コズミックプリキュア   作:k-suke

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最終話 「心からの言葉」

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

キャスター『この空をご覧ください。今正午に近いというにもかかわらず、深夜と言われても信じられるほどに黒く染まってしまっています。Dr.フライの宣告通り我々はこのまま滅亡するのでしょうか? 絶望の前に人類は屈しなければならないのでしょうか?』

 

 

 

遠藤「えぇい、わしは絶対に諦めんぞ!! 必ずこの状況を打開してみせる」

 

京香「そうですとも!! たかが真っ暗になった程度のことで…」

 

 

暗雲が日本中を積み込み、昼か夜かもわからなくなってしまっている中でも、遠藤博士達は希望を信じて絶望することなく、最終兵器の製作作業が進めていた。

 

節子「博士!! 宝六博士が到着しましたよ!!」

 

 

そんな中、節子に連れられて、遠藤博士から要請を受けた宝六博士がようやく到着した。

 

 

 

 

宝六「遠藤、久しぶりだな。 私にどうしても手伝って欲しいことがあるということだが…」

 

遠藤「おお宝六。実はな、以前お主のデータ提供で作ったマイナー殲滅衛星。あれを応用して発展させたものを作りたいんじゃ。周囲のプラスエネルギー凝縮、一斉に照射する、通称HRビーム砲を作ることができれば、この状況を打開できるかもしれん。いや必ず打開してみせる!! そのためにもお主の力を借りたいのじゃ」

 

 

宝六「わかった。そういうことならば喜んで協力しよう」

 

遠藤「ありがとう宝六」

 

 

久々の再会に友情を噛み締めあっていた二人だったが、突如として轟音とともに振動が研究所を襲った。

 

遠藤「な、何!?」

 

それとともに、地下の格納庫から三冠号が発進していき、豪とランが作業室に駆け込んできた。

 

豪「じいちゃん!! 大変だよ!! 姉ちゃん達が先に行くって…」

 

ラン「おじいちゃんの発明が完了するまで指をくわえてられないって… 三冠号とライナージェットの修理が終わったばっかりだっていうのに…」

 

 

遠藤「なぁ!? くそぅ時間はあまりない、急ぐぞ」

 

 

かくて、遠藤博士達は最終兵器となるHRビーム砲の建造を急ピッチで進めていった。

 

豪「姉ちゃん達… 無事でいてくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

富士山

 

 

 

禍々しい姿のデビルの塔となってしまった富士山。その山頂で、Dr.フライがその全身にドス黒いエネルギーを浴びていた。

 

 

 

Dr.フライ「聞こえる…奴隷どもの、プラスエネルギーの苦しみが。これがマイナスエネルギーの収束を促進したというわけか… それにより、ここに暗黒エネルギーの巨大なフィールドができた。やがてはこれが全世界いや全次元に触手を伸ばし、すべて暗黒の世界となる。そのとき、このわしは暗黒神として永遠に君臨するのだ!」

 

 

 

我が世の春と言わんばかりに自身の未来を夢想していたDr.フライだったが、突如後ろから声がした。

 

 

河内「動くな、大人しく手を挙げろ」

 

 

Dr.フライ「ん? なんじゃ貴様」

 

面倒そうに振り向いた先にはアンチマイナーガンを構えた河内警部がいた。

 

 

河内「こいつは貴様にも効果のある銃だということは覚えているだろう。観念しろ」

 

しかし、そんな河内警部をDr.フライは鼻で笑い飛ばした。

 

Dr.フライ「ぶぁかの相手は疲れるのう。目障りじゃとっとと往ね」

 

 

河内「なめるな!!」

 

 

その態度にカチンときた河内警部は、アンチマイナーガンを連射したが、Dr.フライにはまるでダメージにならなかった。

 

 

河内「な、何!?」

 

 

Dr.フライ「ヒヤッヒヤッヒャッ。今更そんなものがわしに効くものか」

 

その言葉とともに一振りした腕から、黒い波動のようなものが出て河内警部は吹き飛ばされた。

 

 

河内「ぐわっ!! くそぅ…」

 

 

 

Dr.フライ「もうすぐじゃ。黄泉の国から再び舞い戻り、パーフェクトなどとぬかす奴めの手下にさせられ、30億もの金を強奪してから早5年。しかしいよいよわしが完璧な存在となり永遠に君臨する時が来たのじゃ」

 

その言葉に、河内警部の目には再び力がこもった。

 

 

河内「何!? すると貴様が5年前の30億強奪事件の真犯人!! そして俺の先輩を殺した…」

 

 

Dr.フライ「んぁ? そういえばおったなぁ、ガキをかばって死んだ刑事とやらが。全く間抜けな奴じゃ」

 

 

河内「貴様!!!!」

 

長年追い求めてきた犯人、尊敬していた先輩の仇が今目の前にいる。

 

 

その怒りに突き動かされるように、河内警部はDr.フライに飛びかかった。

 

 

Dr.フライ「えぇい、うっとおしい!!」

 

面倒そうな言葉とともに一振りした腕から放たれた黒い波動のようなものに吹き飛ばされそうになりながらも、河内警部は必死に前進しようとした。

 

 

河内「貴様だけは許さん!! 絶対に逮捕してくれる!!」

 

しかし、とうとう抗いきれなくなり山頂から河内警部は転がり落ち、フィールドの外にはじき出されていった。

 

 

 

Dr.フライ「ふん、何が逮捕じゃ。警察など最早なんの意味もない。わしこそが法律いや世界そのものとなるのじゃからな!!」

 

 

そうしている間にも暗黒エネルギーがDr.フライに流れ込み、頭の白髪が黒髪に変わっていった。

 

シワだらけだった皮膚もだんだんとみずみずしさを取り戻していった。

 

 

