DMMORPG『ユグドラシル』
2126年に日本のメーカーが満を持して発売したゲーム。この『ユグドラシル』が他のゲームより優れていたのはそのデータ量だ。
なれる人種も人間やエルフなどの基本的な人間種、オークなどの外見はそれほど良くはないが性能は人間種よりも優れる亜人種。モンスターの能力を持つ代わりに
さらに職業の数は基本や上級職などを合わせ880。他のゲームでは到底及ばない膨大な量だ。
そして条件さえ揃えれば満たしていれば、職業は15レベルまでしか行かないため、限界レベルの100まで到達したのならどんな人間でも7つ以上は職業を重ねることになる。
技量が試される職業のみに特化したテク二カルなキャラにもできるし、後衛と前衛、回復支援だってできる万能キャラにだってできるのだ。
僕はそんな『ユグドラシル』心底惚れ込んだ。
仲間を作り、ギルドを作り、PvPや新しい発見や秘境を求め冒険をした。それはもう、一言では表せないほど、とても、とても楽しかった.......
それも今では昔の話だ。
このゲームの初期スポーン場所近くの草原で男が一人、寝そべっていた。
その男は痩せ型の割には筋肉がある若い男、髪は黒く、目は灰色、肌はオリーブ色の上半身裸で、その体には
潜伏や遠中近、全ての距離においての武器を用いた戦闘、格闘戦などを極めた鬼神・・・・鬼と悪魔の頂点である
......僕のことなんですけどね。
「まあ、誰も来るわけはないけど....」
昔からの仲間は次々とログインしなくなっていき、ついには知り合いは誰もログインすることなくなった。
12年も続いたこのゲームだが、ゲームには終わりが必ずある。あと30分でこのゲームはサービスを終了するのだ。
このゲームに心底惚れ込んだ僕は12年も続いたこのゲームにかけれる全てをかけて全力で楽しんでいた。知り合いが少しずつゲームから離れる中、一人になってもとてもこのゲームが楽しかったのだ。だからこそ、ゲームが終了するというのはとても悲しい。なんていうかどれくらいかっていうと....
「恋人に振られる以上に悲しいな........」
そんな独り言を受け止めてくれるものがいるわけもなく、ただただ虚しく寂しいものになる。
フレンドリストを見てみても誰もこのゲームにログインしてくるものは現れず、寂しさの波で独り、溺れかける。
「あぁー。いやだなぁ終わるの。」
気づいたらもう終了まで数十秒。昔に想いを馳せ、寂しさに心を傷つけられていたらあっという間に時が流れていた。
明日からまた社畜生活スタートだ。心の拠り所だったこのゲームがなくなるとなると他に何のゲームがあるかな......
あっ!明日新しい企画のプレゼンだったことすっかり忘れてた...まだ資料しっかりまとめてないや。ゲーム終了したら資料まとめなきゃな......
そんなことを思いながら目を閉じる。現実世界での厳しい上司からの叱責をくらう未来を予感しながら、終了までのカウントが0になり、ゲームは終了した。
終了、するはずだった。
目を開くと、元いた草原の真ん中に一人、寝そべっていた。
「......エッ」
読んでくださりありがとうございます。
不定期で、駄文ではありますがこれからよろしくおねがいします。