コズミックプリキュア   作:k-suke

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第10話 「深海基地SOS (後編)」

 

 

 

 

基地内ではダイーダ達が浸水から逃げ続けていたものの、そのスピードは想像以上でありたちまちのうちに水が追いついてきた。

 

 

豪「姉ちゃんまずいよ。これじゃ逃げきれない!!」

 

 

ダイーダ「確かにこのままじゃ… ん? この先にも確か…」

 

 

その時、ダイーダは近くにある十分な広さのある部屋がある事を思い出し、そして浸水していないことに気がついた。

 

 

ダイーダ「これなら… 皆さんこの部屋に、早く!!」

 

ダイーダは部屋の入り口に駆け寄り、ハイパーリンク機能を使って電子ロックを解除した。

 

 

そしてその部屋の扉が開くとともに全員そこになだれ込み、再び扉を閉めた時と水が追いついてきたのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

不破「はあはあ、なんとか助かったか…」

 

作業員「ここは…減圧室のようですね。扉も三重になってますからまず浸水はしてこないでしょう」

 

 

瀬古「しかし、これでは出ることもできん。酸素もいつまで持つか…」

 

そんな不安げな空気の漂う中、豪は自信満々に答えた。

 

 

豪「空気の心配ならしなくていいよ。この圧縮酸素ボンベには普通のボンベの100本分の酸素が詰まってるから」

 

佐渡「何、100本分!? そのサイズでか!?」

 

豪「そうだよ。今開けるからね…」

 

そう言って圧縮酸素ボンベの弁を開けようとしたが、大慌てで取り上げられた。

 

 

豪「何すんだよ!! 慌てなくてもいっぱいあるよ」

 

佐渡「そうじゃない!! もしそれが本当ならとてつもない圧力がかかっているはずじゃ!! こんなところで開けたら大変なことになる!!」

 

不破「爆弾みたいなもんじゃ!! 全員吹っ飛んでしまうわい!!」

 

 

豪「ええっ!? (くぅっ、じいちゃんのドジ)」

 

小さく遠藤博士を罵りながら、豪は舌打ちをした。

 

 

 

 

一方、一緒に避難していた主任作業員は、状況を冷静に把握しようとしていた。

 

主任作業員「ここが減圧室なら、万が一の時のために、基地本体から切り離して浮上させられるはずです」

 

ダイーダ「本当ですか!?」

 

その言葉にダイーダは希望を持った。

 

 

主任作業員「ええ。ですが、指令室からの操作が必要になります。これだけ浸水していれば指令室に行くことももう…」

 

うつむきながら絶望の表情とともにそう呟いた主任作業員を励ますようにダイーダは言った。

 

 

ダイーダ「あきらめないでください。私がなんとかします」

 

そう告げてダイーダは走り出し、扉から外へと出て行った。

 

 

主任作業員「無茶です!! 今外に出たらとてつもない水圧でぺちゃんこになってしまいます!!」

 

そんなダイーダを慌てて止めたが、言い終わる前にダイーダは出て行ってしまった。

 

 

不破「何を考えとるんだあの子は!! 死ぬ気なのか?」

 

瀬古「正気の沙汰とは思えん!!」

 

 

 

豪「へへっ、姉ちゃんなら大丈夫だよ。ほら」

 

豪の指差した窓の先には、特に苦もなく指令室へ泳いでいくダイーダがいた。

 

 

それを見た人たちは信じられないという表情とともに口を揃えて言った。

 

 

「「「んなバカな…」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海底基地 指令室

 

 

 

 

 

ゴーロ「へっへっへっ。もうすぐミサイルが岩盤をぶち破って火山活動を誘発する。っと、俺も逃げなきゃやばいな」

 

そう呟いているところに、ダイーダが指令室の扉をぶち破り、大量の水とともに飛び込んできた。

 

 

ダイーダ「話は聞かせてもらったわよ!! そんなふざけたことは絶対にさせない!!」

 

 

ゴーロ「チィッ!! いつもいつもテメェは!!」

 

鬱陶しそうに舌打ちをすると、ゴーロはダイーダに飛びかかった。

 

 

しかし、あっさりとそれをいなされ逆に大きく投げ飛ばされ、ダイーダのぶち破った扉から外へと飛び出していった。

 

 

ダイーダ「よし、まずは減圧室を切り離さないと。えーっとスイッチは…」

 

そしてダイーダはハイパーリンク機能で指令室の機能を把握すると、即座に減圧室の切り離しスイッチを入れた。

 

 

ダイーダ「豪、減圧室の切り離しスイッチは入れたわ。浮上できるわよ」

 

そのダイーダの声は、被っているヘルメットを通して豪に伝えられた。

 

 