Dr.フライ「ん? こ…こりゃ一体? そうか! これも暗黒エネルギーの力か! 体が若返り始めておるぞ」

 

 

そればかりでなく全身の筋肉が隆起を始め、貧弱な老人だったDr.フライはボディビルダーと見紛うほどの筋骨隆隆たる大男と化していた。

 

Dr.フライ「これはいい!! 素晴らしいぞ、ワッハハハハハ!」

 

 

その歓喜に満ちた笑い声とともに、Dr.フライはさらに暗黒エネルギーを吸収していき、同時に富士山頂は強力な暗黒エネルギーに包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、応急修理を終えたばかりの三冠号が再び富士山付近に接近していた。

 

だが

 

リーフ「な、何あれ? あんな強力なマイナスエネルギーなんて見たことないよ!?」

 

リーフの言う通り、富士山頂を覆う暗黒エネルギーは、巨大なバリアのようになっていた。

 

ダイーダ「あれが、デビルの塔… まずいわ、このまま放っておけばこの世界どころか全次元が暗黒のマイナスエネルギーに包まれる… と、なれば!!」

 

リーフ「突撃あるのみ!!」

 

 

そう叫ぶや否や、二人は三冠号を暗黒エネルギーフィールドに向けて突撃させた。

 

 

 

 

リーフ「ぐぅううう… す、すごいマイナスエネルギー… 想像以上にきつい…」

 

予想以上に強力なバリアフィールドに、三冠号は中に入ることもできず、機首からは火花が飛び散っていた。

 

 

ダイーダ「くっ、負けられないわ… エンジン全開…フルブースト!!」

 

負けてたまるかとばかりに、三冠号を最大出力で前進させると、もともと完調でなかったためか、エンジンがオーバーロードし始め、それとともに全体の装甲板まで剥離しあちこちから火を吹き始めた。

 

しかしその甲斐あってか少しずつだがバリアの内部に機首を押し込むことができ始め、ようやくコックピットハッチ部分まで押し入ることができた。

 

だが、すでにコックピットの計器もショートしており、火花が飛び散っていた。

 

リーフ「うわっ!! も、もう限界だよ!!」

 

ダイーダ「仕方ない、脱出するわよ!!」

 

 

二人がコックピットから飛び降りたのと、三冠号のエンジンが暴発し墜落をし始めたのはほぼ同時だった。

 

 

リーフ「うわーっ!!」

 

ダイーダ「きゃあああ!!!」

 

 

なんとかフィールドの内側に侵入することに成功した二人だったが、それと同時に三冠号は炎に包まれながら墜落していき、ついには地面に激突。

 

大爆発を起こしたため、二人は吹っ飛ばされてしまった。

 

 

ダイーダ「よ、よしなんとか侵入には成功したわね…」

 

リーフ「い、いたた… うん。でも三冠号が… ライナージェットもあれじゃ…」

 

 

 

そこに地響きとともにドスの効いた低い声が響いてきた。

 

Dr.フライ「何か騒がしいと思ったが、貴様らか」

 

その声に振り返ると、そこにいたのは全長20メートル強の巨大な悪鬼と言うべき姿をしたDr.フライだった。

 

ダイーダ「なっ!? あなたがDr.フライ!?」

 

リーフ「マイナスエネルギーを吸収しすぎたんだ… 完全に人間じゃなくなってる…」

 

 

驚愕したリーフとダイーダに対して、Dr.フライはそれがどうしたと言わんばかりだった。

 

 

Dr.フライ「それがどうした? わしはもともと人間などという矮小な枠組みに収まるような存在ではなかったのじゃ!! こうして人を、いやあらゆる生命を凌駕する力を持った究極にして完全なる存在、暗黒破壊神こそがわしが本来あるべき姿なのじゃ!!」

 

 

 

 

 

 

だが、リーフとダイーダはそんなDr.フライを見て、悲しげな表情を浮かべた。

 

 

リーフ「…それで何が嬉しいの!? 人間でなくなって、ずっと一緒にいたファルやゴーロを見殺しにして、ゆうさんやパーフェクトまで利用して、あなたに何が残るの!?」

 

ダイーダ「パーフェクトはもちろん、ゴーロもファルも許せない奴らだったけど自分達同士は信頼しあって、かばい合ってた。あなただってその気になればあいつらと絆を結べたはずなのに!! ひとりぼっちの世界に君臨して、それが何になるの!?」

 

 

リーフとダイーダは悲痛な叫びをあげたが、それを否定するようにDr.フライはわめき散らした。

 

 

 

 

 

Dr.フライ「黙らんか!!! このわしこそは孤高の大天才、Dr.フライ様じゃ。究極にして至高の存在じゃ!!!! 全てを滅ぼしたわしの業績を万人が崇め奉るのじゃ。他何が必要なものか!!!!!」

 

 

 

ダイーダ「…もうだめだわ。自分の言ってることさえ、わけがわからなくなってしまっている。 全てを滅ぼしたら誰も自分を見てくれなくなるのに…」

 

リーフ「かわいそう… ひとりぼっちだったから、みんなに見てもらいたかったのかな… その気にさえなれば、こんなことにならずに済んだのに…」

 

 

表情を曇らせたリーフとダイーダに対して、Dr.フライはドス黒い光弾を放ってきた。

 

Dr.フライ「ごちゃごちゃと!! 貴様らを破壊し、わしは世界全てを暗黒に包み込み、わしを否定したすべてのものを滅ぼしてくれる。さすれば、わしは暗黒破壊神として永遠に世界に名が刻まれるのじゃ!!!」

 

 

着弾とともに起きた大爆発から何とか逃げ切った二人は、頷き合うと大きくトンボを切った。

 

 

リーフ・ダイーダ「「ゴー!!」」

 

