ガンプライブ!サンシャイン!!~水の乙女と宇宙を求めるもの~   作:ドロイデン

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転校生を捕まえろ その二

 家に戻った俺と、修理のために着いてきた曜と一緒に自分の部屋に入る。

 

「いつも思うけど、昴くんの部屋ってガンプラとかキット箱とか以外は凄い片付いてるよね」

 

「別に、この部屋に置かなくたって、こっちに引っ越してすぐに蒸発しちまった両親のであろう部屋が空いてるからな。置こうと思えばそっちに物は置けるし」

 

 今思えば完全な育児放棄なんだろうが、そもそもあの両親ともに良い思い出はないので別に居ても居なくても構わないんだが。

 

「さて、ちゃっちゃと組み直すか」

 

「ヨーソロー!!何からすればいい?」

 

「そうだな……じゃあ……」

 

 俺が指示すると、やはり細やかな作業が得意な曜は綺麗に直してくれるし、手際が良いのか、修理事態は三十分と掛からずに終わった。が、

 

「さて……夕飯どうするかな」

 

 問題はこっち、何分世界大会出場者ということでスポンサー契約してあるため生活費には困らないのだが、最近まともな買い物をしてなかったのだ。

 

「あ、そういえば果南ちゃんからさっきLI○E来てたよ?」

 

「人のスマホ勝手に覗くなよ……で、なんて?」

 

「明日私と千歌ちゃんと梨子ちゃんでダイビングに行くから、今日中に色々と積み込みしたいから夜に来てくれって」

 

「あー、なるほどな」

 

 果南の家はダイビングショップだ。俺自身、簡単な宇宙体験という名目でライセンスを取り、月に少なくとも7~8回、夏になれば果南とバディを組んで二日に一回はダイビングしてるくらいだ。

 

 当然、ライセンスなんて持ってない千歌達には俺か果南のライセンス持ちの監督役が必要だし、何より三人分の荷物となると、幾ら体力おばけの果南でも辛いものがある。

 

「しゃあない。最悪、夕飯は果南のところでお邪魔するか……」

 

「アハハ……頑張ってね?」

 

 友人のなんとも言えない応援に、仕方なく俺は肩を下げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いよ昴」

 

 あれからすぐに自転車で向かって十数分、先に作業に取りかかってた果南に早速のダメ出しをくらう。

 

「悪かったな、自分のガンプラ修理してたら遅くなった」

 

「ふーん、まぁ良いけど。千歌達からは一応ボンベ使うほどはもぐらないって話だけど、私達用に必要な分積むからよろしくね」

 

「はいよ」

 

 俺は言われた通り、かなりの重さの酸素ボンベ二つを両手に持ち上げ、船の上に乗ってる果南に一つずつ手渡す。それをもう一度行い、予備含め計4本のボンベを運び終えるだけで結構な疲れが襲ってきた。と、俺は肝心なことを思い出した。

 

「なぁ、果南……そういや俺のダイビングスーツ大丈夫かな」

 

「うん?」

 

 果南は首を傾げるが、次第になるほどと苦笑いをしている。

 

「そういえば昴、この冬で10㎝以上伸びたんだよね……」

 

 そう、去年のシーズンオフまで160そこそこだった身長が、春の今には173㎝もあるのだ。これは流石にまずい。

 

「うーん、流石にこうなるとは予想してなかったな~……どうする昴?」

 

「最悪、明日は俺潜らないパターンだな。流石にダイビングスーツ一着買い直すお金は現状ないし、何よりレンタル品はな……」

 

「だよね~昴って何気に肩幅広いから、前のスーツも特注品だったしね」

 

 トホホとなるが、ダイビングスーツ自体はスポンサーに頼めば特注してくれるだろうから、まぁロゴが入る以外は何とかなるだろう。

 

 と、そんな雑談しながら作業してる内に全部終わり、肉体には適度な、それでいて気持ちの良い疲労感が残る。

 

「さて、こんなもんで大丈夫だよな?」

 

「うん、大丈夫大丈夫」

 

 と、そう言いながら何故か果南は膝立ちで俺の事を後ろから抱きつき……所謂バグのような事をしてる。というか、当たってるんですがナニシテルンデスコノヒトハ?

 

「それにしても、ほんと去年まで私の胸辺りまでしかなかったのに、今じゃ肩並べてるんだよね~」

 

「いや、それはそうなんだけど……なんで抱きついてるの?」

 

「ん~?なんとなく?」

 

「さいですか……」

 

 個人的には、頭に当たってる特長的な柔らかさの物体に顔が耳の先まで真っ赤になってるのを自分でも感じ取れた。

 

「……ねぇ、昴はまだ夢を追いかけられてる?」

 

「なんだよ、急に」

 

 果南がこんなことを言うなんて、個人的には珍しくどうしたんだと訝しむ。

 

「……この前、小原のヘリが飛んでたんだ」

 

「!!……なるほどね」

 

 ここら辺には確かに個人用ヘリポートがあるホテルはあるが、それが飛ぶのはほぼ決まってる。つまり

 

「つまりあの破天荒鞠莉が戻ってきた……か」

 