豪「本当、姉ちゃん?」

 

 

ダイーダ「本当よ。私はこれからミサイルの回収に向かうわ。先に行ってて」

 

そう告げると、ダイーダは作業用ドリルのスイッチを停止させてから採掘穴へと向かった。

 

 

 

 

しかし、そこに豪の悲痛な叫びが響いてきた。

 

 

豪「姉ちゃんダメだよ!! ドアが水圧で歪んで引っかかってるみたいで、うまく切り離せないんだ!!」

 

 

ダイーダ「情けないこと言わない! 何か方法があるはずよ。大きな力をドアに加えなさい!!」

 

 

そう告げ通信を切るとダイーダはミサイルの回収のため、採掘穴を下っていった。

 

 

 

豪「方法ったって… 俺達にはそんな力はないし、道具だって…」

 

 

そう弱々しく呟いたところで、豪はふと先ほどの言葉を思い出した。

 

 

 

(爆弾みたいなもんじゃ!!)

 

 

豪「そうだ!! じいちゃんの失敗作が使えるかも」

 

 

 

 

その頃リーフは三冠号を必死に操り、かろうじて海蛇怪物の侵攻を食い止めていた。

 

 

リーフ「ダイーダちゃん! 結構ギリギリなんだけどいったいどんな状況? まだかかりそうなの?」

 

 

必死にそう呼びかけるとすかさずダイーダの返事がきた。

 

ダイーダは、かなり地下深くに進んでしまったドリルミサイルのところにようやくたどり着き、起爆装置を解除しようとしたところであった。

 

ダイーダ「もう少し頑張りなさい。こっちもミサイルの回収で大変なんだから」

 

 

その後、起爆装置をなんとか無効化し一息ついたところでダイーダは豪に通信を入れた。

 

 

ダイーダ「ふう、ミサイルは無効化できたわ。豪そっちはどうなの?」

 

 

豪「う、うん。なんとかなると思う。ドアを自動で閉めてください」

 

減圧室内でみんなと同じように、姿勢を低くし耳を塞いだ状態で豪はそう返事をした。

 

 

豪は遠藤博士の作ったありったけの小型酸素ボンベを、三重になっている減圧室のドアの二重目の部分に挟み込んだのだ。

 

 

 

作業員「よし、いきますよ」

 

そしてドアの開閉スイッチを入れると、ドアを締める力で挟まれていたボンベが次々と破裂・爆発しその威力で減圧室は海底基地からうまく切り離され、一気に浮上していった。

 

 

豪「やった!!」

 

佐渡「助かったぞ!!」

 

切り離しが成功したことで、減圧室の中の人々は歓喜の声をあげた。

 

 

 

 

 

 

その頃、海上では連絡の途絶えた海底基地の様子を探ろうと、海上自衛隊の巡視艇が到着していた。

 

 

節子「海底基地との連絡が途絶えて、すでに三時間近くが経過しています。果たして作業員や調査団は無事なのでしょうか」

 

 

そうレポートをしたところ、そこに切り離された減圧室が浮上してきた。

 

 

節子「あれは? どうやら作業員達のようです。無事のようですがいったい何があったのでしょうか?」

 

 

すると次の瞬間、海が大きく揺れ、海蛇怪物がゴーロを頭に乗せて浮上してきた。

 

 

ゴーロ「テメェらよくもやってくれたな!!」

 

 

頭に血が上っていたゴーロはそう怒声をあげ、海蛇怪物を暴れさせんとした。

 

 

まだ浮上しただけの減圧室の中で、身動きが取れない作業員たちは恐怖の悲鳴をあげたが、そこに凛とした声が響いた。

 

 

ダイーダ「ゴーロ!! それはこっちのセリフよ!!」

 

取り外したドリルミサイルを小脇に抱え、三冠号に捕まったダイーダの声である。

 

 

 

ダイーダ「ほら、あんたにとびっきりのプレゼントよ!!」

 

そのまま、ダイーダはミサイルをゴーロに向かって投げつけた。

 

ゴーロ「ぬっ! これは!?」

 

 

ダイーダ「チェンジハンド・タイプグリーン!! 超高熱プラズマ火炎発射!!」

 

そして即座にグリーンハンドに換装すると、右手をかざし超高熱の火炎を発射した。

 

ゴーロ「グオおおおお!!」

 

ミサイルはその火炎で暴発し、ゴーロは爆発とともに悲鳴をあげて吹き飛んで行った。

 

 

 

 

 

一方浮上した三冠号はワイヤーを射出し浮上した減圧室を釣り上げ、巡視艇にうまく着艦させた。

 

リーフ「みなさん、大丈夫ですか? 早く船に避難してください」

 

 

豪「姉ちゃん、サンキュー」

 

