『外物語』   作:零崎記識

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筆者は小説投稿初心者です。
過度な期待はせずに気楽に見ていくことをお勧めします。
感想・批評は歓迎ですが暴言・悪口は炎上の原因となりますのでおやめください。



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俺が羽川と出会い、そして友達になったその夜のこと。

 

「うわぁぁぁぁ………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………無いわーマジ無いわーいくら感情が高ぶってたとはいえあのセリフはないわ…………マジ引くわー無いわー……」

 

俺氏、絶賛黒歴史回想中である。

 

何が「お前のことがもっと知りたい(キリッ)」だよ………。

 

完全にギャルゲーのセリフじゃないですかヤダー。

 

お前直前まで適当に相手してたくせにいきなり手の平クルーするなよ………。

 

あー鬱だ………死にたい。

 

もうなんか、恥ずかしいとか通り越して早急にこの世から退場したい。

 

いや、羽川がいるからしないけどさ………。

 

ベッド上で転げまわる男子高校生の姿が、そこにはあった。

 

あるぇー俺ってこんな感情豊かだったっけ………?

 

前の世界で「くだらねえ………」とか言ってたキャラはどこ行ったんだよ……。

 

キャラ設定ブレイクするの早すぎませんかねえ作者ぁ!

 

こういうのってもうちょい紆余曲折あってからなるものだろ………。

 

それで長い付き合いの最初からいる仲間とかに

 

「変わったな……お前」

 

とか言われるのがこの場合のテンプレだろ……。

 

何色々すっ飛ばしてキャラブレイクしてくれっちゃってんですかねぇ………。

 

あー恥ずかしい………。

 

いやまぁ後悔はしてないんだけどさあ………。

 

くそう………まさか俺が黒歴史を作る羽目になるとは………。

 

羽川翼、恐るべし!

 

原作キャラは伊達じゃなかった………。

 

あ―駄目だこれ、ちっとも恥ずかしさが紛れねえ。

 

しかしそうしているのにも疲れ、俺は体を起こした。

 

「夜風にあたってくるか」

 

らちが明かないので、俺は外を散策して心を落ち着かせることにした。

 

夜の町をゾンビのような足取りで歩く俺。

 

傍から見れば完全に不審者である。

 

しかし、夜の風に当たったおかげで頭が冷えたのか、俺の心は先ほどよりも穏やかになっていた。

 

「羽川翼か………」

 

羽川翼、その名前を俺はこの世界に来る前から知っている。

 

あらすじ程度にしか知らないライトノベルシリーズに頻繁に登場していた名前だ。

 

今日会ってみるまで俺はそいつが誰でどんな奴なのかは知らなかった。

 

しかし言わずもがなわかるかと思うが、彼女は原作キャラだ。

物語の進行に関与する重要な存在。

 

主人公であるこの俺が成り代わった阿良々木暦と原作キャラである彼女が出会えば、それは物語の始まりを意味する。

 

「いよいよ本番………ということだな」

 

今まではただの猶予期間(モラトリアム)

 

ゲームで言うのならチュートリアルってところだ。

 

物語はまだ、始まってすらいなかったのだ。

 

そして、羽川との出会いはきっと序章だ。

 

幕が上がり、ここから俺の物語が始まるのだ。

 

さぁ――――――

 

「……うぬ」

 

――俺の物語を―――

 

「そこの………うぬじゃ」

 

―――――――始めようか。

 

声をかけられた方向に目をやると、そこには美しい金髪にシックなドレスを身に纏い、思わず平伏したくなるくらい高貴な雰囲気を漂わせた―――血も凍るような美しい女が、そこにはいた。

 

「儂を………助けさせてやる」

 

―――その四肢を無残にも捥がれて瀕死の姿で。

 

しかし、俺にとってはどんな芸術家も表現することは不可能とすら思える神聖さすらも感じられる女の美しさも

 

その完成された美を見る影もなく無残に破壊された様子も

 

全て―――――女の背筋が凍るほど冷たい金色の眼の前では()()()()()()()()()()

 

俺は強い衝撃とともに、強烈な『既視感(デジャヴ)』に陥った。

ははっ………マジかよ。

 

女の眼にはこの世の全てに対する絶望があった。

 

その眼は、もはやこの世の全てに対する一切の興味を失っっていると語っていた。

 