その瞬間、二人の体は光に包まれ、着地した時には姿が大きく変わっていた。

 

 

ショートカットだったリーフは、ボリュームのある濃いピンクの髪に変化し、着用している服も、ごく普通の服からフリルのついた赤を基調にしたドレスのようなものになっていた。

 

 

 

ダイーダのポニーテールは、一本から五本にまで増え、背中にかかるかかからないかだったそれも、腰まで伸びて金色になっていた。

 

 

そしてリーフ同様のデザインの純白を基調にしたフリルのついたドレスを着用していた。

 

 

 

そしてDr.フライを悲しげに見つめると二人は名乗りをあげた。

 

 

リリーフ「闇を吹き消す光の使者 キュア・リリーフ!!」

 

ダイダー「悪を蹴散らす光の使者 キュア・ダイダー!!」

 

 

リリーフ・ダイダー「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

リリーフ「ダァアアア!!!」

 

ダイダー「ヤァアアアア!!!」

 

勢いよく殴りかかった二人だったが、Dr.フライの全身を覆う暗黒エネルギーにはじき返されてしまった。

 

 

 

Dr.フライ「馬鹿め。わしは今や暗黒エネルギーの塊と化している。お前たちプラスエネルギー生命体ごときわしに指一本触れることはできん」

 

 

 

 

リリーフ「くっ、だったら… チェンジハンド・タイプブルー!! エレキ光線発射!!」

 

ダイダー「チェンジハンド・タイプグリーン!! 超高温プラズマ火炎、超低温冷凍ガス、同時発射!!」

 

 

ならばとばかりにマルチハンドを換装して遠距離攻撃を仕掛けるも、エレキ光線は跳ね返され、火炎も冷凍ガスもまるで効果がなかった。

 

 

Dr.フライ「ふん、こそばゆいわ!!」

 

イラついたような言葉とともにDr.フライの目から極太のビームが二人目掛けて発射された。

 

 

リリーフ「ぐぅううううっ!!」

 

ダイダー「がぁあああああ!!」

 

ビームをまともに浴び、全身を包んでいたコスチュームと人工皮膚が少しずつ剥離し始めていく中、必死に耐えていた二人だが、遂に大爆発とともに大きく吹き飛んでしまった。

 

Dr.フライ「なんじゃ、意外と呆気なかったな… この程度のものに苦戦しておったのか… ん?」

 

 

Dr.フライは呆れたようなつぶやきをあげるも、土煙の中からリリーフとダイダーがフラフラながらも立ち上がってくるのが見えた。

 

リリーフ「どうしたの、もう終わり!?」

 

Dr.フライ「何ぃ!? どういう意味だ!?」

 

ダイダー「あら、大天才のくせにわからないのかしら? あなたの力はそんなものかって聞いてるのよ」

 

 

Dr.フライ「な、何じゃと!? このわしを馬鹿にするとはいい度胸じゃ!!」

 

二人の挑発にあっさり乗ったDr.フライは怒り狂って突進していったが、単調なその攻撃は簡単に大ジャンプでかわされた。

 

 

ダイダー「よし! リーフ!!」

 

隙ありと判断したダイダーは、光のスティックを取り出し、リリーフに呼びかけた。

 

 

リリーフ「うん、オッケー!!」

 

リリーフも頷くと、大きく振りかぶり虹色の玉を手に輝かせ始めた。

 

 

 

リリーフ「ダイーダちゃん!!」

 

そしてそのまま、その虹色の玉をダイダーに向けて亜音速で投げつけた。

 

 

ダイダー「任せなさい!! ダァリャア!!」

 

 

するとダイダーは、リリーフの投げてきた玉を、スティックを一振りしてDr.フライに向けて打ち返した。

 

打ち返された虹色の玉はひとまわり大きくなり、Dr.フライに直撃すると全体を包み込んだ。

 

リリーフ・ダイダー「「プリキュア・レインボー・ツインバスター!!」」

 

 

そう二人が叫ぶと、Dr.フライを包み込んだ光は目も眩まんばかりに激しく輝き始めた。

 

 

Dr.フライ「なめるでないわぁ!!」

 

しかし、その怒声一発でDr.フライはその光をかき消してしまった。

 

 

 

ダイダー「くっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

リリーフとダイダーがDr.フライと激闘を繰り広げている頃、皆の力により、遂にHRビーム砲が完成していた。

 

 

遠藤「よし! できたぞぉ!」

 

宝六「遠藤、完成だな」

 

遠藤「ああ! 早速こいつを…」

 

 

 

しかし突然、博士目掛けて無数のカメラのフラッシュがたかれた。

 

遠藤「な、なんじゃあ!?」

 

驚いて振り向くと、そこには記者とカメラマンが群れなし押すな押すなの状態だった。

 

京香先生や豪が必死に制止していたが、焼け石に水といったところだった。

 

 

京香「こ、困ります! 入らないでください!!」

 

記者「遠藤さん、この施設はいつ作られたんですか?」

 

記者「あのジェット機は、コズミックプリキュアはどこですか?」

 

 

遠藤「な、何じゃ君たちは!?」

 

京香「すみません、止めたんですけど」

 

豪「もう全部ばれちゃったんだよ、じいちゃん。 さっきも母さんから電話が…」

 

ラン「こっちもよ。さっきから電話が鳴りっぱなし。リーフさんとダイーダさんが富士山から助けて連れてきた人達が、ツィッターやらフェイスブックで拡散したらしいの。ここがプリキュアの基地だって」

 

遠藤「な、何ぃ!?」

 

驚愕のあまり、顎が外れそうになっていた遠藤博士に記者からの質問が矢継ぎ早に行われていた。

 

 

記者「どうしてあなたはプリキュアと知り合ったんですか? 彼女達は一体どこの誰なんですか?」

 

