遠藤平和科学研究所
遠藤「よーし、なんとかできた。あの砂カビだけを除去してその他の影響はなし。名付けてカビキラー光線じゃ、行くぞダイーダ」
ダイーダ「はい」
大型のライトのようなそれを、壁を背にして立ったダイーダに向けると、遠藤博士はスイッチを入れた。
すると暖かい光が照射され、ダイーダの体を照らした。
豪「どう? ダイーダ姉ちゃん?」
心配そうな豪だったが、光を浴びたダイーダは実に心地よさそうだった。
ダイーダ「わかるわ、全身からカビが消滅していく」
ラン「よかったわ、これであのカビを除去できるのね」
そのダイーダの様子を見てホッと胸を撫で下ろしたランだったが、遠藤博士は渋い顔をしていた。
遠藤「そうしたいのは山々じゃがな… この光線はエネルギーをやたら食う上、連続で照射ができん。街一つのカビを除去するのには尋常でないエネルギーと時間がかかるぞ…」
豪「そんな、なんとかならないの…」
豪がそう言った時、ダイーダはふとあることに気がついた。
ダイーダ「あら、この光のスペクトルは… 知っています、この光ならいくらでも用意できます!!」
遠藤「何? わしより先にこの光線を発明したものがおると?」
宮神市
その頃、リーフはボロボロの体を引きずるようにして戦っていたが、もはや傍目にも限界が近かった。
リーフ「ハアハア… 前が霞んできた…」
すでに視界も半分以上がぼやけ、敵の位置を確認するだけでやっとだった。
ゴーロ「ぐはは、どうしたどうした? いつもの元気はどこへ行った」
そんなあざ笑うかのようなゴーロの叫びとともに、カエル型メイジャーは大ジャンプしてリーフの視界から消えた。
リーフ「くっ、どこに? キャアアア!!」
目標を目で追いかけることも満足にできず、カエル型メイジャーを見失ったかと思うと、次の瞬間にリーフは踏み潰されてしまった。
リーフ「ぐう… チェ、チェンジハンド・タイプブルー!!」
カエル型メイジャーに踏みつけられながら、リーフはなんとか両腕を稲妻模様の走った青い腕に換装した。
そして電撃を放とうとしたが、
リーフ「!! ブルーハンドが作動しない!?」
カビにやられた影響か、ブルーハンドは機能停止してしまっていた。
ゴーロ「テメェもおしまいだな。このまま砂になっちまえ、やれ」
カエル型メイジャーはゴーロの命令に従い、鋭い爪を振りかざすとそのままリーフの体を引き裂いた。
リーフ「あああああっ!!!!」
普通の人間なら一撃で血だるまの真っ二つになるところだが、かろうじてリーフの体は持ちこたえた。
しかし、今の一撃で全身を覆っている人工皮膚の一部が引き裂かれ、内部メカがむき出しになった。
そしてそのままリーフは人形のようにカエル型メイジャーに蹴り飛ばされた。
リーフ「ぐっ、まだまだ…」
なんとか立ち上がろうとしたリーフだったが、
リーフ「ゲボッ!! がああああ!!」
今のむき出しになったメカの部分にカビが侵入してしまい、激痛のあまりのたうち回った。
京香「くっ、もうやめなさい!!」
やはりリーフを放ってはおけず、近くで様子を伺っていた京香先生だったが、目の前の戦いにさすがに足がすくんでしまっていた。
しかし、目の前でボロボロにされていくリーフのことが見るに耐えられず、ありったけの勇気を振り絞ってリーフを庇うように飛び込んだのである。
ゴーロ「なんだぁ? たかが人間が出しゃばるな」
京香「黙りなさい!! 私は医者です。目の前で命が消えようとしているのを放ってはおけません!!」
そう叫んだ京香先生だったが、ゴーロは大笑いしていた。
ゴーロ「ガッハッハッ!! 命だと? そいつをよく見てみろ。命なんてもんじゃねぇんだよ」