俺はその眼を知っていた。

 

それは、万能すぎるがために、強すぎるがために、誰にも理解されずに今まで生きてきた者の眼。

 

『究極の孤独』を味わって精神が死にかけているものの眼。

 

前の世界にいた頃、俺が―――――毎日鏡の中に見ていた眼だ。

 

こいつは………()()()()()()()()()()()だった。

 

――――こんな短期間に二人も『同族』と出会うなんて………。

 

「聞こえんのか、おい―――――」

 

ここで初めて、女と俺は目を合わせた。

 

時が止まった。

 

女の金眼がギョッと見開かれ、女と俺はしばし見つめ合った。

 

時間にしてほんの数秒だったはずだが、俺には永遠にも近い時間に感じた。

 

「何者じゃ………うぬ」

 

「お前の――――『同族』だ」

 

「『同族』じゃと……うぬ…吸血鬼か」

 

「いや、人間さ。ただ少し『例外』なだけのな」

 

「『例外』………なんじゃそれは……?」

 

「『例外』とは、読んで字のごとくこの世の法則すらからも外れた圧倒的強者にして全てにおける異端者だ。体こそ人間だが、俺の力は人間を超えている。お前もそうだろう吸血鬼、お前の眼は強すぎるあまり究極的な孤独を味わう者の眼をしている。退屈で退屈で、この世の全てのものが取るに足らなくて、もう生きることさえうんざりしている。そうだろう?」

 

「見透かしたようなことを………」

 

「見透かしているんじゃない、()()()()()()。だって、お前は―――――」

 

俺は女に歩み寄って目線の高さを合わせた。

 

「お前は―――――()()()()()()()

 

そう言って俺は、女に首筋を差し出した。

 

「お前は………間違いなく俺の『同族』だ。だから――――俺がお前を助けてやる。俺の血を吸え吸血鬼」

 

「良いのか?血を吸えばうぬは死ぬぞ」

 

「血を吸われたぐらいじゃ俺は死なねえよ。たとえ今世界が滅んだとしても、俺は死なない。『同族』のお前なら分かるだろう?」

 

俺がそういうと、女は頷いて俺の首元に口を近づけ

 

「…………ありがとう」

 

俺の耳元で小さくそういうと、俺の首にその牙を突き立てた。

 

その言葉は、女が生まれて初めて言った言葉だった。

 

孤独の中で生きてきた女は、初めて『感謝』という感情を知った。

 

――――世界の外にあるとある場所、真っ白な空間が広がる場所で、全ての物語の行く末を見守る『観測者(オブザーバー)』が無闇のいる世界を見ながら言った。

 

【ついに始まったね】

 

【ここからが、本当の物語の始まりだ】

 

【人の領域を超えた力を持つ者が、ついに今、人ならざる者と出逢った】

 

【例外の人間と怪異の王、彼らがその魂をつなぐとき、例外はその存在を一つ外し、怪異の王は怪異すらも逸脱するもう一つの『例外』となる】

 

【世界の法則ですら、もはや二人を縛ることはできない】

 

【さぁ………『例外の例外による例外的な物語』の幕開けだ】

 

異変が起きたのは、女が血を吸い始めてすぐのことだった。

 

「―――――ッ!?なッ―――これは一体ッ!?」

突如として、女は胸を押さえて悲鳴を上げ始めた。

 

「おいッ!?どうしたんだ吸血鬼ッ!何があったッ!?」

 

「がッ………あああああああああああああッ!!!儂の………体がッ!………存在ごと書き換わっていく…………!?あああああああああああああああああああああああああ!!!!………ああッ!…………アアアアアアアアアアアアAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

この世のものとは思えないほどの絶叫をあげ、女は糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。

 

「クソッ何だってんだ一体!!」

 

俺は突然倒れた女を受け止めながら、怒鳴るようにいった。

 

俺は女を息を確認し、どうやら気絶しているだけらしいということを確認した。

 

とは言えこれからどうするべきか…………。

 

家族の眼がある手前、四肢をもがれた美女を家に連れて行くわけにもいかない。

 

どこか、一目のない場所に行かないと……。

 

そう考えた時、俺の頭にはある場所が思い浮かんだ。

 

伊達にこの一年町を探索してきたわけじゃない。

 

