コズミックプリキュア   作:k-suke

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第17話 「僕はスーパーマン (前編)」

 

 

ダイーダ「ハァァァ!!」

 

リーフ「ヤァァァ!!」

 

 

リーフとダイーダは、朝早くから突如マイナーを引き連れ市内の銀行を襲撃したファルと戦っていた。

 

 

ファル「ちっ、いつもいつも邪魔をしやがって。鬱陶しいんだよてめぇらは!!」

 

ダイーダ「そう思うんなら、いい加減観念なさい! 少なくとも今ならまだ消滅刑にだけはならないでしょうからね」

 

鬱陶しそうにそう吐き捨てたファルに、ダイーダもまた鬱陶しそうに返した。

 

ファル「冗談じゃねぇ、半永久的に拘束されるなんざゴメンだ」

 

 

ファル(しかしこいつら、一体どうやってこっちの情報を手に入れてやがる。それにこいつらのボディを作ったやつは誰だ…)

 

 

 

そんなことを考えている間にマイナーは全滅してしまった。

 

ファル「ちっ、不甲斐ない」

 

舌打ちをしつつもなんとかして逃走をしようと考えを巡らせていたファルだったが、そもそもが二対一。

 

退路もふさがれており、力押しで逃走できる状況でもなかった。

 

 

ファル(くそ、そもそもフライの奴がくだらんものを作っては失敗をするからこうなる。何が研究資金を調達するための作戦だ)

 

心の中で幾度となくDr.フライを八つ裂きにしながら、周囲を見回していた。

 

 

するとたまたま小さなハエが視界に入り、これ幸いとばかりに黒いダイヤのような結晶を取り出した。

 

 

ダイーダ「!! させない!!」

 

それに気づいたリーフは、ファルが結晶を投げる前に飛びかかり結晶をはたき落した。

 

 

ダイーダ「こんなもので、命をもて遊ばせたりしないわ!!」

 

叩き落とした結晶を遠くに蹴り飛ばすと、ダイーダはファルを険しい目で睨みつけた。

 

 

ファル「く、くそ…」

 

最後の切り札を失ってしまったファルにもはや打つ手はなく、悔しそうに歯噛みをしていたが、突如として黒い靄が彼を包み込んだ。

 

 

 

リーフ「これって?」

 

ダイーダ「こないだの?」

 

 

ファル「このマイナスエネルギーは… パーフェクト様、ありがとうございます」

 

 

そして靄が吸い込まれるように消えていった後には、ファルの姿は影も形もなかった。

 

 

リーフ「逃げられちゃった…」

 

ダイーダ「仕方ないわ、とりあえず被害が出なかっただけよしとしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

遠藤「うむ二人とも朝からご苦労じゃったな。ニュースでも見たぞ、被害が出なくて何よりじゃ」

 

 

満足そうに頷く遠藤博士に、リーフもまた笑顔で答えた。

 

 

リーフ「はい、ファルを逃したのは残念でしたけど、あいつらに命がもて遊ばれずに済んで本当によかったです」

 

 

そんな中、ランがふと疑問に思ったことを口にした。

 

ラン「でも、あいつら生き物を怪物にできるんでしょ。どうして銀行の人を怪物にしようとしなかったのかしら?」

 

 

ダイーダ「ああ、あいつらはマイナスエネルギーをとりつかせて怪物にしてるんだけど、知能の高い生き物ほど制御しにくくなるのよ。特に人間にとりつかせても下手をしたら理性を保ったままになるから、自分達が逆に襲われかねないの。 だからよ」

 

 

ラン「そうなんだ、じゃあ人が怪物にさせられることだけはなさそうね」

 

ダイーダの話を聞いて、ホッとしたようにランが呟いた。

 

 

遠藤「そういえばダイーダ。おぬしが蹴り飛ばしたあの結晶は回収せんで大丈夫か?」

 

 

ダイーダ「ああ。あれなら蹴り飛ばした時にプラスエネルギーを注ぎ込でたし、基本的にプラスエネルギーが強いこの世界なら、しばらくすれば溶けて無くなりますよ。あいつらが持ってるからずっと結晶になってるんです」

 

 

遠藤「ふむ、ならば一件落着じゃな。 では皆で豪の応援に行ってやるとするか」

 

リーフ「そうだね、豪くん頑張ってるかな」

 

 

 

 

豪は遠藤平和科学研究所に入り浸っている印象が強いが、実はせいぜい二日に一回といったレベルである。

 

それ以外にも地元のサッカークラブに所属しており、持ち前の運動神経もあってレギュラーとして活躍していた。

 

