ある空間での出来事・・・アバンVSキルバーン?
side アバン
「ようこそ勇者アバン! 僕のオリジナルの亜空間へようこそ」そう言って出迎えたのは、先程まで戦っていた死神キルバーンだ。戦闘前とは雰囲気が変わっており、とてもこれから戦闘をしようとする気配はない。しかし、奴は人間を騙すことを得意としている魔族であり油断は出来ない。
「ここでの出来事は、たとえ大魔王バーンとて見ることは出来ない亜空間であることを最初に宣言しておこう!」そう言ってから奴は私に向って話し掛けてきた。
「君を知ったその日から、君とのデートを心待ちにしていたんだ。まずは紅茶を一杯どうだい?地上産の最高級茶葉を用意したんだ」周りを良く見るとすでにティーセットと豪華なテーブルが配置されており、本気でお茶会を行なおうとしている様にも見える。
「貴様とじゃれあうつもりはない!」そう言って様子を窺ってみたが、キルバーンは平然としてこう言い放った。「尊敬には値するが、丸腰の相手に向って一方的に攻撃を仕掛けるなんて君には出来ないだろう?」そう言って、お茶の用意を始めるキルバーン・・・・その様子から何かしらの提案があるのかもしれないと、私は警戒しながらもテーブルに座ることにした。
「流石はあの大魔王バーンが警戒する、地上屈指の切れ者アバン!」満足そうに呟くキルバーンに、馴れ合うつもりはないので、早く話をする様に催促する。奴はおもむろに話を始めた。
「君達人間は僕のことをどのぐらい知っている??」あまりの質問に私は、困惑しながらこう答えた。「魔王軍のNO.3で、血も涙もない冷血漢。自分の愉悦の為なら、人間の命なんて虫同然と考えている人類の敵。コソコソと動き回るのが大好きで、自分では決して動かない卑怯者」私は相手の反応を見る為、あえて怒らせる様なセリフを並べてみた。最後にキルバーンを挑発する様に「まだ必要ですか?」と付け加えた。
「君の認識には大きな間違いがある。もちろん性格の事じゃないよ!」そういって、してやったりと言った風のキルバーンであったが、更に話は進む。「間違いその1・・・僕は魔王軍においてNO.3なんかじゃない。人間風に言うと、せいぜい上の下ぐらいの位置にいる。」
思わずどう答えて良いのか解らなかった・・・・・・奴はそんな雰囲気を察した様に更に「魔王軍の本当の戦力は・・・解りやすく言うと、今のハドラー君でようやっと軍団長クラスといったところでしかない」正直何を言われたのか理解出来ない。話を聞いたり、見たりした超魔生物となったハドラーのレベルは、そんな生易しいものではないはずだ!!
間違いなく、敵に回せば大苦戦を免れない、最強の一角であると思っていた。それが、軍団長クラスでしかないと・・・キルバーンの真意が理解出来ないが、ここで取り乱しても状況が良くなる訳でもない。せめて出来るだけ情報を持ち帰り、今後に繋げるべきであろうと思い話の続きを促がした。
「実はここまでの話は、やっかいではあるが致命的な問題ではないと僕は思っている。今回は大魔王も本気じゃない・・・・戦力の大半を温存しており、君達と戦って損害を出すつもりはない。精々君達が力を合わせれば、苦戦するであろうが大魔王の目の前までは、恐らくたどり着ける程度の戦力しか出さないと思っている。」
「その証拠に僕程度が、NO.3だと思われているんだからね」そう言いつつ奴にしては真剣な口調で、私に向って取引を持ちかけてきた。「一時的で良いから、君達と手を組みたい・・・・間違いその2に当たるが、僕も好きこのんで人間達に嫌われるキャラを演じてた訳じゃない・・・・仕方がなくやっていたんだ!」
思わず反論をしようとして、口を開きかけたところに奴がすかさずセリフを被せてきた。「君達にも言い分があると思う。僕は君達が僕と手を組み易い様に、人間達がギリギリ妥協出来る範囲に悪事は押さえてきたつもりだ。外見上は惨たらしく見えたり、おちょくったり、罠に掛けたりもした。しかし僕のせいで人間が死なない様に、細心の注意を払ってきたつもりだ。・・・何せ僕も監視されていて、死神キルバーンとしての演技をするしかなかったんだ。」
私は奴の事など信頼に価するとは思っていない。だが奴が我々人間に何を求めているのかだけは、聞いてみる必要性があると感じていた。
「肝心な取引内容はなんです?」
そう言って先を促がすと奴は「誰にも邪魔されずに戦いたい御方がいるんだ。・・・・闇よりもなお暗き
「その口調だと敗れるのが前提に聞こえるのですが、それでも良いのですか?」思わずあまりに斜め上な内容に、普段の口調に戻ってしまったが、それほどに衝撃的な話でした。
キルバーンは満足そうに頷くと「今回が唯一のチャンスなんだ。普段であれば、彼女に心酔している魔界の猛者達が彼女をガードしているんだ。だが今回は、そんな部下達を誰も連れて来てはいない。一人一人がハドラー君をも上回る魔界の実力者達・・・・本来であれば彼女に手を出す前に、彼らに始末されてしまうだろう」そう言って自嘲気味に話すキルバーン。私は無粋ではあるとは思いましたが、何故そこまでして戦いたいのか聞いて見ることにしました。
「ある時から僕は、リーゼ様に認めてもらいたいと思う様になった。だが人間風で言えば、大魔王の片腕と部下A 女王陛下と兵士A。おそらく視界にすら満足に入っていないと思う。であるならせめて武人として評価されればと思い、修行に励んだ。そして実力を隠しつつ、彼女と相対する機会を待った。悔しいが、全力を出しても彼女の部下一人に勝つのがやっとだと思う。僕はリーゼ様に敵として相対したいんだ。勝つのは100%無理だが、敵として戦いたい。君達への報酬は、そうだね・・・・・・僕の命を削って稼いだ僅かな時間ってのはどうだい?おそらくは5分・・10分は持たないかな」
こちらにとっては特に不利になる内容ではない。むしろ強敵を一人引き受けてくれるのだからありがたい話ではある。しかし私は若干だが、奴が不憫に思ってしまった。奴はおそらく自分の感情に気が付いてないのだろうが、その感情は人間で言うところの・・・・・・・・これ以上は無粋か・・・・
「そうそう、手付けがわりと言ったらなんだけど、リーゼ様の本名は《リーゼ
ですがリーゼ