「なんで……私は鞠莉の事を思って……」

 

「…………」

 

 果南の泣きそうなほどの小さな声に、俺は何も言えなかった。俺としては昔からの付き合いでもあり、どっちも姉のように慕っているだけに、二人の思いは分かっている……分かっているからこそ何も言えないのだ。

 

「…………なら、俺がアイツから聞き出してやるさ」

 

「昴……でも」

 

「なに、あの破天荒娘との付き合いは果南とダイヤさんには劣るけど、それでも随分長く接してきたんだからな」

 

 それに今の果南と鞠莉を引き合わせたら、それこそ有毒ガスも走って逃げる程の化学反応が起こるに違いないし、何より今の関係をなんとか取り持ってるダイヤさんの心労がマッハだ。

 

「そういうわけだから、果南は何も心配するなよ。アイツは俺が何とかするからさ」

 

 俺はそう言って立ち上がり、悠々と桟橋から歩き出す。既に星が見えるくらいの夜になりながら、俺は停めておいた自転車を漕いでその場から立ち去る……。

 

「さて、まずは買い出しだな」

 

 恐らく値引きされ始めてるであろうスーパーに向かって。

 

 

 

 

 

 翌日、快晴とは言わないものの晴れ間が見える空を眺めながら、俺はとある家に来ていた。果南には昨日の件を確かめにいくと言ってあるので、まぁ何とかなるだろう。

 

「はい、あ、お兄さん!!」

 

 出てきたのは妹分のルビィ……つまり黒澤家に俺は来ていたのだ。

 

「よ、悪いけどダイヤさん居るか?」

 

「あ、お姉ちゃんなら多分もうすぐお稽古が終わると思う……」

 

「そっか、なら上がらせてもらっても大丈夫か?」

 

 俺がそう断ると、ルビィは少しだけ頷いてドアを開く。流石は黒澤家というべき庭園を見ながら、俺は客間へと案内される。

 

「そういや、ルビィも最近はガンプラ作ってるんだよな?」

 

「ピギッ!!は、はい……でもルビィの操作じゃ、ガンプラバトルは……」

 

 縮こまってる小動物ルビィを、可愛いと思いつつ持ってきたキャンディを渡す。

 

「別にガンプラバトルするだけがガンプラの楽しみじゃないから大丈夫だよ。ただまぁ、姉妹揃って似た者同士っていうか何というか……」

 

「へ?それって……」

 

「おや、こんな時間から珍しいですわね、昴さんが来てるなんて」

 

 と、稽古が終わったのか、紅色に牡丹の模様が入った着物姿のダイヤが姿を現す。

 

「どうも、お琴の稽古っすか?」

 

「いえ、残念ですが今日は生け花でした。お琴は明日なんです」

 

「そりゃ残念。ところで少し込み入った話なんだが……大丈夫か?」

 

 俺がそう聞くと、ダイヤさんは少しだけ眉を吊り上げるものの、すぐに元に戻す。

 

「ええ。ルビィ、昴さんにお茶をお出ししてくださいな」

 

「は、はい……」

 

 何やら緊張した姿で出ていくが、これがある意味ルビィのデフォなので、ある意味優しく見つめる。

 

「まったく、ホントにルビィは癒しだな」

 

「それは……まぁ否定はしませんわ。それで、その込み入った話とは?」

 

「あぁ大したことじゃない……鞠莉から何か連絡が来たりしてないか?」

 

 次の瞬間、ダイヤの眉間やら何やらがいっぺんに細くなる。どうやら何かあるらしい。

 

「いえ、寧ろここ二週間ぐらい何の音沙汰も無しで……何時もなら少なくとも二日に一度は連絡が来てきたはずなのに」

 

「なるほど……逆のパターンか……これはとうとう怪しさが増してきたな」

 

 ちなみに俺は鞠莉のLI○Eのアカウントもメアドも知らない。俺が携帯を持つ頃には鞠莉さんは留学してたからな。

 

「ですが、なぜ昴さんがその事を?まさか噂の死に戻りを……」

 

「そりゃライトノベルだし、何より昴違いだ。果南から聞いたんだよ、小原のヘリが飛んでたって」

 

「それは……なるほど……」

 

 ダイヤさんも漸く事情が飲み込めたのか、顔に怒りマークがこれでもかというくらいに張り付いていた。

 

「……これは……少しカチコミに行かなくてはなりませんね」

 

「生徒会長がそんなことすんなよ。……まぁ今日はその事を確かめに来たわけなんだが、鞠莉が戻ってくる理由として思い浮かぶのって、アレだよな」

 

「そうですわね……アレしかないでしょうね……」

 

 揃って理由が分かってるだけに、個人的には俺にまでとばっちりが回ってきそうで頭が痛くなってきた。

 

「解決策としては、鞠莉と果南の誤解が解けるのがこれ以上ない一番なんだが……」

 

「二人とも、から回ってドッジボールしてますからね。あぁ、思うだけで胃痛が……」

 

「あー、何となく分かります」

 

 幸いなのは、理由を知っているのが俺とダイヤさんの二人だった事だろう。そうでなくどちらか一人だけだったら……考えただけで頭が痛くなる。

 

