幼女の友人幼女戦記   作:AMEKO

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2話 転入生

転生ものというのが前々世、ネットの中で流行り、読み漁っていたことを微かに覚えている。

創作物に対して自分の考えたオリジナル主人公をぶっこみ、無双して原作改変をしたりしなかったり。

 

そして私は転生者という存在で、二度の転生を経てこの幼女ボディとなったわけだが。

果たして私の自我は自我と言えるものだろうか。

 

私がその転生者として書かれた姿なのだとしたらここは書き物の中で、私は作者という存在の操り人形であり、自我という自我は作者の思考であり、私は私でないナニカではないのか。

と、ふと考えることがある。

 

だがしかしこんなナンセンスな思考を作者が許すだろうか、物語の進行を阻害するこのような思考は邪魔の一言であって不必要だ。

実際、二度の転生というのも無駄な工程だろう。私が作者だったとしたらまず一回目の転生でぶっこむ。

前々世の私は程よく捻くれており、若い感情と未熟な自制心、厨二的事象への憧れがあり、作品を掻き乱すに適した存在であったと思う。

 

しかし前世では現代社会で成熟した大人になってしまい、転生者としての魅力というものは落ちぶれたものだろう。

 

しかしながらだ、ここ魔法の世界へレッツ転生された。

 

前世での懸念は社会人になり忙しく働いているうちに消え去ったが、再びこの問題が浮上してしまった。

無駄な転生という工程があるため小さくなっているものの、この問題は悪魔の証明のようなものであり消えるものではない。

 

だがもしも、もしもだ。

作者という存在がいるのならだ。

 

―作者様お願いします、楽に生きさせてください。もしくは存在XをXXXしてくれることを切に願います。

 

 

 

まあそんなことを考えてても結局無駄でしかないから忘れるに限るんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銃殺刑より数日後、私は魔導医術大学の門を叩いていた。

 

前世で医療関係は少し齧った程度だが知識はある。が、魔法での医術でそれが通用するのかは全くの未知。

 

未知故に、面白い。

 

期待と不安が共存する久しく感じていなかったこの感覚を胸に、私は教壇の前に立った。

 

「本日より魔導士官学校より転入いたしました、ティアナ・リースフェルトです」

 

医療術式の集中研修という形で医大に送り込まれた後方のアイドル、ティアナちゃん9歳!

胡乱な視線を子供らしい絵になる微笑みで受け流し席に着く。

 

 

ああ我が友ターニャよ、先日私の銃殺刑と同様に色々とやらかし、ついには前線へ飛ばされた哀れな同胞よ。

私はやらかした、お前もやらかした。

しかし私はこうして後方へ、お前は前線へ。

なにが違うんだと言いたいのだろうが、やはりお前は周囲からの視点の見込みが甘いんだ。

 

ターニャ・デグレチャフが掲げた防疫官という役割は、戦争を控える帝国の視点としては間違いない。

彼の歴史や状況を加味した冷徹な状況分析は私も信を置くところ。

 

だが彼は矮小なる人間のことを信じるが故に、愚かな人間を『肉袋』、知性ある人間を『人間』とでも思ってしまっている。

 

だがどちらも当たり前の話だが人間であり、彼らは環境によってその生き方になっただけの話だ。

学校とはその血袋を人間に仕立て上げる環境であり、奴は間違えた。

 

私は『教育』、育てることを重視した。

愚かしきをそれとなく周りに修正することを誘導し、指導し矯正し育成に励んだ。

 

奴は『防疫』、選別し排除することを重視した。

試練を与え排除し、軍にとってのリスクを排除し続けた。

 

奴の方法は悪くは無い。

しかし周りがどう見るかと言えば、前世での最期や今回飛ばされた場所を見ればわかることだろう。

前世で私が巻き込まれたのは非常に不服だが。

 

 

 

閑話休題。

 

 

ここ医大に私がどのくらい居るのかと言うと、実際のところそう長くは無い。

ターニャと同様短期間に優秀な成績を修めた私ならばと、優秀な先輩を一人付け短期間習熟してこいと。

 

2年だ。

二年でできる限り勉強してこいとのことだ。

 

子供の脳味噌は確かに天才的で、スポンジのようにどんどん物事を覚えていくがやはり詰め込みが過ぎるというものでは?

 

正直きつくない?