記者「それより、ここがプリキュアの基地だということを、なぜ今まで黙っていたんですか?」

 

 

博士「え!? い、いや…なぜだっちゅうか…なんちゅうか…その…だ、だからな…」

 

返答に詰まる遠藤博士を、宝六博士は不思議そうに見ていた。

 

 

 

節子「えぇいどいたどいたどいた!! そんな話は後々!! 博士、局のヘリコプターを借りてきましたから、それで移動しましょう。早く!!」

 

遠藤「いっ!!! 局のヘリじゃと!? そんなもんに乗せられたら、もうどうしようも…」

 

 

ラン「何驚いてるのよ!! それどころじゃないでしょう!!」

 

豪「急がないと!!」

 

 

真っ青になっている遠藤博士をよそに、豪達は完成したHRビーム砲を研究所前に飛んできたヘリに積み込み始めた。

 

 

 

 

 

 

富士山

 

 

 

Dr.フライは大玉ころがしに使うようなサイズのドス黒い光の玉を次々と両手から連射して、リリーフとダイダーを追い詰めていた。

 

 

Dr.フライ「ほれほれ、もう手詰まりか?」

 

 

その攻撃から必死に逃げ回っていた二人だが、希望を捨てたわけではなかった。

 

 

リリーフ「なんとかして少しでも時間を稼いで三冠号のところに行ければ…」

 

ダイダー「えぇい、骨を切らせて肉を断つ!! 突撃あるのみ!!」

 

 

危険を承知で、ダイダーは光弾を必死にかわしつつ、Dr.フライの懐に突撃していった。

 

 

ダイダー「チェンジハンド・タイプレッド!!」

 

なんとか足元に潜り込んだダイダーは、レッドハンドの怪力でDr.フライを大きく投げ飛ばした。

 

 

Dr.フライ「ぐうう、おのれ…」

 

 

リリーフ「よし、チェンジハンド・タイプイエロー!! センサーアイ発射!!」

 

 

なんとか立ち上がろうとしたDr.フライだったが、それを目掛けてイエローハンドに換装したリリーフが、ミサイルでもあるセンサーアイを両目に打ち込んだ。

 

 

Dr.フライ「ギニャアアア!!!」

 

打ち込まれたセンサーアイは大爆発とともに、両目を潰すことに成功し、Dr.フライは激痛にのたうち回った。

 

 

リリーフ「今だよ! 早くライナージェットを!!」

 

 

ダイダー「ええ、推進システムがいかれただけ。カノンモードは使えそうね」

 

 

先ほどの大ジャンプのときに、ライナージェットの状態を望遠アイカメラで確認した二人は、最後の賭けとばかりに走り出していった。

 

 

Dr.フライ「ゆ、許さんぞ…」

 

両目を潰されたDr.フライは、まさに鬼の形相というようにコズミックプリキュアを睨みつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、完成したHRビーム砲を積み、遠藤博士達を乗せたヘリコプターが全力で富士山を目指していた。

 

 

豪「もう…このヘリ、もっとスピード出せないの!?」

 

節子「ほんっとにトロイわねぇ…もしこれが間に合わなくて、世界が滅んだらどうすんのよぉ!?」

 

豪と節子がイライラする中、遠藤博士は頭を抱えていた。

 

遠藤「あぁ… もうおしまいじゃ… 世界が救えてもわしは一体これからどうすりゃいいんじゃ…」

 

 

そんな遠藤博士に、宝六博士は前々からの疑問を口にした。

 

宝六「遠藤、ひとつ質問してもいいかね?」

 

遠藤「ん?」

 

宝六「前々から不思議だったんだがな、なぜプリキュアとの関係を世間に知らせたくなかったんだ?」

 

京香「そうですよ。みんなで力を合わせればもっと簡単に戦うことだって… それにあのジェット機とかを作るお金、いったいどうしていたんですか?」

 

 

遠藤「あ、いや、それは……!」

 

 

矢継ぎ早の質問に慌て始めた遠藤博士だったが、ついに観念したというようにがっくりと肩を落とした。

 

 

 

 

 

 

遠藤「仕方ない、白状するか… 遠藤平和科学研究所や各種の発明は先祖伝来の山林を売った金で作ったんじゃが… その際にかかった莫大な税金を払っとらんのじゃ」

 

 

 

ラン「えぇ!?」

 

京香「まぁ!!」

 

宝六「税金!? そりゃあまずいな…」

 

 

遠藤「まぁ…税務署に金を払ってもどうせろくなことに使わん。それならば自分の手で世の中に役立つ物を作ろうと思ったわけじゃ… じゃが、今はそれよりも大事なことがあるな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

富士山

 

 

墜落した三冠号に駆け寄り、必死にライナージェットを掘り返していたリリーフとダイダーだったが、そんな彼女達に向かって回復したDr.フライが突進してきた。

 

 

 

Dr.フライ「馬鹿め、このわしが不死身なのを忘れたか!!」

 

 

ライナージェットをなんとか掘り返してカノンモードで保持しようとしたものの、タッチの差で間に合わず、Dr.フライに握りつぶすように持ち上げられてしまった。

 

 

Dr.フライ「クックックッ、まるで手の中の人形じゃな」

 

 

リリーフ「うぁあ…ああ…」

 

ダイダー「も、もう少しだったのに…」

 

 

握りつぶされ苦痛に顔を歪める二人を見て、Dr.フライはニヤリと笑うと、そのまま二人を暗黒エネルギーフィールドに押し付けた。

 

Dr.フライ「だが、この人形もお払い箱じゃ」

 

 

リリーフ・ダイダー「「ギャアアア!!!!」」

 

 

Dr.フライ「いい声じゃ!! 泣け!! 叫べ!! それがわしの滋養になるのじゃ」

 

 

 

 

 

 

