コズミックプリキュア   作:k-suke

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第13話 「わしがDr.フライだ!! (前編)」

 

 

 

 

海底 Dr.フライ秘密研究所

 

 

 

パーフェクト「フライのやつが出かけて行きおった」

 

黒い靄のようなパーフェクトがファルとゴーロにそう告げた。

 

 

ゴーロ「けっ、失敗続きでいい加減みっともなくなって逃げ出したか」

 

あざけ笑いながらゴーロがそう感想を漏らした。

 

 

パーフェクト「大切な用があると言っていた。必要なら手を貸してやれ」

 

ファル・ゴーロ「「はっ!!」」

 

普段Dr.フライに対しての態度などとは全く違い、忠誠心の塊というような返事を二人は礼儀正しく行った。

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

リーフとダイーダが、新聞を広げて声に出して読んでいた。

 

この世界の文字も覚えられるし、社会勉強にもなる。ちょうどいいということなのだが…

 

 

 

リーフ「え〜っと、のーべるしょうえらかんがのきおんなろかいへにむは…」

 

豪「はぁ?」

 

 

リーフが突然口に出したことが全く理解できず、豪は思わず間抜けな声を出してしまった。

 

 

ダイーダ「へらとしどののつわまたしょうものの…」

 

ラン「ちょっと、二人ともどこ読んでるのよ?」

 

 

あまりに訳のわからないことを言い出したダイーダにランは新聞を覗き込んだ。

 

 

ダイーダ「ここよ。ほら、今言ったことが書いてあるわ」

 

ダイーダの指差した記事を見て、ランと豪は頭を抱えた。

 

 

豪「それは、『ノーベル賞選考委員会は』って書いてあって…」

 

ラン「『今年度の受賞者の』って読むの。漢字とカタカナごちゃ混ぜじゃない」

 

 

リーフ「ああ、そう読むんだ。文字の大きさがやけにバラバラだなと思ったんだ」

 

ダイーダ「でも豪達も大変なんじゃない? こんなに文字の種類が多いとさ」

 

 

豪「まあね…」

 

ラン「それは否定しないわ…」

 

 

 

 

リーフ「ふふっ。それよりさ、こののーべるしょうって何?」

 

ラン「うーんとね、簡単に言うと、この世界のために役立つ発明をした人とか、世界平和のために頑張った人とかにもらえる名誉ある世界的な賞なのよ」

 

 

リーフの疑問にランはしたり顔で説明したが、続けての質問に頭を抱えてしまった。

 

 

リーフ「なるほど、じゃあ博士みたいな人がもらえるんだね」

 

ダイーダ「っていうより、とっくにもらってるんじゃないかしら? あの人だったらさ」

 

 

ラン「えっ?」

 

豪「じいちゃんが?」

 

 

顔を見合わせたランと豪は、大きくため息をついた。

 

 

 

 

豪「もらえる訳ないじゃない、じいちゃんがさ」

 

ラン「おじいちゃんなんかがノーベル賞をもらえれば、賞の権威も価値もなくなっちゃうわ」

 

 

 

その言い様にリーフとダイーダは首をかしげた。

 

リーフ「どうして?」

 

ダイーダ「私は遠藤博士のこと立派な人だと思うけど…」

 

豪「いや、だってさ…」

 

そう呟きながら、ふと目線を実験中の遠藤博士の方に向けると再びため息をついた。

 

 

 

 

 

その遠藤博士は、妙にゴテゴテした機械のついたベッドに横たわっていた。

 

ラン「…おじいちゃん、それは何?」

 

遠藤「ん? これはわしの発明した新型の介護用ベッド。寝たまま手元のボタンを操作するだけで食事やトイレの世話まで完璧にやってくれる優れものじゃ」

 

 

うんざりしたようなランの質問に、自慢げに説明しながら、遠藤博士は手元のボタンを操作して、おかゆを作ったり、飲み物を口に運んだりしていた。

 

 

遠藤「どうじゃ! 指一本動けば、世話をしてくれる人間もいらん。緊急時には119番や110番だってできる。高齢化社会にうってつけの発明じゃ!!」

 

 

そう得意げに語る遠藤博士に対して、リーフとダイーダは素直に感心し拍手を送っていた。

 

リーフ「わぁすごい!! こんなに人のために頑張れる人なんて色んな次元に行ってきたけどそうはいないよ!!」

 

ダイーダ「立派な人じゃない。二人ともどうしてこの人がノーベル賞をもらえないなんて言っちゃうのよ」

 

 

遠藤「何、ノーベル賞!?」

 

その言葉に動揺した遠藤博士は手元のボタン操作を誤ってしまい、暴走した介護用ベッドは飲み物を遠藤博士の顔にぶちまけ、作りかけのお粥を頭からかぶせてしまった。

 

