トゥルーエンド後の宮代拓留のハッピーエンディング 作:シュレーディンガーの猫
一枚の写真に写るみんなの笑顔。
宮代拓留がみんなの元に戻って来て、
みんなが本当の笑顔を見せます。
彼らにとっての本当の空とは・・・。
宮代拓留は呆然とする。
いつも一緒にいた幼馴染。自分の都合の悪い事だけを押し付けてしまった女の子。
自分の勝手な願いで生まれた彼女が、僕のことを・・・。
「タク、マウンテンビューだよ」
突然の告白に悩んでいると、いつの間にか世莉架は、いつもの彼女に戻っていた。
周りの緊張が一気に解ける。
「あ、ああ、サンキュ」
ドリンクを受け取りながら世莉架を見つめる宮代。
さっき聞いたのは心の底にある告白。
もしかしたら、今目の前にいる世莉架も、まだ自覚していないのかもしれない
けれど。
僕は尾上を普通の女の子として幸せにしたくてあの時、君と別れた。
僕のためにした事も、ずっと背負わせた秘密も、生みだした僕の罪だった。
だから、すべてを忘れてほしいと思った。
でも、それが世莉架を傷つけることになってしまっているだとしたら
・・・。
「世莉架」思わず名前で呼んでいた。
「う?」
世莉架が愛しい。そんな気持ちが突然湧き上がってくる。
そうか、僕も世莉架が好きだったんだ。
知らなかった、自分の事なのにな。
愛しさがこみあげてきて、僕は思わず世莉架を抱きしめていた。
周りから驚きの声があがるが、気にはならなかった。
蛇足。
佐久間が犯人として挙げられず、宮代も冤罪だったという事で、青葉寮の住人は「犯人の身内」と
いう非難を受ける事もなくなり、平和な日常が戻ってきた。
宮代拓留は面会が出来るまで回復した伊藤と再会。
結衣ちゃんを助けられなかった、と涙する伊藤を「もういいから」と肩を優しくたたいて話しかけた。
南沢泉理は無事に卒業し、看護師を目指して進学した。
「ちゃんと授業受けて卒業するのよ」と言い残して。
そう宮代拓留と伊藤真二は、途中で色々な理由で留年。
まず出席日数からして足りないという問題もあった。
「同じ学年だね」
と世莉架がにこにこと話しかけてくる。
隣で伊藤が「こうなったら、新入生の可愛い女の子をチェックするか」
とぶつぶつ言っているのが聞こえた。
(なかなか前向きだな)
そのポジティブさを少しは見習うかな、と独り言。
有村雛絵が駆け寄って来る。
「同じ学年ですね。宮代君って呼ぼうかなー。」
などと軽いノリで笑顔を向けてくる。
「今年も、新聞部の部長、がんばってほしい、かも」
その隣で、香月華が小さな声をかけてくる。
「ああ、そうか。じゃあまたあの席、座らせてもらおうかな」
(あの地震の後、僕は色々間違えて生きてきてしまった気がする。
死んだ人達はかえらない。僕の罪も消えない。
それでもこれから生きていくなら、全部背負ってあの空を見て
行こう)
そして・・・
宮代拓留の部屋には、一枚の写真が飾ってある。
大きな桜の樹の下。
尾上世莉架、南沢泉理、有村 雛絵 、香月 華 、山添 うき 、伊藤 真二、
結人、そして真ん中に、宮代拓留。
あの家族写真のような笑顔でみんなが笑っている。
天国の結衣にも届くよう、そんな願いもこめた笑顔で。
「こんな風に空を眺める時が来るなんて思わなかった」
「うん。全部終わったんだよ。これからはこの空が本当の空だよ」
「タク、大好き。」
「ああ、僕も世莉架を愛してる、ずっと」
これが私の中のトゥルーエンドになります。
この後に書いた後日談は、平穏を取り戻した
彼らの日常を描いています。