河内「い、いかん!」

 

一方、ボロボロになりながらもなんとか復活していた河内警部はその叫びを聞きつけ、なんとか二人を助けんとフィールドの外からアンチマイナーガンを連射したが

 

河内「くそう!! やっぱり効かないか」

 

アンチマイナーガンのエネルギーではフィールドを打ち抜くことさえできず、悔しそうに歯ぎしりをするしかなかった。

 

 

そんなことをしている間にも、リリーフとダイダーの声は少しずつ小さくなっていき、限界が近いことが見て取れた。

 

河内「まずい、このままでは… ん? あれは!!」

 

 

 

 

そこへ遂に、遠藤博士達を乗せたヘリコプターが到着したのだった。

 

 

 

遠藤「急ぐんじゃあ!」

 

ヘリのドアを開き、HRビーム砲の準備が始まっていった。

 

豪「姉ちゃん達、もうちょっと頑張って!!」

 

ラン「しっかりして二人とも!!」

 

 

 

遠藤「よぉーし、照準セット完了!」

 

宝六「エネルギーもチャージ完了だ!」

 

遠藤「頼むぞぉ、効果があってくれよ… HRビーム砲発射!!」

 

ビーム砲の発射トリガーを遠藤博士が引くと、凄まじいプラスエネルギーの光線が暗黒エネルギーフィールドを突き破ってプリキュアとDr.フライに浴びせられた。

 

Dr.フライ「グォオオッ!! なんじゃこのエネルギーは!?」

 

強烈なプラスエネルギーを浴びて、Dr.フライは苦しみ出し、握りつぶすようにしていたリリーフとダイダーも解放された。

 

 

逆に、同じようにプラスエネルギーを浴びたリリーフとダイダーの全身の損傷はみるみる再生されていった。

 

リリーフ「はぁはぁ… これは…」

 

ダイダー「すごく高純度なプラスエネルキー… よし、いける!!」

 

 

力を取り戻した二人を見て、遠藤博士達は顔をほころばせた。

 

遠藤「やった! 効いとるぞ!」

 

節子「プリキュアが、力を取り戻したわよ!!」

 

豪「姉ちゃん、そんなやつやっつけちゃえ!!」

 

 

その声に励まされるように、リリーフとダイダーはライナージェットをカノンモードで保持して構えた。

 

 

 

 

 

 

リリーフ「ライナージェット、カノンモードスタンバイ!!」

 

ダイダー「ターゲットロック!! プラスエネルギーチャージ!!」

 

 

HRビーム砲の力に後押しされるかのように、二人はライナージェットに自分達のプラスエネルギーをチャージしていった。

 

 

リリーフ「Dr.フライ!! これで終わりだよ」

 

ダイダー「観念しなさい!!」

 

 

Dr.フライ「ふ…ふざけるでない、わしを誰だと思っておるか!!!」

 

 

いつもの口癖とともに、力を振り絞って突撃していったDr.フライだったが、それより一瞬早くリリーフとダイダーはライナージェットのトリガーを引いていた。

 

 

 

リリーフ・ダイダー「「プリキュア・ウォークオフ・ブラスター!! ファイヤー!!!!」」

 

 

 

その掛け声とともに、ライナージェットから光の奔流とでもいうかのような、眩しくそして温かいエネルギー波が発射された。

 

 

 

 

 

 

Dr.フライ「ぐぅおおおおお!!!!!」

 

その攻撃を受けてDr.フライは苦悶の表情とともに光の中に飲み込まれていった。

 

 

 

豪「やったぁ!」

 

節子「きゃー!! やったわよ~!!」

 

その光景を見て、ヘリの中では豪達が大はしゃぎしており、

 

 

河内「やっぱり、正義は勝つ!」

 

地上の河内警部もウンウンと頷いていた。

 

 

ラン「あら、河内警部。無事だったんだ」

 

 

 

 

しかし

 

 

 

突如としてHRビーム砲から放たれるビームが細くなり始め、ヘリも姿勢を崩し始めた。

 

宝六「いかん、エネルギー切れだ!! ヘリの燃料まで使ったというのに!!」

 

遠藤「何じゃと!? 計算よりエネルギーの消費が多かったか!!」

 

ラン「お、落ちるー!!」

 

 

 

遠藤博士達が慌て始める中、リリーフとダイダーも焦り始めていた。

 

構えていたライナージェットから火花が飛び散り始めていたのだ。

 

 

リリーフ「ま、まずい!! やっぱりどこか故障してたんだ。それなのに無理させたから」

 

ダイダー「お願い、もう少し!! もう少しだけ持ちこたえて!!」

 

 

しかしその願いもむなしく、限界を超えたライナージェットは爆発してしまった。

 

 

リリーフ「うぐぐ…」

 

ダイダー「く、くそ…」

 

 

爆発によるダメージで倒れ伏してしまった二人の前に、Dr.フライが地面を踏みしめるように近づいてきた。

 

 

 

 

Dr.フライ「惜しかったのう。 じゃがこれが運命、わしが暗黒神となることが正しいという証明じゃ!!」

 

 

その言葉とともに闇の奔流とでもいうような、禍々しくそしてどす黒い光線がお返しとばかりにリリーフとダイダーに照射されてきた。

 

 

リリーフ・ダイダー「「キャアアア!!!!」」

 

 

Dr.フライ「悪あがきは終わりじゃ! 貴様らを破壊しマイナスエネルギーを全次元へばら撒いてくれる!!」

 

 

 

 

 

 

一方、なんとか地上に不時着できたヘリコプターの中から、再びHRビーム砲を構えた遠藤博士達が出てきた。

 

 

宝六「エネルギーの再充填は80パーセントというところだが…」

 

豪「撃てればいいよ! じいちゃん早く!!」

 

ラン「リーフさんとダイーダさんが!!」

 