 

 

 

そんな素朴な泣き言は優秀なる先輩には通じなかった。

 

「まずこの3つの術式を覚えろ」

 

凄い濃い隈のある人が私の前に立つなり指導担当だの一言で挨拶を済まし、嫌々指導しますという顔をして3つの術式を提示してきた。

 

脳に覚醒作用のある物質を分泌する術式に自身の状態を把握する観察術式と体の調整に使用する術式。

 

「これは試験などでは出ないと思われますが、というか見たこともないんですが」

 

「オリジナル、嫌ならさっさと出て行って」

 

なんだって自分がこんなことなんて面倒くさそうな顔をしている先輩。

さらっとオリジナル術式を構築するあたり確かに優秀なのだろう、オリジナル術式を自慢したいがために覚えさせようとしている様子ではなく何らかの意図があるのだろう。

 

「必要なことなんですね?」

 

「無駄は嫌い」

 

短い返答にさっさと失せろという副音声が聞こえるが主音声に聞こえないためそのまま先輩の指導を受ける。

 

脳味噌に特定の物質を分泌する術式は普段から使用している。

なんせこの体は子供の物、保有するエネルギーは当然他の者より少なく、眠気を抑えるためによく使用していた。

 

これは私が普段使用していた物より洗練されており、他のことにも応用が効きそうな有用な術式であった。

今度ターニャにも教えてやろう。

 

次に観察術式。

起動してみると、大量の体内情報が頭に流れ込んできて酔った。

必要な情報の選別もしていないのかと先輩にやんわりと苦言を申したのだが、選別したうえでこの情報量だそうだ。

必要なことだと自身を納得させ数度展開、先輩殿の質問に数回答え及第点を貰えたので要練習とのこと。

 

そして調整術式。

最初の覚醒術式は脳に有効な作用を与えるが、デメリットもある。それを抑えたり他に振り分けたり出来る術式だと。

おっぱいは欲しいが自分には欲しくないので他に振り分けておこう。

 

 

 

「ところで先輩、これらはどういった使い方を想定しているのですか?」

 

「うん?君が不眠不休で勉強するためのものだよ」

 

え?...え?

 

 

 

先輩ことジビラ・ラングハイム先輩。

先輩殿は生徒先生から広く知られる、MADだった。

 

十数年の付き合いとなる眼の下の隈、その付き合いの始まりの日のことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:ジビラ・ラングハイム

 

いつものように研究費と実験台をせびりに行くと、そこには待ってましたと言わんばかりの先生がいた。

どうにも嫌な予感がしたが、それは的中。

研究費と実験台は出す、代わりに幼子のお守をしろと。

 

冗談ではない。

論理性に欠けるあの生き物をよりによって子供嫌いの私に預かれと?

 

断固拒否の構えを見せるが研究費と実験台を盾に迫る汚い大人の策略に渋々折れ、その子供がどうしようもない場合こっそりモルモットにしても良いことを条件にその件を了承した。

 

 

初め見た印象は、まあ流石に知性の欠片もないガキが来るわけないかという少しの安堵だった。

 

「まずこの3つの術式を覚えろ」

 

覚醒を促し、自己観察を行いコンディションを整える3つでワンセットの術式。

 

大抵の怪我は魔力で治せるのが今の魔導医学だ。

しかしそれは魔力が続く限りの話であって、場合により魔力を使わない手術は今でも行われることが多い。

しかも急患が続いた場合下手すれば何十時間も手術室に張り付き斬った貼ったの大仕事だ。

 

そんな時、眠くて手が狂いましたなんてことで患者を殺したんじゃ遺族やらなんやら後が面倒くさいので作り上げたワンセットの術式だ。

 

これがどういうものかの説明は実体験してもらうから元から説明する気は無かったが、私が必要なものだと言うとやけに大人しく術式の練習に入った。

素直な子供と言えば聞こえは良いが、素直な子供は温度の無い瞳でこちらを見極めるようなことはしない。

気持ちの悪いガキを押し付けられたと悲観したのは言うまでもない。

 

しかしこんなガキだ、情を湧かせる必要など無いと割り切れて、不眠の指導生活がスタートできた。

 

 

 

指導してみるとわかったが、ティアナ・リースフェルト、彼女は優秀だった。

教えたことをしっかり覚え、曖昧に教えてみるとしっかり言及し、今まで教えてきた知識から違うとわかる微妙な嘘をすぐさま見抜き、私の言葉を鵜呑みにせずに学ぶ姿勢。

 

理解に時間のかかるそこらの凡夫とは違い短時間で私の指導を吸収してくれるというのは、やってみるとなかなかに面白い。

人を物として捉えろという私の教えは教わるまでもなく備わっていたため、彼女が吐くかどうかの同期との賭けには私が一人勝ち。

 

魔女の弟子なんて言われてもいるが、最近そのからかい文句を否定しなくなってきたあたり、私は彼女に情でも湧かせてしまったのかもしれない。

 

なんせ彼女は賢く、そして可愛い。

なにより間違えた時のお仕置きとして神経に痛みを誤認させる干渉術式を起動した時、彼女の苦痛を堪える小さな悲鳴が何とも可愛らしい。

 

何事も無かったかのように失敗を謝りなんでもない風を振る舞うが、声も体も震え、涙目で口を真一文字に引き締める姿のなんとそそることか。

 

おっと間違ってもそこらの少女愛性倒錯者と一緒にしてくれるな?