 

そして今日は隣町のチームとの試合なのである。

 

 

 

 

 

 

 

試合場 観客席

 

 

 

 

ラン「豪!! 頑張りなさいよ!!」

 

普段は豪に厳しいランだが、さすがに今日ばかりは心から応援していた。

 

 

そんなランを見て、同じく応援に来ていた豪の母も嬉しそうに話しかけてきた。

 

 

豪母「ランちゃん、来てくれてありがとう。あなたも大変でしょう、兄さん達が海外に行ってるから、お父さんの世話を押し付けられて」

 

ラン「いえ、もう慣れましたから…」

 

 

心底心配そうな叔母に対して、ランは苦笑しつつそう言った。

 

 

遠藤「こりゃ翔子。それが親に対する言葉か」

 

豪母「何言ってるんですか、ろくに働きもしないで変な研究ばっかりして。学生時代、私と兄さんが周りからどんな目で見られたか知ってるでしょう」

 

そう言い放つと、豪の母 翔子はジロリと父親である遠藤博士を睨んだ。

 

 

リーフ「まあまあ、遠藤博士は立派な人ですよ。世界平和のことを真剣に考えておられるんですから」

 

そう言って割って入ったリーフだったが、逆効果だった。

 

 

豪母「家庭内の問題に割って入らないでください。それにあなたもあなたです。学校にも通ってないようですけど、お父さんみたいな人の所にいたら、ろくな人になれませんよ」

 

 

ダイーダ「ふーむ、これが価値観の相違ってやつね。割と興味深いわね…」

 

ラン「冷静な解説しないで…」

 

 

 

 

そんな会話をしている中、ゴールポストに弾かれたボールがランの方へ向けて一直線に飛んできた。

 

ダイーダ「!! 危ない!」

 

ランをかばうように飛び出しボールを蹴り返したダイーダだったが、とっさのことに手加減ができなかった。

 

ダイーダのパワーで蹴り返されたサッカーボールは凄まじい速度で飛んでいき、ゴールネットをあっさり突き破った挙句、その先に生えていた木にめり込んでしまった。

 

選手や観客が唖然とする中、遠藤博士とランはリーフとダイーダの手を引いて慌てて逃げ出していった。

 

豪母「なんなの…あの子…」

 

 

 

その光景をビッチで見ていた豪もぽつりと呟いた。

 

豪「姉ちゃんのバカ…」

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている間にも試合は一進一退で進んでいき、一対一の同点。

 

残り時間もあと数分という所だが、豪のチームのメンバーが一人負傷してしまった。

 

 

 

さすがにバツが悪いため、離れた所から観戦していた遠藤博士達だったが、豪のチームのピンチに気を揉んでいた。

 

遠藤「おや、これじゃメンバーが足りなくなるんじゃないのか?」

 

ラン「ううん、あと一人補欠の子がいたはずよ。 あ、ほら出てきた」

 

 

 

最後のメンバーとしてベンチから出てきたのは、まだまだ素人といったような空気をまとった少年だった。

 

豪「おい、健太。あんまり緊張すんなよ」

 

 

ガチガチに固まっており、まともに動けそうにないその少年の緊張をほぐそうと、豪がそう明るく話しかけた。

 

健太「う、うん。でも万年補欠だって言われてる僕が試合に出ていいのかな?」

 

豪「大丈夫だって、お前あんなに頑張って練習してたじゃん。がんばろうぜ」

 

 

 

 

そうして試合は再開され、健太は必死にボールに食らいつこうと頑張っていた。

 

ドリブルをしている相手選手を、息を切らせながらも必死に追いかけていたが、あとちょっとで追いつくという所で足がもつれて転んでしまった。

 

しかも、その拍子に相手選手を巻き込んで倒してしまった。

 

 

審判「ファール!! ペナルティーキック」

 

 

豪「あっちゃー…」

 

 

結局これが決勝点となり豪のチームは敗北してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

試合後、チームのメンバーは健太のドジを罵っていた。

 

「ったく、万年補欠が出しゃばろうとするから…」

 

「あれならラストは10人で試合した方がよかったよ」

 

 

 

豪「おい、そんな言い方…」

 

健太「いいよ速田くん。僕のせいで負けたのは事実だもん…」

 

 

そうは言うものの、健太の表情は傍目にもわかる暗いものだった。

 

 

 

 

 

翌日

 

 

 

ダイーダ「よし、買い漏らしなしっと」

 

