めると決めた。

 武がなければ智を。力がなければ味で人を動かすしかない。

 

 ──そう、弁当屋をやるんだ。

 

 食材を調達し、弁当を作り、売る。簡単なようで命がけの起業だった。

 道を阻む賊、理不尽な暴力、そして時には役人までが牙を剥く。

 それでも俺は、諦めなかった。

 

「そもそも、忙しい人、疲れた人に自炊は時間の無駄だ。それを助けるのが俺の弁当屋だ」

 

 そんな言葉にシャオはきらきらと瞳を輝かせ、出資を申し出てくれた。

 

 ──たとえ異世界でも、弁当は人を笑顔にできる。

 俺とシャオ、二人三脚の挑戦が今、始まった。

 それからの日々は、想像以上にせわしなく、けれど充実していた。

 早朝、俺は市場に立ち寄り食材の目利きをする。

 シャオは炊き出し場を手伝いながら、慣れない包丁の扱いに悪戦苦闘していた。

 

「うーん、ジャガイモの皮、なかなかうまく剥けないなぁ……」

「いいんだ。焦らなくていい。包丁は手に馴染むまでが勝負だ」

 

 シャオは不器用ながらも一生懸命だった。そして何より、誰に対しても笑顔を忘れなかった。

 

「一刀、一緒に食べよ?」

 

 忙しい合間、二人でつまむ味見の弁当。

 並んで食べるその時間が俺にとって唯一の休息だった。

 ある日の午後、休憩の合間。

 風通しのいい裏庭に腰を下ろし、二人並んで握り飯を頬張っていた時のことだ。

 ふと俺の指がシャオの指に触れた。

 

「……っ」

 

 触れたのはほんの一瞬。

 それなのに彼女はそっと目を伏せ、頬を紅く染めた。

 

「ご、ごめん……」

「……ううん。シャオがびっくりしただけ」

 

 指先から、何かが伝わった気がした。

 ぬくもり。やわらかさ。心がほぐれていく感覚。

 風が淡く吹いた。シャオの髪がふわりと舞い、俺の肩に触れる。

 それだけで胸の奥がくすぐったくて、たまらなかった。

 

「なあ、シャオ……」

「ん?」

「……いつか、もっと大きな店を開こう。そんで……毎日一緒にさ、飯を作って、食って……笑ってたい」

 

 言葉にしてみてはじめて気づく。

 これが恋というやつなのかもしれない。

 シャオは笑った。

 蕩けるような、やわらかくて優しい笑顔で。

 

「うん。一刀となら、きっとすっごく楽しいよ」

 

 それは恋心の芽生え。

 まだ互いに気づききれない、けれど確かに芽吹いた、柔らかい日常の予感だった。

 

 

 

 

 

 弁当屋を始めてから、季節が一つ巡った。

 最初は市場にすら顔が利かなかったが、今では名を呼ばれて迎えられる。

 シャオと二人、仕込みに追われながらも笑顔の絶えない日々が続いていた。

 

 ──でも現状維持では守れない。

 

 物価は上がり物資は不足し人も増える。

 だから俺は決めた。

 店を拡張し支店を持ち、もっと多くの腹を満たすと。

 

「ねぇ、一刀。屋台だけじゃ、もう間に合わないんじゃない?」

 シャオが心配そうに言う。

 

「そうだな。仕込みの量も限界が見えてきた。場所を借りて厨房を構える。あと……人手も要る」

 

 街の役所に出向き、出店許可を申請した。  

 身分も土地も無い流れ者の俺が商売を続けるには証明できる信用が要る。

 その信用を俺は弁当で作ってきた。

 

「食べてみたまえ。これがうちの看板商品──唐揚げ弁当だ」

 

 重ねて来た味へのこだわりと真面目な営業態度が認められ、許可はすんなり降りた。

 次は、人材。

 包丁の握り方も知らない若者や、行き場を失った元盗賊を雇い入れ、調理と配達を任せていく。

 シャオは接客と広報を一手に引き受けていた。

 可愛らしい声と笑顔で客が寄ってくるのは当然だった。

 

「おじさん、今日のお弁当もすっごく美味しいよ! また来てねっ!」

 

