トゥルーエンド後の宮代拓留のハッピーエンディング   作:シュレーディンガーの猫

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笑顔で宮代拓留の元に駆けて来る尾上世莉架。
知らない人になったはずの彼女に一体何が
起こったのか。
今、本当のトゥルーを目指して物語は
走り出す!


あの青い空を目指して

晴れたある日、宮代拓留は渋谷の街に降り立った。

突然の釈放。

外では久野里さんが待っていてくれて、例の危なかっしい運転で送ってくれた。

今の状況について聞いてみたかったが、一言「詳しくはお前を出迎えに来るやつ

に聞け」と冷たく先手を打たれしまい、道中は何も会話がなく、やがて青葉寮の

前に着いた。

何がなんだか解らない状況に戸惑っていると、向こうから尾上世莉架が駆け寄ってきた。

「お帰り、タク」懐かしい屈託のない笑顔と声。

それは改変された世莉架ではなく、昔から知っている幼馴染のそれだった。

「僕は何かを失敗したのか?最後に見た世莉架はもう僕知っている 世莉架じゃなかっ

たはずなのに」

宮代の心は激しく揺れた。

後ろを見ると、今にも涙ぐみそうな懐かしい顔が並んでいた。

南沢泉理(来栖乃々から姿が戻っている)、有村 雛絵、香月 華、結人、うき。

「お帰りなさい」みんなが口々に僕の帰宅を喜んで迎えてくれた。

僕は夢を見ているのか?

「詳しい話は中でしましょう。お茶でもいれるわ」

と泉理がみんなを促した。

彼女のことは収監後、面会に来た久野里さんから聞いていた。

とても驚いたけれど、今の僕なら本当の自分を打ち明けられずにいた気持ちを理解出来

る気がした。

世莉架が自分には何も話さずに一人で抱えていた色々な事と重なるような気がした。

 

「・・・で今の状況、説明してもらえるかな?」

誰となく促すと世莉架が元気よくて手を挙げた。

その懐かしい元気さに思わず苦笑してしまう。

 

彼がいない間に起こった出来事とは・・・。

渋谷からカオスチャイルド症候群が消え、世莉架は横浜から碧朋学園に通うように

なっていた。

同じクラスになった有村雛絵と知り合った彼女は、有村が文芸部の部長であり

ながら、廃部になった新聞部に頻繁に出入りしていることを知る。

自然に元新聞部に向かった世莉架はそこで、有村雛絵、香月華、南沢泉理が

雑談している姿を見る。デジャブ。そしてそこに誰かが欠けていることも感じて

しまう。

 

「今度は何を調べる?」「そうだな、ああ、こういうのはどうだ」

そんな空耳にはっとする。

「できれば仲良くしてやってほしい」と宮代拓留に頼まれていた

彼女たちは、世莉架に優しく声をかけた。

それから元新聞部に顔を出すようになった世莉架はあることに気が付く。

誰も座らない席があることに。

「そこは誰かの席なんですか?」

素朴な疑問に一瞬の沈黙、南沢が口を開く。

「そこは、部長だった宮代拓留のよ」

また沈黙。世莉架もまずいことを聞いてしまったと後悔しきりだった。

(そういえば新聞部は「宮代拓留」が殺人犯として逮捕された時、廃部に

なったってネットで見た気がする)

 

 

世莉架はまた、あの夢をみていた。

(本当にこれは夢なの?あの知らない顔で話している私は誰?)

夢の中で夢の自分に、問いかけていた。

(私は何を忘れているの?何を覚えていないの?)

思い出しちゃいけない気がする。でも思い出さないといけない気もする。

すごく大事な何かを失っている気がする・・・・。

 

数日が経ち、元新聞部に何やら居心地のよさのようなものを感じて、

世莉架は放課後をよくそこで過ごすようになっていた。

「あの、聞いちゃいけないことかもしれませんけど、宮代拓留ってどんな人

だったんですか?」

ずっと気になっていたこと、少しだけ会話して時を過ごした人、殺人犯に

なって結局全然見えなかった。

 

南沢が口を開く。

「彼は・・・自分は情報強者だって言って、いつも何か事件を探してたわ」

有村も口を開く。

「知らない人と話すのが苦手で、最初は私にまで敬語だったなあ」

香月が口を開く。

「よく伊藤先輩と調べものをしてました」

(伊藤・・・確か宮代拓留と一緒になって彼の妹さんを殺したっていう・・・)

 

「実は、久野里さんっていう人と、刑事さんに会ったことがあるんですけど、

やってもいない殺人、っていうのを聞いちゃったんです。

すごく気になって、どういう意味なのかな、って」

聞かない方がいいかもしれない。

でも・・・世莉架の中に残された、半身宮代拓留と同じ、気になった事を

知らずにはいられない本質が彼女を突き動かしていた。

 

「宮代先輩は何もやってない」

有村が口を開いた。香月、南沢二人の顔色が変わる。

「私もそう思う」

普段から口数が少ない香月も同意する。

南沢は悲しそうな顔して、それから顔をあげた。

「私も彼は殺人なんかしてないって信じてるわ」

きっぱりと、その顔は彼をとてもよく知っているから、そう告げている

ような気がした。

「じゃ、じゃあ、冤罪ってことですか!?ネットには証拠がそろってた

とか、自供したとか書いてありましたけど!?」

世莉架は急に感情がこみあげてくるのを止めることが出来なかった.

真実は知らなくてはいけない、そんな衝動が襲っていた。

 

有村がたまらず口を開いた。もう我慢できないそんな感じだった。

「どんな証拠があったかなんて、ひとつも発表されて

ないし、自殺と発表してた事件まで宮代先輩のせいにして、

警察なんかあてにならないです!」

南沢先輩が悲しそうに目をふせる。

宮代いう人は、本当にここの人たちに信頼されている。

ネット上でのうわさという不確かな情報と、目の前の人達の言葉に齟齬(そご)を感

じて、世莉架は自分がネットや人のうわさで聞いた出来事の不確かに揺れていた。




以前に投稿削除したものを改編しての再投稿です。
どうしてもトゥルーエンドのショックから抜け出せず、
体調が戻らなかったので、自分を納得させる為に書き
ました。
やっぱり残られた皆に同じ所で笑って過ごしていって
欲しいそんな切なる願いの作品です。
以前のものに後日談を追加したものになります。
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