 

博士「よし、発射準備完了! くらえぃ!」

 

暗黒エネルギーフィールド目掛け、再びHRビームが放たれるとフィールドを貫通してDr.フライにダメージを与えた。

 

 

 

それにより、リリーフとダイダーへの攻撃は弱まり、二人はなんとか距離を取れた。

 

遠藤「よし効いた。フライ、もう一発くらえ!!」

 

 

Dr.フライ「お…の…れ… 遠藤!! どこまでこの偉大なるわしの邪魔をするか!!」

 

 

フィールドの外でHRビーム砲を構えてエネルギーをチャージしている遠藤博士を憎々しげに睨むと、Dr.フライはそちら目掛けて突撃していった。

 

 

節子「いっ!! こっちに来る!!」

 

京香「博士、逃げないと!!」

 

 

巨大な悪鬼とも言うべき姿のDr.フライが突進してくる様に、さすがに全員逃げ出そうとしたが、遠藤博士はHRビーム砲を構えたまま決して逃げ出そうとしなかった。

 

 

 

 

 

 

遠藤「駄目じゃ!! 今逃げればそれこそ打つ手がなくなる!!」

 

 

 

とはいうものの、すでにDr.フライは目前に迫っており、巨大な拳が振り下ろされんとしていた。

 

 

 

リリーフ・ダイダー「「ダリャア」」

 

 

しかし、攻撃が振り下ろされる直前、割って入ったリリーフとダイダーの攻撃にDr.フライは一時的に後退した。

 

 

豪「姉ちゃん!!」

 

ラン「よかった… って、それは!?」

 

ホッとした豪とランだったが、リリーフとダイダーのボディはいたるところの人工皮膚が破れ内部メカニックがむき出しになっており、そのメカもバチバチとショートし始めていた。

 

 

 

 

Dr.フライ「おのれどいつもこいつも… 見るがいい、これが偉大なる大天才Dr.フライ様の絶対暗黒神となったこのわしの本当の力じゃ!!」

 

イラついたような叫びとともに、富士山頂から高濃度のマイナスエネルギーが全世界に向けて放たれていき、日本はおろか世界各地の空が次第に暗黒に染まっていった。

 

世界各地では、木々が枯れ水が濁り、小動物や鳥たちが力尽きたようにバタバタと倒れ始めていた。

 

 

 

遠藤「い、いかん…このままでは地球が…」

 

 

さしもの遠藤博士も青い顔をし始めたが、リリーフとダイダーは力強く頷くと、遠藤博士の持っているHRビーム砲をもぎ取るように抱え込んだ。

 

 

遠藤「何じゃ? HRビーム砲をどうするつもりじゃ!」

 

 

リリーフ「これはライナージェット以上にプラスエネルギーを凝縮して打ち出すことができるんですよね。だから…」

 

ダイダー「私達の全エネルギーをあいつにぶち込んでやるわ!!」

 

 

その言葉に遠藤博士は仰天した。

 

遠藤「ま、待て!! そんなことをしたら…」

 

 

ダイダー「行くわよ!!」

 

リリーフ「オッケー!!」

 

博士の制止も聞かず、二人はビーム砲でフィールドに穴を開けると、そこに飛び込んでいった。

 

 

豪「姉ちゃん!!」

 

ラン「ま、待って!!」

 

引きとめようとした豪とランだったが、穴はふさがってしまっており、再び発生した暗黒エネルギーフィールドに阻まれてしまい、何もできず悔し涙を流していた。

 

 

豪「ちくしょう!! ちくしょう!!!」

 

ラン「なんで、私達、何もできないの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dr.フライ「間も無くじゃ… 世界は暗黒の闇に包まれ、すべての命は死に絶える。 さすれば世界は認めるであろう。このわしの偉大さをな!!!」

 

 

もはや言動の矛盾にさえ気がつかなくなっているDr.フライにHRビーム砲が打ち込まれた。

 

Dr.フライ「うぅ…おのれっ、ザコどもがぁっ!!」

 

 

闇の刃を放つDr.フライだったが、リリーフとダイダーはそれをなんとかかわし、HRビーム砲に自分達のプラスエネルギーをチャージしていった。

 

 

 

リリーフ「Dr.フライ!! これで終わりにしてあげる!!」

 

ダイダー「これが、あなたが否定し続けたものの力よ!!」

 

その言葉とともに、過剰なプラスエネルギーを注ぎ込まれたHRビーム砲からは虹色の暖かな光が溢れ出し、構えた二人ごと包み込んだ。

 

 

Dr.フライ「でぇい、こけ脅しを!!!」

 

 

Dr.フライはドス黒い光弾を発射したが、リリーフとダイダーを包んだ虹色の光はそれを直撃した端から消滅させていった。

 

 

Dr.フライ「な、なぜじゃ…!? このわしの力がなぜ効かない!?」

 

 

リリーフ「あなたがどれほどのマイナスエネルギーに包まれていようとも、一人だけの力。そんなの怖くなんかないよ!!」

 

ダイダー「この力は、平和を、未来を願う人達の思いすべて。それはあなたの独りよがりのものなんかよりずっと強いわ!!」

 

 

Dr.フライ「ほざくなぁーっ!!」

 

 

 

怒声ともに放たれたDr.フライの攻撃だったが、二人はそれを物ともせずに突っ込んでいった。

 

リリーフ・ダイダー「「ウァアアア!!」」

 

二人の全身からまばゆいばかりの虹色のエネルギーが迸り、その姿が巨大な虹色の塊と化した。

 

Dr.フライ「何ぃっ!?」

 

 

リリーフ「これが!!」

 

ダイダー「私達の!!」

 

リリーフ・ダイダー「「最後の力だあぁぁーっ!!」」

 

 

