トゥルーエンド後の宮代拓留のハッピーエンディング   作:シュレーディンガーの猫

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毎晩のように「以前の自分がしていた事を」夢に見る世莉架。
もちろん、彼女は中身を覚えていない彼女だが、ある夜、
変化が訪れる・・・。


忘れたままでいたくない

その夜。またあの夢をみた。

その夢は今回の事件「ニュージェネの狂気の再来」を知る前から見ていた。

自分じゃない自分がいて、何か悪いことをしている夢。

目が覚めるといつも涙が流れている。

 

夢の頻度は、あの宮代拓留という人にあって、色々なものを目撃してから増していた。

誰に話していいか、相談していいか、中身を覚えてもいない夢。

 

でも、今回は違った。忘れている事、思い出せない事を自覚したせいだろうか、

夢の中の自分とそれを見ている自分が重なって・・・・。

 

「ーーーーーーーーーーーっ」

声にならない叫び。

世莉架は飛び起きた。

いつもの自然に目が覚めて涙する朝ではなく夜中の覚醒。

「うそうそうそうそうそうそ・・・・やだやだやだやだやだ・・・・」

夢の中の自分、そうあれは別の自分なんかじゃない、私自身だ。

この手で・・・わたしは・・・。

 

世莉架は再び悲鳴をあげて気を失ってベッドに倒れこんだ。

その手に顕現するディソード。

翌日。世莉架は学校をさぼった。渋谷には向かったが「フリージア」の

前に降り立っていた。

ばたん、勢いよく扉を開けると 、びっくり顔の百瀬所長と久野里澪の顔

が目に入った。

「久野里さん!タクの冤罪を晴らすの手伝ってください! タクを助けたい

の!」

久野里は目をむいた。前に別れた時は普通の女子高生に改変されていた

はずの尾上世莉架はそこにはいなかった。あいつを「タク」と呼ぶのは

・・・・・。

「おい、どういうことだ。記憶が戻ったのか。何故!」

思わず尾上の襟首をつかんでいた。完全に混乱していた。

ありえない、何故今になって戻った・・・・!?

「落ち着け、久野里澪。」

考えを整理できずにいる久野里の耳に、聞き慣れた、だが二度と聞きたい

とは思わない声が響いた。

この低い声音は・・・。

「まだいたのか・・・・。」

「ご挨拶だな。尾上世莉架は、 画像の拡散前に渋谷を出てネットには

アクセスしていなかった。

スマホもほとんど手にしていなかったからな。画像は見ていない」

そこにいるのは、先ほどまでの屈託のない世莉架ではなく、裏世莉架とも

いえる殺人に手を染めていたあの彼女だった。

 

「どういうことだ、話せ」

久野里は落ち着きは取り戻したが、憮然した態度でソファに腰をおとした。

「わかった」

もうひとりの世莉架は、簡潔に話をすすめた。

世莉架は、普通の女子高生になってから、中身は覚えていないが、もうひとりの自分が

何か悪いことしている夢を見て、朝には何度も涙していたこと。

「何かの病気かもしれない、と前から悩んでいた。

「きっかけは碧朋学園に一度、友人に強引に連れて行かれてた時かもしれない。

学園を目にした時からもう覚醒は必然だったのかもな」

「結局、あの後、碧朋学園に通うことになって、新聞部の面々と再会。

覚えのない夢は頻度を増し、以前に聞いた「やっていない犯罪」という言葉

もひっかかっていたようだ。」

久野里が眉を寄せる。

「皮肉だが、世莉架には友達はいても、そんな深刻な話を出来る親友は

できなかったようだ。」

 

「まるで人ごとのような言い方だな。お前も世莉架だろうに」

「私の出番はなかったからな、見ていただけだ。

世莉架自身が改変されてから、二重人格のように、私と普通の世莉架は

区切りがついていた。

そこは、宮代の尾上世莉架を普通の女の子に戻す、という願いが

半分は叶えられたという事かもな。

まあ、それでもいい と思っていたが、呼ばれたから出てきたわけだ。」

「呼ばれてきた?」

久野里に疑問が浮かぶ。

 

「今の世莉架、そうだな仮に「表世莉架」とでも呼ぶか。

表世莉架は、本当に改変で普通のちょっと変わった女の子になったようだ。

以前やっていたように、宮代に的確なアドバイスをしたり、アイデアを与えたりは

もうできないだろう。

そのおかけで、色々考える事は全部こっちの仕事になったわけだがな。

こちらからあちらの事は認識できるが、あちらの世莉架からは私という意識の存在が認識できないようだ。

つまり、今のように完全に意識を切り替える必要が生じた。

表の世莉架に、裏になった私との会話の記憶はないから、そこは理解してくれ。」

 

「なるほど。事情はわかった。

ところで最初の話だが、何か案でもあるのか?それとも勢いで来ただけか?」

 

当然久野里のご機嫌はよくない。

世莉架を睨み付けたまま問いかけた。




尾上世莉架覚醒!
私が彼女なら知らないままで前に進めない。
そんな気持ちで彼女を復活させました。
裏にあたるあの世莉架にも消えてほしくなかった
そんな思いもあります。
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