 店の売上は右肩上がり。

 ただ銭を稼ぐことが目的ではなかった。

 この世界で生きていくための根を張る──それが俺の望みだった。

 ある夕方、屋台の片づけを終えた後。

 シャオと二人、木陰の縁台で並んで休んでいた。

 

「ねえ、一刀……」

「ん?」

「シャオ、一刀と出会ってから、すごく変わった気がするんだ」

 

 彼女は少し俯いて、自分の指をそっと撫でるように見つめていた。

 

「昔は誰かの後ろに居るだけで良かったの。だけど今は、隣に居たいって思うの」

 

 その横顔に俺の胸は妙に疼いた。

 彼女はもうただの少女じゃない。俺の歩む未来を共に支える相棒になっていた。

 気がつけば俺たちはそっと手を繋いでいた。

 強く握るわけでもない。

 ただ確かに繋がっていることを、お互いの体温で感じていた。

 

 ──そして、そっと優しく指を絡めた。

 

 言葉ではない確かな想いの交差。

 ぬくもりと静けさのなかで、二人の絆は不変のものとなった。

 その後、弁当屋の利益はさらに拡大し、屋台から店構えへ、そして支店の展開へと急成長を遂げていった。

 その成功の中心にはいつもシャオが居た。

 だからこそ、俺はある夜、静かに言葉を口にした。

 

「シャオ──俺と一緒に生きてくれ。これからもずっと隣にいてくれ」

 

 求婚だった。

 短く飾り気のない、けれど本気の言葉。

 シャオは驚いたように目を見開き、それからぱっと笑顔を咲かせた。

 

「うん。一刀がいい。シャオも一刀と一緒に生きたい」

 

 その答えが俺の胸をいっぱいにした。何もかもが報われた気がした。

 俺たちはそっと身を寄せ合い、抱きしめ合った。そして口づけを交わす。

 やわらかく優しく──胸の奥があたたかく蕩けるような、甘い口づけだった。

 その夜、二人の間に交わされた想いは、言葉を超えて未来を結びつけていた。

 新しい厨房、新しい仲間、広がっていく商売。けれどその全ての中心には、変わらずにシャオが居た。

 その手をこれからも二度と離すまい。そう誓った夜だった。

 

 

 

 

 

 南の果て──南蛮と呼ばれる未開の地。その密林には、まだ知られぬ食材と可能性が眠っている。

 弁当屋を営む者として、そしてこの乱世で自らの居場所を広げる者として、俺は決めた。

 南蛮に出店する。物流網の拡大、交易ルートの確保、それは弁当屋にとっても死活問題だった。

 その前に必要なのは調査と交渉──そして南蛮への道を切り拓く人材だ。

 

「冒険者を募集する。未踏の地に挑む者を」

 

 呼びかけに応じて現れたのは、劉玄徳、関雲長、張翼徳の三人組だった。

 いずれも力を持ちながらも職を得ず、この地に身を寄せていたらしい。

 

「我ら、微力ながらご助力させていただきたく」

 

 頼り甲斐のある三人を先遣隊として南蛮に送り込み、現地の地形や気候、風土病の調査を開始した。

 その間も俺とシャオの暮らしは変わらない。

 

 朝は一緒に目覚め、仕込みをして、笑い合って、弁当を売る。夜は寄り添って一日の疲れを分け合う日々。

 シャオの笑顔を見るたび、俺はこの世界に来てよかったと心から思えるようになっていた。

 数ヶ月後──南蛮出店は成功した。

 新たな香辛料、果実、そして野性の肉。どれも現地との交易を通して手に入れた食材だ。

 だが利益を上げ始めた頃、厄介な問題が浮上した。

 南蛮の関所を取り仕切る役人が、俺たちの売上を狙って圧力をかけてきたのだ。

 

「ここの通行税は、倍に引き上げさせてもらう」

 

 それは事実上の収奪であり、賄賂の要求だった。

 

「舐めんなよ。俺たちの飯を奪うってことは、ここで生きる皆を敵に回すってことだ」

 

