それはあらしのよるでした。
ジョンは一生懸命寝ようとしているのですが、なかなか眠れません。
辺りは騒々しい物音ばかりで、心細くてたまらないからです。
たった今も窓を叩く音がして、ジョンはうわあっ、と震え上がりました。
「だ、だれなのさ?」
そう尋ねても返事は返ってきません。聞こえてくるのはトントントン、と窓を叩く音だけです。
ジョンは頭から毛布を被って夜が明けるのを待ちました。
次の朝、ジョンは友達のマフティーの家を訪ねました。
「マフティー。昨日の夜、僕の家の窓を叩いたかい?」
「いいや。昨日はぐっすり寝ていたからね」
マフティーの返事を聞いてジョンは心配になりました。まさか怪物が僕にイタズラをしているのではと思い始めてきたからです。
ジョンは森の仲間皆に昨日の夜に怪物を見たかどうかを、聞いて回りました。
しかし、皆はそんなおかしなものはみなかったと言うのです。
次にジョンは、森一番の大きな木のてっぺんに住んでいるエミルの所へと訪ねました。
もしも恐ろしい怪物がこの森をうろついていたとしたら、多分エミルがみかけているはずだと思ったからです。
ですが、エミルも昨日の夜は何もみなかったと言うのです。
「なあジョン。怪物なんて君の勘違いじゃないか?」
マフティーはジョンにそう聞きましたが、あれは怪物に違いない。ジョンはそう言って譲りません。
「助けてくれよマフティー。このまま怪物に脅かされたままじゃ僕、ぐっすり眠れやしない」
ジョンは困った顔でマフティーに助けを求めました。
そこで今日の夜。マフティーは怪物の正体をあばく為に、ジョンの家についていく事にしました。
しばらくしてジョンが寝ようとしたその時です。トントントン、と窓を叩く音が聞こえるではありませんか。
「か、怪物だ!」
ジョンは悲鳴を上げてベッドの下に潜り込みます。
マフティーは落ち着いてカーテンをあけると、アハハと笑い出しました。
「みなよジョン。怪物の正体は木の枝だよ。こいつが嵐に揺られて窓を叩いていたんだ」
「じゃあ、怪物が僕にイタズラしているんじゃないんだね?」
ジョンは恐る恐るマフティーに尋ねます。
マフティーはニコリと笑ってそれに答えました。
「ああ、この森に怪物はいないさ」
それを聞いたジョンはホッとした様子で布団に潜りました。
この森に怪物はいない。僕にイタズラする怪物なんかいなかった。
怪物の正体を知ったジョンは安心して安らかな眠りに着く事ができましたとさ。