ランから、隣町のショッピングモールで安売りがあるが自分は用があって行けないからと、お使いを頼まれたダイーダは一人帰り道を歩いていた。

 

 

ダイーダ「まったくランは心配性なんだから、私はリーフみたいなドジはしないってのに」

 

 

ダイーダはそうぼやくものの、ランにしてみれば五十歩百歩であり、幼稚園の子供に渡すかのようなお使いメモがいい証拠であった。

 

 

そうして堤防を歩いていると、ガード下で一人サッカーボールを蹴っている少年が目に入った。

 

 

ダイーダ「あら、あの子一人でやってるのかしら? 確かもっといないとサッカーはできないはず…」

 

コート内で一人練習している少年が目に入ったダイーダは、そう疑問に感じ、その少年に近寄って行った。

 

 

 

 

健太「はあはあ、くっそ… もう一度…」

 

 

その一人練習をしていた少年は、昨日の試合での戦犯になってしまった健太であった。

 

もともとあまり体力がある方でもないため、全身汗だくの上、肩で大きく息をしていた。

 

 

ダイーダ「あなた一人でサッカーしてるの? いったいどうして?」

 

突然話しかけられたことに驚いて振り向くと、そこにはメガネをかけたポニーテールの少女がいた。

 

健太「えっと、あなたは…」

 

 

ダイーダ「ああ、初めまして…だったわね。私、速田ダイーダっていうの」

 

 

健太「速田って… ああ、速田 豪くんのお姉さんですか?」

 

ダイーダ「まぁそんなところよ。それよりあなた、昨日の豪の試合に出てた子よね。ここで一人で練習してるの?」

 

 

 

健太「はい、昨日の試合は僕のせいで負けちゃったから… ずっと万年補欠なんて言われてて… 昨日初めて試合に出られたのにあんな様じゃカッコ悪いから。もし次があったら今度こそ活躍できるように練習してるんです」

 

 

それを聞いたダイーダは嬉しそうに言った。

 

ダイーダ「へぇーっ、そうなんだ。偉いわね」

 

 

ダイーダもリーフも、レスキュー時において好印象を与えられるよう、世間の基準ではかなりの美少女にはいる部類の顔立ちに作ってある。

 

そんな美少女に褒められた健太は少し照れながらも悪い気がしなかった。

 

 

健太「い、いえ、それほどでも… でもあんまりサッカーばっかりやってられないんです。僕頭もあんまりよくないから、勉強もしないといけなくて… これから塾に行かなくちゃいけないんです」

 

 

ダイーダ「そっか… でも頑張りなさいね」

 

健太「えっ?」

 

ダイーダ「が・ん・ば・り・な・さ・い。諦めずに目標に向かって努力することはいいことよ」

 

健太「あっ、はい!! 頑張ります」

 

 

 

ダイーダ「ふふっ、そうだ。これ飲みなさい、あなたかなり体内の水分を消耗しているわ。この飲料なら血中濃度が下がることもないから、体に負担も少ないわよ」

 

そう言って、ランに頼まれた買い物の中から、ペットボトルを取り出して健太に渡した。

 

 

健太「あ、ありがとうございます!!」

 

 

思わぬプレゼントに、健太は腰を直角に曲げてお礼を言った。

 

 

ダイーダ「ふふっ。それじゃあね」

 

 

そう言って微笑みながら去っていったダイーダの後ろ姿を見ながら、健太はポーッとしていた。

 

 

健太「いいなぁ、速田くん。あんな美人でやさしいお姉さんがいて… よーし、頑張るぞー!!」

 

 

 

ダイーダもまた、上機嫌で帰り道を歩いていた。

 

ダイーダ「気持ちのいい子に会えてよかったわ。ああやって頑張ってる人が増えるのはこの世界にとってもいいことだしね」

 

 

 

この後、研究所に帰ったダイーダとランとの間で一悶着あったことに関しては、どうでもいい余談であるので割愛する。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに翌日 放課後

 

 

 

健太がトボトボと通学路を歩いていた。

 

あの後塾に行ったものの、サッカーの練習で疲れていたこともあって塾のテストは散々。

 

今度こそはと夜更かしして勉強したら、今度は寝坊して遅刻するし、授業中も居眠りをしてしまい先生に怒られてしまった。

 

 

健太「こんなに頑張ってるのに、どうしてうまくいかないんだろう。やっぱり僕ダメなやつなのかなぁ…」

 

 

誰よりも頑張っているはずなのに、何もかもがうまくいかない悪循環。健太の気分はどん底に近かった。

 

 

そうやってうつむきながら歩いているにもかかわらず、何かに躓いて転んでしまった。

 