私は、違う。違うぞ。

 

睡眠時間を三日に一度に削り指導に当たっているのは決してそういう不純な動機などではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点回帰:ティアナ

 

睡眠時間を削ってまでの先輩殿による個人授業は、恐ろしい勢いで私の精神を蝕みはしたが。

実に効果的に作用し、この短い期間で相当な量の知識を蓄えることとなった。普通の学生はもう置き去りにしたのではないか?

 

置き去りにされた転入時のクラスメイト達はこちらの才能に嫉妬することなく、すれ違うたびに憐憫の眼差しでチョコレイトなどをくれたりする。

 

やめろ、肩ポンするな、頭撫でるな。チョコレイトは寄越せ、脳味噌に糖分は常に足りてないんだ。お菓子おいてけ!なあそれお菓子だろ!

 

そんな地獄のマッド個人レッスンが終了したのは、ノルデン地方にて戦争の兆しありと召集を掛けられた為であった。

 

 

戦争だ。

ターニャよりこれからの戦況分析を聞き覚悟はしていたのだが、とうとうこの日が来てしまった。

幸いにして先輩と私は医療班として前線に赴くため、ターニャのような戦闘要員と違って生存率はそう低くは無いだろう。

 

 

 

 

そう覚悟し前線へ赴き、到着した頃には戦争は始まっていた。

 

砲撃の音が鳴り響き、右往左往し血肉をぶちまける敵歩兵。

意気揚々と国境を越境してきた協商連合軍は、帝国自慢の砲撃部隊により的確に追い返されつつあった。

 

「喜べティアナ君、勝ち戦だ」

 

「そのようですね」

 

勝ち戦ということは?つまりは命の危険は少ないということだ。

なおかつこれはキャリア的にも美味しいと言えるだろう、ターニャ的に考えて。

 

しかし勝ち戦と言えど戦争は戦争。

 

死にかけている兵が居るため至急出動を求むとのことで、護衛の味方と共に飛行術式でかっ飛んでいく。

医者のやることはどこでも結局変わらず、湧いてくる怪我人の治療で忙しくなりそうだと思っていたら。

 

 

緊急の患者はターニャちゃんでした。

 

 

「...なにしてんの」

 

「..........」

 

素でびっくりしつつもマジで死にかけているターニャを治すべく主治医となる先輩のサポートに入る。

観察術式にて全体を把握しカルテに書き込む。

 

四肢に広範的な被弾があり、歯が欠けている、宝珠でも噛んだか。

胴体にも複数被弾がありよくもまあここまでズタ襤褸になれるものだと感心するほどである。

 

む、カフェイン中毒の兆し有り。背が伸びなくなるかもしれんが黙っておいてやろう。

 

書き込んでいる間にもターニャの体は先輩の手によって修繕が進んでいく。

術式で観察しているが、実に的確な処置で、なおかつ私に教えたとおりに効率的な修繕を施している。

授業で教わることと現実が違うことはごまんとあるが、先輩の教えは実戦で行うことを考えられた十全なる指導だったようで。

正直ここで観察をしていても既知を繰り返される単なる作業風景を眺めるようで面白くもない。

 

「そういえばティアナ、この通り観測員潰れちゃったみたいだしさ、暇ならちょっとやってきなよ」

 

「い、いえ、医療員を前線へ出すわけには」

 

「大丈夫大丈夫、こう見えて優秀だから。死にかけてるこの子の次に優秀だって聞いてるから」

 

何故知ってる、お前は自分の好奇心の行く方向にしか興味の湧かないマッドではなかったのか。

 

「あの、先輩?」

 

「だからCPに観測員志願って連絡入れといて」

 

「あのー、先輩ー?」

 

聞いてますかー?嫌なんですけどー?

 

「はっ、失礼します」

 

というかなんで一般兵がホイホイ言うこと聞いてんの?

