トゥルーエンド後の宮代拓留のハッピーエンディング 作:シュレーディンガーの猫
どんな日常を迎えているのか。
久野里さんと有村雛絵ちゃんは、今も
対立中のようです。
初夏。
宮代拓留は、キャンピングカーというかコンテナの中でPCに向かっている。
青葉寮に戻って、ここへは時折、学校帰りに寄る位になっていた。
嫌というほど思い知らされたネットの中のカオス。
それらを見つめる目も以前とは違う。
留年という形で学校に復帰した宮代と伊藤。
「久しぶりだな」と伊藤は楽天的だったが、すぐにそんな平穏はないと知る。
もう一度3年をやる事になった二人に周りの関心が高かったからだ。
授業中はともかく、休憩時間になると、ひそひそ声が聞こえてくる。
「ニュージェネの狂気の再来」の元容疑者と、「猟奇事件を目撃した」事件の生き残り、
というネット上の情報が、クラスメイトというより、異質な何かがいる、と
感じさせるらしい。
「俺達が新聞部で良かったのかもな」
伊藤が黄昏気味に言う。
まあ、確かにインタビューされる心配はなくていいか。
と、「タクー」
教室に飛び込んでくる尾上。
ざわめきが起こるが、本人はまったく気にしていないようだ。
「お、尾上。びっくりさせるなよ」
尾上がえへへと笑う。
「新聞部行こう」
気がつけば放課後になっていたらしい。
廊下に出ると、
「タク、まだ名前で呼んでくれないの?」
と顔を覗きこんできた。
「か、顔近いって」
再会してすべてが解決して告白した後、やっぱり恥ずかしくて、なかなか下の名前で
呼べないでいるのだ。
(あの時は勢いというか、雰囲気で呼べたけど)
「・・・じゃあ、 尾上もちゃんと名前で呼んでくれよ」
愛称じゃなくて。
「・・・え」
尾上も固まる。
二人で赤くなってうつむいてしまった。
「いちゃついてないでいくぞー。」
と伊藤がにやにやしている。
「う、うるさいな」
新聞部。
顧問の和久井が「ニュージェネの狂気の再来」の犯人だったという事になり、一度は廃部に
なったものの、今は一応部に復帰した形になっている。
学園側も事件の関係者が集まる場所をここだけにしておきたいのかもしれない。
「何やってるんです?遅いですよ」
有村雛絵が部室の中で仁王立ちになっている。
自分のポジションをとられた泉理が、後ろで「まあまあ」と、なだめる側にまわっている。
「こいつらが途中でラブラブしちゃってさ、悪い、有村」
伊藤が有村に勘弁してやってくれ、とか言っている。
伊藤と有村、友達以上恋人未満。
記憶をすり替えたとはいえ、友人の妹が目の前で殺されたという出来事は、あいつの心に暗い影を
おとしていて、心配した有村が街に連れだしたり、何かと世話をやいていたのだ。
伊藤は、脳の回復度合いを見るため、カオスチャイルド症候群の治療とは別に、
久野里さんの所に通っているらしい。
カオスチャイルド症候群が消滅した今、長期の思考誘導から復活した伊藤の脳は
興味の対象らしい。
「時間が空いたから来てみたの」
泉理は看護学校に通っている。
新聞部の部室を懐かしそうに見回す。
有村が新聞部に入部して部も賑やかになった。
一つ問題はあるが ・・・。
ここでは、本当に色んな事があった。
皆で放課後に雑談して過ごした事。
「ニュージェネの狂気の再来」を調査した事。
「宮代先輩、何ボーッとしてるんですか?」
つい、物思いに耽っていた僕に有村が話しかけてくる。
そう問題はこれだ。
「有村、僕は同年だから先輩は止めてくれって」
「えー、だって呼びやすいんですもん」
頭が痛い。
再会した時は、君付けで呼ぼうと言っていたのに。この前も廊下で大声で呼ばれて焦った。
有村は美人なんだから、目立つのも考えてほしい。
と、有村がちょっと意地悪い笑顔で、
「それより聞きましたよ。」
「え」
「まだ、セリの事を、名前で呼んであげてないんですか」
「えっと ・・・」
ー伊藤、お前!?
「さっきの話したな」
「まあ、隠すほどの話でもないだろう」
おい、何で有村と同じ表情してるんだよ。シンクロか。
「せっかく彼女さんになったんですから、勇気をだしましょうよー。」
「ぐ・・・」
「とりあえず座ったら?」
微笑ましそうにそれを見ていた千里が口を開いた。
助け船。
皆にコーヒーを淹れてくれていた。
そして、皆で話をした。
泉理は、看護学校での奮闘ぶりを。元々、医院の手伝いもしていたし、自分より
人の心配をするところがあるから、向いてるんだろうな。
尾上は、最近始めたパン屋のバイトの話。
そこのクリームパンの美味しさについて。持ち前の明るさと笑顔ですっかり人気者らしい。
有村は、最近久野里さんから伊藤を守るナイトをやってるらしい。「あの人、モルモット扱い
ひどいんですよ」と。
以前もかなり敵対してた感があるし。睨みあう二人を想像すると恐いな。
伊藤は、ハムサンドの研究に余念がないらしい。
こっちは久野里氏の自分への扱いに慣れてきているのか、肩をすくめただけだった。
香月は最近、ゲームのオフ会に出て、チャット相手のナイトハルトに会ったらしい。
何があったかは聞かない方が良さそうだ。
僕は青葉療の事。
結人の料理の腕が更に上がった事、
うきがスイーツ作りに燃えていて、将来はパティシエかもなんて話をした。
そして、時間(とき)はすぎてゆく。
未来がどうなるかなんて解らない。
それでも今を大切にしよう、そう思った。
そう、この空の下で。
恋愛初心者の宮代拓留と尾上世理架、なかなか
進展しませんが、それも彼ららしいという事で。
伊藤真二と有村雛絵、二人の仲がどうなるかは
彼ら次第です。
色々想像みてやってくださいませ。