 

そしてリーフとダイーダも三冠号から飛び降り、巡視艇に着地した。

 

 

そんな二人を、海蛇怪物は爛々と光る赤い目で睨みつけ臨戦態勢に入っていた。

 

 

 

ダイーダ「ふっ。最後の後始末、行くわよ!!」

 

リーフ「うん!!」

 

それを確認した二人は頷きあい、トンボを切った。

 

 

 

リーフ・ダイーダ「「ゴー!!」」

 

 

その掛け声とともに二人の体は光に包まれ、着地した時には変身完了し、赤と白のドレスに身を包み、髪型も大きくボリュームが変わっていた。

 

 

 

リリーフ「闇を吹き消す光の使者 キュア・リリーフ!!」

 

ダイダー「悪を蹴散らす光の使者 キュア・ダイダー!!」

 

 

リリーフ・ダイダー「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」

 

 

 

 

 

変身完了したコズミックプリキュアに対して海蛇怪物は牙を振りかざして咬みつこうとしてきたが、二人は後ろに倒れるような体勢でそれをかわし

 

 

リリーフ・ダイダー「「ヤァアアア!!」」

 

その勢いのまま強烈なキックで怪物を蹴り上げた。

 

 

二人のキックの威力の前に怪物は悲鳴をあげて、大きく吹き飛ばされ海面に叩きつけられた。

 

 

ダイダー「よし、チェンジハンド・タイプレッド!!」

 

それを確認したダイダーはレッドハンドに換装し海中へと飛び込んだ。

 

 

 

そして怪物の尾をその超パワーでがっちりと掴み、振り回し始めた。

 

ダイダー「リーフ、行くわよ!!」

 

 

 

 

リリーフ「オッケーいつでもいいよ!!」

 

ダイダーの呼びかけに、リリーフは大きく振りかぶり虹色の玉を手に輝かせながら答えた。

 

 

ダイダー「よし、飛んでけー!!」

 

ダイダーは振り回していた怪物を勢いよく投げ飛ばし、それを目掛けリリーフは虹色の玉を亜音速で投げつけた。

 

 

リリーフ「さっきのお返し、プリキュア・レインボール!!」

 

その玉は怪物の口から飛び込み、一直線に串刺しに貫いて飛んで行った。

 

 

豪「すっげー! タイミングぴったり」

 

 

 

 

そして海蛇怪物は叫び声とともに口から大量の黒い靄を吐き出した。

 

 

リリーフ・ダイダー「「ゲームセット!!」」

 

 

その掛け声とともに怪物は大爆発し、元の海蛇に戻って海中へと泳いでいった。

 

 

 

 

その後、三人を乗せた三冠号は皆から感謝の声に見送られつつ帰路に着いた。

 

 

節子「ピンチとあれば風の如く現れ、疾風のように去っていく。正義のスーパーヒロイン、その名もコズミックプリキュア。いったい彼女達は何者なのでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

翌日 遠藤平和科学研究所

 

 

 

遠藤「謎の少女コズミックプリキュア。海底基地作業員らを救う…か。よくやってくれたぞお前達」

 

新聞の第一面を堂々と飾ったコズミックプリキュアを見て、遠藤博士は満足そうに頷いた。

 

 

リーフ「うーん。こうして褒められるのは悪い気分じゃないね」

 

ダイーダ「ふふっ、まぁね。でもなんでリーフの方だけがアップなのよ」

 

 

しかし、上機嫌なリーフ達と違って豪は浮かない表情をしていた。

 

ラン「どうしたの豪? 何か不満そうだけど。謎のヘルメット少年って書いてあるんだからいいじゃない」

 

ランの指摘した通り、写真こそないものの豪のことはきちんと記事になっていた。

 

 

豪「だってさぁ、考えてみれば助けたのが俺達だってこと誰も知らないんだぜ。散々俺達を馬鹿にした奴らを見返してやれないなんてさ…」

 

そう口を尖らせて言った豪だったが、遠藤博士は微笑みながら言った。

 

 

遠藤「仕方あるまい。それがわしらの宿命じゃ」

 

リーフ「そうだよ豪くん。私達が戦ってるのだって人に褒めてもらうことが目的じゃないんだから。褒めて貰おうとする人は誰からも褒めて貰えなくなる、私達が特別警備隊員になる時に最初に教わったことよ」

 

ダイーダ「そうよ。それに誰も褒めてくれなくても、ちゃんと私達のことを知ってる人はいるわ」

 

 

豪「えっ?」

 

 

思わず聞き返した豪に、ダイーダは上を見上げながら言った。

 

 

ダイーダ「私達の働きは、お天道様だけがご存知よってね」

 

 

 

第10話 終

 

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