俺は女を横抱きにすると、そのまま立ち上がってその場所を目指した。

 

血まみれの美女を、お姫様抱っこして運ぶ俺。

 

もし人に目撃されようものなら通報待ったなしである。

 

ヤベぇよ………………………

 

「っと、着いたか」

 

目的地に着き、俺は前の建物を見上げた。

 

ここは、俺が調べたところによると4年前に潰れた学習塾の廃ビルである。

 

近くに誰もいないことを確認すると、俺は廃墟へと足を踏み入れた。

 

美女を抱え、人目を気にしながら廃墟に入っていく姿はどこからどう見ても不審者そのものである。

 

近所の噂になったりしたらどうしよう………。

 

極力そのことについては考えないようにして、俺は廃墟の階段を上る。

 

「ったく………さっきから一体この違和感は何なんだ………」

 

ここまでの道中、俺の体には妙な違和感が襲っていた。

 

それはまるで、自分の体が根本から書き換わっていくような感じだった。

 

まずいな………今は気力でどうにかしてるが、そろそろ限界が近い……。

 

気を抜けばどうなることか………。

 

徐々に強くなる違和感を押し殺しながら、俺は二階にある一番近い教室に入り、机の上に女を下した。

 

「―――――ッ!!ああああああッ!!!」

 

そこで緊張の糸が切れたのか、俺の体を一気に違和感が駆け巡った。

 

俺の体が、精神が、魂が、俺を構成するすべての要素が根こそぎ書き換えられていく。

 

俺の存在そのものが、『ナニカ』から外れていくのがわかる。

 

しかし俺にはどうしようもなく、俺は強烈な違和感を感じながら気を失った。

 

004

 

唐突に意識が回復した。

 

自分を構成する要素が軒並み書き換わり、生まれ変わったかのような気分だった。

 

「俺は一体………どうなったんだ」

 

俺は瞑目し、自分の内側に意識を向けた。

 

その結果として俺は自分の内側に人間としての要素のほかに、『もう一つの要素』が追加されていた。

 

「これは……吸血鬼か」

 

恐らく少しでも女に血を吸われたからであろう。

 

俺という存在が、吸血鬼という存在を()()()()()のだ。

 

自覚してみればなんとなく感覚が研ぎ澄まされたような気がするし、薄暗い廃墟の中なのによく見える気がする。

 

「……っつーことはまさか………」

 

俺はふと思い立って、廃墟の窓のほうへと歩く。

 

どうやら今は真昼のようだ。

 

俺は日の光が差し込むところに、おもむろに自分の右腕を突き出した。

 

太陽の光に照らされた俺の右手には()()()()()()()()()()()()

 

この体は今、吸血鬼のようになっているというのに。

 

「やはりそうか」

 

しかし俺はこうなることを知っていた。

 

俺の内部を探った結果、俺の肉体と魂は人間でもなく、吸血鬼のでもない『全く新しい存在』に書き換わっていた。

 

それは強いて言い表すなら『例外』とでもいうべきもので、人や吸血鬼の法則から外れたまさに例外的な存在になったのだ。

 

人でありながら人のように弱くなく。

 

吸血鬼でありながら吸血鬼の弱点が効かない。

 

反則(チート)ともいうべき存在に変わっていた。

 

そしてそれは、俺の血を吸って魂で繋がったあの女も同じ………。

 

「⁉そうだっ!吸血鬼は⁉」

 

彼女の存在を思い出した俺は急いで彼女を寝かせておいた机のベッドに駆け寄った。

 

「手足が………再生してる………」

 

そこには、四肢を切り落とされて血まみれになった女の姿はなく、ただ完全なまでの美を誇る美女の姿があった。

 

「おい、起きろ吸血鬼」

 

俺は女を起こすために体を揺する。

 

完璧なプロポーションを誇る女体が揺さぶられ、もうなんかいろいろすごい光景になっているが、そんなことはどうでもいいので今はおいておく。

 

「うーん……あと五分」

 

「そんなベタなセリフ言ってないで起きてくれ吸血鬼」

 

「あと気分……」

 

「セブンイ〇ブン?」

 

「いい気分……」

 

「起きてるだろお前」

 

「なんじゃこんな昼間から騒がしいのぅ………」

 

やっとのこと起きてくれた女は大あくびをしながら伸びをする。

 

