IS 生徒会にてちょっと   作:ネコ削ぎ

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オリ主にてちょっと

 色物少年はそこにいる。

 目の前にいる。

 生徒会室には来客が少ない。直接顔を見せて何かを言いに来るほど度胸のある人はいない。生徒会向け意見箱が設置されていることが原因だろうか。

 生徒会長更識楯無に人望がないから、と推測してみたい。

 楯無は完璧超人でもありながらカリスマまで持ち合わせている。

 IS学園生徒会長は学園最強でなければならない。

 生徒会長になるためには実力が求められているのだが、楯無は同時に全校生徒の支持によって生徒会長候補に挙がった。

 所詮は推測か。

 実際は生徒会長の手間を取らせるわけにはいかない、という配慮と学生生活が忙しく暇がないという現実的な理由だ。

 生徒会室を訪れる人間は本当に少ない。

 織斑千冬が訪れたきりだ。

 珍しい。

 来訪者は訪ねてみたはいいけど、どうすればいいのか分からない。顔に書いてある。きっと考えてからきたのだろうが、実際にその場面になるとどうしようもなくなる。よくある話だ。

 生徒会長更識楯無はにこにこと微笑むだけでノーアクション。

 生徒会役員その一にして更識家に仕える布仏虚は神経質そうに眼鏡をクイっとあげるだけで静観決め込む。

 生徒会役員その二にして更識家に仕える布仏本音は飴玉に夢中でアウトオブ眼中。

 生徒会役員その三にして更識家に仕えるオレは普段通りにスマホで暇つぶしにて相手のアクション待ち。

 生徒会の雰囲気。

 おもてなしの精神はない。

 生徒会は観光スポットに非ず。

 世界で二人しか発見されていないIS適正のある男子。

 守落杏地。

 どこかにいるような少年。

 成績は悪くない。

 でも特別優れていることもなかった。

 身体能力もマシ程度。

 スポーツマンには劣るが、スポーツに打ち込んでいない割には動ける方。

 家族構成は両親と姉と弟。どれも普通のだ。

 幸か不幸かISを動かせた為に立たされた現状に、それでもと勉強に励む努力をしている。

 そして一番重要なのは……イタイ奴だということだ。

 イベント。

 オリ主最強。

 こんなこと言う奴がイタイ奴じゃないわけない。

「何かしら、守落杏地君」

 先攻は楯無。当然の疑問を一発。

「ああと、ここって生徒会であってますか?」

「あっていますが、どうされました」

 虚が答える。要件を言え、と。

「……あ、あー。この前、生徒会の人に声かけられたんで気になってきました」

 オレのことだ。

「誰にかしら?」

 分かっているくせに聞く楯無。この前報告したばかりじゃない。

「名前は……でも、今日はいないみたいです」

 きょろきょろと広くもない生徒会室を見渡した結論。

 実際には居る。

 生徒会室に居るのだ。

 隠れているわけではない。

 ただ気が付かれないだけだ。

 隠密の鏡だ。

 しかも意識して気配を消しているわけじゃない。

 逆だ。意識しないと認識してもらえない。

「居るわよ」

 楯無くらいだ。無意識のオレを認識できるのは。虚も本音も、あの織斑千冬ですら意識できないというのに。

 我が世界に入門するか。

「ばばーん!!」

 背後に回って登場。

 守落は奇襲に対してビックリして飛び跳ねた。

「な、いいいいいいつからぁ!?」

「今だよ」

「マジか」

「マジにマジでマジマジ」

「あまり褒められることではありませんよ」

 虚の苦言。いつも通りだ。

「びっくりだ~」

 本音は喜色満面。

 これで守落包囲網は完成した。

 背後からの奇襲に驚いて部屋の中に踏み込んだ相手。

 前には楯無。

 左右は布仏姉妹。

 背後はオレ。

「ごめんなさいね。悪戯が過ぎるもので」

「い、いいえ」

「それで要件は終わったかしら?」

「え? ああー、終わったと言えば」

 歯切れが悪い。

「ふふ。そうなの。それなら今日はサヨナラかしら」

「はい。そうします」

「いつでもどうぞ。何かあれば相談に乗るから。アポはそこの布仏本音にお願いね」

「ばちこーいー」

 のんびりとした動作で本音が胸を叩いたのだった。

 

 

「助けてください」

 数日後の守落が頭を下げる。

 誠心誠意の救援要請を前にして楯無が頭を傾げる。

「ISについておしえてください」

 一度顔を上げてまた下げる。

 ISについて。

 理論ではなく実践的なことを教えてほしいのだろう。

 学年別タッグトーナメントが原因。

 一学年のISを使用した授業はまだまだ始まったばかりでその試合内容を期待する者はいないのが、こと珍しい男子のIS戦は各国が興味を持たざるを得ない。無様な試合だけは見せられないと、危機感募らせれば必死にもなる。

 実情は違うかもしれないが。

 ただ、同じ男子ということで放課後一緒に練習しようぜ、と誘ってくれた織斑一夏の友達連中の恋愛のゴタゴタによってまとも練習できていないことが原因だろうか。

 楯無の指示を受けて観察をしていたのだが、イタイ発言とは裏腹に真面目に勉学に打ち込む少年だった。

 ただ女尊男卑の波に晒されて苛立っている。

 一年一組はセシリア・オルコットの一件や担任が織斑千冬であること、生徒達が比較的友好的な部類でもあってマシだが、その他のクラスはそうでもなかったりだ。

「確かに守落君は誰かの師事を受けるべき人間ね。弱いもの」

 楯無は辛辣。事実は凶器となりて人を傷つける。

「お、おっしゃる通りで」

 そもそも楯無から見れば人類皆弱いものじゃね。

 楯無は考えるそぶりを見せるのだが内心では結論を出している。ポーズだ。

 思考するのは数秒。

 守落の顔をしっかりを見据えて口を開く。

「時間の都合上あまり教えられることはないけど、それで構わないというのであれば」

 楯無の快諾を受けて、オレ達はそれとなく視線を向けた。

 虚は虚で、本音は本音で、オレはオレで受け持っている仕事がある中でのことだ。

「いいんですか」

「ええ。門を叩く者がいれば応じるのが生徒会なの。だからお姉さんに任せなさい」

 任せなさい。

 それが答えだ。

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