 

健太「イテテ、もうやだよ…」

 

 

愚痴りながらなんとか起き上がると、手の中に小さな黒い石があることに気がついた。

 

 

健太「なんだろう、倒れた拍子に拾ったみたいだけど、ピカピカで綺麗だな…」

 

 

すると、その石は溶けるように黒い煙になっていき、健太はその煙を吸い込んでしまった。

 

健太「あれ… 急にめまい… が…」

 

そしてそのまま健太は気絶してしまった。

 

 

 

 

 

健太「う、う〜ん。僕どうしたんだっけ…」

 

数分後目を覚ました健太だったが、妙な違和感を感じた。

 

健太「どうしたんだろ、なんか体が軽いな…」

 

 

しかし、深く考える前にランドセルの携帯が鳴った。

 

 

健太「もしもし」

 

チームメイト『なにやってんだよ健太、今日の練習サボる気か』

 

 

電話を取ると、チームメイトの怒鳴り声が響いてきたため、慌てて健太は返事をした。

 

健太「わっ、ごめん。すぐに行くよ」

 

 

健太「大変だ、急がないと!」

 

 

走り出した健太だったが、信じられないような速度が出ていることに慌てていたため気がつかなかった。

 

 

 

 

サッカーコート

 

 

 

チームメイトA「健太のやつ遅いな〜」

 

チームメイトB「こないだの試合負けたのあいつのせいなんだから、今日はビシビシしごいてやろうと思ってるのに」

 

豪「おいおい、手加減はしてやれよ」

 

チームメイトC「わかってるって、やる気のない奴に無茶する気はないよ。できると思うからやるのさ」

 

 

 

先日、試合に負けた直後は皆で健太を吊るし上げもしたが、やはりチームメイト。

 

別にイジメがあるわけではないのであり、それがわかるから豪もあまりきつくは言わないのである。

 

 

健太「おーい、遅れてごめん」

 

そんな中健太の声が響き、そちらを振り返った瞬間全員仰天した。

 

 

 

 

「「か、怪物!!」」

 

 

 

 

みなが慌てふためく中、健太はキョトンとしていた。

 

 

健太「ちょっと、みんなどうしたの?」

 

腰を抜かしているチームメイトに近寄ってそう尋ねるも、

 

 

チームメイトD「ち、近寄るな!! あっち行け!!」

 

怯えてしまい、話にならなかった。

 

 

わけがわからず首を傾げていた健太に、一人のチームメイトが勇気を振り絞って尋ねた。

 

チームメイトE「お、お前なんなんだよ!?」

 

 

健太「何って… 健太だよ」

 

 

当たり前のような質問に、健太はごく当たり前のことを言うように答えた。

 

 

豪「お、おい。お前本当に健太か?」

 

健太「しつこいなぁ、いったいどうしたの?」

 

繰り返される質問に健太は半ばうんざりし始めていた。

 

 

そんな健太に、豪は携帯のカメラで撮った写真を見せた。

 

 

 

健太「えっ、な、何これ!?」

 

そこで初めて、健太は自分に起きている異変に気がついた。

 

そのカメラに映っていた自分の姿は、どこか愛嬌こそあるもののまさしく怪獣といったほうがいいような異常なものになっていた。

 

 

豪「それはこっちが聞きたいよ。いったい何がどうなってんだよ?」

 

健太「僕もわかんないよ! でも僕は健太だよ、信じてよ!!」

 

 

混乱しつつも必死にそう訴える健太に、チームメイト達は恐る恐る近づいていった。

 

 

チームメイトA「言われてみれば声は似てるな。よし、お前本当に健太なら答えてみろ。誕生日はいつだよ」

 

健太「6月17日だよ」

 

 

チームメイトB「じゃあ、昨日の塾のテストの問3の問題言ってみろ」

 

健太「ああ、それなら…」

 

 

その後、幾つか質問を繰り返した結果、チームメイト達はこの怪獣が健太だと言うことをなんとか納得した。

 

 

チームメイトC「うーん、お前本当に健太なんだな。でもお前これからどうするんだよ。 このままだと大騒ぎになっちゃうぜ」

 

チームメイトD「そうだよな、もうすぐコーチも来るし…」

 

チームメイトE「でも、こいつが健太ならほっとけないぜ。とりあえず着ぐるみとか言ってごまかそうぜ」

 

 

 

かなり苦しい言い訳とわかっていながらも、とりあえずそういうことにしたチームメイトは怪獣健太、通称ケンターを交えていつも通りの練習を始めた。

 