京香「えっ?」
その言葉に思わず振り返り、傷ついたリーフの体から覗くメカを見て京香先生は我が目を疑った。
京香「これは!? あなたは一体!?」
ゴーロ「けっ、茶番は終わりだ。まとめて吹っ飛びやがれ!!」
そう叫んだ瞬間、上空から何かが急降下しゴーロを蹴り飛ばした。
ダイーダ「リーフ、大丈夫? 全く下手な嘘つくんだから」
リーフ「ダ…イーダ…ちゃん」
吹き飛ばされたゴーロだったが、再び立ち上がるとダイーダを睨みつけた。
ゴーロ「やってくれたな。だがリーフはもうスクラップ同然。テメェもこの場で片付けてやるぜ」
そう余裕そうに笑ったゴーロだったが、それはダイーダも同じだった。
ダイーダ「悪いわね、このカビの弱点はもうわかってるのよ!!」
ゴーロ「何!?」
ダイーダ「豪、やりなさい!!」
驚愕したゴーロをよそに、ダイーダは上空の三冠号の豪に呼びかけた。
豪「待ってました。行っくぜー!!」
それに応えるかのように、豪は上空で三冠号を高速で旋回させ、空を覆っていた灰色の雲を消しとばした。
そして、それとともに降り注いだ暖かな太陽光線は、街を覆い尽くしていたカビを消滅させていった。
リーフ「体が… 元通りになっていく」
ボロホロだったリーフの体もまた、たちまちのうちに万全の状態へと回復していった。
ゴーロ「し、しまった!!」
ダイーダ「このカビは、太陽光線に極めて脆い。だから夜や曇りの日を狙ったんでしょ!!」
そう言い放ったダイーダの横で、リーフもまた完全に回復していた。
リーフ「よーし、完全に直った。お医者さんは離れてて、行くよダイーダちゃん!!」
ダイーダ「ええ!!」
二人は力強く頷きあい、トンボを切った。
リーフ・ダイーダ「「ゴー!!」」
その掛け声とともに二人の体は光に包まれ、着地した時には変身完了し、赤と白のドレスに身を包み、髪型も大きくボリュームが変わっていた。
リリーフ「闇を吹き消す光の使者 キュア・リリーフ!!」
ダイダー「悪を蹴散らす光の使者 キュア・ダイダー!!」
リリーフ・ダイダー「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」
ゴーロ「くそう!! ええいやれ!!」
悪あがきというように、ヤケクソ気味にゴーロはカエル型メイジャーを突撃させたが、復調したリリーフにとって、もはや敵ではなかった。
リリーフ「さっきのお返しだよ。エレキ光線発射!!」
改めて換装したブルーハンドからリリーフは電撃光線を放ち、ゴーロとカエル型メイジャーを感電させ動きを封じた。
ゴーロ「ぐわっ! まずい電撃でコーティングが…」
ゴーロの体には、先ほど遠藤博士が開発したのとほぼ同様の対砂カビ用のコーティングが施してあったのだが、今の電撃でそれが剥がれてしまった。
ダイダー「今ね!!」
チャンスと見たダイダーはカエル型メイジャーの口の中に飛び込むと力任せに砂カビの噴射機とタンクを引きずり出した。
ダイダー「あんたも味わいなさい!!」
そしてそれをゴーロ目掛けて投げつけると、カビが今度はゴーロの体を蝕み始めた。
ゴーロ「グオオオ!! こんなことが…」
ダイダー「リーフ、落とし前つけてあげなさい!!」
チャンスと見たダイダーはそうリリーフに呼び掛けた。
リリーフ「わかった。行っくよ〜」
リリーフはダイダーの呼びかけに応え、大きく振りかぶると虹色の玉を手に輝かせ始めた。
リリーフ「さっきのお返し、プリキュア・レインボール!!」
その叫びとともに、リリーフは虹色の玉をカエル型メイジャーの口に目掛けて亜音速で投げつけた。
すると、カエル型メイジャーは叫び声とともに口から噴水のように大量の黒い靄を吐き出した。