 

遠藤「あぢゃあぢゃあぢゃ!!! ぶわっ!!!」

 

 

ベッドの上で悶える遠藤博士に、ランと豪は呆れ返った様な表情をしていた。

 

ラン「二人とも、これでわかったでしょ。おじいちゃんがノーベル賞をもらえるわけないって」

 

 

リーフ「ふ〜ん?」

 

ダイーダ「そういうものかしら?」

 

イマイチ納得できないリーフとダイーダだったが、何とか復活した遠藤博士が叫び出したことで考えが中断した。

 

 

遠藤「ノーベル賞がなんじゃ!! あんなものはただの自己満足に過ぎん。わしには名誉も地位もいらん!! わしの発明が世のため人のために役立てばそれでいいのじゃ!!」

 

 

リーフ「うんうん。やっぱり尊敬しちゃうなぁ」

 

ダイーダ「素晴らしい人だわ。私達も見習わなくっちゃ」

 

その遠藤博士の堂々たる言葉に心から尊敬の眼差しを向けるリーフとダイーダを見て、豪とランはがっくりと肩を落として本日何度目かになる大きなため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデン ストックホルム

 

 

 

 

 

今日ここで、ノーベル賞の受賞者の発表が執り行われようとしており、世界中のマスコミ関係者が押し寄せ、今か今かと待ち構えていた。

 

 

「間も無く今年度のノーベル賞の受賞者の発表が行われます。今年度は一体どのような名前が歴史に刻まれるのでしょうか」

 

 

やがて、選考委員長が演台に上がり、厳かな雰囲気の中受賞者の発表が行われようとした。

 

選考委員長「では、発表いたします。今年度のノーベル賞受賞者、まずノーベル物理学賞…」

 

しかし次の瞬間、UFOが突如として発表会場の上空に飛来し、大量のマイナーが会場になだれ込んできた。

 

 

「な、なんだなんだ?」

 

「あいつら最近日本で噂になってる奴らか!?」

 

 

混乱する中あっという間に会場は制圧され、そこに一人の杖をついた老人が現れ、縁談に向かっていった。

 

 

「な、なんだね、君は?」

 

 

Dr.フライ「わしか? わしはノーベル賞の受賞者じゃ」

 

そう言って演台に上がると、選考委員長の持っていた発表用紙を強引に奪った。

 

 

Dr.フライ「何何? ノーベル物理学賞受賞者…ハーバード大学の教授!? ふざけるな!!」

 

そう吐き捨てるとDr.フライは用紙をビリビリに破り捨てた。

 

 

Dr.フライ「貴様ら、一体何を基準にノーベル賞の受賞者を決めた!? 見る目のないボンクラどもが!!」

 

 

その言い様に会場の人間は一斉にブーイングを行った。

 

 

「ふざけるなー!!」

 

「いったい何様のつもりだ!!」

 

 

 

Dr.フライ「黙らんか、アホどもが!!」

 

そのブーイングにイラついた様にDr.フライは怒鳴り散らし、会場を黙らせた。

 

 

 

Dr.フライ「わしの名を知らんということがそもそものボンクラの証じゃ。いいかよく聞け、わしこそが史上最高の天才Dr.フライ様じゃ!!」

 

 

妙に芝居かがった様にDr.フライはそう名乗った。

 

 

Dr.フライ「わしは、やがて全世界を暗黒の世界に変える次元皇帝パーフェクトが選んだこの世界最高の人間じゃ!! わしは暗黒神としてこの世界をひいては貴様らボンクラどもを支配する存在じゃ。このわし以上にノーベル賞に相応しいものは今後未来永劫存在せん!! その証の一端を今見せてやる」

 

 

Dr.フライがそう告げるや否や、会場に巨大な立体映像が現れた。

 

Dr.フライ「特別生中継じゃ、わしの天才ぶりを貴様らにも少しでも理解しやすい様にしてやる」

 

 

 

Dr.フライが下劣な笑いを浮かべるとともに、上空に浮かんでいたUFOが市街地へと高速で移動し液体の様なものを噴射し始めた。

 

するとその液体を浴びた建物や車は、ドロドロに溶け始めた。

 

 

その有様が映し出され、会場は悲鳴の渦に見舞われた。

 

 

Dr.フライ「どうじゃ!? これがわしの開発したHE液じゃ。どんな既存の薬品よりも強力な腐食作用を持っておる。これで誰にノーベル賞を与えるべきかどんな能無しでもわかったじゃろう」

 

いやらしい笑いとともにDr.フライはそう告げた。

 

 

Dr.フライ「さぁ、わしを崇めよ!! わしがこの世界の支配者として君臨することでこの世界には永遠の安息が約束される。よって、わしにこそあらゆるノーベル賞が与えられるに相応しいのじゃ!!」