そのまま土手っ腹に突撃していくと、Dr.フライの全身から暗黒エネルギーが一斉に溢れ出して浄化されていった。

 

 

Dr.フライ「わしが負ける? そんなわけがない!! …わしは世界一の頭脳の持ち主にして…究極…至高の……暗黒神じゃぞ…」

 

 

その言葉とともにDr.フライの姿が、巨大な悪鬼から筋骨隆隆たるただの大男に戻り、そして光の中にかき消えていった。

 

それを見届けたリリーフとダイダーは安らかな表情を浮かべた。

 

リリーフ・ダイダー「「ゲーム… セット!!」」

 

 

直後、暗黒エネルギーフィールド内で噴火と見紛うほどの大爆発が起こった。

 

 

 

 

 

富士山頂を取り巻いていた暗黒エネルギーフィールドが消え去ると同時に、禍々しい魔の山と化してしまっていた富士山もまた、もとどおりの荘厳な姿を取り戻していた。

 

 

京香「あぁっ…空が晴れていく…」

 

 

世界中を襲っていた暗黒エネルギーも次々に消滅し、平和が戻ったことを象徴するかのように、太陽が顔を出し大地を明るく照らし始めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激闘が繰り広げられた富士山頂。

 

ようやく足を踏み入れることができたそこに、一同は息急き切って駆け付けたが、そこに広がる光景に愕然としていた。

 

 

節子「あぁっ…!?」

 

河内「こ…これは…!?」

 

 

 

撃墜、大破した三冠号の残骸…

 

 

オーバーロード、爆散したライナージェットの残骸…

 

 

暴発したHRビーム砲の残骸…

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腰から真っ二つになり、機能を完全に停止したキュア・ダイダーの残骸…

 

 

 

四肢が飛び散り、首がもげ、機能を完全に停止したキュア・リリーフの残骸…

 

 

 

 

 

 

 

豪「ね…姉ちゃん…!?」

 

ラン「嘘よ…こんなの…嘘よぉっ!!」

 

 

ランは京香先生に抱きつき号泣し、京香先生もランを優しく抱きつつ、涙を浮かべていた。

 

 

河内「くそう… 恨むぞ、俺達の無力さを…」

 

遠藤「ぐぅ… バカモンが… 年寄りより先に逝きおって…」

 

 

 

豪「う…うっ…うっ…わぁ~ん!!」

 

河内警部と遠藤博士が悔し涙を流す中、豪も空を見上げて号泣した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「豪」

 

「豪くん」

 

 

豪「…え?」

 

 

自分を呼ぶ声にふと辺りを見回すと、いつの間にか二つの光球が浮かんでいた。

 

 

リーフ「すみません博士… せっかくのアンドロイドの体、壊しちゃいました」

 

ダイーダ「最後の最後まで、迷惑かけちゃってゴメンなさい」

 

 

これが二人の本体、光の国の精霊としての姿である。

 

豪「…姉ちゃん!?」

 

遠藤「お主ら…無事だったのか!? フライは? やつはどうしたんじゃ!?」

 

 

リーフ「マイナスエネルギーのほとんどを浄化しましたからね。 もう何の力もありませんよ。 じとくじごうってやつだよ」

 

ダイーダ「違うわよ。 自作自演っていうの」

 

 

遠藤「それを言うなら自業自得じゃ。全く最後までしまらん奴らじゃ」

 

 

笑いがこだまする中、リーフは真面目な声で言い放った。

 

 

リーフ「これで…私達のこの世界での任務は終わりました。豪くん、色々教えてくれてありがとう」

 

豪「姉ちゃん達、帰っちゃうの?」

 

ダイーダ「豪、情けない声を出さないの。 みっともないわよ」

 

 

 

リーフ「京香先生。先生のおかげで、素晴らしい思い出ができました」

 

京香「あはっ…私もよ。 貴重な経験ができたわ」

 

リーフの言葉に京香先生は笑顔で返した。

 

 

ダイーダ「河内刑事、色々と御世話になりました!!」

 

河内「そちらこそ、御苦労様でした!!」

 

河内警部はダイーダに敬礼を返していた。

 

 

 

リーフ「この世界は、本当に素晴らしいところでした。多くの世界を見てきましたけど、皆さんが手を取り合って戦う世界なんて初めてでした」

 

ダイーダ「手と手を取り合うことができれば、どんな未来もつかめる。それを教えてもらいました」

 

 

遠藤「何を言うか!! お主達がいたからこそじゃ。お主らがいなかったらこうしてわしらが解り合うこともなかった。 そんな奇跡をどんな困難でも立ち向かっていく勇気をくれたのはお主達じゃ」

 

 

遠藤博士の言葉に皆はゆっくりと頷き合っていた。

 

 

 

リーフ「ならなおさらよかったです。博士の研究は危なっかしいですから」

 

ダイーダ「みなさんでサポートしてあげてください」

 

 

遠藤「い…!」

 

 

豪「さっすが!!」

 

ラン「よっくわかってる〜」

 

 

博士「あのなぁ…」

 

 

 

 

一同が楽しそうに笑いあう中、光の玉となったリーフとダイーダが宙に昇り始めた。

 

 

リーフ「私達はまた別の世界で戦うことになります。皆さん、短い間でしたが、本当に色々と御世話になりました」

 

ダイーダ「その先で伝えていきます。こんな素晴らしい世界があったことを。皆さんもお元気で… それと…」

 

 

リーフ・ダイーダ「「ありがとうございました!!」

 

 

 

 

二つの光球が空へと昇ってゆき、空の彼方へと消えてゆく。

 

 

 

遠藤「それはこっちのセリフじゃ!! ありがとぉー!!」

 

 

ラン「さようならぁ─っ!!」

 