うーん……美人は何しても画になるのな………。

 

そんなことを思いながら、俺はまだ若干寝ぼけ眼の女に尋ねた。

 

「体の調子はどうだ?」

 

「まぁ悪くはないのう、少しだけじゃが吸血鬼のスキルを使えるところまで回復した」

 

「そうか、それは良かった。そこでお前にも訪ねたいのだが………」

 

「皆まで言わずとも分かっておるわい。儂はどうやら、うぬの血を吸ったことで吸血鬼とは違う別の存在に変わってしまったようじゃ」

 

「やはりお前もか」

 

「うむ、そのせいで吸血鬼の主従関係もだいぶ拗れておるわい。儂とうぬは、互いに主人でも、従僕でもない、主従関係から逸脱した例外的な関係になっておる。まさかこんなことになろうとはのう………さしもの儂も驚きを隠せん………それにしても『同族』か、なるほど、魂が繋がっている今じゃから理解できる。うぬは()()()()()()()()()、そういう存在だったのじゃな。肉体は明らかに人間じゃが、その本質は人間の範疇を大きく超えておったわけじゃ………まさかうぬのような存在がこの世界にいるとはのう、世界は広いのう」

 

「じゃあやはりあの時気を失ったのも………」

 

「うむ、うぬという『例外』の血を吸ってうぬと魂でのつながりが構築された時、儂の存在もそれに引っ張られて魂が書き換わったせいじゃろう。結果肉体がそれについていけず気を失った………まあこんなところじゃのう」

 

「……すまないな、こんなことになるとはさすがに予想していなかった」

 

「別に謝る必要はない、むしろ、弱点が消えて感謝しておるくらいじゃ」

 

「そうか…お前がそう言うのならまぁいい」

 

「じゃがこうなってしまった以上、うぬと儂は一蓮托生じゃ。のう我が同族よ」

 

「そうだな、俺とお前は魂で繋がった一蓮托生、いわば運命共同体だ」

 

「ならば、改めて儂の名を名乗ろうぞ、よく聞くがいい我が同族よ、この儂こそが『怪異の王』にして『怪異殺し』と呼ばれ、かつてこの世の全ての頂点だった存在。『鉄血』にして、『熱血』にして『冷血』の元吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードじゃ」

 

自己紹介長えよ。

 

よく一息で言えるな………。

 

「なあ、それフルネームで呼ばなきゃダメか?」

 

「ふむ、本来ならハートアンダーブレードと呼ばせるつもりじゃったが、まぁうぬは儂の『同族』であって眷属ではないからのう、うぬと儂の立場は対等じゃ。故に特別じゃ、好きに儂の名を呼ぶといい」

 

「それじゃあキスショットって呼んでもいいか?ほかの名前より言いやすい」

 

「キスショット………そうか、うぬも儂をそう呼ぶのか」

 

「何だ?ひょっとして何か不味いのか?」

 

「いや何、ちょっと昔のことを思い出しただけじゃ、気にするな。うぬが儂をキスショットと呼びたいならば儂は別に構わん。そう言ったじゃろう」

 

「そうだな、お互い、長い付き合いになりそうだ」

 

ともかく――――と、俺は一拍おいてから俺はニヤリと笑った。

 

「―――ようこそ『外』の世界へ。歓迎するぞキスショット」

 

「かかっ、歓迎されてやるわい」

 

それに対し、キスショットは凄惨な笑みで答えた。

 

こうして俺は、生まれて初めて『同族』との邂逅を果たしたのであった。

 




どうも、零崎記識です。
遂に今作のメインヒロインが登場しましたね。
最初の予定では彼女だけをヒロインにする予定だったのですが羽川さんのヒロインパゥワーによって急きょ変更せざるを得なくなりまして予定が大幅に狂ってしまいました。
マジでどうしよう………。
しかし………しかしここで今度こそ私は断言します!
『物語シリーズ』におけるヒロインはキスショットと羽川翼だけになります。
よって、ガハラさんとか、他阿良々木ハーレムメンバーのヒロイン化はありません。
個人的にはガハラさん達も好きではあるのですがこのシリーズのコンセプト上、彼女たちがヒロインになることは難しいんです。
ガハラさんや他原作ヒロインのファンの皆様には申し訳ございませんが広い心で温かく見守ってくれると幸いです。
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