 俺はすぐさま、証拠を揃えて役所に提出した。地元民からの証言、取引記録、帳簿。全てを精査し徹底的に戦った。

 不正役人は更迭され、俺の弁当屋は名実ともに正規の商会として公認されることになった。

 この騒動を機に警備部門の強化を決めた。  配送中の襲撃、店舗の強盗、そして今後起こりうる戦乱への備え。

 私兵を雇い、各地に警備担当を常駐させ訓練も施した。自衛のための力だが武器を持つことの意味を教え込むことも怠らなかった。

 俺たちの弁当は誰かの命を繋ぐものだ。だからこそ奪わせはしない。

 南蛮でも弁当屋は繁盛していた。素朴で温かい飯が言葉も文化も違う人々の心を結ぶ。

 そしてその中心には、変わらずシャオの姿があった。

 

「一刀、南蛮ってすごいね!」

「……ああ。だけどシャオが隣にいてくれるから俺はやっていける」

 

 南蛮の風は湿っていたが心は晴れていた。

 どこにいてもシャオと一緒なら、俺は強くなれる。

 ──これが冒険の始まり。

 だが本当の戦いはこれからだった。

 

 

 

 

 俺とシャオの結婚が思わぬ波紋を広げていた。

 ある日、孫家から使いが来た。姉の孫権が、シャオを連れ戻しにやって来たのだ。

 

「シャオ、家に戻るわよ。勝手に婚姻なんて──」

「お姉さま。……シャオ、お腹に赤ちゃんがいるの」

 

 その一言が場を凍らせた。

 事実ではなかったが、シャオのとっさの嘘が功を奏し話は有耶無耶にされた。

 とはいえこのままでは済まない。俺たちは、孫堅に正式な挨拶へと赴くことになった。

 

「貴様、生きて帰れると思ってんじゃねぇだろうなぁ!」

 

 豪胆な孫堅の前で、俺は静かに年商、粗利、従業員数、店舗展開の実績を淡々と並べた。

 

「年商は6千170億を超え、直営と提携あわせて102店舗、従業員4万3千人超──」

「……ほぉ」

 

 孫堅は目を細めた。

 

「これはただの弁当屋ではねぇな」

「ご納得いただけましたか?」

 

 最後の決め手は弁当そのものだった。

 俺が差し出した弁当を孫堅、孫策、孫権の母娘が口にする。

 

「う、うまい……っ!」

 

 口いっぱいに頬張った孫堅がうなる。

 

「素材も良いけど、味付けが絶妙だな」

「これが商い”か……勉強になるわ」

 

 賑やかに弁当を囲む中、俺はそっとシャオの頭を撫でた。彼女は嬉しそうに目を細め、俺を見つめ返してくれた。

 次は曹操の支配地域への進出だ。出店許可を得るため俺は陳留へと向かった。

 

「弁当屋? ふふ……面白そうね」

 

 出迎えた曹操は俺に興味を示し、仕官を打診してきた。

 

「あなたの才覚、軍にも活かせるわよ」

「申し訳ありません。俺は弁当屋として自分の道を貫きたい」

 

 その言葉に曹操の家臣・夏侯惇が激昂した。

 

「貴様、華琳様の御心を踏みにじる気か!」

 

 抜かれた剣は俺の肩を深々と斬り裂いた。

 

「──っ……」

 

 俺は避けなかった。避ければ無礼だと判断した。騒然とする中、曹操が立ち上がった。

 

「春蘭、下がりなさい!」

 

 謝罪と賠償、そして弁当屋の出店許可が与えられた。

 だが平穏は続かなかった。

 孫家と曹操、二つの勢力がにわかに緊張を強め始めたのだ。 その間に挟まれた俺たちの弁当屋も、戦乱の渦に巻き込まれていく。

 兵站、補給、商流、情報── ただの弁当屋が持つ力は、すでに一つの勢力と見なされていた。

 どちらにつくか。それとも、どちらにも与さず自分の道を行くか。

 ──選ばなければならない時が迫っていた。

 

 

 

 

 

 中原の覇権を巡り、戦が始まった。

 孫家と曹操、南北に割れる大陸の均衡が崩れ、各地で戦端が開かれていた。

 だがその最中にあっても、俺の弁当屋は動きを止めなかった。

 戦地に食を届け、避難民に温かい飯を配り、どちらにも偏らずただ人のために弁当を作り続けた。

 

 ──それが、俺たちの誇りだ。

 