リリーフ・ダイダー「「ゲームセット!!」」
その叫びとともにカエル型メイジャーは大爆発を起こし、撒き散らされていたカビも太陽光線に浄化されるようにほとんどが消えていった。
太陽光線でカビが除去され、なんとか苦しみが収まったゴーロだったが、体は満足に回復していないようだった。
リリーフ「ゴーロ、もうあなたはフクロウのネズミだよ」
ダイダー「ネクタイの納めどきよ。観念しなさい」
何が言いたいのか一瞬考えてしまうようなことを言いながら、コズミックプリキュアはゴーロを取り押さえようと近づいていった。
しかし、黒い霧のような巨大な手が突如として上空から現れた。
リリーフ「え?」
ダイダー「何?」
戸惑っている二人をよそに、その巨大な手はゴーロを掴み取ると、そのまま虚空へと消えていった。
リリーフ「今のは…」
ダイダー「パーフェクト…」
険しい表情で空を見つめていた二人だったが、そんな彼女達に京香先生が話しかけてきた。
京香「あなた達… 一体何者なの?」
上空の三冠号からとモニター越しに事態を見ていた豪とランも頭を抱えていた。
豪「まずいよ。ありゃごまかしきれないよ」
ラン『どうしよう、おじいちゃん』
遠藤『…やむをえん。リーフ、ダイーダ、その人を研究所まで連れてきてくれ』
遠藤平和科学研究所
わけのわからないまま、事情を説明するという言葉に連れられ、京香先生は三冠号に乗せられ遠藤平和科学研究所に来ていた。
そこで事情を詳細に説明されたものの、ノーリアクションだった。
豪「えーっと、わかってもらえたのかな?」
京香「…まぁどうにかね」
ラン「その割には静かですよね。 落ち着いているというか…」
京香「…というよりも、あまりにも斜め上をいく常識はずれなことに頭がついていってないのよ」
出されたお茶を一口飲み、大きく深呼吸をした後京香先生は改めて口を開いた。
京香「まぁ、これが夢でないことだけは確かみたいだし、さっきのリーフさんの体を見てるから信じますけど、まさかねぇ」
リーフ「まぁ、目の前で思いっきり変身しちゃったからね」
ダイーダ「それだけじゃないでしょ。全く」
なんとか事情を理解してもらえたことを確認すると、遠藤博士は京香先生に一つ頼み事をした。
遠藤「まぁ、わかってもらえたのならありがたい。ただひとつお願いがあってな。このことは内緒にしておいて欲しいのじゃ」
京香「内緒というと、ここがコズミックプリキュアの基地だということをですか? 構いませんがどうして」
遠藤「うっ、それはじゃな…」
ラン「もし、あのパーフェクトって連中に知れたら大変なのよ。あいつら前にも私達の居場所を探ろうとしてきて、ひどい目にあったんだから」
豪「そういうこと。それにあのDr.フライってやつ、じいちゃんの研究を盗んだりしたんだよ。他の研究が盗まれたりしたら大変だよ」
返答に詰まってしまった遠藤博士だったが、ランと豪が続けて説明したことに京香先生は納得した。
京香「なるほどね、わかったわ。じゃあ私からもひとつお願いしていいかしら」
ダイーダ「何ですか?」
京香「私にもいろいろお手伝いをさせてもらえないかしら。医師としてあんな人たちのために多くの人が傷つくのはごめんです」
その言葉にリーフは喜びの声をあげた。
リーフ「本当ですか? 素晴らしいことですよ、世界平和のために頑張ろうって人が増えるのは!! こっちこそよろしくお願いします」
遠藤「うむ、そうじゃな。 では実 京香先生、あなたは世界平和や多くの人命を救うために全力を尽くすと誓えますか?」
その言葉に、京香先生はにっこりと笑って答えた。
京香「はい、もちろんですとも!!」
第24話 終