「ああ……何なんだよ一体……」
「何ってゴーレムだぞ?」
「そんな訳あるかっ!何で全部の個体がレベル三十なんだよ俺より高いじゃないか!!??」
「ぬぇっ……だからお前声でけえ。何?ホントは熱血キャラ?」
「君のせいだ君の!!!」
とまあ良く分からないが八つ当たり紛いなことをされながらももう一度考える。全ゴーレムレベル三十はやり過ぎただろうか、と。確かに一般兵はレベル十ちょっとしか無いし、こいつの一軍でもレベルは二十前後しかない。そう考えればまあやり過ぎなのだが、こうしないと被害が大きそうだし良いだろう。
「ああもうっ!帰ったら話を聞かせてもらうぞっ!」
「はいはい」
「絶対だからな!面倒でも逃げるなよっ!」
「おーう。後もう少しで壁壊れんぞ」
と、俺が予告した通りに壁は崩れ、中から怒り狂った魔物共が溢れてくる。魔法でぱぁっと吹っ飛ばすのも楽しいが、何分騎士達が居るので自重する。
「ぐっ……誇り高き我が一軍の
その言葉と共に騎士達とゴーレムが動き出す。ちなみにゴーレムは半自動制御なので一回指示を受ければ魔力切れまで動ける。
ハヤマは宣言通り騎士達を操り、何のスキルかは知らないが約四万二千の兵を一切の無駄無く動かし続ける。ちなみにゴーレムの兵装は三種類だ。両手用の盾を二枚持つ防御特化のゴーレムが一万七千。両手用のアックスを二本装備した攻撃特化のゴーレムが一万。杖を装備した魔法特化が三千だ。それぞれの種類のゴーレムに【重力操作】で軽量化と魔法特化には火炎、氷結、雷撃、烈風、土石の五属性が【魔法付与】によって使えるようにしてある。その辺の情報もハヤマには伝えてあるので大丈夫だろう。
「くっ……魔物の出現が早すぎる。ヒキガヤっ!原因は分かるか!?」
「今探してる!」
【看破】【感知】【鑑定】【千里眼】【地獄耳】を併用して探す。大気中の魔力の流れ……異常無し。地脈の状態……異常無し。なら一体全体何が……?
……ん?あれは、魔法陣?なんで森のど真ん中に魔法陣なんか……っ!?魔物が出現した。あそこから沸いてくるのか。だがそれにしては随分と数も沸く速度も遅いが……ああ。一杯在るわ。真ん中のが一番でかいが他にも沢山ある。だがまあ原因は見つけた。なら後は魔法陣を潰せば良い。
「ハヤマ!原因を見つけた!今からそれを潰してくる!」
「了解!何か俺たちに出来ることはあるか!?」
「そうだな……とにかく数を減らせ!俺はこれ以上魔物が沸かないようにする」
「ああ!……みんな聞け!魔物の増殖はヒキガヤ殿が止める!それまでの時間を稼ぐぞ!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
ハヤマが兵達に喝をいれる。これまでもレベル差がある魔物相手に良く戦っていたが、目に見えて動きが良くなる。何だか気分が乗ってきたので回復した魔力を少し使って全体に回復魔法をかけ、APを消費しもう一度《神速》で森の至るところにある魔法陣に向かう。全体に回復魔法をかけたからか周りがというかハヤマが理解できないものを見る目でこちらを見ていた。俺今《神速》使ってんだけど。何であなたは俺が見えるんですかね?
「……俺は、君が嫌いだ」
知らねーよ。
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ヒキガヤの魔法は訳が分からない。最初に出動した筈の俺達第一軍より早く到着してるし、森全体を壁で囲うし、三万のゴーレムを召喚するし、何故かゴーレムなのに魔法が使えるやつがいるし!
俺の剣を単純なステータスだけで受け止めたときからただ者では無いと思っていたがこれほどとは……彼はやっぱり人間ではないな(混乱)
「はぁ……アーツ解放《
だが俺にだって強みは有る。俺のアーツ《完全戦場掌握》は、兵一人一人の脳内に直接指示を出す、戦場を上から見下ろす、敵の弱点を探る。そんなことを可能にし、スキルレベルMAXにもなれば十秒先を読むことさえ可能とする。まあ今はレベル4だから四秒先が限度だがね。
そしてこのアーツは軍を率いて戦うことに特化している。勿論俺だって白兵戦でこのアーツを使うことも有るが。
ヒキガヤが森の中に消えてからも、あちこちから立ち上る噴煙に彼の強大さを思い知る。ユキノ様が彼を連れてこなかったらこの国はどうなっていたことか。よしんばこの魔物達を退けてもいずれは大国に潰されていた。そう考えるとヒキガヤには感謝しかない。
《完全戦場掌握》を使ってヒキガヤの動きを追うが……訳が分からない。魔法を付与した投げナイフで死角に有る筈の魔法陣を正確に破壊している。何のスキルか魔法かはたまたアーツか。俺じゃなかったらこの速度は認識すら出来ないだろう。しかも魔法陣を破壊したナイフは軌道を変え、次の魔法陣を破壊。更に軌道上の魔物を巻き込んで殺していくという徹底ぶり。…………敵じゃなくて良かった。
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あれから一分で魔法陣を破壊し尽くした訳だが、いくら一軍でもトロールやオークは荷が重いだろう。というわけで俺が直々に殺してやる。まだ一軍のやつらは森の中心。即ち俺やトロール達が居るところにはたどり着いていない。ならば内側からも殺せば良い。
「……よう、流石にあの数にはビビったが俺の敵じゃないぜ。なあ、
俺の言葉が通じたとは思えないが、獲物を見つけたと言わんばかりにトロール達は襲いかかってくる。
「――【限界突破】」
俺の持つなかで最もチートと言えるスキル、【限界突破】。これはその名の通り自身のレベルと種の限界を突破するスキル(お前は既に突破してるとか言うな)。具体的には消費魔力×レベルの数字を全ステータスにそれぞれ加算すると言うもの。俺はゴーレムを大量召喚したことで9000程度まで落ち込んでいた魔力を5000消費し、【限界突破】を発動した。
それによって加算される数値は実に五十万。これで完全に俺は人間の域を脱してしまった気がしないでもないが今は良い。だってトロールとかレベル50以上有るしー、その割には千は居るしー。というわけで騎士達がトロールやオークに殺られない内に俺が殺っちまおう。
……いや、もう全部殺すか。
「じゃあな。良い練習台だったぜ」
十メートル程離れていたトロール達の群れに向かって空の拳を一閃。それだけで衝撃波が巻き起こり、トロール達が跡形もなく消し飛ぶ。騎士達が相手をして減ったのもあり、残りの魔物は一万三千。
二十メートル離れたオークの群れと取り巻きのゴブリン達の方向に向かって空を蹴る。鎌鼬が発生し、器用に木だけは避けてオーク達を切り刻む。残りは一万。
魔力を直径一ミリ程の魔力弾に変換。【感知】によって残りの魔物達の位置を特定し、一度上空に放った一万を越える魔力弾を魔物達に注ぎ込む。練りに練り上げられた魔力弾は寸分違わず急所に当たり、あるゴブリンは頭を弾かせ、あるオークは腹が消し飛び、あるトロールは四肢と頭が胴体からおさらばする。残りは……0。
いきなり戦っていた魔物が消えた騎士達は呆然としていたが、まあ何はともあれ。殲滅、完了。