 

 

この様子は全世界に同時中継がなされており、世界中の人間がテレビに釘付けになっていた。

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

 

無論この研究所でも、その様をみな険しい顔で見ていた。

 

 

リーフ「こいつがDr.フライ…」

 

ダイーダ「顔を見るのは初めてだけど、本当にパーフェクトと繋がってたのね…」

 

 

そこへ、顔を洗ってきた遠藤博士がやってきた。

 

遠藤「やれやれ、やっと米粒が全部落ちたわい。ん?どうしたみんな?」

 

 

豪「じいちゃん、のんきなこと言ってる場合じゃないよ!!」

 

ラン「テレビ見てよ!! Dr.フライって奴がノーベル賞の会場に!!」

 

遠藤「なにぃ!! Dr.フライ!?」

 

 

その言葉に、遠藤博士はテレビにかじりついた。

 

 

遠藤「間違いない! 奴じゃ!! それで奴は一体何をやらかした?」

 

ラン「ノーベル賞を全部よこせって…。さもないと自分の作ったHE液とかいうので街をドロドロにしてやるって言ってるわ」

 

 

遠藤「何!? HE液? ふざけたことをぬかしおって!! 全く変わっとらんな!!」

 

凄まじい目つきでDr.フライをテレビ越しに睨みつける遠藤博士に、リーフとダイーダは以前からの疑問を口にした。

 

 

リーフ「博士、前々から聞きたかったんですけど、どうして博士はDr.フライのことを知ってるんですか?」

 

ダイーダ「それもただ知ってるんじゃなくて相当詳しいようですけど…」

 

 

遠藤「ん? ああ、まだ話とらんかったか。あやつはかつてわしと同じ研究室におったのじゃ」

 

 

豪「えっ!?」

 

ラン「し、知り合いだったの!?」

 

 

遠藤「そうじゃ。じゃがな、わしが世界の平和のために研究をしていたのとは逆に、奴は私利私欲や名誉のための研究ばかりしておった」

 

遠藤博士は険しい顔で過去を語った。

 

遠藤「しかし、そんな奴が世間に認められるわけもなく、やがては功名心に焦り、わしの研究さえも片っ端から奪い始め、ついには学会を追放されたんじゃ」

 

 

リーフ「そうだったんですか…」

 

ダイーダ「許せないわ、あいつ…」

 

リーフとダイーダもまた珍しく怒りに肩を震わせていた。

 

そんな会話をしている間にも、Dr.フライの演説はヒートアップしていった。

 

Dr.フライ『わしの肖像画を世界中に配り、いたるところに飾り付けよ。そして朝昼晩とそれを拝めよ。世界最高の天才、史上初にして唯一のノーベル賞の同時受賞者としてな!! 返事は今から3時間待ってやる』

 

 

 

豪「もう、めちゃくちゃ言ってるよ!!」

 

ラン「このまま言わせたい放題でいいの!?」

 

あまりに自分勝手なことを喚き散らすDr.フライに露骨な不快感を示した豪とランだったが、それは遠藤博士も同じであった。

 

 

遠藤「誰もそんなことを言っとらん。すぐに手は打つ!! みんな、地下の研究室に来い!!」

 

 

 

 

地下の研究室で資料を漁りながら、遠藤博士は説明した。

 

遠藤「さっきも言ったが、Dr.フライはわしの研究を片っ端から盗みおった。今奴が自慢げに見せとるHE液もその一つじゃ」

 

 

豪「えっ!? あれじいちゃんが作ったの?」

 

ラン「なんであんなものを!?」

 

思わず詰め寄ってきた豪とランをなだめるように遠藤博士は事情を説明した。

 

 

遠藤「あれは元々、騒音公害やその他の被害を最小限に抑えて建物の解体や粗大ゴミの処分を行うために開発したものじゃ。それをあんな恐喝の材料に使うとは呆れてものが言えん!!」

 

 

リーフ「そうだったんですか…」

 

ダイーダ「でも作ったのが博士なら、あれを無効にするものを作れませんか?」

 

 

遠藤「もちろん作れるぞ。じゃからこうして過去の研究資料を… ん、あった!! こいつがHE液の資料じゃ!! これですぐにでも中和剤を作れる」

 

ラン「本当!?」

 

 

リーフ「かなりの量が必要ですが、どのぐらいでできますか?」

 

遠藤「うーむ… ここからスウェーデンまで、三冠号を最高速度でぶっ飛ばしても2時間強…とりあえず1時間でできるだけのものを作るぞ!! あとは組成式と調合法をインターネット上で公開すればいい!! みんな手伝え!!」

 

 

ダイーダ「了解!!」

 

 

 

第13話 終

 

 

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