 

「先輩、先輩って偉いんですか」

 

「うんまあ、コネで」

 

どういうコネだ。

多少の押し問答とお仕置き術式の末、私は観測用の装備を背負い北方の空へ飛び立つこととなった。

 

「解せぬ」

 

「これも仕事だお嬢ちゃん、キリキリ飛びな」

 

流石にあんなことがあった後だ、僚機が一人付き、奴よりはマシかと気持ちを入れ替え飛行術式を展開させる。

起動させ飛び立ったはいいが、以前より飛行術式の反応が悪い。

 

常時起動を命じられた観測術式の範囲を拡大させると、術式の複数起動しすぎと出た。

時代が進み改良されてきた演算宝珠といえど、その処理能力は3つ4つ5つと起動させては流石に動作が重くなるようだ。

 

飛行術式と防殻術式以外をカットし、快適な空の旅を始める。

 

 

 

10分後、死ぬほどの睡魔に襲われた。

 

そうだ、私の普段の生活を見直してみろ。

 

朝7時朝食、昼飯の12時まで部屋で先輩と勉強、午後解剖などを交えながら勉強、夕食後も勉強。

時計の針が真上に通りかかった時、三日に一度寝れるが、三日に二日は夜食を挟み勉強。そして朝へ以下ループ。

休憩は朝昼晩各1時間ずつ。

 

なんだこれ。

 

そんな生活をしていれば、術式で誤魔化していた疲労や眠気はカットされた瞬間に牙を剥き、瞼は凄まじい重量となる。

 

覚醒術式を急ぎ起動、これ以上の術式は観測任務に支障が出るため起動できないが一応は眠気は飛んでいった。

代わりに調整術式が起動できないため体内環境がぐっちゃぐちゃ、吐きそう。

 

「お嬢ちゃん、人が死ぬところなんて子供は見るべきじゃねえ、機械が観測自体やってくれるから雲でも見てな」

 

手足の血流が滞ってきたのか痺れてきた、クソッ、B級映画のように人の吹き飛ぶサマを見て気を紛らわせているがやっぱ気持ち悪い。

 

「戦争なんざ真面目に見るもんじゃねえよ、まったく、なんでこんなガキ前線に出しやがってんだよ上は」

 

仕方がない、調整術式を規模を抑えて起動。観測術式無しじゃ大雑把な調整など望むべきもないが無いよりはマシだ。

ちらりと横を見てみるとおっさんがこちらを心配そうに見て話しかけて来ていた。

oh、聴覚も逝ってやがる。CPの指令が聞こえないのは不味い、聴覚復帰に調整を割いているとこの体調不良に回せるリソースがほぼ無いじゃないか。ファック!

 

「――――Pより観―班、弾着観―を送―れたし」

 

「こちらフェアリー09了解、観測結果をそちらに送ります」

 

「CP、観測結果を受信、そのまま観測を継続されたし」

 

「フェアリー09了解」

 

危ない、もう少し気付くのが遅れたりしてたら命令無視となるところだった。

何も聞いてなかったけどおっさん話しかけて来てありがとう。

 

「お兄さん、我々は我々の役割を果たしましょう、私は大丈夫です」

 

酷いものだ、任務が終わり次第バタンキューする未来が見える。

おっさんの諦めたような溜息も今は聞こえる、聞こえすぎるほどに聞こえる。

感覚が鋭敏すぎる、また聴覚が狂ったか。

 

「真面目過ぎるガキも困ったもんだ...」

 

延々と続く砲撃とおっさんの声をBGMに観測任務は、長い間続いた。




開幕―転生ものを読み漁っていた弊害、自分ってオリ主なんじゃ...。
   まあ気にしても仕方がないので忘れよ。まあオリ主なんですがね。

医大入学―ティアナ班の方が銃殺刑が早くやらかしたので先に転入、ターニャがやらかしたのを
     知っているのは。まあ、神の声聞いたんだよ(震え声
     まあ、時々戦争後の声が入ってるということでここは一つ、あとで書き換えるかもし
     れません(土下座

ティアナによるターニャ分析―実際ターニャがどう思っているかはわかりませんがティアナはそう
              分析した。

優秀なるマッド先輩―ターニャにもマッドが付いてるんだからティアナにも付けないと(謎理論

おっぱい―まあ、要らないよね。

憐みの肩ポン―下手すれば殴られるから気を付けよう。

カフェイン中毒を黙認―よし、これで今世は身長抜けるな!

成長ホルモン―深い眠りにより出ると言われている、つまりは、わかるな?

おっさん―良い人



クオリティの低下を感じる。
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