銀蛆の誉れ(原文)
1
私は、過去で斃れ、未来に生まれた。言い換えれば、遠い昔からの使者ともいえるか。悲しいことに、何の力も持っていないが。
前世は、■■に殺された。虫けら同然の俺達を、奴は屠った。閉鎖された都市の希望は、殺戮しか頭にないようだ。
ただ、怨んではいない。それが、あの世界の理であっただけなのだから。
現在の私といえば、眼前に広がる光景が信じられずにいる。
世界は全て一巡したはずなのに、不変であるはずがない。
全てが移り変わる中、ただ一つだけ、過去と同じ存在があった。
私は近くにいる人間を見つけ、声をかける。
動悸が早まるのを抑えながら、彼にそう問う。
"■■は、なぜ生きてるんだ?"
私は、言葉を紡いだことをひどく後悔する。
その答えを知る機会は、ついぞなかった。
2
……破れていて読めない。
3
人間は自分勝手で不条理な生き物である。
正義を掲げて、生を奪い合う。
悪に目を細めて、死を押しつけ合う。
きっと、私もその一部だ。不浄を構成する要素の、僅かな欠片。
早く捨ててしまいたい。
未来は、私を消そうとしている。
彼等にとって不都合な存在であるから。それは民にとっても同じこと。
一つ前の残滓は削ぎ落とす必要がある。
■■になるのは、いつだって人間なのだ。
4
きっと、この結末が最善なのだろう。
誰がどの選択をしても、終点は収束する。
過去は塗り潰され、未来の人間に幸福をもたらすのだ。
生きるために、世界を■■■する。
主は、■■の存続を選ぶ。
5
……破れていて読めない。
6
……破れていて読めない。
7
どう足掻こうと、■■■■■には出られない。
もし抜け出すことができたとしても、大型の■■■■が全てを呑み込むだろう。
■■の■■■は、ここで朽ち果てる運命なのだ。
8
実際に対峙して、理解したことが一つある。
彼等の精度は、非常に高い。
■■■とは思えないほどに。
9
まだ、足りない。
この程度の力では、奴等を殺すどころか傷つけることすら出来ない。
だから、今は戦力の増強に集中すべきなのだ。頭では、わかっている。
わかっている、はずなのに。
只々、虚しい。
結局、救うことができなかった。
あの叫び声を聞いたのは、二度目だ。
しばらく、頭の中に潜んでいる化け物が、私の意識を食い荒らすだろう。
ああ。
痛みで気が狂いそうになる。
10
……破れていて読めない。
11
……破れていて読めない。
12
勇者は"複製"の鍵を握っていた。
いずれの時間軸に生まれ落ちたとしても、状態を構成する因子は等しいようだ。
全てのルートは、奴等によって管理され、収束する。
例外はない。