「……はぁ、アレコレ言っててもしょうがないか」

 

「ですわね……」

 

「……ところでダイヤさんはこのあと時間は?」

 

「幸いお稽古はこれだけでしたのでそれなりには」

 

「……」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「カチコミますか……」」

 

 

 

 

 

 というわけでやって来た小原家……というか小原ホテル。揃って自転車漕いで一時間弱で着いた俺達は、さらにそこから裏手に回り、何とも大きな豪邸に脚を進める。

 

 と、自転車を降りて門へ進もうとすると、側にいた警備員が二人やってくる。

 

「すみません、こちらは私有地になっておりまして……」

 

「あぁ別にホテル客じゃないですの。悪いのですが、鞠莉さんはこちらに居ますか?」

 

「お嬢様ですか?……失礼ですがお名前のほうを……」

 

「黒澤ダイヤと、天ノ川昴って言えば、この屋敷の誰かは知ってるはずだぜ?」

 

 俺がそう言うと、警備員の一人が警備室に走っていく。すると5分くらいしただろうか、門の前から見えた屋敷のドアが開き、そこから見覚えのある金髪の少女が走ってきた。つまり、

 

「ダ~イ~ヤ!!シャイニー!!」

 

「やっぱり戻ってましたのね鞠莉さん……」

 

 門が開いたと同時にダイヤに今現在抱きついて胸に頭をすりすりとしているこの残念美少女こそが、俺らの目的の小原鞠莉その人である。

 

「はぁ……」

 

「昴も久しぶりね!!ニネンブゥリデスカ?」

 

「だいたいそのくらいですね。とりあえず、何してるんです?貴女は?」

 

 相変わらずの破天荒ぶりにため息を漏らしつつ、この残念令嬢はなにやってるのかと問い詰める。

 

「うーん、今は内緒。それより、ダイヤの硬度は前より磨きがかかってないかしら?」

 

「誰のせいですか!!」

 

「あ、でもこっちは相変わらずの慎ましさよね。ちゃんと牛乳飲んでるのかしら?」

 

「余計なお世話ですわ!!気にしてることをずかずかと!!」

 

 無理矢理ダイヤさんは引き剥がすと、今度は此方に背中から抱きついてきた。……俺の知り合いは抱きつかなきゃ気がすまないのか?

 

「昴も大分背が伸びたわね~久しぶりにお姉ちゃんって呼んでくれない?」

 

「流石は変態痴女な鞠莉お姉ちゃんはぶれませんね……」

 

「ちょっと昴!!私は変態でも痴女でもないわよ!!」

 

「そんな体勢で言われても説得力皆無ですよ。それと、どさくさに紛れてどこに手を突っ込もうとしてるんじゃ己はぁ!!」

 

 まさしく貞操の危機に思わず投げ飛ばす。ギャグ補正か何かは知らんが、コンクリートに背中からぶつけてるのに、鞠莉本人はびくともしてなかった。

 

「oh、流石世界大会出場のガンプラバトラーでぇす」

 

「そんなこと関係ないから!!ていうか、留学して覚えてきたのは下世話な事なんですか貴女は!!」

 

「イッツァジョーク!!まぁ私にも色々あるの。それに結構準備が大変で大変で……」

 

 準備?この人がこういうってことは何かしらやらかすときって相場が決まってる。

 

「まぁ、とにかく、来週末ぐらいからまた学校に復学するから、それまで待っててねダイヤ」

 

「復学!?留学はどうしたんですの!?」

 

「勿論行ってきたわよ、去年だけね。そういうわけだから、私は少し昴と二人っきりでお話ししたいから、ごめんねダイヤ」

 

「ちょ!?どういう!?」

 

 と、何を言う前に襟首掴まれて鞠莉に引きずられることになった。いつも思うが、俺はペットなのか?

 

「待ってください鞠莉さん!!話はまだ……」

 

 ダイヤさんがまだ何か言いたそうだったが、鞠莉さんは聞く耳持たず、さっさと門を閉めてしまった。そして俺も鞠莉に連れられて中に入り、ドアがしまった瞬間に手を放された。

 

「ったく、で、俺に用っていったい何をする気だ?」

 

「大丈夫、別にそこまでのお願いって訳じゃないの。無理なら無理で別に当たるから」

 

 そう言うと鞠莉は珍しく本気の目でこちらを睨み付けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「単刀直入に言うわ。昴、貴方に浦の星に産まれる新しいガンプライブユニットの、越えるべき壁となって欲しいの」




オマケ

二年生組「出番無かった……」

作者「今回については何も言えんからな。すまん」

千歌「でも最後の台詞ってどういう意味?」

作者「三話についてのフラグだ。意味は考えればすぐに分かる」

曜「ところで、私達の出番が少なくなる回ってまたあるの?」

作者「三話の部活発足条件からAqours初バトルまではもしかしたら……」

千歌「梨子ちゃん!!」

作者「ちょっと待って、そのオルトロス二つをいっぺんに射つつもり!!違うよね梨子ちゃん!?」

梨子「アハハ……ごめんなさい!!」

作者「デスヨネー!!ギャァァァア!!」
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