豪「またいつか、遊びに来てよー!! さようならー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一同が感謝の気持ちを込めて手を振り見送り大団円となった中、背後で人影がコソコソと動いていた。

 

 

河内「む…?」

 

それはマイナスエネルギーの大半を失い、非力な老人の姿に戻ったDr.フライであった。

 

 

前以上に弱り切り、立つこともままならず四つん這いで逃げようとしていたが、その退路を河内警部が塞いだ。

 

河内「Dr.フライ。天が見逃し地が許し、プリキュアがお前を目溢そうとも、この河内は貴様を見逃さんし絶対に許さんぞ!!」

 

 

Dr.フライ「ど、どかんか!! わしを誰だと…」

 

 

河内「逮捕だ!!」

 

 

 

その言葉とともに冷たい手錠がかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dr.フライが逮捕され、パーフェクトが消滅していても、所詮は人の世。

 

災害の種は尽きることなく、今日も今日とて火災が起こっていた。

 

 

 

そんな中、到着した消防車からパワードスーツのようなものを着込んだレスキュー隊員が次々と降りてきた。

 

 

パワードスーツをまとったレスキュー隊員は、閉じてしまった防火シャッターをパワーでこじ開けたりバーナーカッターで焼き切るもの、レーダーで建物の内部を探索するもの、腕の部分からの冷凍ガスで火を消すもの、と多様な機能を備えたチームで構成されていた。

 

 

京香「怪我した人たちはこちらへ運んできてください。すぐに手当をします」

 

 

 

その様子を節子がレポーターとして報道していた。

 

節子「Dr.フライの事件が終結して早一年。遠藤科学平和研究所の開発したパワードスーツを使用したレスキュー部隊が正式に組織され、各地で活動してますが… 相変わらずいまいち完璧とはいえず、人々に不安がられています」

 

 

 

あれから一年。

 

 

宝六博士の援助もあり、延滞金を含めた税金をきっちり納めたのち、プリキュアのボディのシステムを応用、量産化を前提としたパワードスーツが遠藤博士の主体の元に開発された。

 

 

その特許を取り各地のレスキュー隊に配備されたことで、国そのものが遠藤平和科学研究所のスポンサーとなっていた。

 

 

 

 

河内「皆さん、危険ですからこれ以上前へ出ないで下さい!!」

 

野次馬を整理している河内に、節子がマイクを向ける。

 

 

節子「河内刑事、遠藤平和科学研究所の発明についてどう思われますか?」

 

 

河内「う~む、確かに救援活動その他が大幅に効率良くなったのはありがたいのですが、どうも…」

 

 

その言葉通り、パワードスーツが誤作動を起こしたりしており、消火・救助活動に支障が出たりしていた。

 

 

河内「これだもんなぁ。色々と新しいものを考えてるらしいが、その前に今のものを完璧に近づけてほしいもんだ」

 

 

節子「ははぁ、やっぱり… それとあのことについてはどうお考えですか? 彼を逮捕された本人としては?」

 

 

河内「そっちの方がもっと納得はできんのですがね。法律に照らし合わせれば仕方ないというか…」

 

 

 

Dr.フライは逮捕されたものの、彼の処遇については最近まで大揉めに揉めていたのだ。

 

 

確かにこうして生きてはいるものの、公式にはDr.フライは死人である。

 

そしてこの世界に死人を裁く法など存在しない。

 

そのため裁判にかけることも罰することもできなかったのである。

 

 

結局、国連に引き渡されたものの、その後の処遇は極秘事項となっており一般に公開されていない。

 

 

風の噂では、不死身であることを利用して普通では絶対にできない極秘の人体実験に使われているとか、人の声も聞こえず姿も見えないところに永遠に監禁されているなどと言われているが、真偽は不明である。

 

 

ただ少なくとも、再び彼が日の当たるところで出てくることは永遠にないと思われる。

 

もっとも、希代のテロリストとしてではあるが、彼の名前だけは望み通り全世界の教科書にも残ることになったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

一連の報道をテレビで見ていた遠藤博士は、悔しそうに顔を歪めると再び研究に没頭し始めた。

 

遠藤「くうぅ、バカにしおって。見とれよ、今にぐうの音も出ん完璧なものを作ってやるからな」

 

 

 

ラン「張り切るのはいいけど、あんまり変なもの作らないでよね」

 

豪「そうそう」

 

 

 

遠藤「くぅ〜なんちゅう情けない孫じゃ。 目標に向かって努力する。その大切さをわからんのか!! お主らだって目標があるんじゃろ」

 

 

ラン「わかってるわよ。私絶対将来お医者さんになるんだから。苦しんでる人を一人でも助けてあげたい」

 

豪「俺は絶対に刑事になる!! いろんな人と協力して悪い奴を懲らしめてやるんだ!! 見ててよ姉ちゃん達」

 

 

豪の向けた視線の先には、修理され大切に保管してあるリーフとダイーダのボディがあった。

 

 

 

遠藤「うむ、その意気じゃ。その思いが、自分だけの世界に閉じ籠ろうとせず、外に目を向け人と人と繋がろうとする勇気が世界平和へとつながることになるのじゃ」

 

 

 

 

 

 

「その通り」

 

「頑張ってね」

 

 

 

ふと外から聞こえた声に、三人は慌てて窓に駆け寄った。

 

窓から身を乗り出し、空を見上げると二つの光の玉が消えていくところだった。

 

 

 

豪「あぁっ!」

 

ラン「あれは!!」

 

遠藤「うむ」

 

 

消えていく光の玉に向かって、豪とランはありったけの想いを込めて叫んだ。

 

 

豪「見ててよ。俺たち頑張るからね!!」

 

ラン「この世界、きっと平和なままにしてみせる!!」

 

 

豪・ラン「「ありがとう!! コズミックプリキュア!!」」

 

 

 

 

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