 

 

しかし、しばらく練習をするうちにみんなは目を丸くし始めた。

 

運動音痴という言葉がぴったり来るはずだった健太だが、怪獣になってしまった影響か、信じられない運動能力を持っていたのだ。

 

 

お世辞にも身軽とは言い難い体格にもかかわらず、目にも止まらないほど早く走れた。

 

さらに、ボールを蹴ればコートの端から端まで届き、しかもキーパーが反応できない速度でネットに突き刺さった。

 

 

チームメイトA「すげぇ…」

 

チームメイトB「あいつ本当に健太かよ…」

 

 

その活躍ぶりにみんなは感嘆の声を漏らしていた。

 

 

 

 

 

そうして夕方になり練習を終えたころ、チームメイトが一人愚痴った。

 

 

チームメイトC「あーあ、今日の宿題難しそうなんだよなぁ」

 

チームメイトD「ああ、おまけに量も多いしさ」

 

 

ケンター「ああ、そうだったね…」

 

ケンターもランドセルから宿題のドリルを取り出しなんとなく眺めていると、次々に答えが頭に浮かんできた。

 

 

ケンター「あれ? どうしたんだろ。問題を見ただけで答えがわかる」

 

チームメイトE「えっ? 本当かよ?」

 

 

せいぜい中の下といったレベルの成績だった健太の言葉に、みなが疑問を持つ中、ケンターは次々と問題を解いていき、わずか数十秒で宿題を終わらせてしまった。

 

 

ケンター「僕、頭まですごく良くなってるんだ! やったー!!」

 

その様子を見て、みなは羨ましそうな顔をしていた。

 

 

チームメイトA「いいなぁ、そうだ俺のもやってくれよ。そんなに早く終わるならいいだろ」

 

チームメイトB「あっ、ずるい俺も俺も」

 

 

次々と宿題を頼む仲間たちに、ケンターは上機嫌で答えた。

 

ケンター「いいよ。ただし、お菓子をくれたらね」

 

 

チームメイトC「ちぇっ、しっかりしてらぁ」

 

 

 

そんな明るい笑いの響く中、豪は一人険しい顔をしていた。

 

豪「やっぱ、ほっとけないよなぁ」

 

 

そして、ケンターの写真を遠藤平和科学研究所に送り一部始終を説明した。

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

豪からの連絡を受けた遠藤博士は驚きつつも、状況を冷静に判断しようとしていた。

 

遠藤「うーむ、少年が怪獣になるとわな… これはもしやDr.フライの仕業か…」

 

 

ダイーダ「いえ。もしかすると、こないだ私が蹴り飛ばしたマイナスエネルギーの結晶をその子が拾ったのかもしれないわね」

 

 

リーフ「ああ、あれかぁ。だったらダイーダちゃんのせいだね」

 

 

どこかのんきそうにそういう二人に対して、ランは焦っていた。

 

ラン「のんきなこと言ってる場合じゃないわよ! 早く元に戻してあげないと大変じゃない!!」

 

しかし、そんなランに対してダイーダはキョトンとした顔で尋ねた。

 

 

 

ダイーダ「どうして? 別にいいじゃない、放っておいても」

 

 

ラン「いいわけないじゃない!! 怪物になっちゃってるんでしょ!! なんとかしてあげないと…」

 

 

ダイーダ「なんとかって? さっきの豪の話聞いた限りだと、誰も迷惑してないじゃない。本人も満足してるみたいだし、それならそれでいいんじゃないの」

 

ラン「そんな… リーフさんも何か言って!!」

 

まるで興味のないというようなダイーダの態度に、ランはリーフに話を振ったが

 

 

リーフ「う〜ん。私もダイーダちゃんに賛成なんだよね。別になんの被害も出てないわけだし… マイナスエネルギーが必ずしも悪いってわけじゃないしね…」

 

 

ダイーダ「そういうこと。 望まれていない干渉はあまりしないほうがいいわ。たとえいい結果になってもね」

 

 

その言葉に釈然としないものを感じつつも、ランは言い返すことができなかった。

 

 

遠藤「まあ、確かに何の被害も出てないのに、無理な干渉をするのもな。しばらくは様子見じゃな」

 

ラン「おじいちゃんまで!!」

 

 

遠藤「だってそうじゃろ。ランだっていらんおせっかいはして欲しくはないじゃろうが。わしだってそうじゃ、自分が満足してることにまで干渉されたくないというのが人情じゃろ」

 

 

 

 

ラン「う〜ん…」

 

 

第17話 終

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