 食の力は人をつなぐ。飯を囲めば憎しみすら一瞬、ほどけることがある。

 その瞬間を積み重ねることがやがて和解を生むのだと俺は信じていた。

 そんな中、曹操と孫権が時折店を訪れるようになっていた。

 彼女たちは、表向きは出店の巡察や調理技術の習得と称していた。心安らぐ癒やしの時間を求めて来ていたのかもしれない。

 

「この煮物……どうやって味を染み込ませているの?」

「火加減と順番だ。先に調味料を入れると、肉が硬くなる。……ほら、こうやって」

 

 一刀の指導は真摯で、温かかった。

 刃を握ることの多かった彼女たちは、包丁の重みを初めて穏やかに感じていた。

 その手つき、言葉、時に笑顔。彼が妻帯者であることは知っていた。だが心のどこかで惹かれることを彼女たちは止められなかった。

 それは恋ではない。けれど恋に似た熱を帯びた敬意とぬくもりだった。

 

「貴方という人間を、少し誤解していたわ」 「俺は弁当屋だからな。ただの」

「──そのただのが、こんなに眩しいなんてね」

 

 曹操と孫権。彼女たちは互いの心に芽生えた想いに気づきながら、それを言葉にはしなかった。

 代わりに黙って隣に立ち、共に鍋をかき混ぜるような静かな友誼を育んでいった。

 戦の合間に人々は飯を求めた。

 それがどこの兵であれ、誰の命令であれ、俺は分け隔てなく弁当を渡した。

 それが誰かの生を繋ぎ、未来のための一歩になると信じていた。

 戦場にも食事時間はある。その場所で人は語らい、涙し、誓うのだ。

 シャオの笑顔が俺の心の拠り所だった。彼女と重ねた日々が、俺を支え続けた。

 ──やがて戦が終わる日が来るとして。その時、また誰かと飯を囲みながら笑い合えるなら。

 俺の選んだ道は、きっと間違っていなかった。愛と誇りの行き先に温かな食卓がある限り。

 

 

 

 

 戦乱はやがて終息した。多くの血が流れ、多くの悲しみが積み重なった末に、ようやく人々は平和という言葉を口にできるようになった。

 俺たちの弁当屋は、その間も一度たりとも休まなかった。

 飢える者には飯を、疲れた兵士には温もりを。どの陣営にも属さず、ただ食を届け続けた。

 そして今──戦火の収まった地に、新たな店を開いた。

 名もない村の小高い丘の上。炊煙が緩やかに登り、シャオの声が陽だまりに溶けてゆく。

 

「いらっしゃいませ。今日のお弁当は、やわらか煮豚と炊き込みご飯ですよっ」

 

 彼女の笑顔は、昔と変わらず輝いていた。 あの日、戦場を駆けた少女ではない。

 けれど、すべてを乗り越え今を生きる強さを身に纏っている。

 俺はもう、かつてのように鋭く立ち回ったり、暴力で人を黙らせたりはしない。獣のように戦っていた俺は、もういない。

 今の俺は包丁を握り、飯を炊き、家族のために働く男だ。シャオの隣で彼女の笑顔のために生きる男だ。

 曹操と孫権は、いずれも大きな責任を背負う立場に戻っていった。

 けれど、ときおりこの小さな店を訪れ、穏やかな時を過ごしてゆく。

 彼女たちの視線には、未だに揺るがぬ熱がある。けれどそれは、もう触れることのない静かな想いだ。

 

「変わらないね、一刀」

「そうか?」

「うん。……変わらないでいてくれて、ありがとう」

 

 彼女たちはそう言って、またそれぞれの場所へ帰っていく。

 弁当を作る。誰かのために。

 それはきっと俺の人生すべてだ。

 愛しいシャオと育んだ日々。戦の中で交わした友情。

 失ったものもあるけれど、守れたものも確かにあった。

 ──俺たちは、今日も炊き立ての飯を包む。 ほんの少しの優しさと、希望を添えて。

 静かで穏やかな、温かな終わり。それは、俺たちが望んだ最高のハッピーエンドだった。

 ……もっとも曹操と孫権がその後、シャオを出し抜いたかどうか──それは誰にも語られていない秘密だ。

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